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#5177 ブラックアウトの星空と建礼門院右京大夫の星空の歌 Sep. 2, 2024 [5. こころの洗濯]

  NHKラジオ番組「古典講読」を聞いていたら、建礼門院右京大夫の歌が紹介されていました。
 恋人の平資盛が壇ノ浦の戦で亡くなったあと、傷心の建礼門院右京大夫が(月のない)夜空にまたたく数々の星の美しさに気がつき、詠んだ歌です。
 月を謳った歌はそれこそ星の数ほどもありますが、星の美しさを詠んだ歌はこれが日本文学史上の嚆矢であるとは、講師の島田景二氏(東京電機大名誉教授)の解説です。

 2018年9月5日に胆振東部地震が起きて北海道全域がブラックアウト、その停電は3日間に及びました。
 そのときに、夜空を見上げたら、満天の星でした。

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十二月ついたち頃なりしやらむ、夜に入りて、雨とも雪ともなくうち散りて、叢雲さわがしく、ひとへに曇りはてぬものから、むらむら星うち消えしたり。引き被きふしたる衣を、更けぬるほど、丑二つばかりにやと思ふほどに引き退けて、空を見上げたれば、ことに晴れて浅葱色なるに、光ことごとしき星の大きなる、むらなく出でたる、なのめならずおもしろくて、花の紙に箔をうち散らしたるによう似たり。今宵はじめて見そめたる心地す。先々も星月夜見馴れたることなれど、これはをりからにや、ことなる心地するにつけても、ただ物のみおぼゆ。


  月をこそ ながめなれしか 星の夜の 深きあはれを こよひ知りぬる

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*現代語訳

 建礼門院右京大夫にとって平資盛は夜空に輝く月だったのでしょう、旅の途中で月のない夜空を眺めたときに、星々の美しさに気がつき、見惚れてしまった。月が煌煌と照っていたら満天の星には気がつかなかったでしょう
 九百年前の歌ですが、何らかの事情で恋人を失った女性たちへのエールかもしれませんね。いまもそういう事情を抱えた女性は幾万人といます。歳月が過ぎ去っても、人を愛する心はちっとも変わらない、だからこそ、古典を読みたくなります。古典の中に変わらぬ今があり、昨日があります。


 9/5の胆振東部地震、そして全道ブラックアウト。
 9/7の夜空の様子を弊ブログ#3817から抜粋します。穴があったら入りたいくらい拙い文章ですが、星空の美しさに見とれてしまったところだけは建礼門院右京大夫と同じ。凡で俗なわたしには複雑な感情はありませんでした。ただただ美しいと感じたのみ。(笑)
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<星が空いっぱいに…>
 昨夜ひょっとしてと思って外に出ました、まっくら、見上げると晴れ渡っていました。期待以上の満天の星、こんなにたくさんの星があるのに今まで気づかなかったんだ、美しさに見とれて双眼鏡で30分ほど眺めてました。
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