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#2870 根室の中学生の学力の現状(2):C中学校  Nov. 16, 2014 [63. チャレンジ(教育)]

<基礎学力を上げれば荒れた学校が平常に復することを証明したC中学校>
  このシリーズ2回目はC中学校をとりあげる。春に行われた全国学力テストでほぼ全国平均を達成した中学校である。数年前にはひどく荒れていたので学力が低下していた。北海道新聞が2010年12月に取材している、弊ブログ#1307でとりあげた。毎日何度も火災報知機が発砲し、授業を抜け出して空き教室で遊ぶ生徒たちもいた。
 ここの2年ほど学校の先生たちが変り始めた。校長先生が学校通信で繰り返し文武両道の大切さとブカツをやりながらどうやれば勉強も手を抜かないでがんばれるか、光洋中学野球部時代の自身の体験を交えて生徒に伝えている。ブカツを担当する先生たちも文武両道の大切さを明言するように変った。そして学力不振の生徒たちを集めて放課後補習をやっている。一部の先生ではなく、校長や教頭がバックアップして学校として取り組んでいる。こうすれば学力は上げられる。
 たとえば圧力の計算が苦手な生徒が多いが、理科の先生が計算問題プリントを作って、弱点克服の補習をしている。みんなが苦手な分野はそれぞれの教科の先生たちは普段のテストでよくご存知だ。こういうトレーニングを繰り返すと効果が大きい。3分野もやればその教科の平均点が十数点上がる。
 学校が荒れるのと生徒の学力テストの点数は相関関係が強い。C中学校火災報知機が発砲するようなことはなくなった。放課後補習で勉強がさっぱり分からなくて授業を受ける気のない生徒が減少したことも学力向上に寄与している。

<データは語る:論より証拠>
 データがあった分だけ並べるのでご覧ください。

  2014年2012年2011年2010年2006年2005年
4月学テ149.9134.9120.0121.6  
総合A131.2115.40.0108.3113.6131.6
総合B130.70.0114.0116.7117.7126.0
総合C136.7122.1118.0105.8121.7133.4
合計548.5372.4352.0452.4353.0391.0
平均137.1124.1117.3113.1117.7130.3


 2005年だけ点数が高いのは理由があるので後で述べる。2005年を除くとおおむね110点台である。それが昨年と今年が逓増している、いい傾向だ。学校の先生たちが変れば、普段やっている学力テストの平均点が2年間で17%、20点ほど上げられることが証明されたのではないだろうか。

<全国学力テストで点数を17%アップできたら、全国平均を追い抜く>
 17%アップはたいしたことないと考える人はこの表を見てもらいたい。

#2859より引用
*http://www.city.nemuro.hokkaido.jp/dcitynd.nsf/image/9ebe7710315e8ac149257aec000a715c/$FILE/%EF%BC%A826gakuryokutesutokekka.pdf
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2014年全国学力テストの根室市と全道、全国の平均正答率
 国語A国語B数学A数学B平均
小学6年生根室市71.451.474.350.762.0
 北海道71.852.975.855.263.9
 全国72.955.578.158.266.2
中学3年生根室市78.045.962.855.860.6
 北海道79.449.966.059.463.7
 全国79.451.067.459.864.4
*小学校は「数学」ではなく「算数」である。    

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 全国学力テストで根室市と全国の平均の差は正答率で小学生は4.2、中学生で3.8だ、1割正答率がアップしただけで、6+になるから全国平均を超えてしまう
 学校が文武両道を生徒に伝え、放課後補習を三年間繰り返したら、学力下位層の底上げができて平均点が17%上がれば全国平均を大きく超えてしまうだろう。
 
たとえば、中学生の国語AとBが17%アップすると
  78.0 ⇒91.2 (79.4)・・・カッコ内は全国平均値
  45.9 ⇒53.7 (51.0)
 数学AとBは、
  62.8 ⇒73.4 (67.4)
  55.8 ⇒65.3 (59.8)
 これら4科目の単純平均値
  60.6 ⇒70.9 (64.4)

<根室の活性化は教育から:医師も子どもの教育のために集まってくる>
 全国平均を大幅に超えてしまう、根室市内の他の学校でもやればいい。全道に先駆けてこういうことを地道にやれば、子どもの教育のために根室に転勤したいという人が出てくる。子どもを医大に進学させたいので、根室の病院で働きたいという医師も出てくるかもしれない。根室の活性化は教育分野からもアプローチできる。

<先生の授業技倆と生徒の躾が学力を左右する大きなファクター>
 小学校では家庭の躾けがとくに悪い生徒が数人いて、同時に担任の先生の授業技術が劣る場合は学級崩壊するリスクが増大する
 2007年度も平均点が高かったはずだが、データがない。この年に中学3年生だった生徒たちはいま大学4年生である。

<3年生の学力上位層は全国レベルではどの程度か?>
 せっかくつくったので学力テスト総合Cの階層別内訳表をご覧に入れる。

 総合C
人数

   

281-3000  
261-2800  
241-2600  
221-2402  
201-2203510.6
181-2002  
161-18010  
141-1605  
121-1406  
101-12093268.1
81-1002  
61-805  
41-603  
0-4001021.3
合計4747100.0


 先ほど散歩したら学校帰りの高校生が何人も歩いていた。今日は進研模試の日だ。進研模試は全国の公立高校普通科の生徒の半数以上が受験している。文協学力テストで五科目合計点数が200~230点の辺りで高校生になったときの全国模試の偏差値が50付近である。
 高校での成績がそのまま伸び悩むとすれば、C中学校では偏差値50(真ん中のレベル)前後の学校に一般入試で入学できるのは2人ということになる。偏差値45~50の大学へはおおよそ200点を超えていなければならないから、この階層には3人いる。
 こうしてみると学力テストの平均点が一番高かったC中学校で偏差値45以上の大学受験ができるのはたった5人、市街化地域の3校合計でも10~12人程度だ。根室高校が夏休みや冬休みや春休みに進学講習を繰り返すだけでなく、長期休暇以外にも進学講習を繰り返している理由がわかる。中学校のときに五科目合計点で200点前後の生徒を偏差値50以上の学校へ進学させたいからで、高校の先生は大学進学実績で高校のレベルが評価されるから必死だ。高校のレベルが評価されるということは、自分たちの能力も「全国基準」で間接的に評価されているということ。

 C中学校では小樽商大クラスの大学へ一般入試で合格できる生徒は今年の3年生ではゼロ。大学受験用の塾は根室ではもうビジネスとして成立たないことがわかる。人口減少と学力低下のダブルパンチが根室の現状だ。

 学力下位層のほうも見てみよう。300点満点で得点120点以下の成績下位層は10人、21.3%いる。500点満点だと166点以下ということになるが、8月27日の学力テストでは2年生は6人で14.3%、1年生は19人で35.8%。
 C中学校は1年生に何か大きな問題がありそうだ。

<C中学校のデータから言える学力アップの方法>
 学力を上げる要素は少なくとも二つある。
■ 学力の低い生徒に放課後補習をする
■ 家庭は小学校低学年でこどもを厳しく躾ける

 家庭で躾けたいのは次の六項目
○ 正しい鉛筆のもち方
○ 勉強するときの正しい姿勢
○ やらなきゃならないことは嫌でもやらせる
○ 大人や年長者に対する言葉づかい
○ 「読み・書き・そろばん(計算)」を毎日やらせ、速度を上げる
○ 読書をさせる、とくに大人の本へのレベルアップを意図的にやる
○ 文武両道、勉強が第一、ブカツは二番目とはっきり言う

 こういうことをしなくても、自らやる子どもは10%くらいはいるが、残り90%は躾けないとこうしたことが身につかない。
 躾は学校へ入学前に厳しくやろう。きちんとしつけたら、中学生になってからは緩めるくらいがいい。自我の芽生えた中学生や高校生にあまり厳しく躾けたらいろいろ問題(副作用)が起きる可能性が高い。

<「読み・書き・そろばん(計算)」技能の速度アップが学力改善の鍵>
 勉強量=読み・書き・計算速度×時間
 時間は万人に平等で一日24時間、勉強量をアップするには読み・書き・計算の速度アップトレーニングが有効。
 次の回で詳述するが、学力の低い子は小学生から漢字検定試験を受けさせるべきだ。本を読まないから語彙が貧弱で、読めない漢字が多い。書けないのはもっと多い。
 語彙力が貧弱で授業で先生が使う言葉が理解できない(4年生程度の漢字の読み書き能力)の生徒が)が各中学校に15%~30%もいる。「読み・書き・そろばん(計算)」トレーニングを毎日やらせて、処理スピードを上げよう。書く速度や計算速度が異常に遅い生徒も増えている。標準速度の半分以下の生徒は板書をノートに写せない。


<余談>
 ところで2005年の学力テストの平均点が高かったのは思い当たることがある。塾を開いた12月にこの学年の生徒は小学6年生だった。小学生はしばらく教えないつもりだったがあるお母さんから相談があった。塾に通っているけど算数の文章題が零点だったのですぐに教えてほしいという。そのクラスは3人になった。3人とも同じ学校で同じクラスだったが、塾で勉強しているときは私語をしない。きちんと問題演習をしている。家庭のシツケがとてもよくできていた。三人とも学力が急激にアップしたのは授業の集中力が高かったからで、それを背後で支えていたのは小学校6年間の親のシツケだっただろう。算数の文章題が零点だった生徒が一番成績がよくなった。負けん気の強い女の子で中学時代は学年5~8番位/85人をキープしていた。一人は東京六大学の一つに推薦入学し、一人は北海学園へ、もう一人は看護学校へ進学した。あの生徒たちの頃に比べると、根室の親達は躾が下手になった。10年でこんなに変わったことに驚いている。
 この年はC中学校の生徒が8人ほどいたので、それぞれ学力を上げたから平均点アップにも寄与したはずだ。
 あのときの三人をみて、ebisuは根室の親はなんて躾けの仕方がいいのだろうと生徒の授業態度を見て感心した。だが、それは甘かった。この三人の母親がそろって子どもの躾けが格段に上手だったようだ。


*#1307 教育再考 根室の未来 第2部 低学力④:荒れる中学校 Dec.19, 2010 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-12-19-1

 #1935 フリー授業参観に行こう:啓雲中学校  May 14, 2012 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-05-14

 #2606 根室の中学校の過去6年間の学力低下を検証する  Feb. 28, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-02-27-1

 #2672 急激な学力低下はなぜ起きているのか?:假説 May 10, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-05-09ある

 #2806 高校数学面白い問題 :小中学校の先生たちへ Sep. 14, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-09-13-2

 #2865 マルクスの労働観と日本人の仕事観:学校の先生必読 Nov. 13, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-13

 #2869 根室の中学生の学力の現況(1):B中学校の例 Nov. 16. 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-16

 #2870 根室の中学生の学力の現状(2):C中学校  Nov. 16, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-16-1

 #2871 根室の中学生の学力の現状(3):学級崩壊  Nov. 16, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-16-2

 #2872 根室の中学生の学力の現状(4):B中学校2年生も問題あり Nov. 18, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-18


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