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はぐれ刑事純情派 (根室編) [87.根室の話題]

  2,008年4月5日   ebisu-blog#158 
  総閲覧数: 9406/130 days (4月5日0時00分) 

 夜中から朝まで雨が降っていたが、積もった雪は水分を含み重くなっただけで、それほど嵩を減じていない。雨が上がると霧で遠くが見えない。
 夜になってまた少し降った。21時半頃の気温は+0.7度だ。雪にならない筈だ、暖かい。

 春の観光シーズンが始まったのか、東根室の駅に観光バスが来ている。今日も北紋バス(本社は紋別)と書いたバスが来ていた。他のバス会社も来ている。1日3便のペースだ。日本最東端の鉄道駅ということで観光スポットになっているのだから、東根室駅には綺麗に清掃管理された公衆トイレが欲しい。観光を盛んにするということは、「おもてなしの心(hospitality)」を具体的な形にすることが根っこにあって可能なのではないだろうか。

 観光ついでに・・・
3時頃テレビをつけたら藤田まことの「はぐれ刑事純情派」が入っていた。たぶん何度目かの再放送だろうが、根室が舞台だった。藤田まことの死んだ女房が通ったという設定になっていた「花咲第三小学校」とはどこだろう。温根元ではなかった。
 映像を見ていて気がついたが、根室の景色の特徴は「原野」だ。どこにも山が写らず、遮るもののないゆったりした自然が根室だ。北海道の中でも特徴のある景色だ。
 1月に営業をやめた大野屋旅館も写っていた。女将役で出たのは本物の大野屋の女将だったのだろうか?何年前に撮ったのだろう、金比羅山のお祭りで、境内では根室太鼓が力のこもった演奏を奉納していた。知っている顔を捜したてみたが見つけられなかった。

 藤田まことというと「てなもんや三度笠」のイメージが強くて、昔はピンと来なかったものだが、味のあるいい役者になった。なんてことはない台詞やいわゆる「くさい台詞」に頑固一徹に自分のポリシーを貫き、生き抜いてきた男の人情がずっしりと乗って響いてくるのだ。、この場面ではどんな台詞をどのように言うのだろうと予測しながら観てしまった。台詞の「間」が実に心地よく、その「間」に心が伝わってくる。こういう役者はそうは居ない。まったくタイプが違うが宇野重吉がやはり「間」の操作の上手な役者であった。
 藤山甘美もそうだったが、阿呆役を若い時分に徹底した人は年齢とともに味わい、特に人情味が湧き出るようになるのはなぜだろう。
 役者稼業一筋、名人の境地にあるようで、好い老け方をしている。


春の雪仏 [91.経済]

  2,008年4月4日   ebisu-blog#157 
  総閲覧数: 9274/129 days (4月4日0時30分) 

 夜になっても気温は零度までしか下がらない。桂木の浜から波の轟が響いている。鉄橋の上を電車が通過するのを離れた川岸に立って聞いているような感覚、そう言えばわかってもらえるのかもしれない。多摩川をわたる京王線の響きを、サイクリングしながら耳にした時の音に似ている。弱い南風でも吹いているのだろうか、海のざわめきが遠くまで伝わる夜だ。
 日中は平年並みの気温で、道路わきに積もった雪も心なしか高さを減じている。屋根の上の雪はすべて落ち、車道の雪はすっかり溶けた。脇道のカーブで雪に乗り上げることもない。やはり春の雪である。
 何の脈絡もないが徒然草の「春の雪仏」の段を思い出した。立派なお堂に雪で仏を作って拝んだところですぐに溶けてなくなってしまう。人生は春の雪仏のごとくに短い、立派なお堂に祭ってもすぐに消えてなくなってしまう。兼好法師は、やりたいことあるいはなすべきことを今せずして、いったいいつするのかと問う。あなたの命の火は今まさに燃えつきかけているのかもしれないのだと。

 4月1日からガソリンは値段が下がった。在庫の税金が高くあろうとも各スタンドは競争上下げざるをえない。根室市内はどうなっているだろうか。

 一時100円を割るほど円高が進んだが、為替も株式相場も小康状態だ。為替は100円/ドルを少し超えた。日経平均も1万3千円台を回復している。その一方で景気の先行きはよくない。急激な円高と原料高で日銀短観が悪化した。景気をひっぱてきた輸出産業の業績は為替相場次第だ。日銀が輸出産業を支えるために外為特別会計の資金を使って$を買い支えてきたから異常な円安状態が何年も続いた。消費者は外国製品を高く買わされ、輸出産業は円安誘導による超過利潤を手にし、好業績が続いた。
 リスクが大きすぎて、これ以上$資産を増やすわけにはいかない。話題になっていないが、3月末現在で外為特別会計に17兆円の評価損が出ているだろう。かと言って、$資産のほとんどが米国財務省証券(米国債)だから、これを売り払って為替リスクを軽減しようにも、金額が大きすぎて、為替相場の暴落を招きかねず、結局保有し続けざるをえない。1兆ドルもの資金がリスク分散措置がまったくとられることなく$一辺倒で運用された裏には、円安誘導で輸出産業を保護する国の政策が見えてくる。国民の財産を食い物にした確信犯である。かくして10年たたないうちに、ニクソンショックのときの数十倍の損失をかぶることになるのだろう。先を見て仕事をしていないと、このように打つ手がなくなり、損害額は膨大に膨れ上がる
 大手都市銀行のことを忘れていた。国内に優良な借手がほとんどいないので集めた預金は余剰資金となり、米国債で運用していた。米国債5%に対して国内の定期預金金利は1%未満、利ザヤが4%強あった。日銀の極端なゼロ金利政策で、国内の預金者は本来受け取るべき利息を失い、銀行がその分超過利潤を上げていた。リスクをまったく考慮しない、小学生でもできるような米国一辺倒の資金運用をしていた付けが回ってくる。3月31日は100円/$付近だったから、巨額の為替差損が出ただろう。

 北海道新聞4月1日朝刊に「医師派遣8人どまり。自治体病院、要望は32人」という記事が出ていた。道医療対策協議会からの報告である。根室市は5人要請して3人確保できたが、中身は入れ替えで純増ではない。大事なことは道内の各病院から道医療対策協議会へ32人の要望が出されて、8人しか充足できないことだ。充足率は4分の1である。多くは期待できないということだ。
 道内の大学病院も臨床研修医不足で派遣増員には応えられない状況に加えて、道医療対策抗議会も当てにならない。そして国の地域医療協議会からの派遣調整には失敗してしまった。いまさら言ってもしょうがないが、市側の不手際である。
 4月3日の1面の記事に「辞める内科医 地方は悲鳴」という記事が載っている。都会での内科医の開業が増え、道内各自治体病院での内科医確保ができなくなっている現状が報告されている。
 病院建物を新築する必要はある。しかし必要数の医者が確保できなければ、立派なお堂に祭った「春の雪仏」と同じことだろう。長期的には、地元出身の医者を増やすしか手がない。30年単位で手を打たないと、医師確保ができない時代になったようだ。当座はきつくてもしようがないから、根室市は市民が安心できるプランを示してもらいたい。今がきつくても先に希望が持てるなら、我慢はできる。我慢を重ねた上に元も子もなくなるような愚だけは避けたいものだ。