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#4079 日本語音読トレーニング再開 Sep. 8, 2019 [47.1 読み]

 日本語音読トレーニングを再開することにした。三つの理由でニーズが生じた。
理由その1: 夏休み以降入塾した生徒が二人いる。そのうちの一人は進研模試の国語テストの点数が一番低かった。訊いたら苦手だという。入塾のきっかけは得意だったはずの数学の点数が下がったため。問題をやっているときに、問題の読解力が貧弱なことにすぐに気がついた。数学の問題だけなら、読み方に慣れてくれば何とかなるが、国語に問題があると、そうはいかぬ。英語の学力にも響く。たとえば、文に一つわからない単語があるとすると、文全体あるいは前後の文からその単語の意味の推測がつかない。日本語の文でも、意味のわからない漢字や読めない漢字が出てくると、その文全体の意味の推測がつかない。長文読解速度を上げるためにスラッシュリーディング指導をやるがそれが不可能になる。ぶつ切りにしてしまうと、それをつなげて文意を理解できない。文ごとの論理展開の筋も読めないことになる。もちろん、段落読み(段落相互の論理的関係を頭に描きながらの音読)もできない。英語の学力がアップしても、母語に問題があると、すぐに伸びが止まるタイプである。事実その通りの経緯をたどっている。根室は幼児英語に熱心な地域だが、その一方で母語がおろそかになっているケースが多い。母語での読書スキルはすべての教科の学力を支える基礎なのだ。母語の読解力がなければ予習ができないことをあげれば十分だろう。いまや高校生3人に1人がそういう状態にある。
理由その2: 夏休み以降に入塾したもう一人、中3の生徒のほうは国語は平均的な点数だが、やはり数学の文章題の読みに問題があった。基礎計算にも精度と速度の両方で問題があったから簡単な計算問題をやっていた。総合Aまでは毎日来るように伝えたが、数日しても「カルク」が終わったら今度は別の問題集の同じレベルの計算問題をやっている。難易度の高い計算問題や文章題をやろうとしないので、学力テスト総合Aの過去問をやるように指示した。この生徒に理解できるようなレベルの解説をすればやれるようになる。難易度の高めの問題をやらないと学力テストの点数がアップしない。独力では難易度の高い問題が解けないのでやさしい問題へ逃げるのが癖になってしまっているように見えた。進路の希望を訊いたら、救急救命士になりたいので、そちらの専門学校に進学したいという。「救急救命士はかっこういい!」と憧れの目をして云った。看護師と同程度の医学知識が必要とすれば、医学専門書をたくさん読まなければならない。看護専門学校では500頁ほどのA4版の本を3年間で30冊読む。一番必要な能力は、読書力。「音読トレーニング」を木曜日4時からやろうと思うが、来るかと訊いてみた。お母さんが送ってくれないと無理があるので可能かどうか訊いた。来れる、やりたいとの返事。
 学力テストで国語が平均点だと、高校生になったらほとんど予習ができないと判断すべきだ。3人に一人は日本語読解能力が貧弱で、教科書を読んで理解できない。スマホの普及で読書をしなくなっている、そういう時代なのである。
理由その3: 札幌の看護学校進学志望の高3の生徒がいる。やはり国語が苦手で、数英国のうち国語の点数アップに困っていた。センター試験国語問題の過去問を夏休みの間毎日大問にひとつづつやるように言ってあるが、国語の学力が上がっている実感がないという。国語の学力を上げるのは高校受験5教科のうちで一番難しい、そして時間がかかるから1か月でそんな手ごたえがあるわけもない。でも、センター過去問だけでは不十分であるのも事実だ。この生徒が標準的なレベルの読書速度を手に入れたら、20点ほど国語の点数アップができるかもしれない。数学はいまやっている問題集が2周目、ほとんど終わりかけているから問題がなくなってきている。英語か国語のどちらかが20点アップすれば安全圏へ滑り込める。ドキドキハラハラだ。

 4人までなら一度にトレーニングできるので、国語の学力アップに悩む高2の生徒に電話して、音読トレーニングに誘ってみた。「ポケモンゴー」などのネットゲームにずっとはまっていたが、最近あることを契機に、ネットゲームや「二次元の世界」から脱した。人間、きっかけがあれば変われる。この生徒は「熱い鉄」の状態にあるから、「いま」トレーニングすればなんとかなる。1年ほど前に誘ったが、色よい返事はしてくれたが、音読トレーニングに参加しなかった。水を飲みたくない馬を池のそばまで連れて行っても水は飲まぬ。2月の進研模試の結果票を見てこのままではいけないと自覚した。そしてあるきっかけが訪れた。今度は喜んで「参加させてください、お願いします」、別人のようだ。それで、いいのだよ、まっていた。(笑)

 読む速度が遅いと、試験時間内に読んで解答を各時間が足りなくなる。良質の過去問を解いて、解き方に慣れるだけでなく、平均的な速度以下の生徒は読書スピードをアップしなければなんともならない。
 それで、毎週木曜日、4時から40-50分ほど音読トレーニングをすることに決定した。これしかとれる時間帯がないから、学校が終わったらまっすぐに塾に来てもらう。
 使うテクストは、

  斉藤孝著『読書力』岩波新書

 斉藤孝先生、初期のころの著作で、最近出している本に比べて文章が拙いところが散見されるが、中身がいいから、まあ、ご愛嬌だ。斎藤先生、作文の腕をずいぶん上げたことがわかる。
 10回を予定しているが、そのまえに終了できたら、うちどめ。さてどうなるか。

 このトレーニングに効果が大きいことは過去のデータがある。出てきた漢字、熟語で読めないものは10回書き取り、意味の不明な単語は国語辞書を引き、ノートに書く。場合によっては漢和辞典で字義解釈を読む。
 ちゃんとやり切ったら、国語の点数は必ず上がる。期待値は、進研模試で20-30点アップだ。参加しているだけで、家でこうした作業と、音読の反復トレーニングをまったくしなければ、効果はほとんどない。本気でやらないと学力アップができるはずもない。

 合計4人だが、ほかにも数人希望者がいるはず。10回終了したら、また別のメンバーで本を変えて10回程度の「日本語テクスト音読トレーニング」をやろうと思う。ちいさな私塾だから、塾長の判断次第でやれるところが強みだ。
 口を大きく動かし、はじめはゆっくり、だんだん速度アップしていく先読み技術を磨くのが目的並行して、三色ボールペンで線を引かせたい(斉藤孝メソッド)先読み技術を習得できたとたんに高速音読ができるようになると同時に文意の理解が飛躍的に改善できる。音読トレーニングは格闘技のようなもの。かなり体力がいるのだ、もつかな?アハハ。なんとかなるさ。わたしにとってもチャレンジだ。


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読書力 (岩波新書)

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  • 作者: 齋藤 孝
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2002/09/20
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