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#4043 参議院選挙で勝利した者 July 22, 2019 [8. 時事評論]

 参院選挙で誰が勝利したのだろう?答えは簡単、山本太郎の「れいわ新選組」である。

 比例区に焦点を絞り、自分は三番目で落選、重度心身障碍をもつ二人の議員を誕生させた。重度心身障碍者と社会の間に大きな橋を掛けつつある、その点だけでも特筆すべきことだろう。あなただって、明日事故に遭い、頚髄損傷によって首から下が麻痺した生活を送ることになるかもしれない。明日のことは誰にもわからないからこそ、重度の心身障害をもった人の社会参加の問題は他人ごとではないのである。末尾に、事故で頚髄損傷をした上村さんが書かれた本を紹介しておくので、ご覧いただきたい。
 米国ではトランプ大統領が様々な壁を築きつつある、日本でも韓国との間に安倍総理は壁を築きつつある、そうした動きがあれば反対の動きもまた生じてほしいと願っていた。時代がそうだからこそ、山本太郎はいろんなところへ橋をかけてくれそうな気がしている。
*#1745 ドキュメンタリー映画「普通に生きる」 (1) Nov. 22, 2011
https://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2011-11-22


 選挙は山本太郎の狙い通りの結果になった。二人送り込めたら、政党登録ができる。得票率2%のハードルを越えるからだ。今回の選挙で集めたお金は4億円と言われているが、政党交付金の対象となり次の衆議院選挙では20人でも候補を擁立できるから、候補者発掘に忙しくなる。
 衆議院議員選挙へ立候補するには、供託金を「選挙区」は一人300万円、「比例区」は600万円積まなければならない。
*https://ja.wikipedia.org/wiki/供託金
 政党交付金には議員割と政党への交付金と二つあるようだが、議員割はwikiの事例で計算すると2300万円/人である。
*https://ja.wikipedia.org/wiki/政党交付金

 山本太郎が喜んでいるのは、政党党首として党首討論に参加できることと、テレビで政党代表として討論会に参加資格を得たことだ。これからマスコミへの露出が増える、そして言いたいことを言いたいだけ喋る。意見がまったくちがう人の意見を聴けることを、街頭演説の各場所で証明して見せた。「どうぞ、あなたの話も聞きます、話してください」とヤジに応じて見せたのである。ヤジにピリピリする安倍総理が小さく見えてしまった。
*https://johosokuhou.com/2019/07/19/16305/
 かれの消費税廃止論はなかなか説得力がある。街頭での彼の選挙演説映像*をみたらいい。実に上手で説得力がある。自分の論として消化しているし、役者の経験も活きた。消費税を廃止して、所得税の累進税率を消費税以前に戻し、法人税もまたそのようにすれば財源確保ができると主張している。
*https://www.youtube.com/watch?v=oKcZXx0mMu0

 政府は消費税を増税しながら、その分の所得税と法人税を減税し続けているから、山本太郎の政策は現実的で具体的、そして強い実願可能性をもつ。政権にとってはうるさい蠅のようなもの。ド派手、まるで江戸時代の傾奇者。
 NHKの日曜日朝9時からの政党討論会が刺激的なショーになるだろう。視聴率がどれくらいアップするのか見ものだ。
 「れいわ新選組」の政策には、とんでもないものも混じっているから、露出が増えれば時間とともに取捨選択されるのだろう。色物で終わるか、成り上がるか、しばらく注目してみたい。

 わたしは健全な保守主義が日本に根付いてほしいと思っているが、それが育つには現実的で具体的な対案を提示する野党の存在が不可欠である。
 旧民主党は実際に政権交代して、そういう能力がまったくなかったことを披歴してしまった。同じ人たちが分裂して、看板を掛け変えても、中身は変わらぬから、有権者はなかなか騙されてはくれぬ。別の何かが出現することを願っているのである。
 旧民主党が政権を取って大失敗、世論の受け皿がなくなって閉塞感が漂っていたが、面白い受け皿ができつつあるようだ。既成政党にあきたらなかった「支持政党なし」層が、次回の衆議院選挙では動くかもしれぬ。
 「れいわ新選組」はどこか漫画チックな響きがあるが、その戦略はまぎれのない大人のものだ、どの政党も油断がならない存在になれるかは、山本太郎とそのブレーンたちの力量次第。

 次の衆議院選挙では台風の目になるだろう。

<余談:拡大>
 次の衆院選挙では20人の候補者擁立が目標だろう。山本太郎自身が東京都のいずれかの選挙区から立候補して当選を決めるだろう。何人当選するかはまったく未知数だが、そうだからこそ、小選挙区の候補者たちは戦々恐々となる。衆院選にも比例区があるから、「れいわ新選組」が大きくなることは確実。そして、次の参院選挙では今回よりも比例区で今回よりもさらに多くの議員が誕生するだろう。
 数が二けたになることはもう不可避だ、つぎは何をどうやるかだ。今回選挙では重度障碍者を社会の表舞台に引き上げた、こんな発想は既成政党にはない。なにがはじまるのか、常識破りで期待させてくれる、思いっきり戦え!


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