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#4842 Lesson 4 :文頭の副詞相当語句の多い教科書:「現実的」とはどういうことか? Oct. 8, 2022 [49.2 PROMINENCE Ⅲ]

<最終更新情報>10/9午後7時:howの疑問文と感嘆文について説明を追記
 10/9午後10時40分 編集及び追記作業済
 10/10午前9時:文法工程指数とその観点からの解説を追記(重要!)

 前回に続いて、PROMINENCEⅢ、Lesson4の2回目です。41頁にある文を見ると、11文中5文が副詞相当語句が文頭に来ています。Oさん最初のうちは戸惑っていましたが、これだけ頻出すると慣れてきました。
 今日もリテンション・トレーニングをしました。若い人たちはとっても順応性が高いのです。学校の放課後あるいは休み時間に、数分間でいいから、チャンクを意識しながら数人でやってみたらいい。

 文頭の副詞節でなおかつ長い文があったので、生徒に文のつながりを質問してみました。
(1)  When Derreck improves sanitation in poor regions, teaching people the importance of basic hand washing, he often withnesses tears of deep appriciation well up in their eyes.

*well up:こんこんと湧き出る

 この文はシンプルセンテンスに書き換えると4文になります。分詞構文は句構造ですから、節構造が圧縮されたものです。だから意味をつかむのがむずかしいのは当たり前です。二つの節と一つの句から構成された文ですが、第1節と第2句と第3節をどのようにつなぐのかという問題があります。第2節は分詞構文であり、時、原因・理由、付帯状況、動作や出来事の継起、譲歩と、いろいろあって、どれを採るかは文脈依存ですから、文脈を読まなければいけません。さて、生徒は何を選択するのでしょう?
 それぞれの節を並べてみます。
1st:「デレックが貧困地域で保健衛生を改善するとき」
2nd:「人々に手洗いの重要性を教える...」
3rd:「彼は眼から滾々とながれ落ちる感謝の涙を見ることが多かった」

 第1節が「~するとき」とあれば、第2節を「~するとき」とは訳せませんね、日本語表現として稚拙に聞こえます。出来事の継起を現していると取るのが素直です。
「デレックが貧困地帯で保健衛生を改善しているときに、手洗いに重要性を伝えると、人々の眼から滾々と流れ落ちる感謝の涙を見ることが少なくなかった」
 tears以下はwithenessesの目的語であることに注意!that節内は第1文型なのです。
 he often withnesses [that] tears of deep appreciation well up in their eyes
 (彼はしばしば目撃している/貧困地域の人々の眼に感謝の涙が滾々とあふれ出るのを) 

 長い主語は関係代名詞節修飾部分を[]で囲め!
(2) The bar of soap [you used once or twice during your last stay] might now be helping children fight diseasese in developing countries.

 基底文(simple sentence)に分解すると、この文は4つになります。主語に関係代名詞節修飾文が組み込まれているのと、動詞句に原形不定詞句が踏み込まれています。4つの文ということは、動詞が4つから構成されているということ。こういう文に遭遇すると英語の学力の高い生徒でも戸惑います。文法知識もフル動員して考える必要があります。生成文法的に言うと、文法工程指数の高い文です。つまり難解だということ。

 処理の仕方から説明しましょう。長い主語を[]で囲んでしまうと途端に文章はシンプルに見えます。
「石鹸は発展途上国で病気と闘う子どもたちの役に立つかもしれないのです。」
 「説明ルール:説明は後ろに置く」が適用され、石鹸の説明が関係代名詞節で追っかけ説明されています。
「最近あなたたちがホテルに泊まったときに一度か二度使った」
ふたつつなげて、
「最近あなたたちが泊まった時に1度か2度使った石鹸が開発途上国で病気と闘っている子どもたちの役に立っているかもしれないのです」
 こんなことする必要はありませんよ(笑)語順通りに読みましょう、チャンクごとのスラッシュリーディングをすれば、ずっと速度アップできます。
「石鹸/あなたたちが一度か二度使った/ホテルに滞在しているときに/病気と闘う子どもたちの役に立つかもしれない/開発途上国の」
 これでいいのです。

(3)  And it all strated with one man who has shown that every single day you have the opportunity to make life a little bit better tha it was before.

 シンプルセンテンスに書き換えると5文になります。文法工程指数が高いので、ちょっと複雑です。3年生用の難易度の低い別の教科書、VIVIDⅢではこういう文は出てきません。
 これは当たった人がすんなり訳していたと思いますが、予習に四苦八苦したはず。文章が長いとどこにスラッシュを入れて読んだらいいのかすら迷いますね。スラッシュ入れ語順通りの訳を書いてみます。

  And it all strated with one man /who has shown that /every single day /you have the opportunity /to make life a little bit better /than it was before.

 that節の中身を見ると、副詞句'every single day'が指定ルールで前の方へ移動していますから、訳すときは要注意ですね。この操作も文法工程指数としてカウントされます。文頭副詞句が節の中で行われているということ。凝った文ですね。
 接続詞の'and it'は前の文を受けて「だからこういうことになる」との論理的な関係を示唆しています。こういうandは中学校の教科書には出てきません。並列の接続詞あるいは順接の接続詞として説明されるだけです。
「そしてそれは一人の男で始まった/that以下を明らかにした男/どの一日も/あなたたちが機会をもつ/人生をちょっとだけよくする/昨日よりも」
 2番目の節はone manの説明です。「説明ルール:説明は後ろに置く」でしたね。to make以下は第Ⅴ文型です。「人生をより良いものにする」ということ。'the oppotunity'を修飾しているので、'to make life a little bit better than before'はto不定詞の形容詞的用法ですが、to不定詞は「説明ルール」の適用ですよ。'the opptunity'と言い切って、追っかけてどんな「機会」なのか説明を入れたというだけ。

「どの一日だって、人は昨日よりも今日、人生をより良いものにしうるのだということをやって見せてくれた一人の男がすべての始まりだった」

 こんなことしなくても、とりあえず、語順通りにチャンク(意味のカタマリ)ごとに読み下していかばいいのです。

 次はLesson5”Question Authority!”です。これは命令文で、Questionは動詞ですから「権威を疑え!」ということ。アメリカの文化ですね。フランスもこの点では同じ文化ですがドイツはちょっと違いますね。フランスに比べると規律重視の国です。「日本はどうかな?」なんて考えながら読みましょう。
 p.46は副詞相当語句が文頭に来るのは17文の内、5文でした。やはり多いですね。
 第一段落と第二段落は英文を紹介しておいた方がよさそうですね。それから、問題の箇所を取りあげます。

1.  I order of my classes, I teach Amy Tan's novel, The Joy Luck Club.  It is about four Chinese mothers and their American born daughters.  They often misunderstand each other because of a huge culture gap between them.  Though they live in America, the mothers are still very Chenese, and the daughters, who have never even been tp China, are very American.
's reply: ""
2.  At one point in the novel, an angry mother shout at her daughter, "Only two kkinds of daughters ....  Those who are obedient and those who follow their own mind!  Only one child of daughter can live in this house.  Obedient daughter!"  The daughter's reply : "Then I wish I wasn't your daughter.  I wish you weren't my mother."  Obdience to parents comes up again and again in the novel as traditional Chinese value.  And daughters, just as often absolutelyrefuse to obey their parents.

 それでその次の文がこれ。
(4)  I am always struk by how realistic these American daughters seem.

 これはシンプルセンテンスに書き換えるとたった2文ですが、手ごわい。組み込まれた節が感嘆文なのか、疑問詞説の文なのかの文の型からは判断がつかないので、文脈に依存した判定が必要だからです。

 話題は米国へ移民した中国人の4人の母親と米国で生まれたその娘たちの文化摩擦です。中国はいまも儒教社会ですから、親に孝です。両親の言うことには服従します。口答えなんてとんでもない。ところが、米国で生まれ育った娘たちは、生まれたときから米国の文化の中で育ちますから、自分の内なる声に従って行動します。親に不服従となるわけです。

 how以下は感嘆文ですが、少し説明が必要ですね。
① How realistic do these Amerikan daughters seem?
 (アメリカ生まれの中国系2世の娘たちはどの程度現実的ですかね?)
② How realistic these American daughters seem!
 (アメリカ生まれの中国系2世の娘たちはなんと現実的であることか!)
③ I don't know how realistic these American daughters seem?
 (アメリカ生まれの中国系2世がどの程度現実的であるのか、わたしにはわからない)
 ①の疑問文が間接疑問文になると、②と同じように「C+S+V]の語順となってしまうので、形の上からは判別がつかない、文脈依存で判断すればいいということ。

「米国生まれの中国系2世である娘たちはとても現実であるように見え、わたしはそうしたことをいつも好ましく感じている」
 訳文は何通りもありうる。自分の語彙と日本語表現のセンスで文字通り「千差万別」と言っても差し支えないだろう。
「米国生まれの中国系2世の娘たちのなんと現実的であることよとわたしはつい感心してしまう」
「米国生まれの中国系2世の娘は親たちとは違って中国の家父長的な価値観にとらわれておらず、普通の米国の娘たちと同じく権威を疑うという価値観を共有し、行動しているのである。そういう姿を見るたびにわたしは感心してしまう。」
 好きに訳していい。そして受験で長文を読むときは、こんな読み方は時間がかかるので絶対にしないこと。でもたまには、書いてあることの奥深くを覗いてみる必要はあるのです。

 「筆者にはなにが現実的に思えるのでしょう?」、生徒に尋ねてみました。4人の議論が始まりました。

 彼女たちの話をまとめると、つぎのようなことらしいです。
 米国生まれの中国人の2世の娘たち their American born daughters は rebellious(反抗的)でdisobedience(不服従)、権威やルールには従わない、わがままな性格に育ちました。それは米国生まれの子どもたちに共通の価値観です。彼女たちにとっては、中国の価値観に属する「親に服従する」とか「権威に従う」という家父長的な価値観はありえない「非現実的」なものなのです。2世が生まれたのは中国ではなくて米国なのですから、だから、中国人2世たちは、反抗的かつ不服従で、自分の心の命ずるままに行動するのです。そうした価値観を米国の子どもたちと共有しているところが「現実的」だということ。中国の家父長的な価値観は2世にはないのです。

 こういう議論や対話を通して、英文の読み方がより具体的で深いものになります。そのうえ、対話を重ねることでコミュニケーション力がつくというおまけもあります。社会人となってからは、IQの高さよりも、EQ、中でもコミュニケーション能力の高さがモノを言います。高校生のうちから機会を見つけて鍛えましょう。

 4人の議論は聞いていて愉しいものでしたが、読者のみなさんもお楽しみいただけましたか?

(p.41~46まで)

<余談:授業速度と生徒のポテンシャル>
 実は成績上位生複数人相手に、実験してデータをとっているのです。
 塾で「週2回×2時間」の授業をやると假定すると、月に8回ですから、根室高校1年生の英語の成績上位10名は、3か月あればこの三年生用の教科書PROMINENCEⅢは3か月で読み終われます。週1回、2時間授業なら半年で終わります。上位10%の生徒はそうした大きなポテンシャルをもっているということです。
 これなら「みんなの大学情報」偏差値57.5の北大くらいなら、毎年5~10人現役合格したって不思議じゃありません。
 何十年たっても生徒たちのポテンシャルが引き出せていないのはなぜでしょうね?どこかに理由があるはずです。

 文頭副詞句を題材に思考の仕方を書いておきましたので、今日にのある人は青字のところをクリックしてください。
*「#4843」



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