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#2873 根室の中学生の学力の現状(5):C中学校1年 Nov. 19, 2014 [63. チャレンジ(教育)]

  C中学校1年生の学年平均点が異常に低いことは、#2871で小学校時代の学級崩壊に原因がありそうだと詳細に述べたので、今回はデータの補足をしようと思う。

 11月7日に実施した文協学力テストと、8月27日の文協学力テストデータを並べて推移を観察しよう。

  国語社会数学理科英語合計
8月27日53.037.533.241.257.5222.4
11月7日58.133.730.744.749.7216.9

 8月学テの数学は正負の数と文字式までだったかな、11月は方程式の計算と方程式の文章題が入っていたから、もっと平均点が下がっても不思議ではないのだが、2.5点のダウンですんだところを見ると、計算問題の底上げが少しはなされいると見ていいのだろう。

 英語は8月のテストはまだほとんどお遊びの範囲だから、11月学テから「三単現のS」やWH疑問文とYes-N0疑問文などの文法事項が出てきて、急に難易度が上がってくるから、7.8のダウンは予定通りだろう。


  11月7日学力テスト8月27日学力テスト
階級値1年生小計1年生小計
481-5000  0  
461-4800  0  
441-4600  0  
421-4400  2  
401-420447.5135.7
381-4000  3  
361-3803  3  
341-3602  1  
321-3401  2  
301-3202815.121120.8
281-3003  2  
261-2800  1  
241-2602  2  
221-2403  4  
201-22041222.651426.4
181-2009  2  
161-1802  7  
141-1605  1  
121-1405  6  
101-12032445.311732.1
0-100559.48815.1
合計5353100.05353100.0
平均点216.9222.3  


 200点以下の下位層を見ていただきたい。8月の47.2%から54.7%へと7.5ポイント増大した。数学と英語は2学期から難易度の高い分野に入っているので、ここで数学と英語の科目でつまづいている生徒が増えているということだ。

 11月と8月学力テストデータを並べて見よう。

 数学1年生11月
 11月小計8月小計
91-1000  0  
81-900  3  
71-80223.8147.5
61-705  5  
51-604  4  
41-5051426.451426.4
31-409  10  
21-306  3  
11-2012  11  
0-10103769.8113566.0
合計5353100.05353100.0
平均点30.733.2  



 80点以上の階層が8月は3人いたが、11月がゼロなのは出題分野の難易度が上がったからだ。8月のテストは正負の数の計算問題が多かった。成績中位層は同じ、下位層も2人増えただけでほとんど変化なしだ。
 これから比例と反比例そして平面図形と空間図形へと難易度が上がるから、このまま文武両道と放課後補習だけでこの学年の学力を他の学年並みにもっていけるだろうか?


 英語1年生11月
 11月小計8月小計
91-1004  6  
81-901  7  
71-8061120.861935.8
61-707  7  
51-605  6  
41-50102241.551834.0
31-4010  6  
21-303  4  
11-205  1  
0-1022037.751630.2
合計5353100.05353100.0
平均点49.757.5  


 英語も2学期は文法事項が増えて出題範囲の難易度が上がり、高得点層が19人から11人に激減した。そしてそれと符牒をあわせるように40点以下の層が16人から20人へ増えた。ここで点数を下げたらそれは基礎にヒビが入っているようなもの、3学期が厳しいものになる。いまが正念場だから、期末テストに向けてがんばってもらいたい。

<まとめ>
 このままだと、三学期は200-210点に低下しそうである。とくに五科目合計200点以下の下位層が54.7%にも達しているのは深刻な事態だと考えなければならない
 C中学校は1年生に文武両道を要求し、放課後補習をするだけでは、現状を大きく改善できそうもない。160点未満の18人は2ヶ月くらいのブカツ停止を命じて放課後補習に強制参加、学業優先でやらせてはどうだろう?
 この層は小学校4年程度の「読み・書き・計算」能力が身についていない、個別補習体制を組まないと基礎学力が身につかないと経験上判断する。
 成績下位層には生活習慣が崩れ、読書習慣がない、授業中の姿勢の悪い、目上に対する口の聞き方を知らない、嫌なことを我慢してやることのできない者が少なくない。学校だけで改善は難しいから、保護者に協力を要請したらどうか。生活習慣病を治療するに等しいからたいへん手間がかかる、大人たちが強い決意で臨むべきだ。

  小学校で学級崩壊を起こすと、中学校でこういう後遺症がでて生半可な努力では回復できない、でも見捨ててはいけない。
 小学校での授業と親の躾が子どもたちの学力向上のためにはとっても重要で、数人の子どもが先生の制止を聞かず授業中に騒ぐだけで先生の話は聞こえなくなり、そのクラスの生徒の学力が回復不可能なほどに低下して、学級崩壊の痕跡が平均点にはっきりと出てくる。


*#2606 根室の中学校の過去6年間の学力低下を検証する  Feb. 28, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-02-27-1

 #2865 マルクスの労働観と日本人の仕事観:学校の先生必読 Nov. 13, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-13

 #2869 根室の中学生の学力の現状(1):B中学校の例 Nov. 16. 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-16

 #2870 根室の中学生の学力の現状(2):C中学校  Nov. 16, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-16-1

 #2871 根室の中学生の学力の現状(3):学級崩壊  Nov. 16, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-16-2

 #2872 根室の中学生の学力の現状(4):B中学校2年生も問題あり Nov. 18, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-18


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#2872 根室の中学生の学力の現状(4):B中学校2年生も問題あり Nov. 18, 2014 [63. チャレンジ(教育)]

 C中学校1年生に大きな問題があることを前回の弊ブログ#2871で指摘した。
 昨日、B中学校2年生の学力テスト(11月7日実施文協学力テスト)結果表を見て驚いた、C中学校の1年生と似た状況なのである。得点階層別表をご覧戴きたい。

  B中小計
451-5000  
401-450111.4
351-4006  
301-35061216.4
251-30012  
201-250122432.9
151-20013  
101-150142737.0
51-1008  
0-501912.3
合計7373100.0
五教科計207.3  


 5教科合計平均点が207.3である、四月の「お迎えテスト」は209点だった。
 200点以下を下位層とすると、49.3%、約半数が下位層に属している。
 文協学力テスト400点で高校へ進学してからの進研模試で偏差値45~48であることが経験的にわかっている。この学年の生徒で偏差値50の大学へ一般入試合格できる生徒は一人だけということになる。偏差値55の小樽商大クラスの大学へは一人も合格できないだろう。
 この学校は7年前には400点超が20人くらいいたのだが・・・


 では科目別の平均点はどうなっているのか?

  国語社会数学理科英語合計
4月52.339.440.542.934.0209.1
11月55.240.631.245.534.8207.3

 ハッキリした特徴が出ている。数学が9.3点落ちていることと、数学と英語の点数がどちらも30点台で低いということ。
 数学と英語が中2の11月でこんなに低いと、三学期になっても挽回できない。400点以上の成績上位層が一人しかいないのに、五科目合計点が100点以下の最底辺層が9人、12.3%もいる。
 この9人は授業を聴いてもさっぱりわからないだろう。はっきり言うが小4程度の学力がない。授業中にお喋りをする、姿勢が悪い、居眠りする、生活習慣が崩れているなど個別にみれば何項目か該当するものがあるだろう。150点以下の23人(31.5%)は、ブカツ停止を命じて3ヶ月ほど放課後個別補習の必要がある。

 ブカツ停止を含む措置は保護者が納得しないとできないから、学校の先生たちは過去のデータも開示してPTAとすぐに話し合いをはじめるべきだ。
 低学力は生活習慣や姿勢、口の利き方など躾とも関わりが深いので、保護者の協力が必要だ。

 もうすこしデータを並べるのでお付き合いいただきたい。

 国語2年生11月
 2年生小計
91-1002  
81-909  
71-8092027.4
61-7010  
51-6010  
41-50123243.8
31-4012  
21-306  
11-203  
0-1002128.8
合計7373100.0
平均点55.2  


 数学2年生11月
 人数小計
91-1000  
81-902  
71-80245.5
61-705  
51-602  
41-5081520.5
31-4013  
21-3014  
11-2015  
0-10125474.0
合計7373100.0
平均点31.2  



 国語は40点以下が21人28.8%だが、数学は40点以下が74%、四人に三人が40点以下だ。中学校の数学がわからないだけではない、小学校の算数がまるでわかっていない。小数や分数の四則演算からやり直さなければならない。通分を理解していない生徒が大半ではないか。おそらく20点以下の27人の半数以上が特定の九九の段をスラスラいえない。27人全員が逆九九がスムーズに出てこないだろう。ひょっとしたら、小学校の先生が逆九九を教えなかったのかもしれない。逆九九を知らないと割り算の計算速度が遅くなり、苦手になる。逆九九の暗誦練習からやらないとダメだろう。
 国語の点数が40点以下で数学の点数が30点以下の生徒は数学の文章題がほとんど解けない。
 漢字の書き取りトレーニングをして本をたくさん読まなければならない。読書は本が読めるに充分なだけの語彙力の裏付けと好奇心が必要だ。漢字検定にトライさせよう。中学を卒業するまでに3級合格をさせよう。そうしたら読める本の範囲が大きく広がる。
 高校数学は文章題の文章理解の比重が中学校に比べて倍加するから、放置しておいたら標準的な高校の普通科の数学教科書はまったく理解できないだろう。

 英語2年生11月
 2年生小計
91-1000  
81-901  
71-80568.2
61-705  
51-604  
41-5091824.7
31-4014  
21-3013  
11-2016  
0-1064967.1
合計7373100.0
平均点34.8  


 すごいね、30点以下の35人は1年生2学期の「三単現のS」のあたりからやり直す必要がある。どうしてこんな状態なのに放っておくのか。あるいは放課後補習をときどきやっているかもしれないが、まったく不十分だ。
 B中学校は市街化地域の3校で2009年まで学力テストの平均点がダントツにNo.1だった学校である。この変りよう・・・言葉を失いそうだ。

 PTAと学校の先生たちが子どもたちの低学力問題を何とかするために何度も繰り返し話し合うべきだ。先に述べたように、低学力の生徒は言葉づかいや、姿勢や、生活習慣が崩れているケースが多いから、学校だけでは治らない。上下のけじめのついた言葉づかいは社会人と生きていくために必要なことだ。ブカツでも授業中でも目上の者にため口を利かせてはならぬ。ダメなことはダメだとはっきり言おう。
 ここまで低学力化が進行してしまうと生活習慣のこともあり保護者と学校が協力しないと解決できない。ある程度話したら、今度は小学校の先生たちやPTAとも話し合いをはじめるべきだ。
 釧路の「寺子屋」のような団体を立ち上げて、小学生に土曜補習をすべきだ。先生たちだけでは解決ができない。

*#2653 小学校で算数検定、開いたのはあの公務員アウォード大賞受賞の大越さん Apr. 22, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-04-22

 根室の地域の子どもたちの学力は、地域に住む者たちが協力すると改革が大きく進む。C中学校の先生たちがそれを証明してくれた。2年間で17%も点数をアップしている。他の学校が追随すれば3年間で根室は全国平均を大きく上回ることができる。根室市の学力が高いことが評判になれば、根室への転勤を嫌がらなくなる。子どもの教育のために根室へ引っ越してみたいと思う30代が増えるかもしれない。医師確保にだって、地域の子どもたちの学力が高いことはプラスに作用する。
 
 数値を挙げて4回にわたり、根室の中学生の学力の現状を分析した。
 あと二つ書くつもりだ。ひとつはC中学校とB中学校の11月学力テスト2年生の比較、もう一つはまとめになるだろう。


*#2606 根室の中学校の過去6年間の学力低下を検証する  Feb. 28, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-02-27-1

*#2672 急激な学力低下はなぜ起きているのか?:假説 May 10, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-05-09ある

 #2806 高校数学面白い問題 :小中学校の先生たちへ Sep. 14, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-09-13-2

 #2865 マルクスの労働観と日本人の仕事観:学校の先生必読 Nov. 13, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-13

 #2869 根室の中学生の学力の現況(1):B中学校の例 Nov. 16. 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-16

 #2870 根室の中学生の学力の現状(2):C中学校  Nov. 16, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-16-1

 #2871 根室の中学生の学力の現状(3):学級崩壊  Nov. 16, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-16-2


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#2871 根室の中学生の学力の現状(3):学級崩壊  Nov. 16, 2014  [63. チャレンジ(教育)]

 C中学校の1年生に大きな問題があると前回書いた。この12年間でこんなに平均点が低いデータを見たことがない。このままではこの学年が3年生になったときに学力テストABCの五科目平均点が107点(300点満点)前後になる。現在の3年生よりも約30点下がるだろう。

 2年生と1年生の階層別対比データを見てもらいたい。

 C中学校8月27日学力テストデータ
 2年生小計1年生小計
481-5000  0  
461-4800  0  
441-4601  0  
421-4402  2  
401-4202511.9135.7
381-4003  3  
361-3801  3  
341-3603  1  
321-3403  2  
301-32041126.221120.8
281-3001  2  
261-2803  1  
241-2605  2  
221-2404  4  
201-22031638.151426.4
181-2001  2  
161-1801  7  
141-1603  1  
121-1400  6  
101-1201921.411732.1
0-100112.48815.1
合計4242100.05353100.0



 見やすいように階層に百点刻みで小計をいれ、その人数と割合を表示してある。
 2年生対比で1年生をみると、400点以上の成績上位層は半分の5.7%、500点満点で200点以下の成績下位層は47.2%で2年生23.8%の2倍である。成績上位層の割合が半減し、成績下位層の割合が2倍になっているから、著しい学力低下が起きているとデータが語っている
 100点以下の生徒は授業を聴いても基礎学力が小学校3年以下だから中1の授業はほとんど理解不能だ。160点以下の生徒が16人いるが、この階層の大半はふだんの授業理解に支障をきたしている。2クラスでこれだけの人数の生徒が授業理解不能なら、授業中がどのような状態なのか想像がつく。先生の制止を聞かずに授業中にお喋りをする生徒、立ち歩く生徒がいる。フリー参観の時には猫をかぶっているだろう。PTAは先生たちと「1年生問題」を何度も話し合って具体的対策を決めて実行した。この1年生の低学力問題は親達も協力しないと解決できない。

 中学生になってから急に学力が低下したのではないだろう。疑われるのは小学校で学級崩壊が起きたのではないかということだ、まあ假定の話だと思って聞いてもらいたい。
 前回の弊ブログで取り上げたが、B中学校では2010年度の中3の学年が中1のときに学級崩壊現象が起きて学力テストの平均点が3年間で40点も下がったことがあるが、C中学校で起きている学力低下は中1だから、小学校での学校崩壊現象があったと見るのが妥当だろう。この小学校はebisuの母校であり、北海道でも3番目くらいに古い歴史のある小学校である。

<先生の技倆×親の躾⇒数値が低ければ学級崩壊リスク大>
 先生の授業技能にいくらか問題があり、数人の生徒の躾が著しく悪いということが重なると学級崩壊を起こしやすい。親の言うこともきかず先生の言うこともきかない生徒が三人いたら管理職がフォローに入っても一度崩壊したクラスはなかなか立て直すことができない。昔の先生ならすぐにひっぱたいたものだが、そんなことをすると処分されるから、危険を冒して生徒を叩きなおしてくれる「立派な」先生は居なくなった。その結果、中学生になった彼ら・彼女達の学力が著しく低いことが文協学力テストの結果で判明する。小学校で数年間育てた習慣はその生徒の性格にまでなっていて、中学校でも習慣になっている行動パターンが出てしまう。授業中に私語をする、歩き回る、姿勢が崩れて落ち着かない、こうしたことが「生活習慣」病になっているからなかなか治らない。もろもろの事情が学年平均点の低下となって現れているとみて間違いはないだろう。

 学力テストの平均点は、
  2年生 283点
  1年生 222点

 五科目300点満点で2年生と1年生の合計点の差が61点もある、これはもう有為な差があると判断すべきだ
 1年生で平均点の222点の生徒は学年順位が47人中23番付近だが、2年生の222点は42人中32番で、後ろから10番目付近だ。1年生で平均点近くの生徒は学年順位が真ん中だからまあまあの成績だと勘違いしてしまう。後ろに24人いるのだが、2年生を基準にすると後ろに10人しかいない。あせらないといけない成績なのである。

<数値重視に切り換えよう:先生たちはみんなお世話になった偏差値>
 根室で暮らしていると全国レベルがどれほどの高さかわからない。文協学力テストは全道の公立中学校で実施しているにも関わらず、全道平均点すら出ていない時代遅れで役立たずの代物。いまどき業者テストで参加した生徒の平均点や偏差値の出ていないものなどありはしない。現に根室高校普通科は全国模試を実施しており、毎回偏差値と順位が表示された結果表が通知されている。先生たちは全国偏差値を参考資料として進路指導をしている。
 このように道内の道立高校普通科の担任や進路指導部の先生たちはみなさん進路指導に偏差値を使っている、それなのに中学校の先生たちだけが、「過度な競争を煽る」と言って偏差値導入に反対する、おかしな話だ。教えてほしい、どこに過度な競争があるのだろう?根室市内は道立高校に全員入学できるどころか、毎年数十人定員割れしている。別海町だって中標津町だって標津町だって羅臼町だって道立高校は各地域で定員割れの状態だ。学力の低い支庁管内の現実をみたらよい、「過度な競争」などどこにもない。
 中学校の先生たちで大学進路指導に偏差値のお世話にならなかった人はいないだろう。それなのに、自分の生徒には使わせない、偏差値導入に反対するのである。おかしな話ではないか。自分だけよければいい、便利なツールを生徒には使わせない。
 全国レベルや全道平均点やそこからの偏差を秘密にしたままで生徒はどうやって自分のレベルを客観的に知ることができる?できるはずがないから、学年3番以内に入ると勉強ができると勘違いしてしまう。全国模試だと公立高校普通科対象の全国模試では平均点にも届いていないのである高校へ入学してから中学校で学年3番だった自分の偏差値が45~48だと知って驚いて茫然自失、またたくまに1年間が過ぎて大学受験へ向けた大事な期間をロスしてしまう
 中学校の先生たち、声を上げよう。「学力テストは偏差値表示のあるものに変えるべきだ」、そういう声を現場から上げてもらいたい。自分のためではないよ、能力のある生徒の学力を全国レベルを知らしめて自己を客観的に評価させ奮起をうながすためだ。中学校1年生で全国レベルでの己の実力の低さを知れば、3年早く真剣な戦いを始められる。そういう環境をつくってやれるのは私たち大人だ。私たちがそれぞれの立場でやれる範囲のことをしっかりやり遂げよう。わたしがブログで声を上げ続けているのはそういうことだ。

<C中の1年生が3年生になったときの学力テスト成績の予測>
 話しをデータに戻すと、現在の3年生の平均点に2年を基準として1年の平均点の割合を乗ずると、
  137.1*222/283=107.5
 
  これもたんなる目安に過ぎない。先ほど述べたように、現在の1年生がこのまま3年生になれば、学年平均点が107点に退化しそうだから、表の数字と見比べてもらうとわかるが、いまの1年生は過去12年間で一番学力が低いということになる。さて、C中学校はどのような取組をするのだろう、ちょっと手ごわいよ。生徒たちには五科目合計点で200点(500点満点)付近でも普通の成績かあるいはいい方だという勘違いが起きている。自分達の学年が他の学年に比べてガクンと学力が低いことに気がついていない。

<「読み・書き・そろばん(計算)」速度アップトレーニングの重要性>
 実際の基礎学力はどうなっているだろう?「読み・書き・そろばん」の読みと書きの能力は成績下位50%のうちの2/3(約17人)は小学4年生程度かそれ以下の読み書き能力と推測している。
 小学3年生~6年生の範囲の語彙の読み書き問題集に『言葉力ドリル』というのがあるが、このテストを実施したら得点が40点以下であろうというのがebisuの予測値だ。小学校4年生程度の読み書き能力があやしい。
(ebisuが「予測値」という言葉を使うときはある程度のデータの裏付けがあるときに限定している。確たるデータの裏付けのないときは「予想値」を使う。)

 もちろん、授業で先生が説明に使う漢字熟語でも適正な漢字に頭の中で置き換えられないものが頻繁に出てくるから、意味のつかみようがなくなる。違う漢字に置き換えてとんでもない理解もでてくる。自分の知っている言葉に勝手に変換しちゃって、本人はわかったつもりでいることがよくある。授業内容が知らない漢字が出てくるところで意味が切れてしまう。授業を聴いていても楽しいはずがないから、おちゃらけて騒ぐか眠たくなって集中力がなくなる。先生が話している意味のわからない授業に集中力をもてという方がムリ。

<「読み・書き・計算速度」が勉強量を左右している:基本語彙力増強の手段として漢検の推奨>
 だから、この学年には毎日漢字の書き取りをやらせて、漢字検定を受検させ、語彙力アップを長期的に図るべきだ。そうしないと読めない漢字だらけで本も読むことができないから、読む速度が普通の学力の生徒に比べて著しく劣ることになる。「読み・書き・そろばん(計算)」トレーニングを毎日課すべきだ。スピードが何より大事。勉強量は読み書きの速度と時間の積で決まる。速度が3分の一のものは人の3倍の時間勉強しないと追いつかないのが現実。速い生徒と遅い生徒では数倍(2倍~5倍)の差があるのは珍しいことではない。
 ニムオロ塾では英語授業のときに10分早く当塾させて、日本語テクストの音読トレーニングをしているが、読解力の弱い生徒は標準速度の生徒の2倍も3倍も時間がかかり、「てにをは」を頻繁に読み違えてしまう。これでは意味がわかるはずがない。いくら簡単な文協学力テストでもこういうレベルの生徒たちは国語の点数が70点を超えることがない。
 計算速度はクラスの中でトップクラスの生徒と一番遅いグループ5人の平均値は10対1くらいの差がある。計算の遅い生徒は速い生徒の10倍の時間を費やさないと同じ勉強量にならない。具体例を弊ブログで過去にとりあげたことがある。今年の4月か5月だった。あのときの計算実測値で30対1の差があった。計算の速い生徒の30分間の勉強量は計算の遅い生徒の900分(15時間)に相当する。これでは差が開く一方となることは火を見るよりも明らか。「読み・書き・計算」の基本技能の差は学習量に決定的な差を生んでいる。

<学力テスト国語の得点分布の分析>
 8月学力テスト国語の点数分布 

 8月学テ国語
 2年生小計1年生小計
91-1000  1  
81-903  5  
71-804716.771324.5
61-703  4  
51-60141740.5111528.3
41-508  10  
31-404  8  
21-303  4  
11-202  3  
0-1011842.902547.2
合計4242100.05353100.0


 
<音読トレーニングと漢字書き取りの強制>
 わたしは読書量が少なくても、漢字のトレーニングを半年やればほとんどの生徒が「71-80」点とれると考えている。過去に国語の点数が30-40の生徒を選び、『読書力』(斉藤孝・岩波新書)の音読トレーニングと出てくる漢字の書き取りをやらせたら4ヶ月ほどで学力テスト国語の点数が70点台に載るようになったからだ。この表を見て思ったのは、週に2回教師がついて音読トレーニングをさせ、その都度ノート1ページに小さな字で丁寧に漢字の書き取りの宿題を課したら、三人に二人が71点以上の階層に繰り上がるだろうということ。2年生なら、42人中30人が、1年生なら53人中40人が71点以上の階層になるだろう。教師がついて良質のテクストを使って25分間の音読トレーニングを週2回、併行して漢字の書き取りを毎回ノート1ページにびっしりやらせるだけである。嫌がっても無理矢理ひっぱたいてもやらせる。真剣にやらないものはブカツへの参加を許可しない。ブカツよりも勉学が大事ということはそういうことだ。基礎学力の身についていない生徒には自由はない。

<国語の階層別データから見えたこと:問題点と対策>
 平均点は2年生が51.9、1年生が53.0点である。問題が違うので、差が1.1ではどちらが高いとも言えない。
 下位層分布を三つに区切ると特徴が見えてくる。2年生は「51-70」の下位層が40.5%厚いのに対して、1年生は同じ層が28.3%しかない。2年生は成績中位層になんらかのインセンティブが加われば成績上位層が一気に3倍4倍となりそうだ。なにかいい方法はないだろうか。
 1年生の国語の点数は二極分解していると言えそうだ。濫読期を経過した生徒は点数が80点以上とるだろうが、2年生は3人、1年生は6人しかいない。児童書を抜けでた領域の読書に親しむ生徒は10%もいないようだ。
 1年生を見ると60点以下が75.5%もいる。四人に三人は読書不足と断言してよい。半数が著しく読書不足だ。大人が読むようなレベルの本を家で音読させてみたらすぐにわかる。文庫本や新書版の本を2冊買ってきて試しに音読させてみたらいい。1ページに10個前後も読めない漢字が出てくるようなら、小学校4年以下の語彙力でおはなしにならない。流れるように読めなければ意味はつかめぬ。本を読んで語彙を増やすのが一番だが、ルビを振った本が少ないからルビ付きの本を探して読むことと、漢検問題集を使ったトレーニングを推奨したい。高2の生徒が先週見せてくれたが、漢字検定だけでなく語彙力検定というのもあるようだ。なんでもトライして語彙力をアップすれば読める本の範囲が広がる。

<まず大人が本を読む⇒家に本棚を一つ作ろう>
 生徒たちの回りに本を読む習慣のある大人が少ないのかもしれない。家に書棚があり、いろんなジャンルの本が並んでいたら、半分くらいの子どもは手にとって読むようになる。わたしの子どもは私の書棚の本は専門書が多かったのでほとんど読まなかったが、自分の身の丈に合う本を買ってきて読んでいた。数十冊貯まると、ブックオフかどこかへもっていって売り払っていた。千円~千五百円前後の本をよく読んでいた。仕事帰りに本屋へ寄って立ち読みして気に入った一冊を買い、スターバックスでコーヒを飲みながら30分ほどのんびりするのが好きだといっていた。知らない間に本好きになっていた。

<基本読書力の定義と文科省によるレベル別ルビ適合マーク>
 下位得点層の生徒たちには漢検4級の問題集を毎日15分、放課後ブカツの前にやらせたらどうだろう。読めない漢字が多いから読みたい本があっても読めない、そうした語彙力障害を取り除いてやる仕掛けを用意すべきだ。大人になって仕事で必要な専門書が読めないようではお話にならぬ。文庫本や新書版の本を読みこなせるような程度の読書力を「基礎的読書力」と定義したい

 基本読書力を育てるために、文科省は小4以上の漢字にルビを振ることを奨励したらいい。小4、小6、中3くらいの三段階に区分して、補助金付きのレベル別推奨マークをだしたらいい

 読書力は最重要な学力の土台であり、効率的に他教科を征服するツールである。読書力の大きい生徒、日本語語彙力の大きい生徒は高校生になってからも成績が飛躍的に伸びる。読解力のない生徒は勉強量が少なくなる。読む速度は読書力の半分をなしている


*#1307 教育再考 根室の未来 第2部 低学力④:荒れる中学校 Dec.19, 2010 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-12-19-1

 #1935 フリー授業参観に行こう:啓雲中学校  May 14, 2012 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-05-14

 #2606 根室の中学校の過去6年間の学力低下を検証する  Feb. 28, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-02-27-1

 #2672 急激な学力低下はなぜ起きているのか?:假説 May 10, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-05-09ある

 #2806 高校数学面白い問題 :小中学校の先生たちへ Sep. 14, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-09-13-2

 #2865 マルクスの労働観と日本人の仕事観:学校の先生必読 Nov. 13, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-13

 #2869 根室の中学生の学力の現況(1):B中学校の例 Nov. 16. 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-16

 #2870 根室の中学生の学力の現状(2):C中学校  Nov. 16, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-16-1

 #2871 根室の中学生の学力の現状(3):学級崩壊  Nov. 16, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-16-2

 #2872 根室の中学生の学力の現状(4):B中学校2年生も問題あり Nov. 18, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-18



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#2870 根室の中学生の学力の現状(2):C中学校  Nov. 16, 2014 [63. チャレンジ(教育)]

<基礎学力を上げれば荒れた学校が平常に復することを証明したC中学校>
  このシリーズ2回目はC中学校をとりあげる。春に行われた全国学力テストでほぼ全国平均を達成した中学校である。数年前にはひどく荒れていたので学力が低下していた。北海道新聞が2010年12月に取材している、弊ブログ#1307でとりあげた。毎日何度も火災報知機が発砲し、授業を抜け出して空き教室で遊ぶ生徒たちもいた。
 ここの2年ほど学校の先生たちが変り始めた。校長先生が学校通信で繰り返し文武両道の大切さとブカツをやりながらどうやれば勉強も手を抜かないでがんばれるか、光洋中学野球部時代の自身の体験を交えて生徒に伝えている。ブカツを担当する先生たちも文武両道の大切さを明言するように変った。そして学力不振の生徒たちを集めて放課後補習をやっている。一部の先生ではなく、校長や教頭がバックアップして学校として取り組んでいる。こうすれば学力は上げられる。
 たとえば圧力の計算が苦手な生徒が多いが、理科の先生が計算問題プリントを作って、弱点克服の補習をしている。みんなが苦手な分野はそれぞれの教科の先生たちは普段のテストでよくご存知だ。こういうトレーニングを繰り返すと効果が大きい。3分野もやればその教科の平均点が十数点上がる。
 学校が荒れるのと生徒の学力テストの点数は相関関係が強い。C中学校火災報知機が発砲するようなことはなくなった。放課後補習で勉強がさっぱり分からなくて授業を受ける気のない生徒が減少したことも学力向上に寄与している。

<データは語る:論より証拠>
 データがあった分だけ並べるのでご覧ください。

  2014年2012年2011年2010年2006年2005年
4月学テ149.9134.9120.0121.6  
総合A131.2115.40.0108.3113.6131.6
総合B130.70.0114.0116.7117.7126.0
総合C136.7122.1118.0105.8121.7133.4
合計548.5372.4352.0452.4353.0391.0
平均137.1124.1117.3113.1117.7130.3


 2005年だけ点数が高いのは理由があるので後で述べる。2005年を除くとおおむね110点台である。それが昨年と今年が逓増している、いい傾向だ。学校の先生たちが変れば、普段やっている学力テストの平均点が2年間で17%、20点ほど上げられることが証明されたのではないだろうか。

<全国学力テストで点数を17%アップできたら、全国平均を追い抜く>
 17%アップはたいしたことないと考える人はこの表を見てもらいたい。

#2859より引用
*http://www.city.nemuro.hokkaido.jp/dcitynd.nsf/image/9ebe7710315e8ac149257aec000a715c/$FILE/%EF%BC%A826gakuryokutesutokekka.pdf
----------------------------------

2014年全国学力テストの根室市と全道、全国の平均正答率
 国語A国語B数学A数学B平均
小学6年生根室市71.451.474.350.762.0
 北海道71.852.975.855.263.9
 全国72.955.578.158.266.2
中学3年生根室市78.045.962.855.860.6
 北海道79.449.966.059.463.7
 全国79.451.067.459.864.4
*小学校は「数学」ではなく「算数」である。    

----------------------------------

 全国学力テストで根室市と全国の平均の差は正答率で小学生は4.2、中学生で3.8だ、1割正答率がアップしただけで、6+になるから全国平均を超えてしまう
 学校が文武両道を生徒に伝え、放課後補習を三年間繰り返したら、学力下位層の底上げができて平均点が17%上がれば全国平均を大きく超えてしまうだろう。
 
たとえば、中学生の国語AとBが17%アップすると
  78.0 ⇒91.2 (79.4)・・・カッコ内は全国平均値
  45.9 ⇒53.7 (51.0)
 数学AとBは、
  62.8 ⇒73.4 (67.4)
  55.8 ⇒65.3 (59.8)
 これら4科目の単純平均値
  60.6 ⇒70.9 (64.4)

<根室の活性化は教育から:医師も子どもの教育のために集まってくる>
 全国平均を大幅に超えてしまう、根室市内の他の学校でもやればいい。全道に先駆けてこういうことを地道にやれば、子どもの教育のために根室に転勤したいという人が出てくる。子どもを医大に進学させたいので、根室の病院で働きたいという医師も出てくるかもしれない。根室の活性化は教育分野からもアプローチできる。

<先生の授業技倆と生徒の躾が学力を左右する大きなファクター>
 小学校では家庭の躾けがとくに悪い生徒が数人いて、同時に担任の先生の授業技術が劣る場合は学級崩壊するリスクが増大する
 2007年度も平均点が高かったはずだが、データがない。この年に中学3年生だった生徒たちはいま大学4年生である。

<3年生の学力上位層は全国レベルではどの程度か?>
 せっかくつくったので学力テスト総合Cの階層別内訳表をご覧に入れる。

 総合C
人数

   

281-3000  
261-2800  
241-2600  
221-2402  
201-2203510.6
181-2002  
161-18010  
141-1605  
121-1406  
101-12093268.1
81-1002  
61-805  
41-603  
0-4001021.3
合計4747100.0


 先ほど散歩したら学校帰りの高校生が何人も歩いていた。今日は進研模試の日だ。進研模試は全国の公立高校普通科の生徒の半数以上が受験している。文協学力テストで五科目合計点数が200~230点の辺りで高校生になったときの全国模試の偏差値が50付近である。
 高校での成績がそのまま伸び悩むとすれば、C中学校では偏差値50(真ん中のレベル)前後の学校に一般入試で入学できるのは2人ということになる。偏差値45~50の大学へはおおよそ200点を超えていなければならないから、この階層には3人いる。
 こうしてみると学力テストの平均点が一番高かったC中学校で偏差値45以上の大学受験ができるのはたった5人、市街化地域の3校合計でも10~12人程度だ。根室高校が夏休みや冬休みや春休みに進学講習を繰り返すだけでなく、長期休暇以外にも進学講習を繰り返している理由がわかる。中学校のときに五科目合計点で200点前後の生徒を偏差値50以上の学校へ進学させたいからで、高校の先生は大学進学実績で高校のレベルが評価されるから必死だ。高校のレベルが評価されるということは、自分たちの能力も「全国基準」で間接的に評価されているということ。

 C中学校では小樽商大クラスの大学へ一般入試で合格できる生徒は今年の3年生ではゼロ。大学受験用の塾は根室ではもうビジネスとして成立たないことがわかる。人口減少と学力低下のダブルパンチが根室の現状だ。

 学力下位層のほうも見てみよう。300点満点で得点120点以下の成績下位層は10人、21.3%いる。500点満点だと166点以下ということになるが、8月27日の学力テストでは2年生は6人で14.3%、1年生は19人で35.8%。
 C中学校は1年生に何か大きな問題がありそうだ。

<C中学校のデータから言える学力アップの方法>
 学力を上げる要素は少なくとも二つある。
■ 学力の低い生徒に放課後補習をする
■ 家庭は小学校低学年でこどもを厳しく躾ける

 家庭で躾けたいのは次の六項目
○ 正しい鉛筆のもち方
○ 勉強するときの正しい姿勢
○ やらなきゃならないことは嫌でもやらせる
○ 大人や年長者に対する言葉づかい
○ 「読み・書き・そろばん(計算)」を毎日やらせ、速度を上げる
○ 読書をさせる、とくに大人の本へのレベルアップを意図的にやる
○ 文武両道、勉強が第一、ブカツは二番目とはっきり言う

 こういうことをしなくても、自らやる子どもは10%くらいはいるが、残り90%は躾けないとこうしたことが身につかない。
 躾は学校へ入学前に厳しくやろう。きちんとしつけたら、中学生になってからは緩めるくらいがいい。自我の芽生えた中学生や高校生にあまり厳しく躾けたらいろいろ問題(副作用)が起きる可能性が高い。

<「読み・書き・そろばん(計算)」技能の速度アップが学力改善の鍵>
 勉強量=読み・書き・計算速度×時間
 時間は万人に平等で一日24時間、勉強量をアップするには読み・書き・計算の速度アップトレーニングが有効。
 次の回で詳述するが、学力の低い子は小学生から漢字検定試験を受けさせるべきだ。本を読まないから語彙が貧弱で、読めない漢字が多い。書けないのはもっと多い。
 語彙力が貧弱で授業で先生が使う言葉が理解できない(4年生程度の漢字の読み書き能力)の生徒が)が各中学校に15%~30%もいる。「読み・書き・そろばん(計算)」トレーニングを毎日やらせて、処理スピードを上げよう。書く速度や計算速度が異常に遅い生徒も増えている。標準速度の半分以下の生徒は板書をノートに写せない。


<余談>
 ところで2005年の学力テストの平均点が高かったのは思い当たることがある。塾を開いた12月にこの学年の生徒は小学6年生だった。小学生はしばらく教えないつもりだったがあるお母さんから相談があった。塾に通っているけど算数の文章題が零点だったのですぐに教えてほしいという。そのクラスは3人になった。3人とも同じ学校で同じクラスだったが、塾で勉強しているときは私語をしない。きちんと問題演習をしている。家庭のシツケがとてもよくできていた。三人とも学力が急激にアップしたのは授業の集中力が高かったからで、それを背後で支えていたのは小学校6年間の親のシツケだっただろう。算数の文章題が零点だった生徒が一番成績がよくなった。負けん気の強い女の子で中学時代は学年5~8番位/85人をキープしていた。一人は東京六大学の一つに推薦入学し、一人は北海学園へ、もう一人は看護学校へ進学した。あの生徒たちの頃に比べると、根室の親達は躾が下手になった。10年でこんなに変わったことに驚いている。
 この年はC中学校の生徒が8人ほどいたので、それぞれ学力を上げたから平均点アップにも寄与したはずだ。
 あのときの三人をみて、ebisuは根室の親はなんて躾けの仕方がいいのだろうと生徒の授業態度を見て感心した。だが、それは甘かった。この三人の母親がそろって子どもの躾けが格段に上手だったようだ。


*#1307 教育再考 根室の未来 第2部 低学力④:荒れる中学校 Dec.19, 2010 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-12-19-1

 #1935 フリー授業参観に行こう:啓雲中学校  May 14, 2012 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-05-14

 #2606 根室の中学校の過去6年間の学力低下を検証する  Feb. 28, 2014 
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 #2672 急激な学力低下はなぜ起きているのか?:假説 May 10, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-05-09ある

 #2806 高校数学面白い問題 :小中学校の先生たちへ Sep. 14, 2014 
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 #2865 マルクスの労働観と日本人の仕事観:学校の先生必読 Nov. 13, 2014 
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 #2869 根室の中学生の学力の現況(1):B中学校の例 Nov. 16. 2014 
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 #2870 根室の中学生の学力の現状(2):C中学校  Nov. 16, 2014 
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 #2871 根室の中学生の学力の現状(3):学級崩壊  Nov. 16, 2014
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 #2872 根室の中学生の学力の現状(4):B中学校2年生も問題あり Nov. 18, 2014 
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#2854 道教文研(北海道教育文化研究所)サブサイト紹介  Oct. 31, 2014 [63. チャレンジ(教育)]

 道教文研のサブサイト「道教文研応援ページ」がアップされた。道教文研とは北海道教育文化研究所(笠井龍司所長)のことである。

 前回(#2853)で論文・「『釧路市学力保障条例の研究(1)』東大大学院教育行政学論叢」*をとりあげたが、この条例案は釧路市議会基礎学力問題研究議員連盟とさまざまな職種を網羅する民間の任意団体「釧路の教育を考える会」(以下、「考える会」と記す)が車の両輪となってつくられたもの。
(これら二つの団体にプラスして北海道全域の教育改革を視野に入れた道教文研が加わることで教育改革を載せる車は安定した三輪になる。)
*http://repository.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/dspace/bitstream/2261/55847/1/eac033006.pdf


 その一方の「考える会」のメンバーが道教文研に参加している。全国学力テストの結果をみて、それぞれ釧路や根室(根室、中標津、別海)のこどもたちの学力に危機感を抱いたのがそもそもの始まりであったが、低学力は釧路と根室の子ども達にとどまらず、日高、宗谷、後志、胆振、渡島、檜山、オホーツク管内などにも共通する問題である。
(都道府県別全国学力テストのデータ分析、14支庁管内別偏差値データでわかったことがある。中学校で全国平均である偏差値50を超えているのは石狩管内(偏差値52.2)唯一つで、ほぼ全国平均なのが十勝管内(偏差値49.5)、釧路管内と根室管内を含む9地域は偏差値43以下、これが北海道の子どもたちの学力の現状、いや惨状といってよい。なんとか全国平均レベルにしたいと思うのは自然な感情だろう。)

 道教文研と「考える会」は、地域の子どもたちの基礎学力を保障する仕組みをつくるという点で共通の目的をもっている。

 「道教文研応援ページ」から、「目的」を引用する。
================================
          道教文研とは

北海道教育文化研究所(略称:道教文研)とは、次の4つの基本理念にもとづいて北海道教育の正常化を進める団体です。

  教育の公的性格を自覚すること教育に携わる者は、国家及び社会の形成者を育成しているのだということの自覚です。
  教員の資質向上をめざすこと特に学校の教員は、専門職として絶えず研究と修養に励むべきであるという主張です。
  特定のイデオロギーを持ち込まないこと政治的行為によって教育現場に混乱や不信や対立を生じさせないという主張です。
  様々な個人・団体との連携を図ることお互いの活動を妨げない範囲で、大同連携の精神に則り、諸活動を展開するということです。

 北海道には、基礎学力の保障、家庭教育への支援、授業や学級づくりに関する研修の充実など、課題が山積しています。
 解決のためには、行政の方々や学校関係者、保護者、地域の方々など、社会総がかりでの取組が必要だと考えます。
 「4つの基本理念」は、つながるための共通項です。
 私たちは、学校教育の内外、個人団体を問わず、「北海道」というステージで、お互いが連携・交流することを呼びかけます。
 豊かで、安心できる北海道を築き、次の世代へつなぐことは、現在を生きる私たち大人の役目ではないでしょうか。
 多くの、様々な立場の方々からのお力添えをお待ちしております。

 * 道教文研facebookページにて「いいね!」および応援メッセージを募集しております。
 * 応援とは別に、入会を希望される場合は規約申込み方法をご覧ください。
 * 道教文研についての更に詳しい説明が必要な場合はこちらをお読みください。 


================================

●道教文研応援ページ
http://do-kbk.sakura.ne.jp/kbk/

北海道教育文化研究所 facebookページ
https://www.facebook.com/dokbk

●北海道教育文化研究所ホームページ
http://946jp.com/dokyobunken/


<余談>
 道教文研は日本教育文化研究所傘下の地域別ブロックの一つである。たとえていうと北海道子会社である、教育に特化したシンクタンクと考えていただいてよい。
 北海道の教育に危機感をもった笠井龍司自民党道議が「考える会」副会長の三木さんに相談を持ちかけたのがきっかけである。三木さんはブルトーザのように精力的で情熱があり、志が高い(・・・持ち上げすぎたかな?でもその通りだ)、釧路の教育改革の要石だ。

 北海道全域を網羅する道教文研の本部を釧路に置くというのは奇異に感じるだろうが、地域の子どもたちの低学力の現状を変革しようと旗を上げ、基礎学力保障条例でその活動が全国的な関心を呼んだことから、釧路は教育改革で全国の注目を集める有力な地の一つとなった。そういう経緯で道教文研設立の栄誉を担うのが釧路となった次第、日は東から昇る。

 道教文研ではフェイスブック(以下FBと記す)上に専用掲示板をもって教育に関する具体的な議論が毎日行われている。時間が空いたときにFBの専用掲示板を開き、アップされた事例や意見を閲覧して、自分の考えをまとめて書き込む、それに対して他のメンバーがさらに書き込み議論が深化していく。そうしたことが頻繁に繰り返されているから地域的に離れていることが活動の障害にはならない。関係者がいつでもどこでも専用掲示板を介してコミュニケーションでき、さまざまな職種・立場から多方面にわたる議論が積み重ねられている。「考える会」でも専用掲示板で議論が行われてきた。
----------------------------------
この会(考える会)は塾の講師、小学校の現職教員、中学校の教頭、劇団代表、地元FM局のパーソナリティ、釧路市商工会議所青年部の会員、日本青年会議所の会員、弁護士など「多彩な人」25名程度が参加した。「考える会」は月1回全体会議を開催し、教育に関わるテーマをとりあげて議論していた。・・・」
    『釧路市学力保障条例の研究(1)』東大大学院教育行政学論叢より引用
----------------------------------
 議論のツールはネットにぶら下げた会員専用掲示板だったのである。さて、「道教文研応援ページ」はどのような展開を見せるだろうか?
 北海道教育文化研究所ホームページには役員一覧が空白になっているが、「道教文研応援ページ」にはリストが載っている。
 根室在住のebisuもしばらくの間、道教文研の活動を支えるボランティアの一人である。

<余談-2:コンピュータ・リテラシー
 ⇒いつでも・どこでも生産的な議論ができる>
 コンピュータ・リテラシーが活動を支える基礎となっている。リテラシーとは「読み・書き」という基礎学力とその運用技能を指す。だれでもできるから、根室にもそうした人々が増えてくれば意見交換が活発になり、根室の町は活性化できるだろう。
 とはいえ、議論している相手と年に数回は直接会って酒を酌み交わす必要はある。(笑)

<現状を打破とコラボレーション>
 当たり障りのないことしか書かないようでは変革のエネルギーになりえない。ブログを見ても釧路にはそういう核がいくつかある。釧路の意欲のある連中に志の高い根室人を引き合わせたい。ふるさとに戻って私塾を開いて11年が過ぎた、ブログを書き始めてから7年、ebisuはそろそろ意欲のある根室人にバトンを渡したい。教育問題は学校関係者や教育行政関係者という小さな村社会だけで議論していても埒があかない、広く民間人を交えて議論し具体策を練り上げ実行し、結果の検証をすべきである。市町村という地域も乗り越えて、共通の問題に対処すべきときに来ている。
 根室は管内3町と集い、教育問題で釧路と協働(コラボレーション)すべきではないか

<参考資料>

<タイプⅡ>

管内別偏差値ランキング表
<中学校優先>abb-c
順位   管内名小学校中学校  差
2石狩43.952.2    8.3
10十勝36.149.5  13.4
3上川43.447.2    3.8
6留萌38.243.9    5.7
12空知33.443.6  10.2
13オホーツク27.642.5  14.9
1檜山46.242.3  -3.9
4渡島39.141.6    2.5
7根室37.041.4    4.4
5胆振38.341.1    2.8
8釧路36.840.7    3.9
9後志36.437.4    1.0
14日高16.633.5   16.9
11宗谷33.533.4  -0.1





■ 【全道14支庁管内・偏差値ランキング表】
 #2485 (小・中対比)
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-11-09

 #2484 ⑨全道14支庁管内別・科目別・偏差値表(小・中対比)  Nov. 8, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-11-08-4

 #2853 『釧路市学力保障条例の研究(1)』東大大学院教育行政学論叢 Oct. 29, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-10-29


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#2853 『釧路市学力保障条例の研究(1)』東大大学院教育行政学論叢 Oct. 29, 2014 [63. チャレンジ(教育)]

 釧路基礎学力保障条例の成立経緯を追った研究論文が東大大学院教育学研究科教育行政学論叢(ろんそう)に掲載された。著者は竹森香以(カイ)・八木真也・勝野正章氏の3人。
 この論文の目的は二つ。
「①全国学力テストが地方自治体の教育政策に与えたインパクト
 ②全国学力テスト実施後の教育政策過程におけるアクターの関与のあり方の変容
 これら二点について事例を通じた考察を行うことにある。ただし、本研究は継続中であり、本稿の第一報という位置づけである。」

 英文の論文タイトルが学力保障条例の目的をよく表している。
' A study of the Kushiro Citiy's by law aiming to ensure basic academic acievements of students in the city : First report '

 A study of the Kushiro Citiy's by law/ aiming to ensure basic academic acievements of students in the city : First report
(釧路市条例に関する一研究/釧路の生徒たちの(学力テストで計測される)基礎学力を保障することを狙いとする:第一回報告書)

 東大の論叢はURLを書いてあるのでクリックして全文を読まれよ。

ブログ「情熱空間」より
http://blog.livedoor.jp/jounetsu_kuukan/archives/7609698.html
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2014年10月28日

東京大学の論文(基礎学力保障条例)

東京大学大学院教育学研究科学校開発政策コースによる論文、釧路市学力保障条例の研究(1)です。

ありがたいですね、こうして東京大学の論文にまで取り上げていただけるとは。「そうそう。そういえば、あの時はああだったな…」などと、懐かしい思いがしました。(げっ!ちゃっかり私も登場しちゃってる。いつの間に…)

教育長(当時)は、「同条例の制定は、市立小中学校全校の点数開示が真の目的だ…」といぶかっていたらしいですが、私個人としてはそうは思っていません。たるみ切った地域の教育行政への、強烈な強烈な愛の鞭による応援歌!今でもそう思っています(笑)。

●東京大学
釧路市学力保障条例の研究(1)
http://repository.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/dspace/bitstream/2261/55847/1/eac033006.pdf

「釧路市教育推進基本計画を策定しているのに、何でそこへ基礎学力保障条例が登場するわけ?」「迷惑だなぁ、ホントに」「この推進基本計画を実行に移したなら、学力はV字回復するのに」と、そう思っていたことがインタビューからも明白ですが、でもしかし、その計画を実行するもなお有限不実行が継続中。つまり、まるで結果を出せていないという事実。

だからこそ、基礎学力保障条例がなおのこと意味を持つ。そう思います。

基礎学力保障条例の存在に怯えつつ仕事をする。そうではなく、基礎学力保障条例の理念を後ろ盾に、粉骨砕身、地域の子ども達の学力の底上げのために仕事をする。そうあっていただきたいものです。

条例があろうとなかろうと、ちゃんと結果を出せばいいんだよ。いつまで経っても結果を出せないから、だから尻を叩かれるんだよ。どうでもいいから、ちゃんとやろうぜ。とまあ、そういうことですね。

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―ebisu解説―

<車の両輪:基礎学力問題研究議員連盟と考える会>
 この条例は超党派の市議10名からなる「基礎学力問題研究議員連盟」が提出したものだが、「釧路の教育を考える会」(以下、「考える会」と記す)(角田憲治会長(元釧路教育長)2010年創立)で議論を積み上げた結果も反映されている。議員連盟と教育問題を考える民間団体「考える会」の協力で条例案がつくられた経緯が詳細に追跡レポートされている。メンバーは懐かしい思いで読んだのではないだろうか。
 「考える会」は副会長の三木さんの発案になるものだが、月田さんがあるとき三木さんを訪ねた、それが「釧路の教育を考える会」の発足の契機となった。親分肌の元釧路教育長の角田憲治さんがこころよく会長職を引き受けてくれた。そして根室管内からも数名が参加して「釧路の教育を考える会」が立ち上がった。看板は「釧路の~」となっているが、当初から「釧路と根室」が射程に入っている。ebisuはたまたま三木さんとの縁で創立メンバーの一人に加えてもらった。月田さんとは同じ専修大学商学部会計学科の出身だから縁は不思議なもの。
 月田さんが超党派の市議10名による釧路市議会基礎学力問題研究議員連盟を立ち上げた。「考える会」の副会長でもあるので、「考える会」に集ったさまざまな職域の人たちの議論が「提言書」にまとめられ、それが基礎学力保障条例に色濃く反映している。
 全国学力テストの結果やふだんの学力テストの結果から、釧路や根室の子どもたちの学力が低いということと、とくに低学力層が肥大化していることに懸念を抱いた人たちが集っていた。中3でも小4程度の漢字の読み書きしかできない子どもたち、小数や分数の四則演算を覚え切れていない子どもたちが増えており、メンバーは基礎学力問題をこのままにしていたら地域経済の未来が暗くなると共通の危機感を抱いていた。

<意外な抵抗勢力の存在>
 もちろんこの条例案に反対の「抵抗勢力」も存在している。カラーがあまりにもハッキリしており、各議員の主張は北教組の主張のコピーに見えて具体性や現実性に欠ける。
 基礎学力条例に反対質問に立ったのは次の市議である。
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梅津則行(日本共産党議員団所属)
宮田  団 (市民連合議員団所属)
石川明美(日本共産党議員団所属)
村上和繁(日本共産党議員団所属)
渡辺慶蔵(市民連合議員団所属)
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 基礎的学力すら身につけられず、学力が低いまま中学校を卒業し、高校も最低辺校を形式卒業して社会の底辺を形成することになる釧路の低学力層の子どもたちに、小学校卒業程度の学力を保障しようという「基礎学力保障条例」に、なぜ労働者の党や市民連合を称する議員団が反対するのだろう?
 
教職員組合が応援部隊にいても、地域の子ども達のために、そして釧路の未来のために、言うべきことは言わねばならないのが市議の役割ではないのか。教職員組合員だって一人ひとりに尋ねれば全部が現状のままでいいとは思っていないひとが多いだろう。現に根室では現場の教員がこの2年間で授業の進捗管理に著しい改善成果を挙げている。こういう結果から見ると、共産党も市民連合も学力格差を小さくするための試みに諸手を挙げて賛成するのが本来の在り方なのではないだろうか?
 釧路市議会は抵抗勢力5名に対して、超党派の釧路市議会基礎学力研究議員連盟は10名だった。条例案の採決は賛成16反対10だったと記憶する。

<地域経済に未来と低学力の現状に危機感を抱くものたちの集(つど)い>
 根室市議会はこうした動きがないが教育問題や地域経済の未来に関心や危機感がないのだろうか?釧路は教育と地域経済の未来に危機感を抱いて「考える会」に25名が集(つど)った。現状に異を唱えると必ず既成勢力が大きな抵抗を示すものだから、多少の不利益を覚悟でないと地域の未来のために動くことができない。一肌脱ぎたいと思い行動した者たちが「考える会」にいただけではなく、市議の中にも二桁もいたのである。両方が共鳴することで現状打破の大きなうねりとなった。

 研究論文の中で、釧路教育長へのインタビューとその論評が興味深い。
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・・・一方、千葉教育長によれば、学力保障条例が制定されたという事実を教育基本計画に書きこんだ以外、前者から後者への影響はほとんどなく、「目新しいこと一つもない」。学力保障条例は学力に特化したものだが、教育推進計画の内容は学力だけにとどまらないものであり、「通常やっている知徳体のバランスの中に学力って言うものも入って」いる。ただし、条例が教育推進計画とは異なる点として、学力の定義とテスト結果の公表がある。


「教育委員会は、相当数の子どもたちが基礎学力を身につけていないという問題を直視せず、相変わらず知徳体のバランスが大事だと言っている。月田市議は、そのように」危機感を欠いた教育委員会に対応を求めても「事態は変らないんじゃないか」と思ったという。このような「教育委員会、危機感もってないな」という教育委員会に任せてはおけないとの思いから、月田市議ら自ら条例案を提出することにしたことがうかがえる。ただし、月田市議自身は、勉強会を始める前から個人的に条例をつくることを考えていた。2011年6月に議連を組織する以前の2010年に「釧路の教育を考える会」(以下、「考える会」)を立ち上げ、釧路の子ども達の教育に関わる活動を開始していた。この会は塾の講師、小学校の現職教員、中学校の教頭、劇団代表、地元FM局のパーソナリティ、釧路市商工会議所青年部の会員、日本青年会議所の会員、弁護士など「多彩な人」25名程度が参加した。「考える会」は月1回全体会議を開催し、教育に関わるテーマをとりあげて議論していた。・・・」

「学力保障条例が議員提案によるものであったこともあり、教育委員会の条例制定過程への関与は限定的であった。条例を提案した市議達のなかには、釧路市の子どもたちの低学力問題をめぐって、教育委員会の姿勢への不信が明らかに見られた。また、議連が提案した条例案に関する、教育委員会との協議が充分に行われなかったため、条例の目的と内容理解に関する共通理解が得られたとは言えない。市議会における条例審議で中心的な論点になっていた、学力の定義とテスト結果の公表に関して、少なくとも千葉教育長は批判的な意見を有している。学力保障条例と教育進行基本計画の関係についても、月田市議と千葉教育長の理解には齟齬が見られることから、今後、両者(基礎学力保障条例と教育進行基本計画)が実施されるに当たって種々の問題を生じさせる可能性を孕んでいると言えよう。」
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  「考える会」のメンバーの活動エリアは広い。
■ 「子ども未来塾」
■ 「寺子屋」
■ 「FM放送番組」(会員が交代で教育問題を議論。レギュラー番組)
■ 「年次提言書」作成

<強力な磁場の発生とネットを通じた盛んな議論>
 メンバー相互の意思疎通はネットに専用掲示板をもって活発にやっている、だから、根室にいる私も常時議論に参加している。教育に関するブログを開設しているメンバーも数名いるから、文章での意見交換には手間がかからない。毎日定例会議を開いているようなもので、具体的な問題が日々検討されている。だから、提言書をまとめるスピードが大きい。もちろん、提言書のまとめにはそれを担当したメンバーが仕事のできる男だったからということが大きい。
 ネットと現役の仕事人という組み合わせがあったから、数ヶ月で提言書がまとまった。メンバーのリテラシー能力が物を言った。他にも数人キー・マン(キー・ウーマン)となった人たちがいる。どうしてこれだけの人材が集まったのか不思議でならない、まるで強力な磁場に吸い寄せられるように教育改革という仕事に必要な人材がいたのである。三木さんと月田さんが磁場の中心にいた。

<議連と考える会の共通メンバーが接着剤となっている>
 月田市議は東京品川区の学校や秋田県下の学校数校を取材調査してブログに調査報告書をアップしている。釧路の子どもたちの学力とその周辺の問題を整理して基礎学力条例に結実させた。だから具体的で現実的な条例になったといえる。
 金安潤子市議(ニックネーム"ジャンヌダルク")も「考える会」のメンバーであり、市議会では教育問題の議論で重要な役割を果たしている。市議会での教育長への質問が、旗を掲げたジャンヌダルクを髣髴とさせる。
 それぞれの分野に複数の人材がいて、日々具体的な議論を重ねているということが、この会の強みだろう。
 わたしは上場企業あるいは上場の努力をして後に上場を果たした企業3社で経営管理と統合システム開発、子会社経営などの仕事をした、社内・社外プロジェクトもあわせて20ほども経験したが、「考える会」は最良の人材が集まったプロジェクトの一つだったと断言できる。たかが18万人の北海道の都市でこれだけの人材が集められるとは私も考えていなかったし、三木さんも考えていなかっただろう。そういう強力なチームが道教文研にも生まれつつある。

<根室の現状と未来について>
 根室にはどうしてこういう会ができないのか不思議だ。地域経済の未来は根室も真っ暗だが、危機意識が希薄。根室の経済諸団体は教育問題についてまるで危機感がないようだ。危機感を強く感じている人が小数いるようだが表面に出てこないのは、これらの経済諸団体の有力メンバーに市政と癒着する企業があるからだろう。そうしたメンバーに「遠慮」が働いて他のメンバーが物を言わなくなる。自分の利害得失を優先して市政にも教育行政にも異を唱えることを避けてしまうようだが、そんなことで町の未来を切り拓くことができるわけがないのは誰でもわかっていることだ。
 根室の旧弊・悪弊の一部のまま消えてなくなるのを座して待つのでは情けない。旧弊・悪弊と戦う意志をもった人がいくつかの経済諸団体のトップに就任することを願う。
 このままでは人口が1万人減少して1.8万人になる2040年には地元企業の半数が経営破綻で消滅しまう。いでよ、パトリオット*。


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【余談】
*パトリオット、パトリオティズムについては以下の弊ブログ参照。
 #1029 『現代語訳 帝国主義』幸徳秋水著・遠藤利國訳
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-05-16

 #1030 nationalism とpatriotism :遠藤利國訳・幸徳秋水『帝国主義』
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-05-17


 ―以下一部抜粋―

#1029より⇒
 ロシア革命のさ中の高揚の中で我が田に水を引く論を展開したレーニンと、透明な知性で私利私欲を離れて日本的情緒で経済を観察した幸徳秋水の、いずれの論が正鵠を射ていたかは今日の状況から明らかだろう
 自己や自己の属するの集団の利益を頭の隅のどこかでチラとでも考えたら、その途端に目が見えなくなるものであるらしい。ケチな根性で経済を観察しても、大事なところで論を誤るものであることは注意したい
 資本主義化が遅れたロシアで革命が起こり、70年後に行き詰ったのは共産主義経済の方であった。だが、物質的欲望の拡大再生産装置である資本主義もまた環境問題を中心に行き詰まりをみせている

#1030より⇒
 前回のブログ*で遠藤利國訳・幸徳秋水著『帝国主義』を採り上げたが、そこにナショナリズムとパトリオティズムは異なる概念であると書いた。
 数学者藤原正彦のナショナリズムとパトリオティズムの二つの用語の使い分けについて『国家の品格』から該当箇所を引用して補足しておく。「愛国心」ではなく「祖国愛」を 私はいつぞや、アメリカ人の外交官に「お前はナショナリストか」と訊いたことがあります。そうしたら、「オー・ノー」と否定されました。そこまではよかった。 ところが「パトリオットか」と訊いてしまった。そしたら「もちろんだ」といって今度は怒り始めた。自分が生まれ育った祖国の文化、伝統、自然、情緒をこよなく愛することは、当たり前中の当たり前である。外交官でありながら、そんな質問をされたことを侮辱ととったのです。明治になってから作られたであろう愛国心という言葉には、初めから「ナショナリズム」(国益主義)と「パトリオティズム」(祖国愛)の両方が流れ込んでいました。明治以降、この二つのもの、美と醜とをないまぜにした「愛国心」が、国を混乱に導いてしまったような気がしまこの二つを峻別しなかったため、戦後はGHQの旗振りのもと、戦争の元凶としてもろとも捨てられてしまいました。わが国が現在、直面する苦境の多くは、祖国愛の欠如に起因するといっても過言ではありません。・・・ 私は愛国心という言葉は、意識的に使いません。手垢にまみれているからです。そのかわりに「祖国愛」という言葉を使い、それを広めようと思っています。言葉なくして情緒はないのです。(藤原正彦著『国家の品格』114ページ) 『国家の品格』が260万部も売れているのは単なる流行だけではなく、しっかりした論が展開されているからだろう。 

 手元にある辞書2冊をみると定義は次のようになっている
Nationalism: 2 a great or too great love of your own country
Patriotism: When you love your own country and are proud of it
     (Cambridge Advanced Learners Dictionary)

Nationalism: 2 the belief that your nation is better than other nations
Patriotism: strong feelings of love, respect, and duty towards your country
     (Macmillan English Dictionary)

 ナショナリズムはtoo great love of your own country(度を越した祖国愛)だったり、他国を省みない排他的なニュアンスがあるが、パトリオティズムにはそういう負のイメージはなく、生まれ育ったホームタウンへの素朴な郷愁や誇りにすぎない。しかしそれも程度問題で、容易に排他的愛国主義(ジンゴイズム)へと転化しかねない危うさももっている。
 Patriotism can turn into jingoism and intolerance very quickly. 

・・・・・
 さて、訳者はパトリオティズムについてどのように考えているのかメールで訊いてみたので、彼の解説を披露したい。遠藤はラテン語に詳しいから、語源学的な話しを交えた解説は話しを面白くする調味料の役割をするはずだ。大学生や高校生には勉強の仕方について示唆を与えてくれているに違いない。
 以下はメールからの引用である。

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藤原氏の「峻別して使う」という話はもっともです。patoriotはギリシアの都市国家の時代から使われていた語で父祖の地、あるいは国というような意味ですから、祖国愛というのであれば良い訳語ですね。nationはラテン語系統で血筋とか出生等を意味する言葉ですが、ローマ人が祖国愛というような意味合いで使う時は、patoriotを使ったようです。nationalismという言葉は近代になってからの言葉なのでしょう。 もっとも秋水は愛国主義の語にパトリオチズムのルビを振っているので困ってしまうのですが、おそらくジンゴイズムとかショービニズムとの区別を、あるいは語そのものを知らなかったのかもしれません。藤原氏の引用された文の中に「明治の人達はこの区別を曖昧にした云々」とありましたが、曖昧にしたのではなく知らなかったというのが実情でしょう。なにしろ戦国の遺風そのままの感覚で西欧と向き合ったわけですから、「やるか、やられるか」以外に判断の基準があるとは思わなかったのでしょう。「ほととぎす」でも引用した樺山海相の蛮勇演説も、漢語が混じっているので意味が不鮮明になっていますが、簡単な話がヤクザのミカジメ料を脅し取るときのセリフ、「ここでノウノウと商売できるのは誰のお蔭だ」と同じですから、当然、言われた方も「やるか、やられるか」の感覚で大騒動になったわけです。この区別が分っていたのは福沢諭吉ぐらいなものでしょう。
……
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 #2297 地域医療対話(5): 旧弊の再生産とは?
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-05-14

 #2296 地域医療対話(4): 経営の問題点がよくわかる一覧表
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-05-12-3

 #2295 地域医療対話(3):非常勤医が増える仕組み
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-05-12-2

  #2291 地域医療対話(2) 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-05-10-1

  #2290 地域医療対話(1)
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-05-10

  #2287 「いまいる常勤医を大切にせよ」:市立根室病院の経営改善
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-05-07-2

  #2286 市立根室病院『改革プラン(改訂版)』と実績対比
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-05-07-1

  #2285 市立根室病院『改革プラン(当初計画)』と実績対比
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-05-06

 #2283 市立根室病院損益推計:7年後は年額22億円に赤字拡大か?
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-05-04

 #2269 衝撃!根室市の人口推計値 :とまらぬ人口減少
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-04-21

 #2272 根室 「57年間の人口推移+27年間の推計一覧表」
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-04-23-1

  #2247 根室市予算案をチェックする(6): 補助9億円「高すぎる」
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-03-19

 #1901 根室市の人口2.9万人割る
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-04-11

  #1555 根室の人口減少とビジョン:縮小を前提にビジョンを作ろう
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2011-06-15

 #043初夢でみた医師不足解消
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2008-01-08

 #37市立病院はほんとうに黒字か?…(2)
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2007-12-29

 #33わが町の医療の現状と展望(1)
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2007-12-27



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#2839 中学校の授業進捗管理大幅改善! Oct. 15, 2014 [63. チャレンジ(教育)]

 数学の授業進捗がどうなっているのかチェックしてみた。
 中2はB中学校は90ページ、「平行線と角」の章の「多角形の内角と外角」。
 C中学校が96ページをやっている。
 中2の教科書は162ページあるから、2月中旬頃には教科書全部を終了している。総復習を少しやれるだろう。

 中3のB中学校は「相似の利用」126ページをやっている。このペースだと1月中に202ページ全部を終了できる。
 A中学校は昨年5教科全部を1月末までに終了したから、今年も同じペースでやっているのだろう。
 2年前とは様変わりだ、中学校の先生たちは教科書全部をきちんと終わらせるのが当たり前になった。これならすっ飛ばし(年が開けたら消化ペースを2倍に上げて無理矢理終わったことにする)はナシだ。
 すごい進歩だ、市街化地域の3中学校の数学担当の先生たちに敬意を表したい。当たり前のことを当たり前にやるのが案外大変なのだが、いったん軌道に乗せてしまえば、翌年からは努力しなくても自然にそういうペースで授業をすることになるから不思議だ。

 北海道教育委員会も授業進捗管理をきちんとやるように後押ししていた。こういうことを一つ一つ丁寧にやり遂げ、積み重ねていくことで生徒の学力をあげて、全国学力テストで全部の中学校が全国平均を超えてもらいたい。

 いろいろあったが、授業の進捗管理をブログで取り上げるきっかけをつくってくれたのは、進捗管理がルーズだった母校のA中学校。
 その後、5教科全部を1月中に終了するように管理してくれた教頭は他の学校へ転任している、この先生に感謝だ。結果よければすべてよし。

 他の科目も大丈夫だろう。

 ■ 正直に誠実に、渾身の力で仕事に取り組む

 ありがとう。
 ますますがんばれ、根室の先生たち。
 お母さんたち、よくやってくれている先生には照れずに一言、ありがとうと声をかけたらいい。

 台風19号が崩れ温帯低気圧になって通り過ぎていった。3時間ほど風雨が強かった。気温は9度まで下がっている。

*ブログ「情熱空間」より
「教科書を終えられないことは債務不履行そのものである!」
http://blog.livedoor.jp/jounetsu_kuukan/archives/7586551.html

**「●ストップ・ザ・学力低下」
第61回(2014.08.05放送、教科書の進度について、三木)
http://www002.upp.so-net.ne.jp/singakukouza/stopgakuryoku61.html



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#2832 学校でみんなとやるべきこと、一人でやらなければならないこと Oct. 10, 2014 [63. チャレンジ(教育)]

 学校の授業でやるべきことと、家で一人でやらなければならないことをはっきりわけよう。
 ブログ「情熱空間」がなにをどのように分けたらいいのか、要点をまとめてくれているのでお読みいただきたい。

ブログ「情熱空間」より
http://blog.livedoor.jp/jounetsu_kuukan/archives/7565775.html
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2014年10月08日

全部は教えない(お次の課題)

全部は教えないこと。子どもの学習指導に大切なことです。塾などは詰め込みの最たるもの。世間一般にはそう思われているのかも知れませんが、意外や意外、特に個別指導ではそうなんです。(その点、一斉指導の場合はやはり「教え込み」になってしまいますけれど)子どもの学力を高める秘訣。それは、教えすぎないこと。子どもにやらせるべき部分を、残しておく、ちゃんと取っておく。そうしたことです。

さて、話は変わって部活動。最近、家の前で縄跳びをしたり、バットを持って素振りをしたり、子ども同士でキャッチボールをしたりと、そうした風景をまるで見かけなくなりましたよね。中高年がスポーツジムに通い汗を流す。なにやらそれがオーバーラップするような気がしています。こういうことです。本来、家で一人でできる運動。それもスポーツジムで消化しているように、子どももまた、準備体操や基礎練習を含め、部活動の中ですべてを消化している。

これ、効率が悪いし、学習指導において教えすぎないこと、つまり「自分でやるべきところ」「自分でできるところ」までをも指導してしまっているのと同じで、長い目で見たならマイナスに作用しているって思うんです。団体競技。各自がそれぞれ基礎練習を積んで、それで練習に臨むのが効率的ですよね。しかし、それをも組み込んでしまったなら、そりゃ練習は長時間に及んでしまうものでしょう。

単に覚えるだけ。繰り返して習得するのみ。子どもの勉強にはそうした部分が大きなウェイトを占めています。漢字の書き取りや読み、筆算のしかた、理科や社会科の用語(一問一答)、英語の単語、等々。そうした部分は、家で消化して定着するように「仕向ける」べきなんです。ただ、ここで問題となるのが、例の問題解決学習なんですね。

私も、合格先生と同様、問題解決学習が100%悪いとは思っていません。でも、教える側にちゃんとした力が備わっていて、そしてそれが有効に作用する箇所でのみ、あくまでピンポイントで用いるべきものなんです。そして、それ以前の大前提。子ども達に、それに耐えうるだけの学力が備わっていることが必要。だから、多くの場合は無意味なんです。アメリカの大学で始まった教授法、それを日本の小中学生にあてはめようとしても土台無理ってなものです。

さらには、何度も何度もしつこいくらいに繰り返して定着させるべき部分、九九はその代表ですが、そうした部分はしかし、家での消化に頼っては絶対にいけません。ところが現在では、その九九すらも「家に帰って、家の人と一緒に練習して覚えなさい」などと、丸投げ状態が横行しています。それはまさにルール違反。しかし、そのルール違反を誰も咎めない。それ、学校から家庭に移管(?)しちゃ、絶対にイカン(遺憾)ですってば!

で、言いたいこと。教えるべきはきちんと教え、自力でやらせるべきはやらせる。だだし、家庭への丸投げは厳禁。そこにある程度の線引きが必要なんです。しかし、傍から見る限りにおいては、その両方(教えるべきはきちんと教え、自力でやらせるべきはやらせる)をやろうとして結果として「虻蜂取らず」になっているか、「双方を子どもに丸投げ」する形で問題解決学習に頼っているかで、いかにもバランスがよろしくないと、そう思うんです。

学年が下のうちは、それ(教えるべきはきちんと教え、自力でやらせるべきはやらせる)はほとんど一緒ですが、上になるに連れ、シビアに線引きをすべきものなんですね。しかし我が釧路では、そうした部分の見通しがまだまだ甘い。自力でやらせるべきを、そうさせていない。だから、演習量がまるで足らなくなる。だから、応用部分へと進めない。だから、教科書の消化すらままならない。だから、B問題の得点力がついてこない。だから、上位層も伸びない。そう思います。

ただ、こうしたことは、少し前までなら理解できる方、理解しようとする方がほとんどいない状態でした(笑)が、今ではそうした議論が一部で成立するようになってきました。それはそれで歓迎すべきことだと思っています。教えるべきはきちんと教え、自力でやらせるべきはやらせる。部活動にせよ勉強にせよ、お次の課題はここでしょうね。その段階に踏み込めたなら、学力回復は達成したも同然です。というわけで、合格先生のコラムです。

●「指導」と「自力」
http://www002.upp.so-net.ne.jp/singakukouza/jijimonndai.html#Anchor-10520

《引用開始》
ラジオで語り尽くせなかった部分

 前項の続きです。実は、自分がラジオで話し切れなかった部分がもう一つ。これを知っていてラジオを聞いてくだされば、内容が納得できると思いますので、ここでフォローをしておこうと思います。

 学習指導であろうが、部活指導であろうが、先生がきちんと教えておかなければならない「指導が必要な部分」と、ここは生徒が自力で出来るから、生徒自身にやらせておこうという「自力で克服する部分」というのが存在します。そして、自力で克服する部分については、なるだけ先生が手をかけずに生徒にやらせる。そのかわり指導が必要な部分はしっかりと指導する。このメリハリが大切になります。

 例えば、野球部で言うと、最初は「基礎体力作り」の方法を教えて、「ランニングの仕方」「素振りの仕方」などを顧問の先生自身がチェックして、きちんと出来るようになったら、後は生徒に「自分で練習してくること」とします。そして、全員が揃った部活の時間では、ウォーミングアップのあと、すぐに様々なローテーションの練習に時間を割き、個人練習可能な時間を残して部活を終了させる。「あとは、おまえ達、自分でやってこい」なんです。

 勉強内容で言うと「漢字の書き取り」「英単語の練習」については、出題するものをあらかじめ教えておいて、自力で練習させ、学校で「漢字テスト」などを行い、きちんと身につけてきたかどうかを確認する。計算については、計算方法を教え、自力で出来るようになったと思われる時期を見計らって、宿題などを出して行く。そうやって出来た時間の余裕を使って、学校では難易度の高い内容に触れていく。

 大雑把に言うとこういう流れでしょうか。そうやって、先生が教えてあげなければならない部分と生徒が自分でやってくる部分をきちんと分けて行くことが必要なんです。そして、自力でできる部分はなるだけ生徒に「自力で克服させる」こと。
 そして、この流れをうまく作ると、例えば、お父さん・お母さんが理想としている「文武両道」が可能になるんです。
 部活が終わって学校から帰ってきたら、自宅の前で素振りをやったり自宅近くをランニングしたり。そして、ご飯を食べてお風呂に入って、今度は家庭学習を行う。効率的な時間の使い方で、部活も勉強もこなせるようになる。お父さん・お母さんの目で見ても「うちの子、部活も勉強も両方頑張っているな」ということが分かるようになるんですね。
 これを全部学校で見ていこうとするとどうしても無理がある。部活で基本の内容までこなしていこうとすると部活の拘束時間が非常に長くなって、結果、勉強に支障がでる。勉強を全部学校で見ていこうとすると、時間が足りなくなり難易度の高い問題に触れられなくなっていく。「裁量問題に対応できません」が当たり前の感覚の教員は、この「指導」と「自力」の区別がついていないんですね。

 さて、自分は過去に「問題解決学習」に触れてきましたが、否定的なことをずっと書いてきたため、「問題解決学習」を全否定しているように思われるかも知れませんが、自分は「全否定」ではないんです。もちろん、生徒が自力で考えることは大切なんです。当然、指導によって「問題」を考えられる状況まで生徒を鍛えておいたあとで行う分に関しては全く問題ありません。
 ただ、上記のように「指導が必要な部分」と「生徒が自力で行える部分」というのがあって、今、学校で行われている「問題解決学習」というのは「指導が必要な部分」も生徒に「自力でやれ」と丸投げなんですね。これではかえって学力を壊してしまいます。これからおそらく話題になるであろう「反転授業」もその類です。

 ですから、今の段階では、自力で出来る「基礎基本の反復練習」や漢字・単語などの「基礎知識習得」は、なるだけ家庭でしっかり家庭で出来るようにしてあげてください。小学校の段階では「漢字ドリル」「計算ドリル」などで練習ということで、構いません。
 そして、指導者にありがちな「すべて自分が面倒を見る」というのは、一見良さそうですが、実はあまり良い指導ではない~部活であっても勉強であっても~ということなんです。ある新聞に、先生の中には「宿題にしたら負け」のような感覚の先生もいる、ということが書いてありましたが、これがあまり良いことではない、というのも分かると思います。
《引用終了》
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<学力分布と階層ごとの指導法>
 集団指導では成績上位(10%)層と成績下位(20%)層が焦点の外側にならざるを得ない。だから、あわせて30%の生徒には個別指導が必要ということになる。
 生徒の学力分布を考慮すれば、焦点の外側の生徒には放課後個別指導をするのがベストの対応ということになる。上位10%の生徒は学校での個別指導は無理、下位20%層は放課後補習しながら個別指導のスキルを磨けばいい。
  成績上位層や中位層の生徒には個別指導では全部は教えない、必要最小限なところまでで説明をやめるとか、ヒントをだすにとどめる。そこから先は生徒が考える、考える余地を残した指導が個別指導の要諦。しかし、成績下位層の生徒には全部教える、しかも繰り返し原則に戻って教える、そうする必要があるからだ。教える生徒の学力に応じて教え方が変るのが個別指導の特徴だ。
(参考までに言うと、学力上位層の生徒は独力で予習をやらせる。予習した範囲でわからなかった問題や事項の質問を受け解説し、授業中は質問以外はひたすら問題演習。学校の授業で使っている教科書準拠問題集と比べると問題の難易度が高い。
 進度が速いから2学年上の問題をやることもある。たとえば数学なら中学卒業までに数ⅡBをやれたら理想的だ。
 英語は高2から英辞新聞を教材に使う。それまでに海外留学の際に語学研修所でつかう中級レベルの文法問題集を終わっておく。そうとうきつい。やりきれば全国模試で偏差値60~70だ。
 中高一貫校(進学校)の中学生は1学年前倒しでやっているケースがほとんどだから、そういう学校の生徒たちと大学受験で互角に戦うには予習方式、問題演習中心で前倒しでやる必要がある。)

 反復トレーニングは原則として家で一人でやるべきだ。そういう習慣付けを小学校低学年でしっかり躾けたい。音読トレーニング、漢字の書き取りトレーニング、短文作成トレーニング、九九、逆九九、計算トレーニングなど。


<生徒の視点、お母さんの視点>
 生徒の視点から書くと、二つ目は集団指導で学ぶべきことと個のトレーニングを峻別するということ。反復トレーニングや速度アップトレーニングは個が家庭学習でやるべき。

 お母さんの視点からみると、その躾けの急所は小学校1年の入学時にある。旬の期間はわずか3年ほどだから、それを逃してはいけない。

 反復トレーニングは原則、個がやるべきこと。最初は集団指導で助けが必要だが、その後の反復トレーニングは一人でやる。たとえば、2年生での九九の朗誦は大きな声で家でやる。九九ができたらこんどは反対から言う「逆九九」が高速で完全に言えるまでトレーニングを積む。ストップウォッチを片手に時間を測ってやればいい。上達を数値で確認できるのがいい。日付と秒数を書き込む表を壁に貼っておいたらいい。
 小5小6では小数や分数計算をたくさんやる。これも10分単位で時間を測って問題をやること。できた問題数で難易度を逆算してみたらいい。基本計算問題だけで難易度が1~5の幅のあることがわかる。つまり、やさしい問題を難易度1とすると10分間で30題、難しい問題だと6題、市販教材ではこれくらいの幅がある。
 中学生になったら、基本計算問題の難易度の幅は1~3くらいかな。基本計算は考えなくてもできるように習熟しておくことが大事。

<おまけ>
 2年間ぐらい珠算を習わせた方がいい。頭の中にそろばんをイメージしてそれを指で動かせるようになる。足し算や引き算の桁上げ桁下げもそろばん珠をイメージすると簡単に高速でできる。そのうえ立体図形の操作を頭の中にイメージを浮かべてできるようになる。


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#2831 勝利の方程式 Oct. 10, 2014 [63. チャレンジ(教育)]

  ブログ「情熱空間」や弊ブログが兼ねて主張してきたことが4項目、箇条書きにまとめられています。
 根室の市街化地域のC中学校が今年度の全国学力テストで国語AとB、数学AとBの四項目すべてほぼ全国平均値にまで到達しました。4年前には全道平均を大きく下回っていました。
 四項目に忠実にやるだけで、三年足らずで全国平均をクリアできることが証明されたと言っていいのでしょう。

ブログ「情熱空間」より
http://blog.livedoor.jp/jounetsu_kuukan/archives/7564178.html
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2014年10月07日

勝利の方程式

学校が子ども達の学力を回復させる、勝利の方程式。

・過度な部活、必要以上にムダに費やしている行事の練習時間を是正する。
・文武両道を貫く。
・放課後補習を実施する。
・勉強のやり方、意義、その重要性を説き続ける。


かねてから主張してきたこと、そのものです。
まず第一に、過度に費やされてきた部活動や行事の練習時間を見直し、それはそれ、これはこれ、文武両道すなわち勉強と部活動に線引きをして、両立を目指す。
勉強についてこられない子に対しては、個別若しくは小集団で面倒を見てあげる。
できたなら、ほめて認めてあげる。
以上を継続し、貫く。
たったそれだけのことです。

授業改善(授業づくり)などと言いますが、以上を徹底しているうちに、そうしたものは自然と改善されるものです。
アウトプットが足らない。
だからインプットもままならない。
その点、子どもの勉強と同じでしょう。
授業と補習を繰り返していると、やがて自分の授業のウィークポイントが見えてきます。
進度の問題、難易度の問題、教え方の問題、伝える技術の問題、演習量の問題、etc…。
そうして、色々と分かってくるものです。
その段階に至って、教えることが真に「楽しい」と思えるようになるものでしょう。

問題解決学習では学力がつかないこと。
分かりやすい授業に徹しても、やはり学力が定着しないこと。
勉強の規範意識といったものが重要であること。
「分かる」と「できる」こそが両輪であること。
そして、面倒を見てあげると子どもが喜び、自分も嬉しいこと。
そうやって、《善の循環》に入ること。

真理は常にシンプルなんですね。

《追記》
元学校教員、科学者Sさんのご意見です。
まったくもって同感。
それに徹したなら1年でモノになるし、やらなけりゃ5年経っても半人前なんです。

授業改善(授業づくり)などと言いますが、最初から大それたことは考えず、先ずは教科書を指導書通りに、すべての単元、すべての教材、すべての問題をやってみる。意外とそれが近道なんです。
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*#1307 教育再考 根室の未来 第2部 低学力④:荒れる中学校 Dec.19, 2010 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-12-19-1

 #2828 ほぼ全国平均値のC中学校は4年前は全道平均を大きく下回っていた Oct. 6, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-10-06


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#2828 ほぼ全国平均値のC中学校は4年前は全道平均を大きく下回っていた Oct. 6, 2014 [63. チャレンジ(教育)]

 #2826の<余談>に書いたことをことが重大なのでヘッダーをつけて再掲したい。
 C中学校が四月の全国学力テストで「ほぼ全国平均値」だというのである。道教委が全国平均を超える目標を設定して、各市町村教委や学校へ檄を飛ばしている。そうした道教委の方針に忠実な学校運営をして成果を上げたのが市街化地域で一番新しいC中学校だ。
 2014年12月19日の北海道新聞のC中学校現場取材によれば、その年は全道平均を大きく下回っていた。学校は火災報知機が一日に6回も発報するほど荒れていた。授業を抜け出して空き教室で遊ぶ生徒も頻繁にいた。
 そんな中学校がたった4年間でどうしてそんなに学力が上がったのか、なんてことはない、校長先生と先生たちが一緒になって基本に忠実な学校運営をしているのである。
①部活指導の先生たちがそれぞれ文武両道を強調するようになった
②成績下位層の生徒たちを集めて放課後補習をする先生が増えた
③校長が学校通信で毎月文武両道や勉強の大切さややり方を具体的に説明している

 校長は自身の光洋中学校野球部時代の経験を振り返って、中体連の試合で遠征の合間にどういう勉強の仕方をしたのか具体的に語っている。繰り返し勉強が大切であることを具体例を引いたり、読んだ本を引用して噛んで含めるように説明している。
 部活指導の先生が数名、放課後補習をしていることも大きい。部員の中には成績不良の生徒がいる、そうした生徒を放っておかず、放課後補習をするようになった。私の知っている限りでも3名の先生がやっている。
 成績下位層の生徒は勉強をあきらめている。「おれ(わたし)、頭悪いから」「べんきょうぜんぜんわかんないし・・・」。
 小学校4年の漢字を書かせたら半分程度しか書けない生徒が2~3割いる。分数小数の計算のできない生徒が4割近くいる。授業を聴いても、先生のいった言葉を頭の中で正しい漢字に変換できなければ意味が理解できないから勉強が面白いはずがない。方程式や比例をやっても分数や小数の四則演算ができないと計算でつまづき、先へ進めない。九九の特定の段が巧くいえない生徒が4人に1人いる。お子さんに逆九九を言わせて見たらいい。9×9=81から下がって行くのである。小学校で教えない先生が増えているが、これがすばやく言えないと割り算が苦手になる。小を立てるのに数秒かかるのでは実用上お話にならない。
 こういう生徒を放っておいて自然に九九を間違えないようになるのか?自然に分数小数の四則演算ができるようになるのか?漢字が書けるようになるのか?本を読むようになるのか?
 なるわけがない、そういうことにならないように家庭での教育があり、学校教育がある。

 こうすれば荒れた学校で、4年前には全道平均値を大きく下回っていても、たった3年で学力テストの点数が全国平均値までいく。C中学校の先生たちは学校でできる範囲の努力をしているのである。

 わたしは学校別・科目別の平均正答率を公表してほしいと願っている。数値を公表してよいことになれば、学校長が保護者に自分の学校の生徒達の学力がどうなっているのかを具体的に説明できる。そして先生たちの努力を保護者やわたしたち地域社会のメンバーが客観的に評価できる。
 いいものはいい、ダメなものはダメだとわかることが大切だ。

 念のために断っておくが、C中学校でやっていることは全国学力テストの点数を上げることではない。それは結果論だ。
 文武両道の大切さを諄々と純中と生徒たちに説き、学力下位層の生徒の底上げを丁寧にしているだけだ。だが、そのことで生徒達の、とくに学力下位層の生徒達の学力が上がってしまった。
 先生たちはそろって、生徒の学力を上げ、読み書きや計算ができるようになるように補習をすることで勉強への意欲を育てているだけの話だ。しかし、その当たり前のことが学校ではなかなかできない。

  北海道教育委員会は目標を達成した中学校名をホームページ上で公表してその努力を称えてもらいたい。そして著しい成果を上げたC中学校のような学校を表彰して、それぞれの学校がやった学力改善のための具体的な取組を紹介してくれたら、全道の学力アップに寄与するところ大だろう。

「#2826 文武両道:中学女子バレー全道3位、生徒たちの進路はいかに? Oct. 5, 2014 」より引用
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-10-05
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<余談>
 C中学校はN先生だけではない、校長先生も「文武両道」を毎月発行している学校通信で何度も具体的な例を挙げて説明している。学力下位層対象に放課後学習会も実施している。その影響なのか、2年生と3年生の学力テストの平均点が上がってきている。成績下位層の底上げがなされつつあるのかもしれない、ebisuはその成果に注目している。いいところばかりではない、1年生は他の学年に比べてガクンと平均点が低い。どういう手を打つのか楽しみだ。

 9月30日の「第7号」にはネット・トラブルについて事例を挙げて具体的な言及がある。全国学力調査でC中学校が国語AB、数学AB4項目全部がほぼ全国平均値であることが報告されている。こういうやり方なら公表してもどこからも文句はつけられない。C中学校は4年前の学力テストでは全道平均を大きく下回っていた。なんという変りようだ、すごい。
(ebisuは民間企業で予算管理や経営管理をしていたから、数値公表のないのはナンセンスと思っている、文科省は学校ごとの数値公表を学校長の裁量に任せてもらいたい。(笑))

 「敢為和協」は根室高校の校訓、C中学校の校長先生は根高の出身、校訓どおり、直球勝負をしておられる。4年前に北海道新聞がC中学校を取材したときには毎日のように火災報知機が発報し、授業を抜け出し空き教室で遊ぶ生徒が多く、荒れていた。「どこの学校だろう?」と思えるぐらい昔話になりつつある*。
 変えようと思えば生徒の学力も、荒れている学校も変えられる。成績下位層の学力を上げれば、荒れた学校は静かになり、自ら学ぼうという意欲をもつ生徒が増えるんです。「どうせ勉強したってわかんない」と生徒に3年間思わせ続けたら、先生の敗北
 文武両道を生徒たちに具体的に説明し実践、そして学力下位層に放課後学習会を提供し、努力を続けるC中学校の先生たちに敬意を表したい

 【C中学校でやっていること■、これからやること□】 学校通信から
■放課後学習会
□1学年対象:毎週金曜日の放課後、学年所属の6名の教員が手分けして「中学基本定着コース・小学校振り返りコース」
■運動部監督が放課後部員に自分の専門科目や英語・数学を教えている

 学力下位層の生徒たちに運動部の先生が自分の専門科目のみならず、英語や数学も教えている。学力下位層の底上げが、学力向上に役立つだけでなく、荒れてしまった学校を立て直すためにも大事なのである。わかっていても、やっている学校はすくないのが実情だ。
 B中学校も体育系ブカツの監督が学力下位層の生徒に放課後補習をしていたことを承知している。現場の先生たちは学力向上に動き始めている。

C中学校フリー参観授業:10月6日~10日

 昨年はebisuの母校A中学校が3年生の主要五科目すべてを1月末までに教科書をやり終えたことを注記しておく。根室市内では標準スケジュールで1月末までに主要五科目教科書全部を消化しきったのははじめてだったのではないだろうか。いい波紋がそれぞれの学校に応じて形を変えて広がってくれたらいい。
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 北海道新聞根室支局さん、もうすぐ12月だ、もう一度C中学校を取材して、4年間の変りようを取材し、事実をそのまま伝えてもらいたい。A中学校の授業進捗管理も取材してくれたら管内の中学校の先生たちの参考になる。期待している。

*#1307 教育再考 根室の未来 第2部 低学力④:荒れる中学校 Dec.19, 2010 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-12-19-1


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