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沸騰都市ドバイ(NHKスペシャル) [A9. ゆらゆらゆ~らり]

  2,008年5月25日   ebisu-blog#189 
  総閲覧数: 14,396/180 days (5月25日0時12分) 


 NHKスペシャルは面白い。5月18日放送の番組『沸騰都市ドバイ・砂漠に出現した黄金の街 地上800メートル超高層ビル 巨大人工島』を見た。

  椰子の木状に浅瀬を大規模に埋め立て、リゾート地として開発売り出す。自然破壊もすさまじい。砂漠にバベルの塔を思わせる500メートルもある途方もない高さのビルが建ちその周りに超高層ビルが林立している。現在も世界中からかき集められた低賃金の労働者が月3万円ほどの給料で働いている。インドからの出稼ぎが多い。参加する建築業者や電気関係工事事業者などが地元の王族関係のデベロッパーに奇想天外な開発構想をひっきりなしに持ち込む。もちろん日本企業もその中にはあった。

 アラブ首長国連邦のドバイは建築バブルに沸く中東の砂漠に咲いたあだ花に見えた。金融と観光で世界一を目指すという。世界中からお金が集まり建設ブームに沸いているが、最終的にそこに住む人間がどれほど集まるかだ。投資対象として、奇想天外な開発・建設ラッシュが続きバブル景気にわいている。

 イスラム金融が世界市場の一角を占め始めたことは事実だ。これから世界経済に大きな影響を与えるように思える。戒律上、同教徒からは利息を取れないから、資本参加によって利益の配分に預るという資金運用形態は、欧米の金融機関とはまったく方向が異なる。投資対象の企業と長期の安定的な繁栄こそがイスラム金融にとって望ましい。もちろん異教徒から利息を取ることは戒律上なんの差し支えもないらしいが、実務上どのようになっているかは私には定かではない。
 イスラム経済、金融については知識がないので、これ以上の言及ができない。世界経済にキリスト教資本主義とは原理の異なるイスラム金融が重要な一角を占め始めていることだけは確かだろう。資本主義は多様化し始めた。


中国・四川大地震(2) [A8. つれづれなるままに…]

  2,008年5月19日   ebisu-blog#188 
  総閲覧数: 13,932/174 days (5月19日0時00分) 

 今日の最高気温は10度まで届かない。風のないひんやりした一日だった。散歩するのには好い日和である。

  さて、中国四川省大地震の続報である。
 300キロメートルにわたる断層が2度動いた。最初は7メートル、続いて反対側が4メートルだったという。ユーラシア大陸プレートとインド大陸プレートが衝突してヒマラヤ山脈を形成した。その辺縁部は5,000~6,000メートルの高原が崖のようになって数百キロメートル続き、標高500メートルの平原部へと落ち込んでいる。標高差が5,000メートルもある。その辺りに活断層帯が集中している。
 崖崩れ、山崩れが起き、川の水をせき止めて湖のようになっているところが13箇所ある。地震でできた湖もどきだから「地震湖」というらしい。それらに決壊の恐れがあるというので、徒歩で避難する人が細い山道を数珠繋ぎになっていた。
 6,800箇所のダムの内、亀裂の入っているものが約400ある。これから雨季をむかえ、水量が増えるにしたがい水圧が高まる。どのような補修がありうるのだろうか。水を抜いてやるしかなさそうなので、ダムに入った亀裂の補修は雨季を迎えた今、技術的に難しそうである。2,000名もの解放軍兵士が亀裂の入った大きなダムに展開しているが、彼らに補修工事が可能なのだろうか?放置すればダムの決壊は時間の問題だろうから、それに備えて谷間の住民を避難させるしかない。補修の方法はそれから考えるべきだろう。こういうときは対策の優先順位を間違えてはいけない。

  地震発生から7日目というのに、投入された人民解放軍の数はたったの13万人である。人民解放軍は240万人いる。わずかに5.4%を投入しているだけである。もちろん軍隊であってレスキュー部隊ではないから、建設用重機の操作や建物の解体、人の救出のプロではない。
 あまり役に立たないことは容易に推察できる。350万戸の倒壊家屋に対して13万人では、倒壊家屋27棟に1人の割合でしかない。被災者1,000万人に対しても13万人の救出部隊は少なすぎる。それなのに中国のテレビは人民解放軍が被災者を崩れた建物から救出している場面を繰り返し報道している。投入された人数からみるとほとんどの被災地に人民解放軍がいるはずがない。得意の人海戦術はどうしたのだろうか。被災地の住民は、今日の報道でも人民解放軍はどこにいると怒っていた。
 阪神淡路大震災では全壊家屋は10.5万戸で、(78%)約5,000人が瓦礫の下で圧死したと分析されている。350万戸の家屋全壊のあった被災地の推定死者が2~3万人の規模であろう筈がない。異常に長い2分間にわたる揺れで震源地付近では80%の家屋が倒壊したようだ。阪神淡路大震災の全壊家屋数とそれによる死者数をベースに比例計算すると家屋全壊による推定死者数は72,900人である
 数字を客観的に分析すると、7日もたってもほとんどの被災地に救助の手が差し伸べられていないのが実情であることが読み取れる。それにしても中国政府のプロパガンダはなんとあさましいことか。ホンの一部の事実を全体がそうであるかのように、連日瓦礫の下から被災者を救済する場面を放送している。ほとんどの被災地に人民解放軍の救済の手は差し伸べられず、瓦礫の下でうめいていた数万人の人びとが次々に息を引き取ったというのにである。
 「人民」の救済よりも自己正当化のプロパガンダのほうがよほど優先順位が上らしい。これでは人権問題に関して、政権の自己正当化のために批判勢力を容赦のない拷問や処刑で闇から闇へと葬っているというインターネットの情報が真実ではないだろうかと思わせる。

 避難先で水や食料が配られると奪い合いが起きていた。ちょっと極端な反応に見えた。日本ではあのような「あさましい」反応は起きない。困難な局面でも人としての節度がある程度守られる。そのあたりに倫理基準の低さを感じてしまうのは私のみだろうか。水や食料を奪いあう姿が映されると目を背けたくなる。分かち合うべきなのに「健康で元気のある人が何度も水や食料をもらい、そうでない私たちには救援物資が廻ってこない」と訴える人がいた。弱者へのいたわりや慈しみ哀れみの情を「惻隠の情」というがこれは日本独自の文化であるようだ。被災地の様子をニュースで見ていると、自分さえよければ他の人のことはどうでも好いという印象を受けてしまう。
 公共交通機関である地下鉄、バスなどの利用の仕方にも人としての節度のなさが現れている。中国は個人個人の倫理水準が低いばかりでなく、人間相互の信頼関係の薄い社会にみえる。なぜだろうか。国民性の違いで片付けられる問題でもないだろう。悪い意味での個人主義、エゴイズムが徹底した社会に見える。共産主義と関係があるのだろうか、それとももっと根が深く、儒教文化と関係があるのだろうか。

 倒壊した小中学校は6,898あるという。1,000人前後の死者がでたところが何箇所かあるようだから、小中学校だけでも5万人以上死んでいるのではないだろうか。単純計算で1箇所10人としても7万人の人が亡くなっている。だから総計10万人以上の死者になるのではないだろうか。1976年7月28日午前3時42分に起きた唐山大地震M7.8 では中国の公式発表で242,419人の死者がでた。一説にはその3倍以上の死者がでたと推定されている。日本への通知は21時間後である。被害情報は1年以上秘匿された。被害地域である唐山市への立ち入りも十年以上にわたって禁止された。徹底した情報管理がなされた。今回はインターネットへの書き込みが増えて、情報を隠しきれなかった。経済の自由化は情報インフラの整備を伴う。中国はますますネットへ情報の管理を強化するだろう。

 建築費の30%程度の賄賂が横行して建築の手抜きが行われた。中国では「おから工程」というようだ。
 数年前に道庁からの出向者と話しをしたことがあるが、市立病院の建築坪単価は道庁基準では130万円と言っていた。実際にはその半額で建築可能で、実際に民間ではそれくらいの建築単価で病院建て替えがなされている。
 ではなぜ倍も建築費がかかるのかといえば、国土交通省、道庁、地方自治体職員の建築業界への天下りのためである。中国では30%の賄賂だが日本では50%という見方もできる。つまり日本は中国を笑えない現実を抱えている。
 おりしも、北海道開発局の汚職事件が報道されている。官制談合事件である。開発局職員は代々仕事の一環として、官制談合を引き継いできた。受注企業全部に北海道開発局OBが天下っている。これでは現職が拒否できるわけがない。
 わたしも仕事で天下りの現実をいくつか見ている。輸入商社時代の防衛庁調達関係のことについてはそのうちこのブログで書くことがあるかもしれない。関係者のうちトップ2人は故人であるから書いてもいいだろう。防衛事務次官が関わった山田洋行事件は例外ではない。構造的なものである。防衛庁から天下りを受け入れている商社は例外なく類似の行為をしている。天下りをなくすことができれば、調達関係の防衛予算は2割カットが可能だろう。
 
 この国では天下りがいろいろなところで弊害を起こしているにもかかわらず、それを禁止するような法律ができない。法律を作るほうの与党議員が官僚の利益代表(族議員)になっているからだ。

 地方財政は疲弊している。小中学校のや病院の耐震改修や耐震補修は遅々として進まないだろう。このままでは中国四川省の現実がいつか日本のどこかの地方の現実となる日が来る。
 わが町根室も危うい。財政の健全化が鍵だ。大きな負担となっているところを具体的に洗い出し、一つ一つ具体策を立案して実行に移すべきだ。いままでのいくつも具体的なことをこのブログで採り上げたので、この点についてはここでは書かない。

 ひとつだけ繰り返しておこう。釧路市には地震計が複数あるようだ。震度が小さくでるから市内の他の地点でも震度を測るためだ。だいたい官公庁のあるところは地盤のしっかりしたところを選んでいる。そこで震度を測っても、意味がない。そのような強固な地盤は本の一部だからである。ご他聞に洩れず、根室の合同庁舎のあるところも地盤がしっかりしている。こんなところに設置された地震計で市内の震度が測れるわけがないだろう市民の家屋が震度7に見舞われても、合同庁舎は震度6弱しか揺れない。
 ここと同じ震度が出るのは市立根室病院の立っている岩盤地域や市役所、支庁の辺りのみに限定される。高台から下がった本町や梅ヶ枝町、緑町、弥生町などは数メートル掘れば帯水層に当る。松ヶ枝町や花咲町、鳴海町、汐見町なども同じだろう。表層に近い地層が粘土層と帯水層からできている。こういう場所に地震計を設置したら震度が大きく出る。被害の実態に近い震度が測れる。だから、地震計をこうした場所に増設すべきだ。そうすれば、釧路よりも震源地から近いにも関わらず、根室の方が震度が小さいために災害救助法の適用が受けられないというような、おかしな事態は避けられる。地震計の設置に莫大なお金がかかるわけではあるまい。必要なところへお金が廻るように、特別会計への繰出金を減らす努力をしたいものだ。


中国・四川大地震 [A8. つれづれなるままに…]

  2,008年5月18日   ebisu-blog#187 
  総閲覧数: 13,762/173 days (5月18日0時10分) 

 中国四川省で震災があった。M7.9の規模の大震災である。動いた断層が300キロメートル、阪神・淡路大震災(1995年1月17日午前5時46分、M7,2)に比べて8倍近い長さの断層が数メートル動いた。
 根室に大きな被害をもたらした1994年10月4日22時22分の北海道東方沖地震は根室半島沖200キロメートルを震源とし、M8.2であった。全壊家屋は2棟あったが、幸い死者はなかった。阪神淡路大震災では、全半壊25万棟、全焼家屋6148棟、死者6,434人。
 四川大震災による死者は地震発生当日の北海道新聞では5千人、翌日夕刊では9千人と報道された。現在中国政府の今日(17日)の発表では推定5万人の死者となっている。

 地震の規模も大きかったが、それ以上に人的・物的被害が大きい。いままた6800箇所のダムの内、400箇所以上で亀裂が報告されている。決壊すれば下流の都市が水没の危機にある。
 日本からはレスキュー部隊が派遣された。当初中国政府は申し出を断った。レスキュー部隊を解散した後で中国政府が受け入れを表明したので、再招集して80名ほどの部隊を派遣したが、すでに救命リミットの72時間を過ぎており、活動の大半は遺体の収容となるだろう。すぐに受け入れを表明してくれていたら、救える命が数百人規模で会ったかもしれないのにと中国政府の決断の遅さに恨みが残る。

 インターネットの書き込みでなぜ国際救助隊の受け入れをしないのかと国民から批判が飛び交い始めて、慌てて受け入れ表明をしたようだ。5万人の職員がインターネットの監視をし、政府に批判的な書き込みがあるとすぐに削除し、胡錦濤主席や温家宝首相の現地入りの宣伝に差し替えている。相変わらず、情報操作の多い国だ。ソ連崩壊後のロシアもまた経済発展と共に報道の自由がなくなりつつある。
 都合の悪い情報は徹底的に取り締まる。共産主義の各国ばかりではない、その点では米国も同じだろう。エシュロンというインターネット監視機関は英国・カナダ・オーストラリア・ニュージーランドで秘密裏に運用され、10万人の職員を抱えている。9.11関係の書き込みの多くが消された裏にはこうした期間が関わっているのかもしれない。エシュロンとは別に、イラク戦争報道に関しても徹底的な情報管理がなされている。
 
 中国国内のテレビニュースで女性記者が質問しているのが何度も流された。「政府の建物は壊れていないのに小学校はほとんどが壊れた」と。
 「おから工程」が指摘されている。亡命した建設関係者の証言が報道されている。工事代金の30%が賄賂で消えて、手抜き工事が常態化しているらしい。事実とすれば人災である。350万戸が全壊したと報道されている。阪神淡路大震災では24万戸程度だった。
 地方政府が小学校で数十人が死亡したという報告を上げていて、軍隊の救援が見送られたという報道もある。地方政府とは日本では市役所だろうか。被害を過小に報告したことで、救助活動のスタートが遅れた。もう1日早く来てくれたら「昨日まで生きていた、声がしていた」と父親が怒っていた。「何をしていた、殺してやる」と現場は修羅場である。レスキューに当っていた若い軍人が、「助け出したけど、助け出したとたんに息を引き取った」と泣きじゃくっている。

 中国は近年軍事費が大幅に増加している。そういうお金の数百分の一を小学校の耐震補強に使っていたら、ほとんどの小学校の倒壊はなかっただろう。一箇所の倒壊で小学生1200人が死んだというケースもあった。生き残った1千万人の被災者はこれから大変な生活を迎える。衛生状態は悪いし、食糧事情もよくない。被災地が穀倉地帯だったから、食糧価格の暴騰が心配されている。国際相場も上がるだろう。
 
 さて、わが町の市街化地域の6小中学校は大丈夫だろうか。各校30年以上たっているのではないか。耐震補強はなされているのだろうか。体育館の補修工事もままならないのが実情のようだ。学校よりももっと古いのが市立根室病院だ。竣工後40年を超えている。患者も医者も看護師さんたちも心配だろう。地震で倒壊してもらっては困る。
 町の財政事情が悪いので、こういうところにお金が使えない。軍事費に優先的にお金を使い、必要なところへお金が廻らないのは中国だが、財政状況の悪化で必要なところに充分なお金を廻すことができないの構図がわが町にはある。
 全部の小中学校の耐震補強は財政的に無理だろう。小中学校の統廃合を急いで数を減らし、重点投資できる環境を整えるべきだ。必要な予算を確保するためにも市立病院の年額10億円を超える赤字を半減すべきだろう。
 根室を出て東京に35年住んで実感したのだが、根室は地震が多い。しょっちゅう地震が起きる。地震の多発地帯である。だから避難場所となる学校や救助拠点となる病院の耐震改修や耐震補強をきちんとして、安心して住める町づくりを最優先してもらいたい。