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春の雪仏 [91.経済]

  2,008年4月4日   ebisu-blog#157 
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 夜になっても気温は零度までしか下がらない。桂木の浜から波の轟が響いている。鉄橋の上を電車が通過するのを離れた川岸に立って聞いているような感覚、そう言えばわかってもらえるのかもしれない。多摩川をわたる京王線の響きを、サイクリングしながら耳にした時の音に似ている。弱い南風でも吹いているのだろうか、海のざわめきが遠くまで伝わる夜だ。
 日中は平年並みの気温で、道路わきに積もった雪も心なしか高さを減じている。屋根の上の雪はすべて落ち、車道の雪はすっかり溶けた。脇道のカーブで雪に乗り上げることもない。やはり春の雪である。
 何の脈絡もないが徒然草の「春の雪仏」の段を思い出した。立派なお堂に雪で仏を作って拝んだところですぐに溶けてなくなってしまう。人生は春の雪仏のごとくに短い、立派なお堂に祭ってもすぐに消えてなくなってしまう。兼好法師は、やりたいことあるいはなすべきことを今せずして、いったいいつするのかと問う。あなたの命の火は今まさに燃えつきかけているのかもしれないのだと。

 4月1日からガソリンは値段が下がった。在庫の税金が高くあろうとも各スタンドは競争上下げざるをえない。根室市内はどうなっているだろうか。

 一時100円を割るほど円高が進んだが、為替も株式相場も小康状態だ。為替は100円/ドルを少し超えた。日経平均も1万3千円台を回復している。その一方で景気の先行きはよくない。急激な円高と原料高で日銀短観が悪化した。景気をひっぱてきた輸出産業の業績は為替相場次第だ。日銀が輸出産業を支えるために外為特別会計の資金を使って$を買い支えてきたから異常な円安状態が何年も続いた。消費者は外国製品を高く買わされ、輸出産業は円安誘導による超過利潤を手にし、好業績が続いた。
 リスクが大きすぎて、これ以上$資産を増やすわけにはいかない。話題になっていないが、3月末現在で外為特別会計に17兆円の評価損が出ているだろう。かと言って、$資産のほとんどが米国財務省証券(米国債)だから、これを売り払って為替リスクを軽減しようにも、金額が大きすぎて、為替相場の暴落を招きかねず、結局保有し続けざるをえない。1兆ドルもの資金がリスク分散措置がまったくとられることなく$一辺倒で運用された裏には、円安誘導で輸出産業を保護する国の政策が見えてくる。国民の財産を食い物にした確信犯である。かくして10年たたないうちに、ニクソンショックのときの数十倍の損失をかぶることになるのだろう。先を見て仕事をしていないと、このように打つ手がなくなり、損害額は膨大に膨れ上がる
 大手都市銀行のことを忘れていた。国内に優良な借手がほとんどいないので集めた預金は余剰資金となり、米国債で運用していた。米国債5%に対して国内の定期預金金利は1%未満、利ザヤが4%強あった。日銀の極端なゼロ金利政策で、国内の預金者は本来受け取るべき利息を失い、銀行がその分超過利潤を上げていた。リスクをまったく考慮しない、小学生でもできるような米国一辺倒の資金運用をしていた付けが回ってくる。3月31日は100円/$付近だったから、巨額の為替差損が出ただろう。

 北海道新聞4月1日朝刊に「医師派遣8人どまり。自治体病院、要望は32人」という記事が出ていた。道医療対策協議会からの報告である。根室市は5人要請して3人確保できたが、中身は入れ替えで純増ではない。大事なことは道内の各病院から道医療対策協議会へ32人の要望が出されて、8人しか充足できないことだ。充足率は4分の1である。多くは期待できないということだ。
 道内の大学病院も臨床研修医不足で派遣増員には応えられない状況に加えて、道医療対策抗議会も当てにならない。そして国の地域医療協議会からの派遣調整には失敗してしまった。いまさら言ってもしょうがないが、市側の不手際である。
 4月3日の1面の記事に「辞める内科医 地方は悲鳴」という記事が載っている。都会での内科医の開業が増え、道内各自治体病院での内科医確保ができなくなっている現状が報告されている。
 病院建物を新築する必要はある。しかし必要数の医者が確保できなければ、立派なお堂に祭った「春の雪仏」と同じことだろう。長期的には、地元出身の医者を増やすしか手がない。30年単位で手を打たないと、医師確保ができない時代になったようだ。当座はきつくてもしようがないから、根室市は市民が安心できるプランを示してもらいたい。今がきつくても先に希望が持てるなら、我慢はできる。我慢を重ねた上に元も子もなくなるような愚だけは避けたいものだ。
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