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#4132 ローマ教皇の長崎スピーチ:マリアはその青い目で何を見たのか Nov. 24, 2019 [8. 時事評論]

 74年前に浦上天主堂の上空で原子爆弾がさく裂してキノコ雲が上がった。瓦礫の中から出てきた頭部だけとなった聖母マリア像は黒い涙を流していた。雨の降る中での素晴らしいスピーチでした。浄化の雨に感じます。

 フランシスコ・ローマ教皇が武器取引を強く批判しました。ずいぶん踏み込んだご発言です。キリスト教原理主義の国アメリカへの真正面からの批判でもあります。自浄作用の一つですね、欧米文化のいいところです。こういうところは日本の政治指導者も素直に学んでもらいたい。
 唯一の被爆国であるのに日本は核兵器禁止条約を批准していない。

*https://www.msn.com/ja-jp/news/world/フランシスコ教皇、長崎でスピーチ-核兵器使用と武器取引を批判/ar-BBXeQF3
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教皇はさらに、核兵器は安全保障や平和と安定を希求する上で「解決策にはならない」と述べ、「むしろ核兵器はいつもその望みの実現を妨げているように思われる」と語った。…
スピーチの中で教皇は、「相互破壊の恐怖や完全破滅の脅し」と平和は相いれないと指摘。「多くの子どもたちが非人間的な状況で生活している」中にあって武器取引によってお金が浪費され、一部の人が財をなしていることは「天に対する公然たる侮辱」だと批判した。

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*「ローマ教皇「核保有、平和への答えにならず」 長崎・広島訪問、核廃絶メッセージ
https://www.jiji.com/jc/article?k=2019112400126&g=soc
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その後、被爆者ら約1000人を前に、スペイン語で核兵器廃絶に向けた演説を行い、「ここは、核兵器が人道的にも環境にも悲劇的結末をもたらすことの証人である町だ」と指摘した。
 また、武器の製造や維持に多額の費用が使われていることは「途方もないテロ行為」だと批判。核兵器規制の国際的枠組みが崩壊の危機にあると警鐘を鳴らし、核兵器禁止条約を含め核軍縮と不拡散への取り組みを各国に呼び掛けていく決意を表明した
 さらに、政治指導者に向けて「核兵器は国家や世界の安全保障への脅威から私たちを守ってくれるものではない」と訴えた。
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<被爆マリア>
 青いガラスの目のはいった(2mの木製の)美しいマリア像だった。浦上天主堂の瓦礫の中から頭部だけが発見された。原爆を投下した兵隊がこのマリア像を見たら卒倒するだろう。怖い。
 盲(めし)いた聖母マリアは何を語るのか。
http://oratio.jp/p_column/mariazo-sukinaunmei

 ナチスのユダヤ人虐殺は、宗教面からみるとキリスト教徒による異教徒の大量虐殺だった。1945年3月10日の東京大空襲、広島と長崎への原爆投下も異教徒の大量虐殺と言えよう。ベトナム戦争でダイオキシンを大量に撒き散らすナパームやクラスター爆弾の使用もキリスト教原理主義の国米国が異教徒へたいしてなしたものである。イラク侵攻で劣化ウラン弾の使用も異教徒(イスラム教徒)に対してなされた。
 聖書に従えば、キリスト教徒にとって異教徒は人間ではなくて悪魔であるから、信仰の厚いキリスト教徒ほど、異教徒の大量虐殺は罪の意識が薄くなる。
 ナチスのユダヤ人虐殺を大量虐殺というなら、米軍による東京大空襲も広島と長崎への原爆投下も、ベトナム戦争でのナパーム弾やクラスター爆弾の使用も、イラク侵攻での劣化ウラン弾の使用も、等しく大量虐殺としてその罪が裁かれなければならない。

<歴史の暗部:16世紀、宣教師は奴隷と火薬(硝石)貿易に携わっていた>
 天正使節団がイタリアで見た真実。50万人もの日本人がヨーロッパ各地で奴隷として使役されているのではないかと書いている。
 火薬を手に入れるために自国領内で奴隷狩りを繰り返したキリシタン大名有馬晴信と大友宗麟。天草四郎もそのうちの一人。この恥ずべき「奴隷と武器貿易」で莫大な資金をイエズス会が手にしている。
 戦争するために火薬原料の硝石が欲しい日本人とイエズス会の宣教師たちがやった所業である。支払いを金銀をもってするのではなく自国領内の女を狩ることで贖った。事実を知った秀吉が激怒、日本人奴隷の返還を宣教師へ要求、「銀子は支払うから連れ戻せ」、この秀吉の言は世界史上の名言です。君主が自国民を奴隷状態から救い出すために金を支払うから解放して連れ戻せとまで言った例は皆無である

「予は商用のために当地方に渡来するポルトガル人、シャム人、カンボジア人らが、多数の日本人を購入し、彼らからその祖国、両親、子供、友人を剥奪し、奴隷として彼らの諸国へ連行していることも知っている。それらは許すべからざる行為である。よって、汝、伴天連は、現在までにインド、その他遠隔の地に売られて行ったすべての日本人をふたたび日本に連れ戻すよう取り計らわれよ。もしそれが遠隔の地のゆえに不可能であるならば、少なくとも現在ポルトガル人らが購入している人々を放免せよ。予はそれに費やした銀子を支払うであろう。」

 キリスト教禁止令はそういう背景があってなされた。秀吉も家康も宣教師がキリスト教布教と一緒になにをしていたのか知っていたのである。異教徒は悪魔だから、何をしても罪にはならない、そういう考えが長崎への原爆投下の伏線になっている。あろうことか、「秘跡」の儀式で信者が満員になっている浦上天主堂の真上で原爆を炸裂させた。ここまで読んだ方は、もう一度「被爆マリア」の嘆きと絶望の表情をみてもらいたい。原爆被害の惨状を見るのも嫌だと目玉を自らくりぬいたように見える。

 画面に表示されるサイトのURLを貼り付けます。
https://www.susanoo.net/historical-fact/japan/japanese-slave

 こちらはユーチューブです。
https://www.youtube.com/watch?v=sAh0tj6GQAQ&feature=share&fbclid=IwAR1B0_2tSi9DtANqXZ1RGk9hGCD3wEGZO3lHgvIo3tZQBKeFcsH6O1UsgxQ


 十数年前に読んだ面白い本もついでに紹介します。単行本のほうで読みましたが、いま文庫本がでてますのでそちらをどうぞ。

驕れる白人と闘うための日本近代史 (文春文庫)

驕れる白人と闘うための日本近代史 (文春文庫)

  • 作者: 松原 久子
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2008/09/03
  • メディア: 文庫


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