SSブログ

#4838 Lesson 3 : 分詞構文ではない~ing句  Oct. 1, 2022 [49.2 PROMINENCE Ⅲ]

 今日(10/1)は土曜日、高1年生のための英語音読トレーニングの日です。
 高校3年生の教科書PROMINENCEⅢの3回目で、Lesson3である。この教科書は東京書籍から出版されている英語の教科書で最上位のもの。いままで根室高校は3年生の教科賞にはVIVIDⅢを使っていた。ワード数は5000前後だが、PROMINENCEⅢは12857もある。文章も3行のものが多く、複雑で、進学校用の教科書のようです。偏差値55以上の高校で使うような教科書かな。7割以上の生徒はついていけないでしょう。でも、国公立大への合格者を増やしたいなら、適切な選択です。
 いままで根室高校ではこんなワード数の多い教科書は使ったことがありません。3年生はもう10章あたりをやっているようです。全部で16章あります。
 生徒たちが手間取ったあたりを中心にピックアップします。

 宝くじを買った人(シャロン・ダンカン)が、外れ籤だと勘違いして棄ててしまいました。その棄てられた籤を、外れ籤専用ゴミ箱から拾ってスキャナーで読み込んだら当たり籤であることがわかり、百万ドルの賞金を手のしたのがシャロン・ジョンズです。コンビニ店長のリサ・ペトリッチャズがいったんお店の専用ゴミ箱に捨てられたのだから、自分のものだと民事裁判で主張します。面倒な裁判になったようです。

(1)  Sharon Jones was at a convenience store in July, 2011 in Beebe, Arkansas, when she went to the shop's special trash can put out for customers to throw away non-winning lottery tickets.

①she went to the shop's special trash can.
②it was put out for customers to throw away non-winning lottery tickets. 
③She went to the shop's special trash can [which was] put out for customers to throw away non-winning lottery tickets.

①「シャロン・ジョーンズがそのコンビニの外れ籤(くじ)専用ゴミ箱のところへ行った」
②「そのゴミ箱は、お客様が外れ籤を棄てられるように店の外側に置かれていた」
 これらの二つの文が、関係節でつなげられたのが③の文(関係節修飾の文)で、「主格の関係代名詞+be動詞」が消去変形されたのが本文の文です。when以下の節は2011年6月に何が起きたのかを説明しています。
 こういう後置修飾句は、元の基底文に分解して、2文に書き直せば意味が簡単に取れます。

 分詞構文ではない、~ing句を紹介します。
(2) A month after Jones collected her check, Petriches took legal action against her, claiming the winning ticket was hers.

① A month after Jones collected her check. 
② Pertriches took legal action against her.
③ she claimed the winning ticket was hers.
④ Pertiches took legal action aginst her, [and she] claimed the winning ticket was hers 
 
  collected the checkは小切手の仕組みを知らないと、意味がピンときません。小切手見たことのある人は3人の内、一人だけでした。
 当座預金口座(利息が付かない)を開設すると、小切手帳を銀行が渡してくれます。昔は1500円くらいでした。30枚くらいセットになっています。長方形の紙の左1/4クリアのところにミシン目が入っています。小切手画像を貼り付けるのでご覧ください。

 ネットで検索してみたら、2020年4月以前は1冊50枚綴りの小切手帳は2200円、4月以降は11000円に値上がりしてました。驚き桃の木山椒の木です。それだけ銀行の経営が苦しいということです。銀行はとっくに優良な就職先ではなくなったようですね。

 日本だと第一勧業銀行が宝くじの発行をしていましたから、当たり籤を第一勧業銀行へもっていくと引き換えに銀行振出小切手を渡してくれます。現金にしたければ、自分が口座を持っている銀行の窓口へもっていくと、現金化してくれます。だから、この「collected the check」は自分の取引口座のある銀行窓口へ行って、「銀行振出小切手を現金化した」という意味です。
 ②と③の二つの文をandでつなげたのが、④の文です。④の文の[and she]を省略して動詞claimedをclaimingにして句にしたのが、本文の文です。節構造から句構造に書き換えただけで、受験参考書に出てくる「分詞構文」とは違います。分詞句は、論理的な順序や生起の時間的順序に従って並べられるので、順序を逆にはできません。順序を無視して書き換えた例を挙げている受験参考書がありますが間違いです。意味が違ってきます。
  やってみます。
 Claiming the winning ticket was hers, Parriches took legal action aginst her.
 「当選籤は自分のものだと主張したので、ペトリチェズはシャロン・ジョーンズに法的措置をとった。」
 比べてみます。
 「ペトリチェズはシャロンジョーンズに法的措置を取り、そして当選籤は自分のものだと主張した。」
 意味がまるで違ってくるだけでなく、入れ替えると、意味不明な文章になります。事実関係が逆になっていますからね。

  ところで、take legal actionとは「法的措置をとる」で「起訴する」と訳してはいけません。起訴とは、刑事訴訟の場合でして、検察官が起訴します。この宝籤に関わる裁判は民事訴訟ですから、「起訴」はありません。民事事件では原告と被告がいます。訴えを起こした側を原告と言い、訴えを起こされた側を被告と言います。「民事訴訟を起こした」ぐらいがいいでしょう。
 和訳する場合には、こういう専門用語についてある程度の日本語と英語の専門知識が必要になります。
 学校の英語の授業ではこういう説明がほとんどなされていないのではないかと心配になります。こういうトピックスは、社会科の先生が担当して英語を教えたほうがいいのかもしれません。

 大学3年次の時に、前日の英字新聞社説を取り上げた外書購読授業がありました。為替が固定相場制から変動相場制に変わって、経済記事が盛んに新聞の社説に載っていましたが、講師の先生は毎週誤訳だらけでした。専門用語を知らなかったのです。たとえば、foreign exchange rateを「外国交換比率」と訳して、誤訳にまったく気がつきませんでした。「先生!外国交換比率って何ですか?」、「...」。「外国為替相場」、これ経済用語ですから、知らなきゃ訳せません。辞書引いて、foreign=「外国」、exchange=「交換」、rate=「比率」、そのままぺたぺた貼り付けただけ、思考停止してました。1年間お気の毒でした。

 訳を書いておきます。
 「当たり籤を専用ゴミ箱から拾ったシャロン・ジョーンズが小切手を現金化した後すぐに、コンビニの店長のペトリチャズが民事訴訟を起こし、当たり籤は自分のものだと申し立てたのです」

<余談弁護士数の日米比較>
 米国 132.8万人 (人口3億3480万人)
 日本  4.2万人 (人口1億2560万人)
 米国の弁護士数は日本の31.5倍です。人口は2.7倍ですから、人口比で調節すると約12倍の弁護士が米国にいることになります。人口10万人当たり33.4人日本には弁護士がいます。根室の人口は2.4万人ですから、8人という数字が出ますが、実際には2人のみ。米国は人口10万人当たり397人も弁護士がいます。根室のサイズなら50人も弁護士が開業しているということ。訴訟がやたら多い社会であることがわかります 
 人口データは2022年の推計値、弁護士数は2020年度のデータです。


にほんブログ村

nice!(0)  コメント(2) 

nice! 0

コメント 2

元 後志のおじさん

リスニングガイド、反応は前回のと違い淡々としたものだったと思います。まずは「合格する」ことを最優先にするとあんな感じになります。英語ばっかりやっている訳にはいきませんし。

共通テスト過去問+ラジオ英会話で1,500円位。少しでも早くスタートするよう念押しお願いします。

リスニングに慣れてくると読む時に後戻りしなくなってくる副次効果もあります。

真剣にやっていると「頭がフラフラ」してきますが、脳内に新たな配線ができている症状なので喜んでいい。がんばって毎日やってもらいたいです。


これから引越作業のピークになりますね。お身体に気をつけてください!

by 元 後志のおじさん (2022-10-03 09:34) 

ebisu

元 後志のおじさん

リスニングに使う教材を共通テスト過去問に絞り込むというのは実践的なアイデアですね。
一日24時間しかありませんから。
女子は数学が苦手ですから、そちらへの時間配分もしないといけないし、古典の助動詞の活用も繰り返し口に出すトレーニングを積まないといけません。
「共通テスト過去問+ラジオ英会話」、念押ししておきます。
ラジオ英会話については、メール配信英作文でずいぶん慣れてきたでしょうから、相乗効果が期待できそうです。

by ebisu (2022-10-03 10:03) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。