SSブログ
49.2 PROMINENCE Ⅲ ブログトップ
- | 次の10件

#4848 Lesson 6 : The True Cost of Fast Fashion Oct. 15, 2022 [49.2 PROMINENCE Ⅲ]

  10/15土曜日、高校1年生対象の最後の英語音読授業でした。PROMINENCEⅢのLesson6 p.54-55。
 古里に戻ってきて20年間の最後の授業が終わりました、なんだか寂しい気がしています。
 あいにくとCOVID-19の濃厚接触者となって最後の授業に出席できなかった生徒がいました。張り切って予習していましたね。人生はいつどこで何があるか予測のつかないものです。仕方のないことですから、坦々と受け止めましょう。授業の要点をいくつかピックアップします。

  In 2013, a clothing factory building colasped in Dhaka, Bangladesh, and more than 1,000 live were lost.  This incident led Andrew Morgan, an American, to create a film titled "The True Cost," which forcused on how clothes are made.  What it tried to show was the impact that fast fashion business is having on our lives.  While the price of clothing has dropped quite a bit, the cost of producing clothes has incresed.  Who pays for the cost?

 「incidentとaccidentの違いは何?」というのがわたしの最初の質問でした。もちろん、生徒はちゃんと「事故」と訳していましたが、英語はaccidentとincidentの区別がはっきりしています。病院の医療事故はaccidentではなくて、incidentを使います。 
 CALDを引くとaccidentは次のように定義されています。
 something bad which happens that is not expected or intended, and which often damages something or injures someone
 予期せぬあるいはするつもりがないのにたまたま起きてしまった悪い事象をアクシデントと言います。起こるべくして起こったものをアクシデントとは言わないのです。インシデントを使ったことから、筆者はこの縫製工場建物の崩落事故を偶然起こったものとは見ていないことになります。
 "The True Cost"は「本当の原価」ということ。「真実の原価」でも「真実の生産費」でもかまいません。ほんとうではないコストが意識されています。わたしたちが見ている原価はまやかしだと言っているのです。
 What it tried to show was the impact...のitは「本当の原価」という題名の映画のことです。「本当の原価」が白日の下にさらしたのは衝撃的な事実です。the impactの説明がthat節です。問題はis having on our livesという動詞句です。書き直すとわかりがよくなります。
 fast fashion business is having the impact on our lives
  (ファストファッションビジネスはわたしたちの暮らしに負の影響力をもっている)

 ファストファッションについては青字をクリックしてください、説明のページが開きます。
 ourというのは先進国の人間でしょうか、それとも縫製工場のある発展途上国の人々も含むのでしょうか?先進国の消費者だとすると、命ではなくて暮らしです。命の危険にあっているのは縫製工場で働いている人々ですからね。lifeを「命」と解釈すると、「ファストファッションビジネスはわたしたちの命に悪しき影響がある」となります。熟語でbe having A on「だます、欺く」という意味もありますが、impactがhaveの目的語になっているので文脈から言って、外れのようですね。
 while A, BはAという車輪とBという車輪が同時に回っているイメージでとらえましょう。

 「2013年にバングラデッシュのダッカで縫製工場建物が崩落し1000人以上が命を失いました。この事故で、アンドリュー・モルガンという米国人が、衣料品がどのように生産されているのかに焦点を当てた映画『ほんとうの原価』をつくろうと思ったのです。その映画が白日の下にさらしたのは、ファストファッションビジネスがわたしたちの生活に負の影響をもたらしているということでした。衣料品の価格はかなり低下しているのに、その生産費は増大しています。だれがその原価を支払っているのでしょう?」

   We now purchase four times as many pieces of clothing as we did two decade ago.  A large part of that is a result of fast fashion consumption.  Because fast fashion clothes are cheap and look like your favorite designer clothes, you end up buying more clothes than you need.  However, on average, we wear fast fashion clothes fewer than five times and keep them for thirty-five days.  Behind the increasing demand for cheap and fashionable clothes lies the reality of serious human rights violations and environmental problems.

 この段落には三人の生徒に解説しなくちゃいけない文はありませんでした。ちゃんと訳せていました。
「serious human rights violation」のviolationは「違反」が最初に出てきますが、「深刻な人権侵害」と訳しましょう。「人権違反」なんて用語はありません。

「20年前に比べてわたしたちは4倍もの衣類を購入しています。その内の大部分はファストファッションの産物です。ファストファッションでつくられる衣服は安価で、お気に入りのデザイナーもののように見えるので、必要以上に購入してしまいます。しかしながら、ファストファッション製品は平均で見ると5回以下、35日以下しか持ち続けていません。安価でファッショナブルな衣類への需要増大の背後には、深刻な人権侵害と環境問題という現実が横たわっています。」

  The clothing factories in Bangladesh, which export clothes to many developed countries, employ about four million people, mainly women.  Though clothes make up nealy four-fifths of the country's export, their working conditions are far from ideal.  Shima, a twenty-three-year-old Banbladeshi clothing factory worker, only earned ten dellars in her first month on the job.  It was extremely low compared to the minimum monthlu wage of sixty-eight dollars in her country.  Trying to umprove the facory's working conditions and earn a livingwage, she and several other workers started a union.  However, when they gave their list of demands to the factory owner, they were severely punished.

 four-fifthsは「4/5」です。では「2/3」は?
 two-thirdsです。
 ここも、すんなりでした。書かれている内容がショッキングです。

「バングラデッシュの縫製工場、そこから多くの先進国へ衣服を輸出しています、約400万人の人を雇用しており、そのほとんどが女性です。バングラディッシュの輸出の4/5を衣料品が占めているにもかかわらず、そこで働いている人たちの労働条件は理想から遠く隔たっています。23歳のバングラディッシュのある縫製工場の女工、シマさんの初任月給はたったの10ドルでした。バングラディッシュの最低賃金の68ドルと比べてもはるかに少ないものでした。工場の労働条件の改善と生活できるだけの賃金を獲得しようと、他の数人の女工さんたちと組合を結成しました。しかし、工場の所有者へ要求リストを突きつけると、厳しく罰せられたのです。」
 いやはや驚きですね、月に10ドル、昨日の為替レートは32年ぶりに148円/ドルという円安ですが、この為替レートを使うと月給1480円ですから、ふざけるなと言いたくなりますね。開発途上国で縫製工場で働いている人たちは、こんな法外な低賃金で労働せざるを得ないのです。フェア・トレードという観点からも大きな問題があります。

 次は第4段落です。
  In addition to the low wage, most clothing factory workers are working in unsafe conditions.  They have to work in hot factories that are structually quite weak.  Some of them are forced to work long hours or experience various kinds of abuse.  Before the collaspe of the eight-story factory in Bangladesh workers were requires to work there despite reported cracks in the walls.  According to the contracts written by companies from developed coountries, the factories are supposed to have good working conditions, but these companies do not actually check the conditions at the factories.

 低賃金に加えて、ほとんどの縫製工場の女工さんたちは安全ではない状況下で仕事をしています。hotの訳ですが、「暑い」というのはバングラデッシュが北緯23.5度にあることから沖縄の那覇(北緯26.0度)よりも南に位置し、おまけに劣悪な設備の縫製工場の話ですから、工場内は暑いに決まっています。でも、「説明ルール:説明は後に置く」で、関係代名詞節が後を追っかけて説明していますので、そこに注目して意味を考えてください。「構造的にかなり脆弱なhot factory」となっているので、hotは「危険な」と訳すべきでしょうね。「説明ルール:説明は後ろに置く」を知っていたら書き手の意図を間違えずに読めます。誰に当たったか忘れましたが、「暑い工場」と訳していました。女工さんたちは構造的に脆弱で危険な工場で働かねばなりません。
 abuseは薬物なら「乱用」ですが、ここではそうした文脈はありませんから、「不当な扱い」くらいがいいでしょうね。女工さんたちの中には長時間労働を余儀なくさせられたり、あるいはさまざまな不当な扱いを受けているのです。バングラディッシュの8階建ての縫製工場が崩壊する前に、壁にひび割れが入っているという報告がなされていたにもかかわらず、女工さんたはがそこで働くように言われてました。先進国の発注元の会社が作成した契約書には、工場は優良な労働条件を確保するように定められていましたが、発注元の企業はバングラデッシュの縫製工場の労働条件を実際にチェックしてませんでした。  
 be supposed to ~:~することになっている
 受験英語で頻出する熟語ですから丸ごと覚えてください。

 次は第5段落です。
  Other concerns are the environmental damage caused by toxins used to make clothes.  It can take more than 20,000 litters of water to produced one kiroguram of cotton, equivalant to a sigle T shirts and a pair of jeans.  Up to 8,000 different chemicals are used to turn raw materials into clothes, so we must consider how to dispose of them.  If we do not do it properely, these chemicals can leach from the txteiles and into our groundwater.  Burning them can release the toxins into the air.  Landfills filled with unwanted clothing have been linked to severe disabilites like brain damege aong residents of the area.  We need to be aware that these clothes are a threat to our planet in many ways.

 すごいデータが並んでいますね。他の関心事は衣料品を製造するときに使われる毒物によって引き起こされる環境へのダメージです。1kgの綿製品をつくるのに20,000リットル以上の水が使われます。一枚のTシャツと一本のジーンズをつくるのに必要な水の量と同じです。その多さに驚きます。Tシャツやジーンズを買うときには20,000リットルの水が使われていることを思い浮かべてください。衣服の製造には8000種類もの化学物質が原材料として使われ製品となります、だから、わたしたちはそれらの処分をどうやるかについてよくよく考えなければならないのです。わたしたちが適切に処理しなければ、衣類に含まれている化学物質は布地からしみだして地下水を汚染する可能性があります。燃やせば、空気中に毒性のある物質が放出されかねません。不要になった衣類で埋立地が満杯になると、その地域の住民に脳の機能損傷のような深刻な障害へとつながります。これらファストファッションの衣料品が多くの点で、わたしたちの住む惑星への脅威であることに気がつくべきでしょう。

 ファストファッションに浮かれて衣料品を20年前の4倍も大量に消費することが、開発途上国でそれらの製品の製造に携わる人たちの劣悪な労働条件と考えられないほどの低賃金に支えられていることを、知っていましたか?
 そして生産された製品は先進国のわたしたちが買い、消費します。短いサイクルで流行が廃れ、別のモノが欲しくなることで、衣料品の廃棄も20年前の4倍になっているのです。衣料品の製造には8000種類もの化学物質が使われており、それらが深刻な環境汚染問題を引き起こしていることも知らねばなりません。知るだけでなく適切な処理方法について、よくよく考えて、実行しなければなりません。それと同時に大量消費に私たち自身がストップを掛けなければいけないということです。

 実際の授業ではチャンクごとにスラッシュを入れて、その単位で英語の語順通りに日本語にしてもらっています。戻り読みしないので、読解速度が倍以上になっています。
 リテンションも時々いれました。後志のおじさんに授業をしてもらったときに、彼がリテンションの指導をしたら、案外やれそうだったので、すぐに取り入れました。高校1年生の脳はやわらかい、すぐに慣れます。どんどんチャレンジしましょう。
 授業はここまでで終わりました。6,7,8の三つの段落が残ってしまいました。生徒のみなさんは独力で読んでみてください。わからない箇所があったら、メールをください。

 最後に、1月から10か月間の英語音読特訓に参加してくれてありがとう。本文をノートに写し、チャンクごとに、語順道理にスラッシュを入れて訳文を書いて来る、そんな過酷な予習をしてくることを義務付けてたのでたいへんだったでしょう。
 1・2年の教科書を全部読破し、3年の教科書もVIVIDⅢを4章、PROMINENCEⅢを6章やったので、確実に読解力はついてます。この4冊の教科書を繰り返し音読してください。内容がよくわかるので、英文を読むのがきっと愉しくなるでしょう。

 次は第6段落です。少しコメントを入れておきます。
    Many people are unaware of the hidden reality of the global clothing industry.  When we hear about environmental damage, we often think we have nothing to do with its cause.  We do not see the laborers working for endless hours for extremely low wages and the people who become sick from making the clothers we wear.

 グルーバル衣料産業の隠された現実の姿に多くの人が気づいていません。わたしたちが環境へのダメージについてあれこれ耳にするときに、その原因についてはわたしたちは関係がないと考えがちです。エンドレスとも言える長時間、極端な低賃金で女工さんたちが働いて、わたしたちが着る服を製造することから病気になる人たちがいるのを先進国で衣料品を消費するわたしたちが目にすることはありません。

 次は第7段落です。
    Though it is fast fashion companies that sell these clothes, we cannot put all the blame on them.  We, the consumers, are the ones who have created this demand by consuming large quantities so frequently.  The fast fashion companies are just supplying what we want.

 そういう服を売っているのがファーストファッション企業ですが、わたしたちがそうした企業にすべての責任を負わせて非難することはできないのです。わたしたちがそうした衣料製品を大量にしかも頻繁に消費することでこの需要を生み出している当事者でもあるのです。ファストファッション会社はわたしたちが望む者を提供しているにすぎません。

 次は、第8段落で、これが最後の段落です、わかりにくい文章があるので、気合を入れていきましょう。
    How, then, could we possibly make a difference?  It cannot be simply not buying fast fashion made in countries such as Bangladiesh.  It is more about taking our consciousness to a different level, and promoting responsible and sustainable shopping.  What role can you play?
 
 それではどうやって私たちはこの状況を改善できるのでしょう?それはバングラデッシュのような国で生産されたファストファッションを買わないというような単純なことではないはずです。それはより多くのことです/わたしたちの意識を違うレベルにまで移行させることについての/責任あるそして持続可能なショッピングを促進していくことについての/。あなたはどのような役割を担いますか?

make a difference:違いを生じる⇒改善する、よくする

 厄介な文章が出てきてしまいました。三つ並べてみます。
  It can not be simply not buying fastfashion made in countries such as Bangladish.
  It is more about taking our consciousness to a different level.
  It is more about promoting responsible and sustinable shopping.


 「現状を打破するにはどうしたらいいのか?」という文章に続いて、三つの動名詞句が並んでいます。
 moreは代名詞でこれら三つの文章は第Ⅱ文型になっています。
「(itは前の文章全体を漠然と受けている)現状を打破するにはバングラデッシュのような国で生産されたファストファッションをたんに買わないということではないに違いない」。
 生産者だけの問題ではなく、先進国のファストファッションの消費者の問題でもあるのだから、ファストファッションの不買運動ではことはすまない、それ以上の何かを先進国の消費者がやらねばならない。
  It is more.(それはより多くのことである)
 これでは漠然としていて理解できないから、 「説明ルール:説明は後に置く」で追っかけて何についてなのか前置詞句で説明をしていきます。
「それは(わたしたち先進国の消費者がやるべき)多くのことがある。わたしたちの意識を別の水準へ切り替えることについて」
「それは(わたしたち先進国の消費者がやるべき)多くのことがある。(先進国の消費者が)責任あるそして持続可能なショッピングを心がけることについて」
 to不定詞句ではなくて「前置詞+動名詞」で、「意識の切り替え」と「心がける」ことがありありと筆者の脳裏に浮かんでいるのでしょう。この辺りは日本語でに言い分けはむずかしくてわたしには手に負えません。

 全体を意訳してみます。
「それではどうすればわたしたちは現状を改善しうるのか?それは単に、バングラディッシュのような国で生産されたファストファッションを買わないことではすまない問題である。それはわたしたち先進国の消費者の意識を高めていくこと、そして(消費者として)責任をもち、(地球という環境が)持続可能な買い物をふだんから心がけること、についてより多くのなすべきことがあるということだ。さて、先進国の消費者であるあなたはどんな役割を果たすことができるのだろう?」

 手ごわい文章でしたね。試験の問題文を読むときにはこんなことをする必要はありません。おおまかに意味をつかむだけでいい、スピード重視で、チャンクごとに語順通りにぶつ切りにして読んでいったらいいのです。練習の時は、あいまいな箇所は精読してみてください。

 内容はほとんど社会科の勉強でしたね。発展途上国の経済の実態、SDGs、フェアトレード、最低賃金の1/4しかない月の収入が1500円という極端な低賃金、そういうものに衣料品の生産と流通そして消費を通じて、ファーストファッション企業と先進国の消費者が深くかかわっているのです。問題の解決に先進国のわたしたちが何をなすのかが問われていました。
 日本を代表するファストファッション企業はファーストリテイリング社です。円安で売上が膨らみ史上最大の利益を計上しています。有名なところではH&M社、GAP社、ZARAなどがありますね。JKのみなさんはよく知っています。

<余談:メール配信英作文>
 今日も4人のお母さんたちとご挨拶しました。短い間でしたが、お話しできてうれしかった。子どもたちを塾へ通わせてくれてありがとうございます。
 ところで、メール配信している英作文問題と解説・解答は3年分の在庫があるので、高1の生徒が大学受験まで続けられます。2年間で12000題、A4判で1440頁も作ったので、もったいなくて配信せずにはいられません。基本動詞や前置詞の使い方についてやり残していますので、さらに3000題ほど増えるかもしれません。
 このパソコンでZoomがやれるかどうかわかりません。試してみようとは思っていますが、もちろん集団授業はやりません、困ったときに質問に答えるだけ。スカイプという手もありそうです。いくつか試してみたいと思います。
 東京へ引っ越したらガラケーからスマホに切り換えます。Line機能でも何かやれそうですね。


にほんブログ村

nice!(0)  コメント(2) 

#4845 Lesson 5 : Question Authority  Oct. 12, 2022 [49.2 PROMINENCE Ⅲ]

 水曜日、英語音読トレーニングの日です、今日は高1年生の2人のみ、高3用教科書PROMINENCEⅢ、Lesson5、p.47-52まで。

 前段を読んでもらわないと、わたしの質問の趣旨が伝わらないので、少し長くなりますが第4段落から引用します。

  Another example is Huckleberry Finn, the classic novel by Mark Twain. Like Thoreau, Huck breaks the law when he helps Jim, a slave, escape.  But Huck does not do this to question authority as Thoreau did.  He is just a young boy who wants to help someone he cares about.  At the same time, Huck believes he is wrong to help a slave because that is what the adult say.  But his heart tells him to do it.  Off course, the reader knows Huck is right, and in this way, the novel teaches the lesson of trusting our own heart rather than authority.  

 別の事例をあげると、マークトウェインのよく読まれた小説、『ハックルベリー・フィンの冒険』。メキシコ戦争の時に戦争に反対して税金の支払いを拒否して投獄されたソローのように、小説の主人公のハックは法律を破ります。ジムという名のワトソン家の奴隷の逃亡を助けるのです。ハックはその当時はまだほんの子どもにすぎず、礼儀作法を教えてくれているミス・ワトソンの家の奴隷であるジムを助けたいと思ったのです。ジムは南部へ売られそうになっていたのです。でも、奴隷の逃亡を助けることが悪いことだと知っていました。なぜなら、大人がそう言っていたからです。けれども、ハックのこころがジムの逃亡を助けるように命じたのです。もちろん、読者のみなさんはハックが正しいことをご存じです。そしてこういうやり方でこの小説は権威よりは自分の内なる心の声に従うべきだと教訓を垂れているのです。
  'just a young boy'は少年で若い者ですから、「まだほんの子どもだった」くらいがいいでしょう。

   Once you are aware of this pattern, you can see it all over American culture. In movies, books, TV shows, you name it.  So I guess it is not surprising that American kids often believe they are right and adults are wrong.  And of course, like Huck, they often are.

 アンダーラインを引いたところはどういうことなのか、具体的に説明してくださいというのがわたしの質問でした。theyが何を受けているのかがヒントですから、そこからチャレンジしてもらいました。
 代名詞のtheyは'American kids'を受けていることにはOIさんがすぐに気がつきましたね。
 'American kids are.'「アメリカの子どもたちは存在する」
 これでは文章になっていません。そうなのです、これは第Ⅱ文型で補語が省略されています。'right'が省略されているのです。直前で述べているので、ここは読み手が補って読む必要があります。書き手(女性の英語教師)はくどくなるので、'right'を省略したのです。
 And of course, like Huck, they often are [right].
 「だから、内なる声に従うハックのように、アメリカの子どもたちは度々(大人たちのほうが間違っており)正しいことがあるのです。」
 たくさん読めば、こういう省略に慣れてきます。もちろん英作文のせいにも使ってください。
 次も前段が必要ですから、数行丸ごと引用します。第6段落の冒頭部分から。

   But sometimes the "question authority" habit goes too far.  I remember one guy in my French class when I was a college student.  He was so angry that the could not understand French.  Every week he raised his hand in class and challenged the teacher: "Why do they say it that way?  It doesn't make sense!" he would shout.  Remembering this makes me greatful for my teaching job in Japan! I cannot imagine any of my students  getting mad at me because English pronunciation or spelling does not maek sense.

 それでも、「権威を疑え」という習慣は時に行き過ぎることがあります。大学生だった時のフランス語の授業で、一人の男子学生を思い出します。その男子学生はカッカしすぎてフランス語が理解できませんでした。毎週彼は授業中に挙手して、先生にたてつくんです。「なぜフランス人はそんなふうにいうのか?、わけわかんない!」、そう彼はよく叫んでましたね。このことを思い出すと日本での教師の仕事がとってもついていると思うのです。英語の発音や綴りの意味がわかんないなんてことでわたしに当たり散らす学生なんて一人も想像できません(みんな物分かりがいいのです)。
 wouldは過去の習慣を表す用法です。wouldは動作動詞と一緒にしてしか使えないとか、言い方が文語的だとか辞書には書いてあります。過去の習慣が現在歩かないかについては中立です。used toは口語、過去の習慣を言い、現在はその習慣がないことを含意しています。(GINIUS5版の'used to'より)
 自分の持っている辞書で確認しておきましょう。 

 『Practical English Usage』によれば、wouldもused toもあまりかわらないようです。文例をピックアップしておきます。
 I used to smoke, but now I've stopped.
(かつては煙草を吸っていたが、いまは吸うのをやめている)
 When she was old, she used to sit in the corner talking herself for hours.
(年老いてから、彼女はよく隅っこに座って、何時間も独り言をいっていた)
 When we were children we would/used to go skating every winter.
(子供の頃、わたしたちは冬になるたびにスケートによく行ったものだ)
 I used to have an old Rolles-Royce.
(かつては古いロールスロイスをもっていた)
 この文ではwouldが使えません、haveが状態動詞だからです

 ここで生徒のKYさんが、「フランス語が理解できなかったので、怒りんぼだったのでは?、言っていることが逆ではないですか?」と主張しました。いいですね、ちゃんと自分で考えてます。問題は、この文章を書いた人が、「フランス語が理解できないので、怒りんぼだった」と考えているかどうかということ。文章を理解するということは、書き手が脳内にイメージしたものをできるだけ忠実に自分の脳に再現することです。
 この文章を書いている米国人と思しき英語の女性教師はそういう論理的順序「理解できない⇒怒りんぼ」では考えていません。「カッカしていたから理解できなかった」=「カッカする⇒理解できない」と思って書いています。原因・理由が逆です。「イライラしなければ、フランス語の発音や綴りが英語とは違うことを、当たり前のことだと受け止めて、冷静にフランス語を学ぶことができたはず」だと考えているようです。英語を学ぶ日本人の態度がまさしくそうですからね。第6段落でそう書いています。

 疑問を持つことはとっても大事ですよ。教科書を読んで書き手の主張がヘンだと感じたら、友達と話してみてもいいし、英語担当の先生にぶつけていいのです。

 「中学生の時に、先生に質問したら、それは高校になってから習うから...」なんていう返事で、あまり説明してくれないことがあり、納得できなかったと言ってました。面倒くさかったのかもしれませんね。
 個別指導ですから、生徒の疑問にはちゃんとお答えします。そいううやり取り、対話型の授業はやっているほうは愉しいのです。あと一回です、どんどん質問してください、もちろん私の方からも質問しますよ、ご用心。
 ドキドキ、ハラハラ(笑)


にほんブログ村


 こちらは新しいバージョン、第4版です。
Practical English Usage, 4th edition: (Paperback with online access): Michael Swan's guide to problems in English

Practical English Usage, 4th edition: (Paperback with online access): Michael Swan's guide to problems in English

  • 作者: Swan, Michael
  • 出版社/メーカー: Oxford Univ Pr
  • 発売日: 2017/02/07
  • メディア: ペーパーバック
わたしの使っているのは、こちらのほうの第3版です。初版からずっとお世話になっています。(笑)
Practical English Usage (Practical English Usage, Third Edition)

Practical English Usage (Practical English Usage, Third Edition)

  • 作者: Swan, Michael
  • 出版社/メーカー: Oxford Univ Pr
  • 発売日: 2005/07/07
  • メディア: ペーパーバック

nice!(0)  コメント(0) 

#4842 Lesson 4 :文頭の副詞相当語句の多い教科書:「現実的」とはどういうことか? Oct. 8, 2022 [49.2 PROMINENCE Ⅲ]

<最終更新情報>10/9午後7時:howの疑問文と感嘆文について説明を追記
 10/9午後10時40分 編集及び追記作業済
 10/10午前9時:文法工程指数とその観点からの解説を追記(重要!)

 前回に続いて、PROMINENCEⅢ、Lesson4の2回目です。41頁にある文を見ると、11文中5文が副詞相当語句が文頭に来ています。Oさん最初のうちは戸惑っていましたが、これだけ頻出すると慣れてきました。
 今日もリテンション・トレーニングをしました。若い人たちはとっても順応性が高いのです。学校の放課後あるいは休み時間に、数分間でいいから、チャンクを意識しながら数人でやってみたらいい。

 文頭の副詞節でなおかつ長い文があったので、生徒に文のつながりを質問してみました。
(1)  When Derreck improves sanitation in poor regions, teaching people the importance of basic hand washing, he often withnesses tears of deep appriciation well up in their eyes.

*well up:こんこんと湧き出る

 この文はシンプルセンテンスに書き換えると4文になります。分詞構文は句構造ですから、節構造が圧縮されたものです。だから意味をつかむのがむずかしいのは当たり前です。二つの節と一つの句から構成された文ですが、第1節と第2句と第3節をどのようにつなぐのかという問題があります。第2節は分詞構文であり、時、原因・理由、付帯状況、動作や出来事の継起、譲歩と、いろいろあって、どれを採るかは文脈依存ですから、文脈を読まなければいけません。さて、生徒は何を選択するのでしょう?
 それぞれの節を並べてみます。
1st:「デレックが貧困地域で保健衛生を改善するとき」
2nd:「人々に手洗いの重要性を教える...」
3rd:「彼は眼から滾々とながれ落ちる感謝の涙を見ることが多かった」

 第1節が「~するとき」とあれば、第2節を「~するとき」とは訳せませんね、日本語表現として稚拙に聞こえます。出来事の継起を現していると取るのが素直です。
「デレックが貧困地帯で保健衛生を改善しているときに、手洗いに重要性を伝えると、人々の眼から滾々と流れ落ちる感謝の涙を見ることが少なくなかった」
 tears以下はwithenessesの目的語であることに注意!that節内は第1文型なのです。
 he often withnesses [that] tears of deep appreciation well up in their eyes
 (彼はしばしば目撃している/貧困地域の人々の眼に感謝の涙が滾々とあふれ出るのを) 

 長い主語は関係代名詞節修飾部分を[]で囲め!
(2) The bar of soap [you used once or twice during your last stay] might now be helping children fight diseasese in developing countries.

 基底文(simple sentence)に分解すると、この文は4つになります。主語に関係代名詞節修飾文が組み込まれているのと、動詞句に原形不定詞句が踏み込まれています。4つの文ということは、動詞が4つから構成されているということ。こういう文に遭遇すると英語の学力の高い生徒でも戸惑います。文法知識もフル動員して考える必要があります。生成文法的に言うと、文法工程指数の高い文です。つまり難解だということ。

 処理の仕方から説明しましょう。長い主語を[]で囲んでしまうと途端に文章はシンプルに見えます。
「石鹸は発展途上国で病気と闘う子どもたちの役に立つかもしれないのです。」
 「説明ルール:説明は後ろに置く」が適用され、石鹸の説明が関係代名詞節で追っかけ説明されています。
「最近あなたたちがホテルに泊まったときに一度か二度使った」
ふたつつなげて、
「最近あなたたちが泊まった時に1度か2度使った石鹸が開発途上国で病気と闘っている子どもたちの役に立っているかもしれないのです」
 こんなことする必要はありませんよ(笑)語順通りに読みましょう、チャンクごとのスラッシュリーディングをすれば、ずっと速度アップできます。
「石鹸/あなたたちが一度か二度使った/ホテルに滞在しているときに/病気と闘う子どもたちの役に立つかもしれない/開発途上国の」
 これでいいのです。

(3)  And it all strated with one man who has shown that every single day you have the opportunity to make life a little bit better tha it was before.

 シンプルセンテンスに書き換えると5文になります。文法工程指数が高いので、ちょっと複雑です。3年生用の難易度の低い別の教科書、VIVIDⅢではこういう文は出てきません。
 これは当たった人がすんなり訳していたと思いますが、予習に四苦八苦したはず。文章が長いとどこにスラッシュを入れて読んだらいいのかすら迷いますね。スラッシュ入れ語順通りの訳を書いてみます。

  And it all strated with one man /who has shown that /every single day /you have the opportunity /to make life a little bit better /than it was before.

 that節の中身を見ると、副詞句'every single day'が指定ルールで前の方へ移動していますから、訳すときは要注意ですね。この操作も文法工程指数としてカウントされます。文頭副詞句が節の中で行われているということ。凝った文ですね。
 接続詞の'and it'は前の文を受けて「だからこういうことになる」との論理的な関係を示唆しています。こういうandは中学校の教科書には出てきません。並列の接続詞あるいは順接の接続詞として説明されるだけです。
「そしてそれは一人の男で始まった/that以下を明らかにした男/どの一日も/あなたたちが機会をもつ/人生をちょっとだけよくする/昨日よりも」
 2番目の節はone manの説明です。「説明ルール:説明は後ろに置く」でしたね。to make以下は第Ⅴ文型です。「人生をより良いものにする」ということ。'the oppotunity'を修飾しているので、'to make life a little bit better than before'はto不定詞の形容詞的用法ですが、to不定詞は「説明ルール」の適用ですよ。'the opptunity'と言い切って、追っかけてどんな「機会」なのか説明を入れたというだけ。

「どの一日だって、人は昨日よりも今日、人生をより良いものにしうるのだということをやって見せてくれた一人の男がすべての始まりだった」

 こんなことしなくても、とりあえず、語順通りにチャンク(意味のカタマリ)ごとに読み下していかばいいのです。

 次はLesson5”Question Authority!”です。これは命令文で、Questionは動詞ですから「権威を疑え!」ということ。アメリカの文化ですね。フランスもこの点では同じ文化ですがドイツはちょっと違いますね。フランスに比べると規律重視の国です。「日本はどうかな?」なんて考えながら読みましょう。
 p.46は副詞相当語句が文頭に来るのは17文の内、5文でした。やはり多いですね。
 第一段落と第二段落は英文を紹介しておいた方がよさそうですね。それから、問題の箇所を取りあげます。

1.  I order of my classes, I teach Amy Tan's novel, The Joy Luck Club.  It is about four Chinese mothers and their American born daughters.  They often misunderstand each other because of a huge culture gap between them.  Though they live in America, the mothers are still very Chenese, and the daughters, who have never even been tp China, are very American.
's reply: ""
2.  At one point in the novel, an angry mother shout at her daughter, "Only two kkinds of daughters ....  Those who are obedient and those who follow their own mind!  Only one child of daughter can live in this house.  Obedient daughter!"  The daughter's reply : "Then I wish I wasn't your daughter.  I wish you weren't my mother."  Obdience to parents comes up again and again in the novel as traditional Chinese value.  And daughters, just as often absolutelyrefuse to obey their parents.

 それでその次の文がこれ。
(4)  I am always struk by how realistic these American daughters seem.

 これはシンプルセンテンスに書き換えるとたった2文ですが、手ごわい。組み込まれた節が感嘆文なのか、疑問詞説の文なのかの文の型からは判断がつかないので、文脈に依存した判定が必要だからです。

 話題は米国へ移民した中国人の4人の母親と米国で生まれたその娘たちの文化摩擦です。中国はいまも儒教社会ですから、親に孝です。両親の言うことには服従します。口答えなんてとんでもない。ところが、米国で生まれ育った娘たちは、生まれたときから米国の文化の中で育ちますから、自分の内なる声に従って行動します。親に不服従となるわけです。

 how以下は感嘆文ですが、少し説明が必要ですね。
① How realistic do these Amerikan daughters seem?
 (アメリカ生まれの中国系2世の娘たちはどの程度現実的ですかね?)
② How realistic these American daughters seem!
 (アメリカ生まれの中国系2世の娘たちはなんと現実的であることか!)
③ I don't know how realistic these American daughters seem?
 (アメリカ生まれの中国系2世がどの程度現実的であるのか、わたしにはわからない)
 ①の疑問文が間接疑問文になると、②と同じように「C+S+V]の語順となってしまうので、形の上からは判別がつかない、文脈依存で判断すればいいということ。

「米国生まれの中国系2世である娘たちはとても現実であるように見え、わたしはそうしたことをいつも好ましく感じている」
 訳文は何通りもありうる。自分の語彙と日本語表現のセンスで文字通り「千差万別」と言っても差し支えないだろう。
「米国生まれの中国系2世の娘たちのなんと現実的であることよとわたしはつい感心してしまう」
「米国生まれの中国系2世の娘は親たちとは違って中国の家父長的な価値観にとらわれておらず、普通の米国の娘たちと同じく権威を疑うという価値観を共有し、行動しているのである。そういう姿を見るたびにわたしは感心してしまう。」
 好きに訳していい。そして受験で長文を読むときは、こんな読み方は時間がかかるので絶対にしないこと。でもたまには、書いてあることの奥深くを覗いてみる必要はあるのです。

 「筆者にはなにが現実的に思えるのでしょう?」、生徒に尋ねてみました。4人の議論が始まりました。

 彼女たちの話をまとめると、つぎのようなことらしいです。
 米国生まれの中国人の2世の娘たち their American born daughters は rebellious(反抗的)でdisobedience(不服従)、権威やルールには従わない、わがままな性格に育ちました。それは米国生まれの子どもたちに共通の価値観です。彼女たちにとっては、中国の価値観に属する「親に服従する」とか「権威に従う」という家父長的な価値観はありえない「非現実的」なものなのです。2世が生まれたのは中国ではなくて米国なのですから、だから、中国人2世たちは、反抗的かつ不服従で、自分の心の命ずるままに行動するのです。そうした価値観を米国の子どもたちと共有しているところが「現実的」だということ。中国の家父長的な価値観は2世にはないのです。

 こういう議論や対話を通して、英文の読み方がより具体的で深いものになります。そのうえ、対話を重ねることでコミュニケーション力がつくというおまけもあります。社会人となってからは、IQの高さよりも、EQ、中でもコミュニケーション能力の高さがモノを言います。高校生のうちから機会を見つけて鍛えましょう。

 4人の議論は聞いていて愉しいものでしたが、読者のみなさんもお楽しみいただけましたか?

(p.41~46まで)

<余談:授業速度と生徒のポテンシャル>
 実は成績上位生複数人相手に、実験してデータをとっているのです。
 塾で「週2回×2時間」の授業をやると假定すると、月に8回ですから、根室高校1年生の英語の成績上位10名は、3か月あればこの三年生用の教科書PROMINENCEⅢは3か月で読み終われます。週1回、2時間授業なら半年で終わります。上位10%の生徒はそうした大きなポテンシャルをもっているということです。
 これなら「みんなの大学情報」偏差値57.5の北大くらいなら、毎年5~10人現役合格したって不思議じゃありません。
 何十年たっても生徒たちのポテンシャルが引き出せていないのはなぜでしょうね?どこかに理由があるはずです。

 文頭副詞句を題材に思考の仕方を書いておきましたので、今日にのある人は青字のところをクリックしてください。
*「#4843」



にほんブログ村


nice!(0)  コメント(0) 

#4841 Lesson 4 : 文頭の副詞句(節):リテンションの楽しさ Oct. 5, 2022 [49.2 PROMINENCE Ⅲ]

<最終更新情報>10/7午前10時 「モクロ―君」のコメント追記 
 10/7午後11時15分

 10/5水曜日は高校1年生対象の英語音読トレーニング、時間は2時間です。今日は3年生の教科書4回目、PROMINENCEⅢのLesson4です。p.40、41の3行目まで。
(PROMINENCEⅢは東京書籍で出している英語教科書では一番難易度が高く、ワード数もVIVIDⅢの2.5倍もあります。この教科書を選んだ先生の話では、3年生は英語は選択科目ですから、120人中30人くらいしか履修してませんので、こういう教科書が使えるということです。好い変化ですね。
 1年生や2年生では無理ですが、3年生なら大丈夫ということ。いま9章をやっているそうです、全部で16章ありますから、冬休み前には13章までやれそうですね、がんばってください。これ以上速度アップすると、ついてこられるのは10人以下になります。それぐらいやってもいいかも。
 1年生と2年生は遅すぎです。やる気のない生徒は落第させていいから、教科書全部をちゃんと追われるような速度を守ってもらいたい。まじめに勉強したい3割の生徒たちが迷惑しています。進級に関して厳しい基準を示せば大半の生徒は勉強しますよ。赤点とっても追試ナシ、そのまま次の年次へ進級では、もともと勉強したくない生徒がするわきゃありません。西高校へ進学した生徒達だって、中3のときには半数以上が勉強しだしていました。根室高校の先生たちは低学力の生徒たちの扱い方がわからないのではないかと心配になります。校長や教頭のマネジメントの問題でもありますね。)

 さて本題に入りましょう。
 今日は何度もリテンションをやってみました。音読を6回ほどして、チャンクごとに和訳してからリテンションしてます。長い文は、助け舟をだします。チャンクごとに日本語訳を言ってサポート。だから、英作文トレーニングにもなります。

(1)  Derreck Kayongo, /a native Ugandan, /arrived in the U.S. /for the first time /in the early 1990s /and stayed at a hotel /in Philadelphia, Pennsylvania.
 生粋のウガンダ人のデレック・カヤンゴさんは1990年代の前半に米国を始めた訪れ、ペンシルバニア州のフィラデルフィアにあるホテルに宿泊しました。ウガンダと米国では文化も異なるし、ホテルのサービスもまるで違ってました。バスルームに置かれた石鹸の意味がウガンダと米国ではまるっきり違いました。そこが面白い!

(2)  What caught his eye /was three different kinds of soap /in the batheroom.
 eyeは「どうして複数になっていないのか生徒に質問してみました。「彼の眼をとらえたものはバスルームの三種類の石鹸でした」となっています。どちらかの眼の視界に石鹸が入ったということです。
 「モクロ―君」から、emailでこの文のeyeは無冠詞で眼の機能を現しているというメッセージがありましたので紹介します。
-------------------------------------------------

私は、eyeの役割、機能を意識しているためだと読みました。無冠詞単数の意味合いです。ただそれが誰の?をはっきりさせる(というかはっきりさせるのが英語の作法)ために his  をくっつけている。
訳すなら、彼の目にとまったのは、くらいでしょうか。
-------------------------------------------------

 なるほど、よくわかります。
 この文にはagentがないので、agentを意識して、無冠詞に限定詞のhisをつけるという発想がわたしにはありませんでした。そういう表現があるのですね、勉強になります、英語表現は奥が深い。
 「モクロ―君」は多分野の英文をたくさん読んでいます。わたしが手薄な小説の分野もです。わたしは主に、経済学や管理会計学、システム開発、言語学、医療関係の専門雑誌などの分野を仕事で読み漁ってきただけ。モクロ―君は読んだ英文のデータベースの量が大きいのです。「his+無冠詞名詞」というのはわたしのデータベースにはなかった、いや、そもそもそういう発想がありませんでしたね。

 ついでですから、高校生用に、無冠詞と不定冠詞、限定詞付のものとを対比してざっと見ておきます。
  I go to school by bike.(自転車通学しています)
 schoolとbikeは無冠詞ですから、具体的な学校や具体的な自転車をイメージしていません。抽象的なもの言いなのです。その抽象的なもの言いを「機能を現している」とか「概念を表す」、「役割を表す」と言います。無冠詞は外と内側が区別できません。たとえば、waterです。液体のwaterには決まった形がないので境がありません。細胞のように細胞膜で外側と内側が区別できれば、a waterあるいはwatersと言えます。「水域」という意味です。EEZ(排他的経済水域)がそうですね。
 文例を少し並べます。
 「I go to my school.」と書いたら、自分の所有している学校へ通勤している、つまり学校のオーナーが毎日学校へ行っているという意味になりそうですね。わたしが所有している具体的な学校建物がイメージされています。
 「I go to school by my bike.」 と書けば自分の自転車という具体的なものがイメージされます。「(父さんのロードバイクではなくて)僕の自転車で通学しています」という意味合いになりそうですね。主語がIですから、この文例では無冠詞のbikeに限定詞のmyがついたという解釈は無理があります。ことさらmy bikeと書いたのは他にもバイクがあり、そのなかで「自分のバイク」で通学していると書き手は言いたいのです。
 お母さんが授業参観で学校へ行ったのなら、行くべき学校は決っていますから、
 My mother went to the school last week. 
 schoolに定冠詞がつくことになります。書き手は子どもですから、その子どもの通っている学校に決まっていますから。
 無冠詞、不定冠詞、限定詞、定冠詞、そして単数や複数は注意して読みましょう。書き手が伝えたいイメージがこれらの語に込められています。何通りかの解釈が成り立ったら、文脈からどれが妥当か判断しましょう。文脈上も複数通りの解釈が成り立つ場合もあります。高校生になったら、そろそろそういうことに慣れたほうがいい。
 さて、わたしの理解は、his eyeは「デレックさんの眼(のいずれか片方)をとらえたのは、バスルームの石鹸でした」というもの。モクロ―君の読みは、具体的な目ではなくて、その作用や役割、つまり見るということ、そこから、「彼の目にとまったのは...」という訳文が提起されました。無冠詞と取ろうが「限定詞+名詞」と取ろうが、訳文に反映するのは至難の業です。日本語の名詞にはそういう機能はまとわりついてはいないのですから。英語特有の冠詞類に関する名詞句の解釈の違いがあるだけ。
 高校生のみなさんは、こういう二通りの解釈について、議論していいのです。一番大事なのはそこです。

 テクストの読み方について少し書いておきます。
 日本語音読指導を十数年やりましたが、そういう複数の視点からの読み方を随時取り入れて、著者の考え、自分の考え、それらとは違った考えという風に、ひとつの事象、ひとつの文に異なる解釈や意見のあることに慣れてもらうようにしていました。こういう思考様式に慣れると、国語の偏差値が70手前で頭打ちになります。解釈が複数見えてしまうからです。でも、それでいいのです。国語の受験問題をやりすぎると、出題者のレベルの読みしかできなくなります。一通りの読みしかできず、答えが一つなんてことは、ほとんどありえません。そうした思い込みに慣れてしまうと、大学生や社会人になったときに、副作用が出ます。別の立場からの読みができなくなってしまっているからです。さまざまな読みのあること、意見のあることが理解できずに、自分の意見に固執するような頑迷さが現れます。
 哲学や理論経済学のゼミでは原文を読みながら、どういう理解がありうるのか、そういうことを読み進む都度やります。ゼミのメンバーでさまざまな角度から議論します。自分はこう読みたいが、そうではない読み方も自分でやりうる、そしてそれらを比較衡量できるようになっていきます。柔軟な思考ができ、コミュニケーション能力が大きくアップします。
 旭川医大へ根室高校から現役合格した生徒は小6から高2まで6年間、17冊の本を取り上げ日本語音読指導をしました。著者の意見の書いてあるところでは、別の意見があり得ないか議論していました。そしていくつかの「異見」を比較して対話してました。「面授」ということ。二次試験の小論文で300点満点で295点という得点はそういう背景があります。進学校の生徒がそんなトレーニングを何年にもわたってしているはずがありませんから、大差がついてあたりまえでした。彼らがそういうシーンに遭遇するのは大学へ進学して、専門のゼミに入ってからです。大きな差は、アドバンテージになっているでしょう。社会人になったときにそのほんとうの威力が現れます。
 3人くらいで同じテクストを輪読して、著者の意見のところに赤い線を引いて、その都度議論してみたら、高校生同士でも、ある程度はやれます。複数の専門分野をもつ大人が一緒なら、効果はずっと大きい。良質の大学のゼミと同じ効果があります。
 「モクロ―君」のコメントを見ただけで、どういうレベルのゼミで修行したか想像がつきます。もちろんわたしは彼とコメント欄で何度も議論しているので承知しています。道内の大学でそういうレベルの文系ゼミは望むべくもありません、理由は簡単、指導できるその分野で一流と言える教官がいません。文系分野のトップレベルの教授は首都圏からでたがりません。わたしが大きな影響を受けた三人の先生、哲学の市倉宏祐先生、経済学史の内田義彦先生、西洋経済史の増田四郎先生、それぞれの分野でトップレベルの先生ですが、首都圏以外の大学では教えていません。
 モクロ―君は早稲田政経のゼミででマックスウェーバーの『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』をしっかり読んでます。
 モクロ―君もわたしも、英語の専門家ではないのです、「めくら蛇に怖じず」で議論しているだけですよ、お互いにぞれ外交史と経済学という専門分野があります。
 根室高校の先輩には、柳瀬尚紀さんという翻訳の専門家がいます。引っ越し準備で資料を整理していたら、2016年8月3日の新聞記事が出てきました。「ジョイス作品翻訳 柳瀬尚紀さん死去 根室出身73歳」という見出しになっています。一度弊ブログにコメントいただきました。おや、いま気がつきましたが、柳瀬さんのお亡くなりになった年齢になりました。根室高校の6つ先輩です、常盤が丘=大正町に校舎があったころ。名翻訳家ですから、興味があったら柳瀬さんの手になる翻訳書をお読みください。SRL元社長の近藤さんが、棋士の羽生善治氏と柳瀬尚紀氏の対談の本を「面白い本が出てる」と送ってくれたことがありました。
対局する言葉―羽生+ジョイス (河出文庫)

対局する言葉―羽生+ジョイス (河出文庫)

  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2022/10/07
  • メディア: 文庫
(3)  A little confused /about what to do with them, he used one /and put the rest /into his bag.

 スラッシュを入れて音読、三つともリテンションしました。(1)の文は長いのですが、二人ともやれましたね。それで、チャンクごとに日本語訳を伝え、それを英文にして声に出したもらいました。for the first timeの前置詞forがinになっていたり、stayed at a hotelの前置詞atがinになったり、不定冠詞のaが抜けたりしました。どこのホテルかわからないので、「とあるホテル」ですから、「a hotel」ですね。こういう細かいところが、英作文上でも細心の注意をしなければいけません。atだと、地図を広げて指さしてここって感じがします。inだと建物内部という感じがしてきます。

 (3)の文は「副詞句(Adv.)+S+V+O」の文です。副詞句は主節の動詞にかかります。文脈から「添加、時、場所、理由・原因、譲歩、付帯状況」などどれがふさわしいか判断してください。2通りの解釈ができる場合もあります。Adv.=Adverbials副詞相当語句の略です。「Adv.+S+V+O」、頻出するタイプですので、覚えておいてください。
「少し混乱させられた/どうしたらいいのかについて/カヤンゴは一つを使い、残り二つをカバンの中に入れた」
「どうしたらいいのか少し混乱して(混乱したので)、...」、添加でも理由でもどちらでもよさそうです。
 石鹸は3種類あったのですから、ひとつを使ったら、残りは二つですよ(だから定冠詞がついてthe restとなっています)、二つバッグにしまったということ。読みながら引き算して具体的に理解しましょう。

 わたしの脳は数字を見ると勝手に計算始めます。若いころ女房殿と買い物に行くと、籠に商品を掘り込むときにわたしに価格の打ちこまれたラベルを見せるんです。レジのそばまで行くと「それでいくら?」って聞かれます。30代になったら、自然にそういうことがなくなりました。第一回の根室市民珠算大会で、暗算部門だけ出場しました。高校生でしたが、他の種目は主催者側でしたので、出場できませんでした。選手宣誓と暗算部門のみ「選手」をやらせてもらいました。読み上げ算は、高橋珠算塾の高橋尚美先生と別の珠算塾(富士珠算塾っていったかな?)の板野邦夫さんと高校生のわたしの三人で交代で読み上げました。10ケタの見取り算を高速で正確に読まないといけないので、スキルのある大人が足りなかったからでした。全珠連の全道の集まりには、高2のときに高橋先生に誘われて一緒に行きました。頼まれて半年だけ塾長代行をしたことがあったので、ご褒美だったのでしょう。会場は帯広だったかな、十勝川温泉で宿泊しました、混浴でした。(笑)


(4)  The next day, when he came back to his hotel room, he was so surprised to find a completely new set of soap.
 これも先頭に副詞句が置かれた「Adv,S+V+Adv.」の文です。文頭の方のAdv.は「指定ルール:指定は前に置く」ですよ、後ろに続く文全体を「米国へ到着した翌日のこと」と指定しています。to find以下は驚きの理由の説明です。「説明ルール:説明は後ろに置く」ということ。
 二日目、ホテルの自分の部屋に戻ってきたカヤンゴはまた新しい石鹸が3個あるのを見つけて驚きます。
 なぜ驚いたのでしょうね、そこが面白いところです。

(5)  On the third night, he got upset when he ralized that his bathroom was supplied with new soap bars every day even though they were only slightly used.
 これも「Adv.+S+V+Adv.」の文です。「指定ルール:指定は前に置く」、三日目の夜のことだと、文頭であらかじめ指定しています。
 ウガンダから米国のホテルに着いて三日目の夜のことです、バスルームにまた新しい石鹸が置かれています。ほんのわずか使っただけなのに、全部新しいものになっていました。
 they=the soap barsです。
 (3)でconfuseを使ったので、今度はgot upsetと言い換えています。

(6)  He rushed to the concierge with the soap bars he had kept for himself.
 慌ててコンシェルジュ(フロントの接客係)のところへ、自分用にととっておいた石鹸をもって行きました。
 he had kept となっています、過去完了ですね。慌ててフロントへ行く前に、石鹸をカバンにしまったのですから、過去完了となります。英作文問題として眺めたら楽しい。和訳から、英作文したらいいのです。
 さて、コヤンゴさんは何個の石鹸をコンシェルジュへもっていったのでしょう?
 初日の2個、二日目の2個で合わせて4個を返却するためにもって行ったのです。

(7)  He tried to return the bars to the staff, asking, "Please do not chrge me extra for these."
 カヤンゴさんはフロントの人にとっておいた石鹸を戻そうとしました。返すので石鹸の追加料金を課さないでくださいとお願いしたのです。

 ここまでが第1段落で、次の文から第2段落となります。
(8)  He was surprised to know the soap was free for guests and that even barely used bars usually ended up in landfills.
 カヤンゴさんはその石鹸が宿泊客にはタダであると知ってびっくりします。ほとんど使われない石鹸ですら、結局ゴミとなって埋めてしまわれます。ウガンダではそんなもったいないことはしないのです。
 barlyは「ほどんど~しない」ですが、同じ意味の単語にhardlyがあります。頻度の副詞にはseldom「まったに~しない」というのもあります、どれも否定の意味ですので注意しましょう。
 surpriseは「驚かす」ですから、was surprisedで「驚かされる⇒驚く」ですよ。

(9)  Dicarding millions of soap bars on a daily basis is something /any Ugandan could hardly imagine.
 主語が長い!
 「毎日数百万個の石鹸を棄てることは何かだ/ウガンダ人ならだれも想像できない」 
 説明ルール「説明は後ろに置く」に従って、somethingの後ろにその説明が置かれています。somethingの後ろに「that is」が省略されており、関係節修飾だと考えていい。簡単でしょ?
「毎日数百万個の石鹸を棄てるなんてことは、ウガンダ人には想像もできないことなのです」

(10)  It was then that he hit upon an idea: "What if we recycled the discarded bars of soap into new bars for those who couldn't afford them."
 強調構文ですね。分裂文とも言います。
「そのときだった/デレックがあるアイデアを思い付いた:棄てられた石鹸をリサイクルして新しい石鹸にしたらどうなる?/石鹸を買う余裕のない人たちのために」
 この文を読んで、売り手よし、買い手よし、世間よしの三方よしという日本の伝統的な商道徳を思い出しました。

 これで第2段落が終わりです。次から第3段落です。

(11)  Derrec, a Ugandan war refugee, is familiar with the harsh realities that arise from poverty.
 ウガンダで生まれ育ったデレックさんは、貧困が引き起こす厳しい現実を知っています。

(12)  For him, collecting soap is "a first line of defense" mission in reducing child mortality around the  world.
 これも文頭の副詞句、「Adv.+S+v+C+Adv.」というタイプの文ですね。大西泰斗先生流にいうと「指定ルール:指定は前に置く」ということ。
 デレックさんにとっては、石鹸を集めることは世界中の子どもの死者数(あるいは死亡率)を減らす「最初の防衛ライン」なのです。
 GINIUS第5版を引くと、motalityは②に「死亡率」という訳語が書いてありますから、「死亡率を減らす」でもいいかもしれません。英英辞典CALDを引くと、mortalityは「死亡者数」となっており、死亡率は「mortality rate」です。

 mortality /mɔːˈtæl.ə.ti/ /mɔːrˈtæl.ə.t ̬i/ noun [ U ] formal
1. the way that people do not live forever
Her death made him more aware of his own mortality.
Compare immortality
2. the number of deaths within a particular society and within a particular period of time
the mortality rate
Infant mortality is much higher in the poorest areas of the city. 

(13)  Sicknesses related to the lack of access to basic sanitation /often spred in poor regions,/ and in fact, more than two million children die /each year.
 主語の長い文ですね。主語と動詞だけを抜くと、「病気はしばしば貧乏な地域で広がります」、spreadが現在形であることに注意しましょう。この文は一般的な真理を述べているのです。
「基礎的公衆衛生が整備されていないことによる病気は、しばしば貧困な地域で広がります。実際に(そうした地域で)200万人以上の子どもが毎年亡くなっています。」
 「基礎的公衆衛生」とは上下水道のことです。戦後のことですが、厚岸では赤痢が蔓延しました。井戸水が汚染されたからです。汲み取り式のトイレが、井戸のそばにあると、赤痢菌が地下水を汚染し、赤痢が蔓延してしまいます。ある医師がそこに気がつき、公衆衛生の整備を提言します。水道が整備されて赤痢の蔓延は収まりました。上下水道の整備は感染症を防ぐ有力な武器なのです。

(14)  These deaths occor almost exclusively among small children living in low-income countries.
 「これらの死は低所得の国で生活する小さな子どもたちの間でもっぱら生じています。」
 exclusiveという単語は「排他的」ということです。排他的経済水域のEEZはExclusive Economic Zoneの略です。
 総代理店契約にも使われますね。the exclusive agency contractといいます。海外メーカーと契約するときに、日本国内ではその代理店を通してしか販売ない場合には、総代理店契約を締結します。わたしが6年間仕事した産業用エレクトロニクス専門輸入商社は欧米50社と総代理店契約を結んでいました。管理部にいてシステム開発や経営分析、経営改善をしていたときに、全部の取引先の代理店契約書を閲覧できました。あれは社長の関周さんに「全部目を通しておいてください」って言われたんだったかな。社長秘書と私以外には見れなかった。重要機密書類でしたから。オシロクォーツ、WJ、Wiltronなど。元々はHP社の日本総代理店として起業した会社です。創業者がスタンフォード大出身で、HP社の創業者の二人、ヒューレットとパッカードとは同じ授業を受けた友人でしたから。



 これくらいにしておきます。今日はリテンションを何度もやってみたので、予定したところまで進めませんでした。二人でやるリテンションのトレーニングの仕方を伝えたので、この二人、半年後には英作文能力がグーンと上がりますよ。文の組み立てが頭の中で次々とできるようになります。
 音読トレーニングで、もう1年と2年生の教科書は終わりました、3年生の教科書も半分終わっています。いままで読んだ教科書で、北大現役合格目指す同級生数人でリテンショントレーニングしてください。きっと楽しいはず



にほんブログ村

日本語は天才である (新潮文庫)

日本語は天才である (新潮文庫)

  • 作者: 尚紀, 柳瀬
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2009/09/29
  • メディア: 文庫

nice!(0)  コメント(0) 

#4838 Lesson 3 : 分詞構文ではない~ing句  Oct. 1, 2022 [49.2 PROMINENCE Ⅲ]

 今日(10/1)は土曜日、高1年生のための英語音読トレーニングの日です。
 高校3年生の教科書PROMINENCEⅢの3回目で、Lesson3である。この教科書は東京書籍から出版されている英語の教科書で最上位のもの。いままで根室高校は3年生の教科賞にはVIVIDⅢを使っていた。ワード数は5000前後だが、PROMINENCEⅢは12857もある。文章も3行のものが多く、複雑で、進学校用の教科書のようです。偏差値55以上の高校で使うような教科書かな。7割以上の生徒はついていけないでしょう。でも、国公立大への合格者を増やしたいなら、適切な選択です。
 いままで根室高校ではこんなワード数の多い教科書は使ったことがありません。3年生はもう10章あたりをやっているようです。全部で16章あります。
 生徒たちが手間取ったあたりを中心にピックアップします。

 宝くじを買った人(シャロン・ダンカン)が、外れ籤だと勘違いして棄ててしまいました。その棄てられた籤を、外れ籤専用ゴミ箱から拾ってスキャナーで読み込んだら当たり籤であることがわかり、百万ドルの賞金を手のしたのがシャロン・ジョンズです。コンビニ店長のリサ・ペトリッチャズがいったんお店の専用ゴミ箱に捨てられたのだから、自分のものだと民事裁判で主張します。面倒な裁判になったようです。

(1)  Sharon Jones was at a convenience store in July, 2011 in Beebe, Arkansas, when she went to the shop's special trash can put out for customers to throw away non-winning lottery tickets.

①she went to the shop's special trash can.
②it was put out for customers to throw away non-winning lottery tickets. 
③She went to the shop's special trash can [which was] put out for customers to throw away non-winning lottery tickets.

①「シャロン・ジョーンズがそのコンビニの外れ籤(くじ)専用ゴミ箱のところへ行った」
②「そのゴミ箱は、お客様が外れ籤を棄てられるように店の外側に置かれていた」
 これらの二つの文が、関係節でつなげられたのが③の文(関係節修飾の文)で、「主格の関係代名詞+be動詞」が消去変形されたのが本文の文です。when以下の節は2011年6月に何が起きたのかを説明しています。
 こういう後置修飾句は、元の基底文に分解して、2文に書き直せば意味が簡単に取れます。

 分詞構文ではない、~ing句を紹介します。
(2) A month after Jones collected her check, Petriches took legal action against her, claiming the winning ticket was hers.

① A month after Jones collected her check. 
② Pertriches took legal action against her.
③ she claimed the winning ticket was hers.
④ Pertiches took legal action aginst her, [and she] claimed the winning ticket was hers 
 
  collected the checkは小切手の仕組みを知らないと、意味がピンときません。小切手見たことのある人は3人の内、一人だけでした。
 当座預金口座(利息が付かない)を開設すると、小切手帳を銀行が渡してくれます。昔は1500円くらいでした。30枚くらいセットになっています。長方形の紙の左1/4クリアのところにミシン目が入っています。小切手画像を貼り付けるのでご覧ください。

 ネットで検索してみたら、2020年4月以前は1冊50枚綴りの小切手帳は2200円、4月以降は11000円に値上がりしてました。驚き桃の木山椒の木です。それだけ銀行の経営が苦しいということです。銀行はとっくに優良な就職先ではなくなったようですね。

 日本だと第一勧業銀行が宝くじの発行をしていましたから、当たり籤を第一勧業銀行へもっていくと引き換えに銀行振出小切手を渡してくれます。現金にしたければ、自分が口座を持っている銀行の窓口へもっていくと、現金化してくれます。だから、この「collected the check」は自分の取引口座のある銀行窓口へ行って、「銀行振出小切手を現金化した」という意味です。
 ②と③の二つの文をandでつなげたのが、④の文です。④の文の[and she]を省略して動詞claimedをclaimingにして句にしたのが、本文の文です。節構造から句構造に書き換えただけで、受験参考書に出てくる「分詞構文」とは違います。分詞句は、論理的な順序や生起の時間的順序に従って並べられるので、順序を逆にはできません。順序を無視して書き換えた例を挙げている受験参考書がありますが間違いです。意味が違ってきます。
  やってみます。
 Claiming the winning ticket was hers, Parriches took legal action aginst her.
 「当選籤は自分のものだと主張したので、ペトリチェズはシャロン・ジョーンズに法的措置をとった。」
 比べてみます。
 「ペトリチェズはシャロンジョーンズに法的措置を取り、そして当選籤は自分のものだと主張した。」
 意味がまるで違ってくるだけでなく、入れ替えると、意味不明な文章になります。事実関係が逆になっていますからね。

  ところで、take legal actionとは「法的措置をとる」で「起訴する」と訳してはいけません。起訴とは、刑事訴訟の場合でして、検察官が起訴します。この宝籤に関わる裁判は民事訴訟ですから、「起訴」はありません。民事事件では原告と被告がいます。訴えを起こした側を原告と言い、訴えを起こされた側を被告と言います。「民事訴訟を起こした」ぐらいがいいでしょう。
 和訳する場合には、こういう専門用語についてある程度の日本語と英語の専門知識が必要になります。
 学校の英語の授業ではこういう説明がほとんどなされていないのではないかと心配になります。こういうトピックスは、社会科の先生が担当して英語を教えたほうがいいのかもしれません。

 大学3年次の時に、前日の英字新聞社説を取り上げた外書購読授業がありました。為替が固定相場制から変動相場制に変わって、経済記事が盛んに新聞の社説に載っていましたが、講師の先生は毎週誤訳だらけでした。専門用語を知らなかったのです。たとえば、foreign exchange rateを「外国交換比率」と訳して、誤訳にまったく気がつきませんでした。「先生!外国交換比率って何ですか?」、「...」。「外国為替相場」、これ経済用語ですから、知らなきゃ訳せません。辞書引いて、foreign=「外国」、exchange=「交換」、rate=「比率」、そのままぺたぺた貼り付けただけ、思考停止してました。1年間お気の毒でした。

 訳を書いておきます。
 「当たり籤を専用ゴミ箱から拾ったシャロン・ジョーンズが小切手を現金化した後すぐに、コンビニの店長のペトリチャズが民事訴訟を起こし、当たり籤は自分のものだと申し立てたのです」

<余談弁護士数の日米比較>
 米国 132.8万人 (人口3億3480万人)
 日本  4.2万人 (人口1億2560万人)
 米国の弁護士数は日本の31.5倍です。人口は2.7倍ですから、人口比で調節すると約12倍の弁護士が米国にいることになります。人口10万人当たり33.4人日本には弁護士がいます。根室の人口は2.4万人ですから、8人という数字が出ますが、実際には2人のみ。米国は人口10万人当たり397人も弁護士がいます。根室のサイズなら50人も弁護士が開業しているということ。訴訟がやたら多い社会であることがわかります 
 人口データは2022年の推計値、弁護士数は2020年度のデータです。


にほんブログ村

nice!(0)  コメント(2) 

#4831 Lesson : 'a world'の深い意味 Sep. 24,2022 [49.2 PROMINENCE Ⅲ]

<最終更新情報>9/25午前5時10分:不定冠詞aの一般的な説明追記
 ●9/25午前9時 潜在意識の使い方と21世紀の経済学に言及
 

 高校1年生対象の英語音読授業に高3の教科書『ProminenceⅢ』を使っています。1&2年の教科書はすでに消化してしまっています。今日は『ProminenceⅢ』の2回目で、Lesson2です。読んでから、語順通りにチャンク単位で日本語にしてもらいました。
(ワード数:483ワード、章単位で見ると480-700ワードの範囲のようです)

  有名企業の取締役として、日夜超多忙なジョンが3週間の休暇を取り、招待されて出かけたネパールの僻遠の村の学校図書室には、観光客が置いていったわずかばかりの子供向けではない本があるばかりでした。

They(=books) were considered so precious that they were kept under lock and key to protect them from children.  John wondered, "How could this be happening in a world with such an abundance of material good?"  This was extremely shocking to John, who had grown up with a great love for books since childhood. 
 lock and key:錠前と鍵

  ここでわたしからの生徒4人への質問です。
「the world ではなくて、なぜ a worldと著者は書いたのでしょう?」
それが具体的につかまえられていなければ、書いた人が何を言いたいのかわからないのです。それくらい重要なaなんです。
 「商品が溢れている世界」ですから、筆者は商品が溢れていない世界と対置して、商品が潤沢にある世界を考えているのです。例えば、中世のヨーロッパ世界です。中世のヨーロッパには商品が潤沢ではありませんでした。本はラテン語で書かれていました。僧侶や貴族しか読めません。ふつうの子どもがラテン語の本を読むなんてことはありえない世界でした。ドイツ語ですら、書かれたものはマルティン・ルター(1483-1546年)の聖書のドイツ語訳が初めてのものでした。

 「商品が溢れるような世界なのに、子どもたちの読む本すら学校図書室には存在しないなんてことが、どのようにして生じているのかと不思議に思った」のです。大好きな本を読みながら育ったジョンにとっては、とてもショックなことだったのです。
 一晩寝たら、潜在意識が訳を思いついてくれたので紹介します。
「NGO活動が拡大普及した地域の子どもたちにはなんと大きな変化をとげつつあるのか、それは先ほど挙げた三つの数字でわかろうというもの」

 数学の問題でも、しばらく考えても解けないときは、寝るのが一番いい。眠ると潜在意識が優勢になります。たぶん、交感神経の興奮が収まって副交感神経が優勢になり、起きているときに脳へ刻んだ問題が、どろどろに溶かされ、脳の潜在意識のデータと一体化してしまいます。そこで潜在意識が必要な情報を突飛もないセンサーで結びつけて、再構築してくれるようなのです。中学1年生のころからそういうことを繰り返していました。根室高校へ入学してから、中央経済社から出版された公認会計士2次試験講座を読み、答案練習を繰り返すときにも、盛んにそんなことをやっていました。とくに経済学の学習に必要でした。近代経済学ばかりでなく、マルクス資本論も読みました。当時の公認会計士2次試験科目は、簿記論、会計学、原価計算論、監査論、商法、経済学、経営学の7科目ありました。
 潜在意識が利用できるようになると、思考の深さがまるで違います。先入見を全部外せるところがとてつもなく強力なのです。『資本論』の体系構成の方法とユークリッド『原論』の体系構成の方法の相動性に気がつくなんて、起きているときの脳では無理でした。だから世界中の経済学者は一人もその事実に気がついていません。マルクスは数学音痴だったということがわかって、遺稿である『数学手稿』をみたら、マルクスは微分の無限小すら理解できぬ数学音痴で会ったことがわかったのです。転職を繰り返して、いくつかの上場企業や、上場の準備段階の企業で業種を変えて働いた経験が、さらに潜在意識で溶かされて、新たな経済学を立ち上げるには、公理を「工場労働」から「職人仕事」に置き換えたらよいことがわかりました。行き詰まっている西洋の経済学とは公理を異にする、21世紀の経済学の誕生です。世界中の経済学者が誰も見たことのない世界です。創り上げるのは若い人たち。お手本はない、公理があるだけです。レーニンも毛沢東も手痛い失敗をしていますが、まやかしの共産主義とは違った、あたらしい経済学が確かにあります。若い人たちに期待しています。

 一般論で"a"の解説をしておきます。わたしが不定冠詞のaを思い浮かべるときは、細胞を考えています。細胞には内側と外側が区別されています。細胞膜で隔たっています。細胞がたくさんあるのを想像して、その中の一つをひょいとつまみ上げる感覚です。だから、"a world"と書いてあったら、そうラベリングされたいくつかの細胞が脳裏に浮かびます。この場合のイメージは「モノがあふれている21世紀の世界」で「明治時代」とも「江戸時代」とも「戦国時代」とも違います。「室町時代」⇒「鎌倉時代」⇒「平安時代」⇒「奈良時代」⇒「古墳時代」⇒「弥生時代」⇒「縄文時代」⇒...とさまざまなラベリングされた細胞が並んでいるのが見えます。そうした世界が個々独立した粒々のように感じられます。
 不定冠詞aが出てきたら、細胞を想像して、書き手が何を言いたいのか具体的に考えてみてください。

<具体例waterでの解説>
 There are two waters around Kunashiri island.
 waterは物質名詞ですから、複数形はないはず、そうですよ。でも a water, waters, the water, the watersもあるのです。「水域」という意味の場合です。「国後島周辺には二つの水域があります」、A水域とB水域です。ロシアとの協定で、入漁料を支払って安全操業できる水域が定められています。

<目的語が文頭に置かれた節構造>
 もうひとつ、こちらは構文がちょっと複雑なものがありましたので、紹介します。ひとりKYさんがちゃんと見抜いていました。いいえ、彼女は空気は読めます。(笑)

  From a small start --- just a simple e-mail requesting used book donations --- Room to Read has grown into a well-kown nonprofit organization.  It has established over 14,000 libraries, distributed over eleven million books, and built more than 1,500 schools improving the lives of over six million children in Asia and Africa.  These figures are updated regularly and show what a big differnce those involved are actually making.

  本を寄付してほしいというささいなe-mail、そんな小さなことから始まりました。「読書室」という名称の非営利組織は拡大を続けて有名になりました。14000を超える図書室を開設し、1100万冊以上の本を運び、そのうえ1500もの学校を建てたのです。その学校がアジアやアフリカの600万人もの子どもたちの人生によい変化を起こしています。

 太字の部分の主語はthose(=children)なのです。what以下の句はmakeの目的語で、それが強調のために前置されただけなのです。通常語順に書き直してみます。

 These figures show those involved are actually making what a big difference.
「これらの数字を見ると、アジアやアフリカの子どもたちが非営利団体である「読書室」の活動の影響下に入れられることで、(そうではなかった以前の状態に比べて)大きな違いが生じていることが明らかです」
 感嘆文の構造になっていますが、日本語にしづらいですね。「なんと大きな違いが生じているのでしょうか」なんて文では日本語としてつながりません。プロの翻訳者ならここをどう料理するのでしょう。コンパクトな日本語に置き換えるというのは至難の業ですね。

 元の文を語順通りに訳してみると、
 「これらの数字はなんと大きな違いを表していることか/アジアやアフリカの子どもたちが(「読書室」の活動に)包摂されている大きな違い/実際に(大きな違いが)生じている」
 このように、語順通りにチャンクを理解したのでは、文意がつかまえきれません。そういう文もあるということです。makingの後に空所□があり、what以下がmakingの目的語になっていると見抜いたのは一人だけだったのも無理のないことです。半年後には全員がこういう文をスラスラ読んでいることを期待しています。

 読み書きが子どものころからできるようになるのとそうではないのでは、人生に大きな違いの生ずることはモノの道理です。


<人生の選択>
 有名企業の役員を辞して、海のものとも山のものともつかぬ未知の領域にジョン・ウッドは足を踏み入れました。そうした彼の行動は彼女の理解をえられず、別れることになります。お金や地位に弱い女性が多いのも当たり前のことです。誰もがいい暮らしをしたい。明日が見えない生活を共にしようなんて女性は滅多に現れません。また、未知の領域に足を踏み入れて、成功する男も稀です。
 

 そこで、4人の女子高生に、「あなたがジョン・ウッドの恋人なら、どういう選択をしますか?」と尋ねてみました。
 ●「ついていきます」
 ●「別れます」
 ●「将来性の見込める男なら一緒に苦労してもいいな」
 ●「彼氏はいないだろうから私は関係なし」
 予想通りに判断は別れました、各人各様、それでいい。いまはそう思っているということ。
 あ、今日は3年生が一人参加していましたから、メンバーが4人です。


にほんブログ村


nice!(0)  コメント(0) 
- | 次の10件 49.2 PROMINENCE Ⅲ ブログトップ