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#4026 眼科受診:白内障術前検査小話 July 4, 2019 [36-1 白内障手術とその後]

<最終湖心情報>
7/6午前11時40分

 中央処置室で細い採血管5本の採血を済ませ、トイレで採尿をした。何ccとればいいか指定がなかったので100㏄とり小窓を開けて「採尿しました、お願いします」と声をかけると返事がした。たぶん、50ccで十分だろう。最初のものは棄てて、あるいは少し出してとめてから、中間尿をコップに採るのがよろしい、忘れてました。
 次は心電図をとるために生理検査室受付窓口へカルテを出します。

P どうぞお入りください。
P こちらのベッドにあおむけに寝てシャッツをあげてください。
E これでいいですか?
P (手術の傷跡を見て)何か手術されましたか?
E ええ、スキルス胃癌と巨大胃癌を併発して13年前(2006年7月)に手術しました。
P よかったですね、早期発見で…
E ありがとうございます、でも早期発見ではなくて手遅れでした。
P …(電極を足首につけながら、「ああ、足がある…」)

 予期せぬ返事に心電図担当の方は絶句なさってました、手遅れならふつうは死んでるもんね。(笑)
 最後はレントゲン室で正面と横から2枚撮影。鉄筋コンクリート建物内では方向音痴なので、2度どこにいるのかわけわからず、案内表示をたよりに目的のところへ行きました。

 胃癌でこれから手術を受ける方、絶望なさらないでください、開けてみてダメでも切ってみなけりゃわかりませんよ。切ってダメでも経過をみなけりゃわかりません。人間いつかは死ぬものですから、手を尽くしてダメなら静かに死を受け入れるだけ。な~に、性能のよい抗癌剤も次々に開発され、商品化されています。いい薬を開発して商品化できれば製薬会社は儲かりますから、一生懸命開発してくれています。お金は神様、だれもが神の恩寵にあずかりたいから努力する、そのあたりが資本主義のいいところでしょう。世の中にはお金の神様だけではありません、よく見るとトイレの神様もいらっしゃいます。コロポックルはフキの下にいらっしゃるようですが、野や山にいらっしゃる神様、金刀比羅神社などの海の神々、素戔嗚や天照など他にもいらっしゃる神様、慈悲深い神様、いつでもどこにでもいらっしゃる神様たちが見えなくなってはいけません。

 後藤先生はあのころ30代前半の若い外科医でした、わたしはとってもついてました。だってベテラン外科医なら、開いて手遅れと判断したら何もしないで手術を中止します、無駄な努力ですから。オヤジが72歳で2度目の手術をしたときには開け閉じでした。手術は無駄とベテラン外科医のM山先生の判断でした。大腸癌で初回の手術から2年たっていました。M山先生は初回手術のあとに緑色のラバーに切り取った横行結腸を載せて見せてくれました。そして「2年以内に再発します」って言い切りました。場数を踏んだベテラン外科医の診立ては精確、2年後に検査したときには肝臓や肺、そして骨転移していました。肝臓は手で服の上から触っただけですぐに癌化しているのがわたしにもわかりました。板が入っているようにカチンカチンでした。手術は釧路市立病院、2度目の手術から4か月で逝きました。ターミナルケアは市立根室病院でした。根室でみんなに看取られて死ぬのが希望でしたから、希望通りの最後、市営墓地に眠っています。
 話を、わたしの手術に戻します。若い外科医は場数を踏まなければ腕が上がりません、後藤先生は開腹して癌の進行が想定していたよりも速かったので手がとまりました、すでに手遅れと判断、「開け閉じ」しようとしたときに、立ち会っていたベテラン外科医の浅川院長が「ざっくりとったらいい」と続行を指示します、もちろんスキルを上げるためです。それから6時間奮闘してくれました。胃の全摘、癌が転移していたリンパ節もはがして「ざっくり切除」(後日、SRLの病理検査で転移確認、旧知の名取病理課長はわたしの名前を確認したかな?)、大腸へも浸潤していたので大腸一部切除、炎症を起こす可能性が大きいので胆嚢切除(術後に摘出された緑色の胆嚢を見た女房殿は健康で美味しそうだったと述懐)、空腸を首のところまで持ち上げて器具を使い食道上端部へ吻合、動脈も切ったりつなぎなおしたりと、ずいぶんご苦労をおかけしました。これだけ複雑な手術をして出血量はわずか700cc、輸血なし。外科医のテクニックとはすごいものだなと思いました。

 とってもありがたかった、いま生きているのは内視鏡で診断をつけてくれた消化器内科専門医の岡田優二先生(岡田医院院長)と執刀してくれた消化器外科医後藤幹裕先生(音更町:東木根クリニック院長)お二人、そして看護師さんやレントゲン技師さん、たくさんの医療スタッフのみなさんのお陰です。地域医療で助けられたのですから、いただいた命の何割かは地域医療へ捧げたい、だから看護師さん志望や医師志望の生徒の指導には力がはいります。
 そして地域医療に関してはブログでときに厳しいことも書きます。しがらみ抜きでないとやれません。根室で生まれて18歳まで根室で育ちましたから、しがらみはゼロではありません、周囲に迷惑がかかるのもあえて無視、人ですから申し訳ない気持ちはあります。

  産業用エレクトロニクスの輸入商社で6年間働いた後、臨床検査最大手のSRLへ上場準備要員として転職、で16年間仕事してました。経営管理部門、購買部門、学術開発部門、子会社、統合システム開発、取引先臨床検査会社の経営分析・買収交渉担当、検査試薬の共同開発担当、統合システム開発担当、子会社経営改革担当、合弁会社経営、日本病理学会検査項目コード検討委員会と大手6社の産学共同研究による臨床検査項目コード標準化をマネジメント、慶応大学と出生前診断の日本標準値制定のための産学協同プロジェクトのSRL側マネージャーなど、じつに多彩な部門で使ってもらいました。
 岡田医院も木野東クリニックも市立根室病院も医療システムは、SRLが保険点数改定がある都度配信している臨床病理学会がオーソライズした日本標準臨床検査項目コードで動いています。日本標準臨床検査項目コードですから全国の病院や医院で例外なく採用されています。これがなければ動きません。84年に提案した臨床診断支援システム事業化案の10個のプロジェクトの一つが、臨床検査項目コード標準化でした。SRL創業社長の藤田さんは200億円の投資予算を承認してくれました。転職2年目、管理会計課で予算編成・予算管理と統合システム開発を担当していた時のことです。社歴に関係なく、チャレンジャブルな仕事は手続きを踏めば何でもやらせてくれる面白い会社でした。
 16年間働いてSRLを退職し、首都圏の約300ベッドの規模の特例許可老人病院の常務理事へ、翌2000年に病棟建て替えを実施、療養型適合病院へ転換。こういうバックグラウンドがあって、データや論拠を挙げて根室の地域医療批判・市政批判・北方領土返還運動批判、そしてそれらに関する具体的な提言を繰り返してきました。ふるさと根室へ戻ってきて3年目にスキルス胃癌と巨大胃癌の併発でした。手術は2006年、57歳。あやうく、「享年58歳」となるところでした。

 術後の5年くらいは結構たいへんでした。一日6回の食事のほかに血中の血糖値低下を防ぐために3回お菓子を食べるので、口内環境が悪化し次々に虫歯になります、消化不良から腸が荒れて口内炎が頻発して食べることもままならない時期がありました。どうしようもありませんでしたから、「楽になりたい」と何度も思いました。体力の弱っていた時に東京の歯科の主治医へ相談してインプラントも2本やっていただきました、それからよく咀嚼できるようになり状況が改善していきました。
 ちゃんと食べることができなければ人間は枯れるように死んでいくだけ。いわば「緩慢なる餓死」ですから、痛くも苦しくもありませんよ、楽なんです。

 歯科の主治医である林歯科の林亨先生(東京聖蹟桜ヶ丘駅前)には年に一度か二度通院してずいぶん助けていただきました。2週間毎日のように通院して傷んだ数本の歯の突貫工事でした。3代のお付き合いのある地元の歯科医の福井先生にも役割分担をしていただいてます。術後の3年間は東京へ飛行機で行くのは体力と体調のコントロールができないので無理でした。福井先生のお世話になっていました。東京へ行けるようになってからは、林先生と福井先生が連携して治療してくれます。
 病状を知っている主治医がいるというのは、患者にとっては大きな安心です。
 いま、眼科の大谷先生の治療を受けています。大谷先生はもう何年間も根室で眼の診療に当たってくれています。今日は白内障の手術の際の合併症の説明を受けました。胃癌手術のときの説明に比べるとずっと軽いものでした。開けてみて膵臓に転移していたら膵臓摘出、脾臓への転移も疑われるので、その場合は脾臓摘出もありうるので事前説明資料に判を押してください。膵臓や脾臓へも転移していて手術がうまくいったら命がなさそうと、どきどきしながら承諾書へサインして判を押しました。(笑)
 今回は白内障の手術の合併症と承諾書ですが、穏やかな表情でゆっくり説明していただきました。願わくば眼科の大谷先生とも長いお付き合いになりますように。
 老化は体のあちこちの部品がポンコツ化するということ。

<余談:ようやく見つけた虫歯予防法>
 口内環境の悪化による虫歯はやり方次第でかなり防げることに最近気がつきました。
 2か月ほど前から食後にサンスター・プロケア「薬用GUMペーストPCF」を使って歯を磨いて、口を水で漱がず、歯磨き剤を吐き出すだけにしています。就寝前にLIONの「クリニカ・アドバンテージ」を使って歯を磨いて、これも口を漱ぎません。口の中にたまった残りを吐き出すだけ。こちらは研磨剤が入っていません、フッ素を含んだジェルです。歯を磨くというよりもフッ素をコーティングするという感じで電動歯ブラシでやさしくマッサージしています。
 朝、歯がネバネバしなくなりました。
 歳を取ると、唾液が少なくなり、口内の有用細菌が減って、寝ている間に雑菌の繁殖をコントロールできなくなります。対策に困っていました。
 歯科の主治医の林先生の次回定期点検が楽しみです。術後14年目にしてようやく対策が一つ見つかったのですから、喜んでいただけるのではないかと思っています。老人の患者が増えているのでいろんな臨床例があったほうがいい。奈良県から毎年治療にくる患者さんがいるそうです。

*岡田医院
https://medley.life/institutions/564ab0101c1b604d59c16b47/

*木野東クリニック
https://www.kinohigashi-clinic.com/

*根室市立病院眼科
http://www.city.nemuro.hokkaido.jp/cgi-bin/hsp/doctor_ganka.php


*林歯科医院
https://www.hayashi-dent.net/doctor/


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