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#4044 英語短期特訓授業(the 2nd) July 25, 2019 [78.高校英語教科書を読む]

 英語が苦手の高校2年生対象の2時間×10回の授業を始めたことは前回書いた。高3教科書をテクストに使っている。やっている個所は「Lesson 7」'A lesson form Steve Job's Life'である、アップルの創業者の生涯のダイジェスト版だ。スマホに夢中になっている高校生が対象だから、食いつきのよい話題の章を選んだ。
 4:30から30分間下調べさせてから、5時授業開始は前回と同じである。家でやらせて来るのがいいのだが、まだ無理、だから授業の直前に辞書を引かせている。今回は2回目でPart 2だが、2人新しいメンバーが参加しているので、初回の部分をざっと復習してからPart 2に入った。
 ふだん紙の辞書を使っているのは一人だけ、あとは電子辞書をもっている。忘れてきたのがいたので紙の辞書を貸してあげた。はじめて紙の辞書を引くので、なかなか目的の単語が見つけられない。紙の英和辞典を一度も使ったことのない生徒がほとんどである。このあたりが、30年前とはがらりと変わったところだろう。
 英語の勉強今昔物語とでも言いたくなるほど、変化している。いい方への変化もあれば、そうでは無さげな変化もある。昔と違って中学校の英語授業で英和辞典は使わない。そんなことでいいのだろうかと思うが、文科省の審議会に偉い先生たちが集まって決めたのだろうから、ドンデモないことでも何かそうしなければならない強い理由があるのだろう。専門家が集まるとしばしば世間の常識から大きく外れてトンデモないところへ着地してしまうから、こまったものだ。

 音読30回、書き取り10回は「後志のおじさん流儀」の英語学習法だ。だから、英語が苦手の生徒たち向けの授業では、まず一文ずつ音読を10-30回やってから解説する。長いものや読みにくいものは30回だ。
 第一段落の文章をそれぞれ20回ほど音読してから、冒頭の単語のonceの意味を6人の生徒それぞれに訊いてみた。文章はこのようになっている。
 Once in school, "I really just wanted to do two things," Steve remembered.

  各人にonceの意味を訊いてみる。Aさんは「1回」、Bさんは「一度」、Cさんは「かつて」。
 準備運動を兼ねて、「2回」って英語で何というの?と訊いてみた。誰かがtwiceと答えた。それではと全員に書かせてみる。ついでに「3回」「4回」「5回」、音で知っていても書けない生徒が多い。何しろ英語は苦手でふだん勉強していないからそれがそのまま表れる。すんなり書けたのは半分いたかな。紙を渡して5回書かせる。
 「後に続いている文と関連させて単語の意味を考えよう」そう伝えた。「二つのことがしたかったとスティーブは記憶していた」。二つのことは、その後の文で説明されている。4年生の時のことだとあとに続く文でわかるから、小学校に在学中のときの話だ。意味が分かれば、あとは自分が普段使う日本語に置き換えたらいい。「ずっと前、小学生の時のことだが」「むかし学校に通っていた時に」など、なんでもいい。
 この文は倒置されていることも理解してほしい。なぜ、倒置されるかも。

 Steve remembered "I really just wanted to do two things".

 これが、倒置前の元の文である。倒置されて前に移動した部分が強調されている。新聞英語でもよく出てくる表現である。
 「....., officials said.」「複数の関係筋によれば…」
 情報ソースを補足説明しているだけの機能を担っている。大事なことは情報ソースではなくて、中身の方だよと位置を変えることで書き手がサインを送っている。
 冠詞(と無冠詞)の使い方を列挙するとつぎのようになる。

 once in school
   once in a school

   once in the school
   once in schools
   once in the schools

 それぞれ使われるシーンと意味に違いがある。英文解釈上も英作文上も冠詞や無冠詞が適切に使い分けられたらいいね。日本語には冠詞がないから、こういう風に並べて、意味の違いや使われるシーンの違いについて解説してやらないと生徒には理解できない。10回の授業が終わったときには、生徒たちは冠詞の扱いにずいぶん慣れているだろうな。大学で他の外国語をやるときに効いてくる。それも楽しみの一つ。先を見て仕込んでおく。(笑)

 意味が理解出来たら、日本語の意味を思い浮かべながら、さらに音読10回。これが、ワンセット。日本語で意味をイメージしながら音読するというのは「Hirosukeさん流」だ。彼から学んだ。

 塾へ通っていない生徒たちと、高校を卒業してからずいぶん経って、英語をもう一度勉強してもいいかなと思っている、そういうあなたのために、Part2全文を引用しておく。(笑)
(名詞句にアンダーラインした)


 Once in school, "I really just wanted to do two things," Steve remembered.
 "I wanted to read books because I loved reading books, and Iwanted to go outside and chase butterflies."  What he didn't want to do was follow instructions.
  Somehow he felt different from his classmates at school.  Some of his teachers regarded him more as a troublemaker than as a special kid.


  Then, in the fourth grade, Steve met a wonderful teacher, Imogene Teddy Hill.  Within a few weeks, Mrs. Hill sized up this unusual student.  She even offered Steve a sweet bargain: If he could finish a math workbook on his own and get at least 80% right, she would give him five dollars and a giant lollipop.


  Later Steve recalls, "I'm 100% sure that if it hadn't been for Mrs.Hill in the fourth grade and a few others, I wold absolutoly have ended up in Jail".   Mrs. Hill was indeed "one of the saints" in his life.

  段落ごとに改行を入れた。

 chaseの意味も訊いてみた。「えらぶ」って答えた生徒がいた。それって、choice(名詞)だ。まあ、似ている、かすっているからいいね、ついでに脱線してみよう。動詞はchoose。これって、中2英語の範囲の単語だよと大笑いしたところで、紙を配って基本形、過去形、過去分詞形を5回書いてもらう。「あれ、どうだったけ」なんて言ってるやつがいる。(笑)
 不規則動詞がでてくるたびに5回書かせて方がよさそうだ。
 choose⇒chose⇒chosen
 ところで、chaseはカー・チェイスにもあるように、追いかけるだ。規則動詞だから、過去形は簡単だね、chasedでいい。では最後のdの部分の発音は?[z、d、t]のどれ?正解者なし。(笑)
 いいよ、いま覚えよう。発音が[s,k,p]で終わる動詞は[t]だ。liked、stopped。これら3つの子音で終わる単語、他に知ってたら挙げてみて?
 dressed、danced、kicked
 おう、なかなか反応がいい、うれしいね、ありがと。(笑)

  第一段落の次の文、主語「Some of his teachers」に注意して日本語にしてごらん。
 Some of his teachers regarded him more as a troublemaker than as a special kid.
 「数人の先生が」「何人かの先生が」と誰かが答えてくれた。「そんな日本語使っている?」と訊く。例えば、「何人かの先生がわたしをトラブルメーカだと決めつけた」というだろうか?3分ほど考えさせてから、「先生たちの中にはスティーブを特別な才能のある子どもというよりも、もめごとを起こす厄介な子どもとみなす人がいた」、これくらいがいい。意味をつかんだら、できるだけふだん使っている日本語に言い換えよう。トラブルメーカはマイナスイメージの言葉だから、それと比較されているのはこの場合はプラスイメージである。だから、特別な才能のある子どもと訳した。


 次の文はカッコ内の語を補わないとわたしには理解できない。それともこんな用法でもあるのかしら?寡聞にして知らない、間違いだと思う。

 What he didn't want to do was (to)follow instructions.

 生徒たち6人に、例によって、followの品詞と意味を訊いてみた。「ついていく」と真っ先に言った生徒がいたので、「動詞であるのはいいとして、他動詞の意味は目的語とセットで考えろと言ったはず、もう一度よく考えてごらん」、そう問いかけた。だれかが、「命令に従うだ」と声を上げた。
 「いいね!」、そう受け取って、もう一度要点を繰り返す。「単語を辞書で引くときは、他動詞なら目的語とセットで考える、他の品詞の場合は前後の単語や文脈も考慮して意味を絞り込もう、そして意味がつかめたら、今度はふだん自分がつかっている話し言葉に置き換えてみよう」。
訳:「スティーブがしたくなかったことは他人の指示に従うことだった」
  instructionsには複数を示すsがついている。先生たちはさまざまな場面で生徒に指示を出すから、そのようなシーンをいくつかイメージすればいい。
 聞き分けのない、自我本能の強い子だったわけだ。自我をコントロールする理性の座の発達が弱い子だった。それは生涯にわたって彼の性格を強く制限していたように思える。

 受講生6人に質問してみた。
 「太字にした箇所が二つあるが、あとのほうはなぜスティーブがそう思ったのか考えてごらん?」
 「最初に太字にした文章がじつはとっても大事なんだが、なぜこういう性格になったか想像してごらん?」

 こういうところは生徒たちに議論させたい、行間を読むトレーニングである。
 授業中に本を読みたくなったり、外へ出て蝶々を追いかけたくなる生徒。先生の制止を聞かず勝手な行動をとる、とっても厄介な子ども、それがスティーブ。
 なぜそういう性格になったのか。ポールとクララは結婚して9年間子どもができなかったので、生まれたばかりのスティーブを養子にした。うれしかっただろう、クララは本の読み聞かせに夢中になった。毎日毎日ステーブにたくさんの本を読んで聞かせた。機械工のポールはなんどもなんどもいろんなものを分解して元通りに組み立てて見せた。スティーブがキャッキャと喜ぶ姿が目に浮かぶ。ほしいものは何でも与えただろうことは想像に難くない。そういう育て方をしたら子どもはどうなるか?我慢のできない、わがままな性格が育ってしまう。それが小学生になったスティーブである。
 ヒル先生に巡り合わなかったら、学校でスポイルされて、ワル仲間に入り、ドラッグ、盗みとなんでもやっただろう。同級生にそういう人間が何人かいたに違いない。
 ヒル先生に巡り合わなければ、身を持ち崩して刑務所に入れられただろうとステーブ自身が述べている。

 教訓:よい子は創業社長にはなれない。わがままな奴には、事業を起こし信念を貫いて成功へと導く資質がある。それは他人の意見を聴かずに、己の信ずるところに従ってただまっしぐらに突き進む能力だ。


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