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#4979 ドライマウスと口のフレイル③:歯周病と糖尿病や心筋梗塞 May 25, 2023 [38. cancer]

<最終更新情報>26日午前11時 大幅に追記しました。

 NHKラジオ、朝の5時40分ころからの5分ほどの健康番組、水口俊介東京医大教授の歯周病解説を紹介します。
 今日のテーマは歯周病と他の疾患との関係です。

 歯周病は細菌の感染による慢性炎症です。細菌が侵入するとそれをやっつけようと炎症性サイトカインという物質が出され、組織の破壊が行われます。
 歯周病菌や炎症性サイトカインは口の中だけにとどまっているのではなく、血管を経由して全身に運ばれます。つまり、口以外の場所に炎症が起こるんです。食べ物と一緒に食道を通り、腸にまで届くものもいます。
 腸まで届いた歯周病菌は腸内の細菌バランスを崩しさまざまな疾患のリスクになると考えられています。
 具体的な例を挙げると、まずは糖尿病です。糖尿病になると感染に対する抵抗値が下がり、、歯周病が悪化することが知られていました。最近は逆に、糖尿病患者の重度の歯周病を放置しておくと血糖値のコントロールがうまくいかなくなり、腎臓病や心疾患などの合併症のリスクが高くなることがわかってきました。
 糖尿病はそうでない人と比べて、歯周ポケットの深さが深いとされています。

 他にも、歯周病と関係が深いと言われている疾患がいろいろあります。その主なものとしては狭心症や心筋梗塞などの心血管系の疾患です。これは血管の中に入った歯周病菌が、動脈硬化の原因となります。

 次に、早産などにつながるので妊婦さんは要注意ということです。正常な分娩はサイトカインやホルモンなどによってコントロールされているので、感染や炎症の刺激によって、それらの量がコントロールできなくなると、異常分娩につながるのです。

 また、高齢期の肺炎、誤嚥性肺炎やCOPD(Chronic Obstryctive Pilmonary Diease 慢性閉塞性肺疾患)は口腔内の細菌が肺に感染することで発生しますが、歯周病患者ではその最近量が多くなっているので、感染リスクも多くなります。

<歯周病を治すことで得られるメリットについて>
 口の中をきれいにすることによって肺炎を防ぐことができるというエビデンスは、日本の研究者グループによって示されました。これによって世界中の病院や施設で口腔ケアがなされるようになったのです。その結果多くの誤嚥性肺炎が予防できました。
 また、歯周病が改善すると、糖尿病の数値も改善します。歯周病と糖尿病は双方向に影響を及ぼし合うとされています。現在、糖尿病治療のガイドラインで、糖尿病患者に対しては歯科受診が強く推奨されています。
 しばらく歯科検診をしていないひとは、ぜひ検診を再開してほしいと思います。

<診断と治療について>
 検査では歯周ポケットの深さを測ります。また、そのときにポケットから出血がある場合は、そこが歯周病になっていると判定します。
 治療では磨き残しのプラークや歯周ポケットの歯石も除去しなければなりません。歯周病が重度の箇所があれば、手術などのような専門的な治療をします。歯茎を切り開いて、歯の根の表面を露出させて歯石などを除去し、炎症になっている部分を掻破します。再生を促進する物質を入れる場合もあります。
(インプラント手術の時に、歯を支える骨の補強のために、骨組織を厚くするプレートを入れてもらったことがあります。12年前です。)
 治療後も定期的に歯科や検診に通ってクリーニングしてもらうことも大切です
 歯周病の治療で一番大切なのは毎日のセルフケアですプラークを毎日しっかり落としきることが口の健康にとってとても大事です。セルフケアを怠ると、どうしても歯周病が悪化します。
 急に忙しくなって、生活習慣が不規則になったり、最近は地震や豪雨災害などがありますが、そういうときも注意しなければなりません。ケア用品を持ち歩く、非常用持ち出し袋に歯のケア用品を入れておくことなども大事だと思います。

 今回のポイント:全身の病気につながる前に歯周病をしっかり治療しよう!

 ここからはわたしの補足です。
 歯周ポケットにはプラーク(歯垢:爪でひっかくと取れる白い塊)が溜まります。プラークには歯肉縁上プラークと歯肉縁下プラークの2種類があります。歯周病菌叢ができるのは歯肉縁下プラークの方です。プラークは1mgの中に300種類1億個の細菌のカタマリですから、炎症性サイトカインが産生されて炎症が起きます。炎症と免疫の関係は後回しにして、口腔内が歯周病菌の巣になり、口臭が強くなって、悪い細菌が食事やつばを飲み込むときに消化器官へ運ばれて腸管から吸収され、血管を通じて全身へ運ばれます。ときに、気管支や肺へ運ばれると喘息や誤嚥性肺炎も起こします。腸内に運ばれるだけでも腸内細菌叢のバランスを崩してしまうので、体にいいわけないですよね。
 
*COPD(慢性閉塞性肺疾患)Chronic Obstryctive Pilmonary Disease
 慢性気管支炎や肺気腫などの総称です。喘息、副鼻腔気管支症候群、閉塞性気管支炎、気管支拡張症、肺癌、肺結核、リンパ脈管筋腫症、鬱血性心不全などによっても起こります。歯周病によって細菌量が増えています。口は呼吸器の一部でもあるので、呼吸器系の病気を起こしたり、悪化させたりします。

 口腔内をきれいに保つことで、肺炎や抗炎症性肺炎が予防できます。毎日、歯磨きでプラークを落としきることが基本です。これは自分でやる作業です。炎症時のケアも大事です。炎症を起こしていたら歯科医で診察してもらいましょう。
 半年に一度、歯科医院で定期検診をおススメします。プラークを削り取ってもらい、歯周ポケットの深さをチェックしてもらいましょう。重度の場合には手術が必要です。ひどい炎症を起こしている部分を掻破して、クリーニングしてくれます。これ、口腔外科手術に慣れたドクターがいいですね。

 早産についてもネットで調べたことを補足しておきます。
 早産(37週未満)と歯周病の関係はよく知られた事実です。低体重児出産(2500g未満)の原因にもなりますので、妊娠中の口腔内の清潔をたもつことは、大事なことです。歯周病が子宮平滑筋の収縮や子宮頸部の拡張を促してしまうのです。理想的には妊娠する前に歯周病の治療を積極的にやっておくことをおススメします

 免疫反応の補足です。
 歯周病の細菌の内毒素によって、脂肪細胞とマクロファージ(貪食細胞)が協調して、炎症性サイトカインであるIL-6やMCP-1などを分泌します。ようするに細菌と一緒に炎症性サイトカインが口から腸へ移動するわけです。腸内で炎症が起きますから、腸内細菌叢のバランスが崩れます。
*MCP-1:マクロファージに対する走化性因子で、マクロファージの脂肪組織への集積を促進します。脂肪細胞が炎症性サイトカインで攻撃されるということ。マクロファージが脂肪細胞を貪食します。これは自己免疫疾患です。

 炎症が起きれば、免疫反応の暴走を止めるために抗炎症サイトカインが分泌されます。IgG4が上がり、免疫が抑制されてしまいます。こういう状態が長く続くと、免疫レベルが下がったままになり、さまざまな感染症や癌に罹りやすくなります。
 歯周病が慢性化していると、炎症性サイトカインが分泌され続けます。すると、炎症を抑えるために抗炎症性サイトカインも分泌され続けます。こういうサイクルで免疫システムが壊れていきます。常時、抗炎症性サイトカインが分泌され続けたら、免疫が下がります。感染症にかかりやすい体質に身体が変わってしまいます。もちろん、癌にもなりやすくなります。
 炎症性サイトカインが分泌され続けると、血管内皮細胞を傷めます。動脈硬化を悪化させ、心筋梗塞や心筋炎が起きやすくなります。
 どういうことかたとえ話をしてみましょう。ここに車が1台あります。アクセルとブレーキを同時に踏み続けたらどうなりますか?車は壊れますよ。そうです、車はあなたの身体の免疫システムで、アクセルは炎症性サイトカイン、ブレーキは抗炎症性サイトカインです。アクセルとブレーキを踏み続け、車が壊れることになるのです。歯周病を放っておくとあなたの体の免疫システムそのものが壊れてしまうのです

 糖尿病の人は歯周病によって免疫が抑制され、感染症にかかりやすくなります。糖尿病になると血液中の血糖値が上がることで、脱水傾向となり、口腔内が乾きます。白血球の機能低下が生じて、歯周病に罹りやすくなります。歯周病が悪化すると、さらに多くのサイトカインが分泌されます。そして抗炎症性サイトカインがさらに増えます。だから、糖尿病と歯周病は双方向で互いの病状をスパイラルに悪化させ、身体にダメージを与えるのです。糖尿病と歯周病の関係についてはこのサイトをご覧ください。
*「糖尿病と歯周病をよく知ろう

 免疫を賦活し細胞を攻撃する炎症性サイトカインとその暴走を防ぐ抗炎症性サイトカインの二つと免疫システムの関係は、新型コロナmRNAワクチン副作用を取り上げたときに言及しています。両方が出続けると、免疫システムがダウンしてしまいます。感染症にかかりやすくなるし、癌にもなりやすくなります。ウィルス感染症の帯状疱疹が新型コロナmRNAワクチン接種後に全国で激増しています。mRNAワクチンを何度も打った人は、免疫機能が弱っていますから、変異した新型コロナに感染しやすくなります。5/26にFB友で札幌の医療関係者の方が、5回mRNAワクチンを接種した看護師さんがCOVID-19の罹患したと書いてました。
 日本だけが新型コロナ患者が高止まりしています。
 #4970#4971#4973をご覧ください。

 「歯周病は万病の元」ということです。放置しないほうがいいですよ。

<余談-1:新型コロナワクチンと歯周病の相乗効果?>
 ここまで書いてきて、考え込みました。COVID-19mRNAワクチンを何回も接種すると、その副作用で免疫システムが壊れてしまうと弊ブログで書いていますが、これに歯周病が加わったら、病態はさらに増悪するのではないでしょうか。免疫システム破壊のメカニズムが似ているところがあります。この点について言及している専門家の論文はいまのところ見つかりませんでした。
 東京の新型コロナ感染者は前週の1.5倍です。2週連続で増えています。

*このサイトでNHKラジオ番組「健康ライフ」が聴けます。
 「20230525 口の中が危ない」



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