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#5161 「妊孕力」って熟語読めますか?:梅毒が激増中 Feb. 16, 2024 [19. 人口減少に関わる問題]

「妊孕力」、読み方知ってますか?わたしは知りませんでした。「孕(はら)む」というのは知ってましたが...

「にんようりょく」と読むのだそうです。

 ところで、この数年、梅毒患者が増えています。妊婦が梅毒に罹患すると、梅毒の原因ウィルスであるトレポネーマが胎盤を通過して感染し、胎児は40%の確率で先天梅毒になるそうです。実態は深刻ですよ。

*梅毒急増のなぜ(3)年間200人の妊婦が感染…過去最多の先天梅毒へ (msn.com)

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妊孕力の高い20代の女性に梅毒が急増していることは、妊婦の梅毒感染と、その子供たちの感染である先天梅毒の増加を意味する。実際、妊婦の梅毒関連件数は、梅毒の届け出用紙に妊娠の有無を記載するようになった2019年以降、毎年200件前後(全女性感染者の7.9%)報告されている。先天梅毒も20件前後報告されていて、2023年はその数が37件と過去最多になった。
「先天梅毒は、梅毒トレポネーマが胎盤を通過して母体から胎児に感染する多臓器の慢性感染症です。感染時期が妊娠の後半であるほど胎児の感染率が高くなる。だからこそ、梅毒は妊娠初期には必ず受ける検査となっていて、母子手帳には梅毒血清反応という項目で記載されています」
......
日本の母子手帳の交付率はほぼ100%だが、若年の妊婦の中には妊娠に気づいていなかったり、出産の決意が定まらない時間が過ぎて妊娠中の梅毒検査を受けなかったケースもある。
怖いのは妊娠初期に感染した梅毒の場合、母親は治せても一定の割合の胎児は先天梅毒を発症してしまう可能性があること。また、胎児に感染すると約40%が流産、早産、子宮内胎児死亡を起こし、約40%の新生児が先天梅毒を発症するといわれている。
 先天梅毒の新生児は誕生後に亡くなるリスクが高く、生き延びても生後数カ月以内で聴覚障害、リンパ節腫脹、骨軟骨炎などを発症する。
 万一でも、わが子が梅毒に感染すれば、そのカップルに亀裂が入るのは間違いなく、離婚に至ってもおかしくない。では、妊婦の梅毒感染を防ぐにはどうしたらいいのか?

「まず、お互い浮気をしないことが最も大切です。また、子供をつくろうと考えているカップルは妊活を始める前に必ず2人で性感染症の検査を受けましょう。妊活する前の性交では必ずコンドームを着用しましょう。梅毒はコンドームで100%回避できるわけではありませんが、ある程度の予防にはなります」(尾上泰彦院長)(つづく)

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 子供が欲しかったら、好きな相手、よく知っている人とだけセックスしたほうが無難です。SNSで知り合ったというのはリスクが大きい。
 自分には関係がないと思っても、若い人たちは先天梅毒について知っておきましょう。

 この10年間で梅毒の新規患者数は10倍になっています。
 このグラフでは2013年に1000人を超えたように見えます。2022年に12,964人
2023年は14,906人です。新型コロナパンディミックのときは減少していますね。
 6年後の2030年には50,000人超えなんてことにならなければいいのですが...

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 このデータは医療機関から厚生労働省へ報告のあった数ですから、実際の新規患者数は10倍はあるとみるべきなのかもしれません。
 エイズの時は、厚生省エイズサーベイランス委員会の発表データが実際の数字とかけ離れていたので、対策が遅れて、先進国では日本だけが1990年代にエイズ患者が増えづづけました。
 1988年か89年に、公表データが年間数十例だった時に、最大手の民間検査センターSRL一社だけでではHIV検査陽性が年間500例ほど出ていました。当時はエイズを治す薬剤はありませんから、同じ患者が何回も検査するなんてことはありません。HIVスクリーニング検査で陽性になった検体はすべてウェスタンブロット法で確認検査していました。エイズは完治する薬はないのです、発症を遅らせることができるだけです。梅毒とこの点が大きく違います。

 梅毒は治療薬があるので、完治したかどうかはRPR法(RPR抗体定量検査)
で判定しますから、同じ患者から治るまで検査が繰り返されます。
 梅毒もエイズも五類の指定感染症です。

*#4781 梅毒の罹患者数がこの十年間で6倍になっている July 16, 2022
*#2024 高校生のためのホットな性感染症知識:HIV感染の実態と新薬  July 23, 2012
#2026 高校生のためのホットな性感染症知識(2):国際エイズ会議 July 25, 2012 
  
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-07-25

#4198より抜粋
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 ...それで思い出すのはHIV検査である。1988年ころSRL八王子ラボのウィルス部のHIV検査室(BSL-3)ではスクリーニング検査で陽性になった検体をウエスタンブロット法で確認検査をして、毎日1-2検体が陽性、年間ではおよそ500検体が陽性だった。
 厚生省ではエイズ・サーベイランス委員会を設置して医者から感染者数の報告を求めて集計していた。88年のデータを見ると23人である。その後、80⇒66⇒442⇒277人と増えていく。グラフの載っているサイトをご覧いただきたい。
*https://honkawa2.sakura.ne.jp/2250.html

 HIV感染者はスクリーニング検査で陽性、そしてウエスタンブロット法の確認検査で陽性になれば、患者はほかの病院で検査はしないだろう。1988年時点で厚生労働省発表の20倍の感染者がSRL一社の検査だけで陽性だった。ほかの民間検査センターでも受注していた。数の多いところでは江東微研が多いと当時は聞いていた。業界2位のBMLでも検査していただろう。
 1988年の感染者数が23人だから、数が少ないということで、世界中がエイズ撲滅運動を展開したのに、日本だけがほとんど動かなかった。アジアで患者数が多かったのはタイであるが、エイズ撲滅キャンペーンを大々的にやったので、感染者は目に見えて減っていった。先進国ではHIV感染者は日本だけが増え続けたのである。原因は厚生省のエイズサーベイランス委員会が感染者数を過小評価したためである医者から報告数を集計しただけだったから過小評価になった。実際の感染者数の数十分の一しかつかんでいなかった、そのせいで対策が遅れたと言える。民間検査センターに問い合わせが行われていたら、エイズ撲滅キャンペーンはすぐに行われ、患者の増加はずっと小さい値に抑えられただろうこれも、厚生省と医師会だけで感染者数を集計・公表した結果だ。感染者数を小さく見せたかったとしか思えない。そうして医療政策を誤り、感染者の急増を招いた

 いま形を変えて、新型コロナでも似たようなことが起きつつあるのではないか?
 1か月半公的機関だけで検査してきた。これから病院から民間検査センターに検査外注ができるようになれば、感染者数は急激に増える。いままで検査できなかったケースも医者が必要と認めれば、検査できるようになるからだ。政府は感染者数が増えるのは困るのだろう。オリンピックが控えているからか。
 1か月前から保険点数がついて民間検査センターで検査していたら、いまアウトブレイクのピークがどの程度で、これから1週間どれくらい増えたのかがちゃんとわかったはず。感染者数増大のどのフェーズにいるのか判断がはなはだ難しくなったと言わざるを得ない。ピークアウトがいつなのか統計的に予測がむずかしいものになった。
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