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#4363 地産地消地廃の原則:使用済み核燃料問題 Sep. 7, 2020 [14. 原子力発電]

 夢の高速増殖炉「文殊」の廃炉が決まったのは2016年12月だった。1985年の着工以来、31年間1兆円の巨費を投じても一度も電力を生み出せずに、繰り返し深刻な事故を起こしてようやく廃炉が決まった。
 ナトリウムを使った高速増殖炉は英国では火災事故を起こしてとっくに廃止を決めていた。フランスの高速増殖炉SPXスーパーフェニックスは2006年から廃炉作業が始まっている。廃炉作業は冷却用のナトリウムの取り扱いが難しいので30年かかるそうだ。空気に触れれば発火するし、水に触れたら爆発する。日本政府は文殊の廃炉と同時に「試験炉」の設置を決めている。

 夢の「核燃料サイクル」計画はついえた。

 水道のどこかがこわれて蛇口から水があふれだしたら、元栓をとめてから故障の原因を調査し修理するのはモノの道理だ。原子炉稼働を停止し、使用済み核燃料についての処理と処分についての議論が必要なことは論を俟たない。
 議論百出のようだから、「地産地消地廃」という考えを提起したい。

 原子力発電については「地産地消」が崩れている。事故を起こした福島第一原発の消費地は東京である。これを「地産地消地廃」の三点セットで考えようということ。「地産地消」になっていない現状はそのまま受け入れるとして、新規原発については三点セットでないと認めぬことを法律に明記したらいい。原発が必要だという市町村はないだろう。
 大電力の消費地の住民が、原発はとっても危険だから自分たちの地域には設置してほしくない、もっと危険な高濃度核廃棄物の最終処分地も他で検討してもらいたい、そんな自分勝手が許されてはいけない。「地産・地消・地廃」を原則にしていろいろ考えた結果、原発がノーならコストが高くついても受益者負担でいい、他の電力供給体制を整備しよう。


 原発を稼働させていままでため込んだ使用済み核燃料は再処理して嵩を小さくして保管するしかない。高濃度核廃棄物が生まれる。それをどうするかの議論の土台に「地廃」を据える
 国会議事堂地下に1%を、各都道府県議会施設あるいは都庁等の施設の地下に3%を、原発施設のある市町村に10%を札幌市や東京都のような大電力消費地に30%を、そして残りの46%の保管方法と最終処分地について議論したらいい。
 大陸プレート四枚がせめぎ合う場所にある日本列島で、10万年単位で地下埋設地で安全な場所などあるわけがない。根室半島だけ見ても5500年間で13回の千島海溝を震源とする巨大地震による大津波の痕跡が地層に残っている。長さ300kmの断層が25mズレるとM8.8の巨大地震が発生する。
 10万年後の日本列島がどういう形になっているか誰にもわからない。それは他の地域でも同じことだ。

 根室市は水産業と酪農の町である。最終処分地になり、福島のような事故が起きれば、放射能汚染で水産業も酪農も壊滅するだろう。年寄は被爆してもしかたがない、しかし放射能感受性の高い子どもたちは甲状腺癌を多発し、内部被爆によって引き起こされるあらゆる遺伝子傷害を背負いこんで暮らすことになる。これは悲惨だ。
 万が一高濃度核廃棄物から大量の放射能が漏れたら、故郷を失うことになる。そういう覚悟がいる厳しい議論を始めなければならないのだろう。

「福島の子ども甲状腺がん検診「縮小」にノーベル賞の益川教授らが怒りの反論! 一方、縮小派のバックには日本財団」

**千島海溝巨大地震、400年前に24メートルの津波 北海道東部に残る痕跡で推定

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#3792 四百年に一度の巨大地震が千島海溝付近で起きたら:仕事は段取り8分 July 26, 2018



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