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#2828 ほぼ全国平均値のC中学校は4年前は全道平均を大きく下回っていた Oct. 6, 2014 [63. チャレンジ(教育)]

 #2826の<余談>に書いたことをことが重大なのでヘッダーをつけて再掲したい。
 C中学校が四月の全国学力テストで「ほぼ全国平均値」だというのである。道教委が全国平均を超える目標を設定して、各市町村教委や学校へ檄を飛ばしている。そうした道教委の方針に忠実な学校運営をして成果を上げたのが市街化地域で一番新しいC中学校だ。
 2014年12月19日の北海道新聞のC中学校現場取材によれば、その年は全道平均を大きく下回っていた。学校は火災報知機が一日に6回も発報するほど荒れていた。授業を抜け出して空き教室で遊ぶ生徒も頻繁にいた。
 そんな中学校がたった4年間でどうしてそんなに学力が上がったのか、なんてことはない、校長先生と先生たちが一緒になって基本に忠実な学校運営をしているのである。
①部活指導の先生たちがそれぞれ文武両道を強調するようになった
②成績下位層の生徒たちを集めて放課後補習をする先生が増えた
③校長が学校通信で毎月文武両道や勉強の大切さややり方を具体的に説明している

 校長は自身の光洋中学校野球部時代の経験を振り返って、中体連の試合で遠征の合間にどういう勉強の仕方をしたのか具体的に語っている。繰り返し勉強が大切であることを具体例を引いたり、読んだ本を引用して噛んで含めるように説明している。
 部活指導の先生が数名、放課後補習をしていることも大きい。部員の中には成績不良の生徒がいる、そうした生徒を放っておかず、放課後補習をするようになった。私の知っている限りでも3名の先生がやっている。
 成績下位層の生徒は勉強をあきらめている。「おれ(わたし)、頭悪いから」「べんきょうぜんぜんわかんないし・・・」。
 小学校4年の漢字を書かせたら半分程度しか書けない生徒が2~3割いる。分数小数の計算のできない生徒が4割近くいる。授業を聴いても、先生のいった言葉を頭の中で正しい漢字に変換できなければ意味が理解できないから勉強が面白いはずがない。方程式や比例をやっても分数や小数の四則演算ができないと計算でつまづき、先へ進めない。九九の特定の段が巧くいえない生徒が4人に1人いる。お子さんに逆九九を言わせて見たらいい。9×9=81から下がって行くのである。小学校で教えない先生が増えているが、これがすばやく言えないと割り算が苦手になる。小を立てるのに数秒かかるのでは実用上お話にならない。
 こういう生徒を放っておいて自然に九九を間違えないようになるのか?自然に分数小数の四則演算ができるようになるのか?漢字が書けるようになるのか?本を読むようになるのか?
 なるわけがない、そういうことにならないように家庭での教育があり、学校教育がある。

 こうすれば荒れた学校で、4年前には全道平均値を大きく下回っていても、たった3年で学力テストの点数が全国平均値までいく。C中学校の先生たちは学校でできる範囲の努力をしているのである。

 わたしは学校別・科目別の平均正答率を公表してほしいと願っている。数値を公表してよいことになれば、学校長が保護者に自分の学校の生徒達の学力がどうなっているのかを具体的に説明できる。そして先生たちの努力を保護者やわたしたち地域社会のメンバーが客観的に評価できる。
 いいものはいい、ダメなものはダメだとわかることが大切だ。

 念のために断っておくが、C中学校でやっていることは全国学力テストの点数を上げることではない。それは結果論だ。
 文武両道の大切さを諄々と純中と生徒たちに説き、学力下位層の生徒の底上げを丁寧にしているだけだ。だが、そのことで生徒達の、とくに学力下位層の生徒達の学力が上がってしまった。
 先生たちはそろって、生徒の学力を上げ、読み書きや計算ができるようになるように補習をすることで勉強への意欲を育てているだけの話だ。しかし、その当たり前のことが学校ではなかなかできない。

  北海道教育委員会は目標を達成した中学校名をホームページ上で公表してその努力を称えてもらいたい。そして著しい成果を上げたC中学校のような学校を表彰して、それぞれの学校がやった学力改善のための具体的な取組を紹介してくれたら、全道の学力アップに寄与するところ大だろう。

「#2826 文武両道:中学女子バレー全道3位、生徒たちの進路はいかに? Oct. 5, 2014 」より引用
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-10-05
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<余談>
 C中学校はN先生だけではない、校長先生も「文武両道」を毎月発行している学校通信で何度も具体的な例を挙げて説明している。学力下位層対象に放課後学習会も実施している。その影響なのか、2年生と3年生の学力テストの平均点が上がってきている。成績下位層の底上げがなされつつあるのかもしれない、ebisuはその成果に注目している。いいところばかりではない、1年生は他の学年に比べてガクンと平均点が低い。どういう手を打つのか楽しみだ。

 9月30日の「第7号」にはネット・トラブルについて事例を挙げて具体的な言及がある。全国学力調査でC中学校が国語AB、数学AB4項目全部がほぼ全国平均値であることが報告されている。こういうやり方なら公表してもどこからも文句はつけられない。C中学校は4年前の学力テストでは全道平均を大きく下回っていた。なんという変りようだ、すごい。
(ebisuは民間企業で予算管理や経営管理をしていたから、数値公表のないのはナンセンスと思っている、文科省は学校ごとの数値公表を学校長の裁量に任せてもらいたい。(笑))

 「敢為和協」は根室高校の校訓、C中学校の校長先生は根高の出身、校訓どおり、直球勝負をしておられる。4年前に北海道新聞がC中学校を取材したときには毎日のように火災報知機が発報し、授業を抜け出し空き教室で遊ぶ生徒が多く、荒れていた。「どこの学校だろう?」と思えるぐらい昔話になりつつある*。
 変えようと思えば生徒の学力も、荒れている学校も変えられる。成績下位層の学力を上げれば、荒れた学校は静かになり、自ら学ぼうという意欲をもつ生徒が増えるんです。「どうせ勉強したってわかんない」と生徒に3年間思わせ続けたら、先生の敗北
 文武両道を生徒たちに具体的に説明し実践、そして学力下位層に放課後学習会を提供し、努力を続けるC中学校の先生たちに敬意を表したい

 【C中学校でやっていること■、これからやること□】 学校通信から
■放課後学習会
□1学年対象:毎週金曜日の放課後、学年所属の6名の教員が手分けして「中学基本定着コース・小学校振り返りコース」
■運動部監督が放課後部員に自分の専門科目や英語・数学を教えている

 学力下位層の生徒たちに運動部の先生が自分の専門科目のみならず、英語や数学も教えている。学力下位層の底上げが、学力向上に役立つだけでなく、荒れてしまった学校を立て直すためにも大事なのである。わかっていても、やっている学校はすくないのが実情だ。
 B中学校も体育系ブカツの監督が学力下位層の生徒に放課後補習をしていたことを承知している。現場の先生たちは学力向上に動き始めている。

C中学校フリー参観授業:10月6日~10日

 昨年はebisuの母校A中学校が3年生の主要五科目すべてを1月末までに教科書をやり終えたことを注記しておく。根室市内では標準スケジュールで1月末までに主要五科目教科書全部を消化しきったのははじめてだったのではないだろうか。いい波紋がそれぞれの学校に応じて形を変えて広がってくれたらいい。
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 北海道新聞根室支局さん、もうすぐ12月だ、もう一度C中学校を取材して、4年間の変りようを取材し、事実をそのまま伝えてもらいたい。A中学校の授業進捗管理も取材してくれたら管内の中学校の先生たちの参考になる。期待している。

*#1307 教育再考 根室の未来 第2部 低学力④:荒れる中学校 Dec.19, 2010 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-12-19-1


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ZAPPER

C中学校にA中学校、ご立派です!
お見事です!
ぜひ、軽く釧路の学力など抜いてしまってください。

釧根は家庭環境がよろしくない。
だから学力が低い。
故に、学校ががんばっても学力は上げられない。
学力が高い中学校と低い中学校、双方の教師を総入れ替えしても多分、学力は上がらない。

そうしたことをのたまっている大学教授を、ギャフンと言わせてください。
いや、結果を見せつけて、そして隠居に追い込んでください。
by ZAPPER (2014-10-06 20:30) 

ebisu

ZAPPERさん

4年前の新聞記事を改めて読んでみてその変化の大きさに驚かされます。
先生たちの対応の仕方でこんなに学力が上がり、荒れた学校が平穏になるんですね。

やったことは基本的なことばかり、しかもたったの3項目です。

校長先生が(光洋中学野球部での)自らの経験に基いた勉強の仕方や、勉強の大切さをさまざまな本から引用して、毎月発行している学校通信で諄々と説いていることも挙げておきたい。抽象論では人は動かない、具体論で語ることが大切。

あわせてたったの四項目を愚直にやり続けるだけで全国平均にもっていった。来年は全国平均値を超えるでしょう。

でも油断は禁物、再来年が大きな課題です、中学校だけではどうにもならない壁が待ち受けています。問題があるのは中学校だけではなかった、同じ学区の小学校にも解決すべき問題点があります。それがいまはっきり見えてきています。
生徒の学力を恒常的に上げるために小学校の先生たちと連携せざるをえなくなります。すでにC中学校と同じ学区の小学校の先生たちは定期的な話し合いを始めているようです。
問題点が具体的になれば話はシビアになります。いくつかのシビアな要求を中学校の先生たちが小学校の先生たちにすることになるでしょう。いつまでに、だれが、なにを、どのようにやるのか、そして結果の検証をどのようなタイミングでやるのかが決められることになるのでしょう。

こういうときに具体的な学力テストデータがあればずいぶん役に立ちます。学校別・科目別・クラス別のデータがこういう仕事には不可欠です。データに基いた実りある学力改善議論をしてもらいたい。

by ebisu (2014-10-06 23:42) 

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