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#4033 根室市役所を新築してはいけない理由 July 12, 2019 [26. 地域医療・経済・財政]

<最終更新情報>
7/13 午前0時

 市役所建物は新築の方向で決まったようです。改修か新築かの結論を出すには、その前に議論しておくべきことがあります。

 <閉鎖的な場での議論はつねに大失敗の歴史あり>
  市がやる「~市民委員会」方式での議論は大半の委員を市側で指名しますから、閉鎖的な委員会です。公募の委員が数名いて反対意見を表明することがありますが、多数決で押し切られるのが常。病院建て替えでも、明治公園再開発でも高校統廃合問題でも、小中学校統廃合でも、そういう方式で結論を出していますが、全部大失敗です。一つの例外もない。専門知識や分析能力を欠いた人たちが何人集まって議論してもダメなものはダメ。データをベースに客観的な分析もしない、だから検討不足で見落としだらけ。確認もせずに恣意的なデータを鵜呑みして判断してしまう。石垣市長は前市長長谷川氏のやり方を忠実に踏襲しています。困ったものです。


<改修否定理由は10年20年で建て替えになるから>
  いま市役所建て替えでも同じことが起きてます。今日(7/11)の北海道新聞根室地域版で市政モニター会議で改修ではなくて建て替えの方向になったとありました。理由を見たら、お茶飲み話のレベルですよ、改修しても10年20年したら建て替えしなくてはならなくなるからだそうです。
  そんないい加減な改修工事がありますか?30年はもちますよ、氷見市がやってます。弊ブログ#3259で取り上げました。廃校になる小学校や中学校を使えばいい。すでに耐震改修済みです。数億円の予算を投じて、最近数年間で耐震改修しています。もったいない。小学校か中学校を利用するなら改修に15億円かけたっていい。
 2016年3月15日の北海道新聞によれば、市側の試算では現建物を耐震改修すれば8.5億円、新築なら30億円と公表しています。詳細は弊ブログ#3258を参照してください。
 岩見沢の市議が見学して写真をブログに貼り付けています、ご覧ください。投稿欄で教えてくれた方がいらっしゃいます。
*氷見市役所庁舎見学報告:岩見沢市議平野義文さんのブログ
https://hiranoyoshifumi.jp/2016/12/22/8107#more-8107

 #3258 根室市役所新築なら30億円:坪単価200万円にビックリポン! Mar. 15, 2016
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-03-15
 #3259 市役所庁舎に廃校を利用した富山県氷見市 Mar.16, 2016
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-03-16

<資料の保管方法再考や仕事のデザインが先>
 市役所内の仕事のやりかたが変わっていい。保管資料の量の調査や保存媒体検討、そして実務デザインが先、仕事のやり方で仕事量はまるで違ってきます。実務デザイン次第で10人必要だった部署も2人ですむケースが出てきます。資料の保管方法や実務デザイン次第で仕事のしかたも必要人員数も違ってくるから、改修仕様や建築仕様はその後です。段階的に市役所職員の定数をどのように減らしていくのか、具体的な数字をもたなければ、改修仕様も建築仕様も、改修にすべきか新築すべきかも決められないのです。市政モニターのメンバーのみなさんはそういう議論しましたか?

<人口減少の影響を無視>

 市政モニター会議は人口減少という肝心なこともお忘れのご様子。20年後の根室市の人口は1.5万人です、いまの規模のスペースは要らないのです。20年前は3.4万人、いま2.5万人。20年間で8000人強減少しています。市役所の仕事は市民対象のものが多いのですから、市民が4割も減少すれば、やらなければならない仕事の量も減少します。
*根室市の人口推移データ
https://www.city.nemuro.hokkaido.jp/lifeinfo/shinitsuite/toukeijouhou/2/2817.html

 現市庁舎が建てられた1973年の人口は44,856人です。建物はつくってしまえば耐用年数は50年、来年つくったとしても2070年まで建て替えがありません。2070年には根室の人口は1万人未満です。現在と同じ面積で建て替えようとしていますが、ほんとうにそんなに広い市庁舎がいるのですか?
 小学校は市街化地域に1校で十分です。郡部校は集団競技の部活ができない、「わたしたちって差別されている」と怒っている郡部の中学生もいますよ。
 廃校になる市街化地域の学校を改修して20-30年間使用し、そのあとで人口規模に合わせて新築すればいいではありませんか。20年後なら人口は1.5万人です。25年後ならおよそ半分の1.3万人です。新築するならその時がベストとは思いませんか?
 
50年間使用することを考慮してください。現在計画されている規模は大きすぎます。人口推移データを見てください、論外でしょう

 <国勢調査と人口推計データ>
 1980年 42880人
 2000年 33150人
 2010年 29201
 2020年 24461
 2030年 19610
 2040年 15190
 2045年 13210人
*https://ecitizen.jp/Population/City/01223

 推計値の見直しがあったようですね。数年前の推計では2040年は1.8万人でした。どういうわけか最近3年間は根室市の人口減少が毎年600人を超えて加速しています。藤原市長時代は年間400人前後の人口減少でした。わずか11年後の2030年には根室市の人口が2万人を割るのです。人口が激減しているのに、45年前の規模で建て替える必要はない。改修して人口の減り具合を確認してから、人口規模に合わせて25年後くらいに新築したらいい。仕事のしかたもスマートにしたらいい、おしゃれで小さな市庁舎で間に合うと思いますよ。いま業務で使っているパソコンは25年後にはスーパーコンピュータ並の性能のものに置き換わっているかもしれません。記憶媒体もまったく性能が違うものに置き換わています。つまり使用する機器がしめる空間がずっとコンパクトになります。建物の仕様がまるで違ってきます。市役所まで出向いてやらなければならない諸手続きも、市民が家からスマホのようなものでほとんどが処理できるようになります。すでに通信速度はまもなく5Gに切り替わると騒いでいます。
 この推計には年齢階層別の推計値もでています。そのデータによれば、2030年の根室市内の中学生は1学年137人、この時点で小学校も中学校も郡部校は必要なしです、市街化地域に1校に統合すべきでしょう。あとたった11年で、こういう事態が起きる。
 市街化地域に2校、郡部校は整理しない結論を出してしまいましたが、閉鎖的な場で議論するからこんなバカな結論が出てしまう。小中学校統廃合問題は急いでやり直した方がいい。2040年には中学生は1学年95人まで減少します。小学校も中学校も21年後には根室市内に1校でよい、いや1校に統合すべきだということです。そこから、いまどのように段階的に統廃合を進めるべきかを考えましょう。


<結論:重要事項がいくつも見落とされている>
 見落としだらけになっていますから、閉鎖的な場での議論で結論を出してはいけないのです。建て替え後に不都合が起きます。市庁舎建て替えは市政モニター会議のような閉鎖的で恒常的な機関ではないところでやれるような問題ではないのです。分析や検討すべきことがたくさんあるので、常設機関がなければならない。根室市の未来にかかわる重要なことですから、市民にオープンな議論が保証されなければならない。
 高校統廃合問題で学力データを分析せずに検討を行ったために、いま根室高校で大きな問題が起きています。学力低下に拍車がかかっています。地域の最高学府である根室高校生の学力レベルが低下するということは、根室の未来に赤信号が灯っているということ。いまだけでなく20年後30年後にも問題続出なのに処理できる人材がいないということになります。閉鎖的な委員会方式でやると、大きな見落としが生じ、たいていこういうことになります。
 市立病院建て替え問題では市側は市民説明会で虚偽説明をし、関係市民委員会と市議会と市民をだましていました。危うくニホロ地区に移転するところでした。あの時は北海道新聞根室支局の記者が駒場町の候補地の地主へ直接取材してくれて、市側の説明が虚偽であると事実を報道してくれました。
現地建て替えにひっくり返ったのです。市民説明会では当時の長谷川助役(前市長)はわたしの質問に傾斜地だから現地建て替えはできないと答えています。これも大嘘でした。当時の市長は藤原さんでした。藤原さんへ連絡とって、担当部長と担当課長へ2000年に首都圏で建て替えを行った300ベッド弱の療養型病院の開発申請資料の写しを差し上げました。わたしが常務理事として担当した仕事ですから、資料を渡すときに建築単価が高すぎることやゼネコンとの交渉のしかたも説明しました。市立病院は現地建て替えに何の問題もなかったのです。いま、同じ場所に建て替えられた病院があります。建て替えだけで113本のブログをアップしてますが、何も言わなければ、市立病院はニホロに移転してましたよ。市役所や市長の提案、あるいは市長の諮問委員会方式での決定でやってはいけないということです。市で行う大きな事業は市民監視が必要です。事情は#4032で書きました。URLが一番最後にあります。
 明治公園再開発は担当委員会が異例の速度で結論を出しましたが、市議会が反対したのでしょう、消えたようです。十数年前に利用されずにさび付いて放置されていたアスレチック施設を撤去しています。アスレチック施設を作ったときの子どもの数に比べると、いまはおそらく1/3です。つくったって親も子どもも利用しません。外は寒いからです。はじめから不要な委員会だったということ。
 こういう閉鎖的なやり方では常に失敗、市民自由参加のオープンな場で1年かけて議論を尽くせとebisuは繰り返し言ってます。中標津町は町のビジョンづくりを市民自由参加のオープンな作業部会でやりました。
 中標津には療養型病床があります。石田病院は療養型病床120ベッドの病院です。老人医療のための病院です。ところが根室市には療養型病床がありません、ゼロなんです。病院職員アンケートでもその必要性と何人もの人が訴えてましたし、地域医療協議会も要望を出してましたが、無視したんです。老人医療を根室市長と市役所の関係部署は切り捨てました。こんな大きな失敗、取り返しにつかぬ失敗もしています。根室市長と市役所幹部職員は病院建て替え問題で大失敗して懲りたはずですが、もう忘れましたか?性懲りなくまた同じことをやっている。

<余談:動機>
 市立病院建て替え問題だけで113本も記事をアップしていますが、なぜそこまでこだわったのか、書いておきます。商工会館で行われた説明会で、ニホロ移転と知ったお年寄りが二組、涙を流して「ニホロに移転になったら、遠すぎて病院へは通えない、なんとかしてほしい」と頼まれたからです。そして都合のよいことに、たまたま、仕事で2000年に首都圏で300ベッド弱の療養型病院の病棟建て替えを常務理事として指揮・調整した経験があったからです。

 いままで弊ブログで採り上げて来た市役所改修に関する議論をまとめてリストします。

*#3875 根室市役所新庁舎は北斗小学校を利用したらいかが? Dec. 8, 2018
https://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2018-12-08-1

*#3260 根室市役所新庁舎に廃校を利用しよう Mar. 17, 2016
https://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-03-16-1

#3259 市役所庁舎に廃校を利用した富山県氷見市 Mar.16, 2016
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-03-16

 #3258 根室市役所新築なら30億円:坪単価200万円にビックリポン! Mar. 15, 2016
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-03-15

 #3241 2020年度までに市街3中学校統合 Feb. 19, 2016
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-02-19

 #3862 若い女性の流出懸念:根室市 Nov. 24, 2018 
https://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2018-11-24-2

 #3135 いい町をつくる Sep. 16, 2015
https://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-09-16

#4032 免許返上と代替交通手段の確保:ある専門家のご意見 July 11, 2019
https://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2019-07-11



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#4032 免許返上と代替交通手段の確保:ある専門家のご意見 July 11, 2019 [37. 老人介護・医療]


 先週市立病院の眼科を受診したときのことです。「10時に来てもう3時だ、いつになったら自分の番が来るんだ」といらいらして怒鳴ったお年寄りがいました。「責任者を出せ」と憤ってましたが、職員の方が15分ほど丁寧に説明していました。おそらく80代です。他にも病気を抱えて長時間待つのは辛い。2時半の予約のあったわたしが診察を終わったのが5時40分です。ドクターはまだ診察を続けてらっしゃいました。
 長時間診察を待っていたのは一人暮らしで運転免許のない方。診察カードを機械に読み込ませて受付を済ませ、それから自宅へ戻るわけにはいきません。3回タクシーを使うことになるので。来るときはバス。

 代替交通手段の問題を議論すべきだという専門家のご意見に頷きました。


https://www.msn.com/ja-jp/news/national/暴走事故で高齢者だけを悪者にする違和感/ar-AAE8Z0t?ocid=spartanntp#page=2
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まずは一つ目、高齢者の運転能力の問題から。高齢になると運動能力や判断力が落ちるのは事実だ。何の対策もしなくて良いとは思わないが、かといって問答無用で運転免許を取り上げるのが正解とも思えない。都市部に限れば、代替交通手段があるので、その人の環境によっては何とかなるだろうが、地方へ行くとどうにもならない。
 
坂道を20分も歩かないとバス停にたどり着けず、そのバス停の発着時刻表にあるのは朝昼晩に1本ずつという様な状況で、どうしろと言うのか? 家族が面倒を見られる環境ならば良いが、そうでなければ通院も日々の食料調達もままならない。
 
厚労省の統計資料「国民生活基礎調査の概況」の19ページの表組みを見ると、60代で約6割、70代以上では7割以上の人が通院を必要としていることが分かる。もちろん中には通院まで必要ないケースもあるのだろうが、当然命に関わるケースもある。
 
「高齢者が子供をはねた」という事実は重たいが、それで免許を取り上げれば、「通院できなくて死ぬ」人も出てくる。交通事故死と病死ではショッキングな印象に差があるだろうが、人の命に軽々しく軽重は付けられない。

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<市立病院がニホロに移転していたらアウトだった>
 これで思い出したのは、市立病院建て替え時のときの商工会館で一度だけなされた市側の説明です。ニホロに移転して建て替えるつもりでいました。お年寄りが、数人途中で泣いていました。
「ニホロに移転されたら通院できない」
バス路線から外れているので不便ですし、大半の市民はタクシーで片道千円を超えます。ニホロが一番安いという説明でしたが、その後北海道新聞が調べて駒場町の候補地の方が安いことが判明しました。市側は市民へ虚偽の説明をしていました。建て替えに関する市民委員会も騙されて、候補地を見学していました。上下水道や道路の引き込み工事を計算資料から除外してあったのです。説明会のときに質問しましたが、助役からの説明なし、あとで北海道新聞記者が駒場町の地主に買取価格を取材し、追跡報道してくれました。
 このときの市側の説明にはおまけがついており、現地建て替えは傾斜地なので現建物の裏側には建築不可能との説明でした。これも嘘。説明したのは前市長の長谷川氏、助役の時代でした。
 弊ブログで、現地建て替えが可能だと、理由と具体例を挙げて現地建て替えを主張しました。傾斜地で産廃の埋まった首都圏の土地で病棟建て替えを2000年にebisuはやったことがあり、岩盤が強固な市立病院現地で建て替えは何の問題もないことを説明しました。建て替えたときの開発申請資料の写しも当時の根室市役所の担当部長と課長に渡してます。お二人とも道庁からの出向組でした。市立病院はすったもんだした挙句、現地建て替えとなっています。
  カテゴリー「市立病院建て替え」だけで113本の記事をアップしてます。経営改革など関連記事も入れるとおよそ200本、よく書いたな。ふるさと根室のためと意地になっていました。(笑)
 ニホロでなくてよかったと今になって胸をなでおろしています。


*カテゴリー「市立病院建て替え」
https://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/archive/c2300757680-1



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