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#180 死骸さらに2羽確認(北海道新聞)(5) [87.根室の話題]

  2,008年5月4日   ebisu-blog#180 
  総閲覧数: 12,300/159 days (5月4日0時00分) 

  4月21日にSARS対策(重症性呼吸器症候群)について採り上げる旨予告してからこのテーマは5回目である。

 地元の獣医師の報告によれば、カモメ、カラス、オジロワシなど肉食、雑食性の鳥類が強毒性の鳥インフルエンザウィルスに感染して死んだ鳥の死骸をついばんでいる疑いが強まった。根室半島周辺で強毒性の鳥インフルエンザが広がっていく。
 広がるほど、ウィルスが変異して人から人への感染を起こす確率が高くなる。

 治療に不可欠な人工呼吸器はパンデミックが起きたら、患者百人に1台もない。使い方については看護師さんたちが機器の操作マニュアルを読んで、トレーニングするだろう。準備期間はまだある。時間を無駄にしたくないものだ。
 予算があれば人工呼吸器を数十台購入しておきたい。非常時に備えて赤字の幅を小さくしておけば、こういうときに予算が使える。何度も繰り返したが、年間十億円を超える市立病院の赤字は論外である。非常事態に備えるお金がなくなってしまうからだ。予備費として毎年1億円程度はとっておくくらいの余裕をもつべきだろう。

 5月3日北海道新聞25面(釧路-根室)より・・・
   死骸さらに2羽確認
     地元の獣医師
【別海】野付半島で見つかったオオハクチョウの市外から鳥インフルエンザの陽性反応が出た問題で、地元の獣医師が同半島で、ほかにオオハクチョウ2羽の市外を確認していたことが2日、わかった。
 同半島で野鳥観察を続けている中標津町の中田千佳夫獣医師が4月29日、半島中心部のナラワラと最先端部の2ヵ所の海岸で、オオハクチョウノ死骸を見つけた。
 中田さんによると、死骸を国の天然記念物オジロワシやカモメ、カラスなどがついばんでいたという。中田さんは2日に根室家畜保健衛生所に届け出た。
 その後、死骸の状況は確認されて以内だ、感染鳥だった場合は、他の鳥類への感染拡大が懸念される。 

 強毒性ウィルスによる新型鳥インフルエンザが引き起こすSARS(重症性呼吸器不全症候群)の治療には人工呼吸器が必要であり、その症状は今までの弱毒性のインフルエンザとはまったく異なるものであることをWHO(世界保健機構)の専門官が簡潔に解説している。4月30日のブログに貼り付けた取材記事を再掲載しておく。

 http://www.nikkeibp.co.jp/sj/2/interview/90/

田代眞人氏は、日本を代表するインフルエンザの研究者であるとともに、世界保健機構(WHO)で新型インフルエンザ対策を担当するインフルエンザ協力センターのセンター長を務めている。

「田代:従来のインフルエンザウイルスはトリ型もヒト型も弱毒型です。トリの場合は感染してもほとんど症状が出ませんし、ヒトでは気道の粘膜細胞など一部の細胞でしか増殖しません。ウイルスは細胞に入り込んで増殖し、最後に細胞を破壊して出てきます。ですからウイルスに冒された部位では細胞が破壊されて炎症が起きます。弱毒型の場合は、気管しか炎症を起こさないわけです。

 一方強毒型は、全身の細胞で増殖する能力を持ちますですからさまざまな臓器で炎症が起きて多臓器不全を起こしますし、血流にウイルスが入り全身に回るウイルス血症という症状も出ます。特に重症の肺炎を起こすため、治療には人工呼吸器が欠かせません。

 これとは別にH5N1ウイルスはサイトカインストームという症状も起こします。免疫は通常、ウイルスから身体を防御するのですが、その免疫が暴走して、自分の体を攻撃してしまうのです。免疫活性が低い老人よりも、活性の高い若者のほうが危険なのです。

・・・ところが今回のH5N1ウイルスは、致死率が非常に高いのが特徴です。気道のみならず、肺の深いところに感染し、ウイルスによる肺炎を引き起こします。細菌による合併症の肺炎ではなく、ウイルスが肺炎を起こすのです。妊婦が感染した場合には、ウイルスが胎盤を通過して胎児に感染した例も報告されています。このようなことは通常のインフルエンザではありえません。」