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#4571 学校の先生の生徒との私的SNS使用規制:時代の流れ June 16, 2021 [8. 時事評論]

<最終更新情報>6/19午後1:30

 今朝(6/16)のNHKラジオ放送のニュース解説によれば、文科省が学校の先生が生徒と私的なSNS利用の規制を検討中らしい。いろいろ問題が実際に起きているからだろう。非常勤講師の女性教諭が男子生徒と関係ができて噂になり、処分を受けたという事例が紹介されていた。昔なら、それも「教育の一環」くらいでお咎めなしだったでしょうね。男女が別、つまり男性教諭に女生徒なら問題ありだったかもしれません。
 そこで、明治時代の文科省が日本人の伝統的な性風俗を破壊し、西欧の処女信仰を植え付けるためにやった「性風俗に対する破壊的な文教政策」をいま一度顧みて、今回の生徒と先生のSNS通信規制の問題を日本の性風俗という文脈に置いたときに、どのような意味を持つのか考えてみたいと思います。

 『古事記』の国生みの話は、伊邪那岐いざなき伊邪那美いざなみの二柱の神が「淤能碁呂島」に降り立ちセックスするところから始まります。そんなお国柄ですから、昔は性についてはとってもおおらか、恋をするというのはセックスをするということと同義だった。そういう時代が江戸末期まで続いていました。

 民俗学関係の資料を読んでいると、叔母さんが姉の母親に頼まれて未経験の甥っ子にセックスの手ほどきするなんて話があたりまえに出てきます。恋愛関係ではないですからね、初心者への単なる技術指導。だからお互いに後も引かない。性の手ほどきという点からみると、これも先生と生徒の関係、親密さや照れ臭さは残るでしょうね。
 欧米化を目指した明治政府の文科省は、そういう性風俗をそのままにして置いたら、西欧から文明国とはみなされないと、若衆宿娘宿お祭りそして盆踊り、お伊勢参りなどの旅の際になされた歌合戦に残る性風俗を徹底的に破壊・排除していきます。混浴もそういう一環として排除されていきました。江戸幕府も何度も混浴禁止令を出しています。混浴はいまや一部の温泉地に残っているだけ。根室管内では養老牛温泉、昔はあれが普通だったのですよ。朝になると、若いカップルもまぶしい日の光の中で、他の客と一緒にお風呂に入ってます。江戸時代の町湯は電気がないので小さなくぐり戸を抜けてお風呂場に入ると暗くて目が慣れるまでよく見えない。しだいに目が慣れてきます。日本人はよく(混浴の)お風呂に入っていたのです。
 平安時代の貴族は重複婚があたりまえで、女性の方へも複数の男が通うのがあたりまえでした。いい男は何人もの女のへ通ったし、いい女にはたくさんの男が通うのがあたりまえでした。和泉式部がその代表例でしょう。知的教養もあって美人であれば、それにふさわしい男たちが同時刻に鉢合わせしないように気遣いながら何人も通うことになります。樋口清之著『性と日本人』p.41(講談社文庫 昭和60年刊)をご覧ください。宮本常一著『忘れられた日本人』も日本人の性風俗を知るために読むべき価値のある本です。
 『源氏物語』で光源氏に拉致同然で引き取られた藤壺の姪の紫の上は、西の対に住み光源氏に理想の女性に育てられます。光源氏その後共寝をして暮らしますが、しばらくは契を結びません。ある夜、頃合い良しと「初床」に及びます。紫の上は幼すぎて痛いだけでちっともよくなかったのか、翌朝光源氏が西の対を訪ねてもすねて顔を見せません。このとき紫の上はいくつだったでしょう。光源氏は23歳です。『源氏物語(一)』「葵」の巻「六 紫の上の新枕と三日夜の餅」にあります(稿を改めて紹介するかもしれません)。高校教科書では採り上げないところです。こういう部分も採録すれば、古典文学好きの高校生が増えるのにもったいない。『源氏物語』は広く読まれましたので、日本人の性意識や恋愛観に少なからぬ影響を及ぼしています。文科省は古典文学に現れるこういう性風俗から高校生を隔離したいようです。晩年の光源氏は因果の糸車が回りまわって自分のところへ戻ってきたかのような悲惨なことになりますが、紫式部はどうしてそういう設定にしたのか、わたしには興味のあるところです。清少納言や和泉式部はセックスライフを謳歌していますから、彼女たちが描いたら、まったく別の結末になっていたでしょうね。
 富山県の「おわら風の盆」や秋田県の「西馬音内・盆踊り」も乱交の祭りでした。こちらは『盆踊り 乱交の民俗学』に詳しく載っています。「おわら風の盆」は深編笠をかぶって顔を隠してとっても艶っぽい踊りです。根室のサンマ祭りのときに歌手の方が舞台で披露してくれました。深編笠をかぶって顔がまったく見えない、そして手と体の動きがしなやかで、とっても艶っぽい踊りだなと思いました。男を惹きつけ気に入った人を選ぶためにもともとそういうことが目的の踊りだったのです。ああいう情緒の踊りは他の国にはなさそうです。盆踊りは大衆文化ですからね。それは性風俗という衣装をまとっていました。
 夜祭で有名な東京府中の大国魂神社は、昭和30年代中頃まで、お祭りの期間中は境内の中では「無礼講」、つまり乱交が行われていました。だから、3日間は娘を家から出さない親もいました。年頃の娘は友達を誘って夜祭りに行きたがる。昭和30年代後半にはそういう性風俗がなくなったそうです。本論への準備運動はこれくらいにします。

 さて、ここからが本題です。小中学校はわかるとして、高校生は同じに扱うわけにはいかないのではないかというのが、今回のテーマ。
 高校の先生は生徒と結婚する人が少なくない。団塊世代のわたしの時代も、2年先輩の女生徒が卒業してほどなく根室高校の先生と結婚しました。在学中から恋愛関係にあったことは私を含めて生徒たちの一部が知っていましたが、誰もそれが悪いことだという意識はなかったように思います。祝福の対象でしたね。「人の恋路を邪魔する奴は馬に蹴られて死んじまえ」(江戸末期の都都逸(ドドイツと読みます))なんてこと粋な考えが、高校生でもあたりまえだったからかもしれません。40代の先生たちが1年先輩の美人でスタイルのよい生徒が性に奔放だったために嫌っていたということはありました。それで全道大会に行かせなかった。宿泊を伴うので、後輩たちと宿泊先で関係ができたら困るというのが本音だったかも。(笑)
 故郷に戻って塾を開いて19年目になりますが、高校の先生でお二人、生徒と結婚した例を知っています。一人は生徒たちの間で噂が飛んでいました。きっかけにSNSは関係がありません。大胆な生徒は独身の先生のところに日曜日に出かけるくらいなことはやるものです。独身の男性教諭が同じ学校内で教諭の中で適齢期の相手を見つけて結婚するのと同じくらい生徒と結婚する人がいるのではないでしょうか。先生の5%くらいは生徒と結婚しているのでは?そういう事実を踏まえて、考える必要があるということ。
 生徒と先生が恋愛関係になったら、それを通報するような仕組みの導入も検討されています。なんだかすごいことになりそうで、気の毒ですね。そのうちに先生同士の恋愛も生徒から通報をするようなシステムが生まれそうです。学校外で相手を見つける機会はなかなかないでしょう、「肉食系の先生」よりも「草食系の先生」の方が多そうですから、結婚できない先生が増えそうです。転勤も多い。田舎では結婚相手として考えたときに、職業が学校の先生なら、生活に困らない優良なお相手ではないでしょうか。恋愛が30個あって、その内の一つぐらいがなんとか結婚に結びついていくとしたら、少子化対策との兼ね合いも考えながら、規制は最小限にとどめたほうがいいのではないかと思うのですが、皆さんはどう考えますか?

 古里に戻ってきたころに北海道新聞根室地域版が根室高校3年生のセックス経験率を取り上げたことがありました。女子が30%、男子が25%くらいだったと思います。こういうことは都会も田舎であまり格差はなさそうです。現在はそれぞれ5%ぐらい落ちているのではないでしょうか。バーチャルに逃げ込み現実の異性に興味を失う高校生が増殖しているのがちょっと気になります。「アニメの世界の男子は肌がとってもきれい、周りにいる男子見るとみんな肌が穢い」なんてことをマジな顔して宣う女子高生もいました。同じ年齢付近で性的な欲求を満たしてくれる異性が見つからなければ、目線は年上に向かうのは自然なことです。一番身近にいるのが若い先生たちだから、防ぎようがありませんし、防ぐ必要もないのでは?
 女生徒たちは結構ませていて、イケメンの若い先生が赴任してきたら、「あの先生となら一回ぐらいしてみたいな」なんてことをこともなげにケロッと言うから、先生たちご用心。(笑)

 根室高校ではクラスの連絡にスマホを使って一斉送信していますが、こういうものは規制の対象から外すようです。個人的な相談事もできないようでは困るので、特別なアプリを作り、そのフィールド内で通信できるようにすることも考えられています。管理者側が、閲覧可能な仕組みを入れ込むようですが、そんなことをしたら、生徒は先生に相談しないでしょう。自分の秘密が信頼していない他の先生に筒抜けになると知ったら、あなたが高校生なら相談できますか?
 自己開示効果というのがあって、個人的な秘密や悩み事を打ち明けると、親近感が増幅されるます。そこから「親密な関係」になる事例が多いので、SNSの使用規制をしたら、生徒と先生が親密な関係になるのを防げるのではという発想のようです。男女の仲は平安時代から変わりませんね。それを何とか変えようというのですから、なんだか蟷螂之斧のような気がします。

 他方、小学生相手に性的な関係をもったら、それがSNSを使おうが使うまいが犯罪です。しっかり取り締まったらいい。教員免許はく奪、永久に先生の職には就けない、それぐらい厳しい処分があって当たり前です。
「日本の刑法176条(強制わいせつ罪)及び177条(強制性交等罪)の規定においては、性的同意年齢は男女とも13歳以上に設定されている。」

 問題は中学生以上の場合です。同意があれば刑法違反ではありません。
 昔、東京渋谷の進学教室で3年間教えたことがありますが、友人の先生にませた中3の女子生徒がさかんにアプローチしていたことがありました。先生の方が面食らっていました。めんこい子で性格もよさそうだったので、3年後にその気がまだあったら、結婚してあげたらなんて冷やかしたことがあります。ほほえましかった。この年齢層は成熟度に個人差が大きいから、一律の規制は無理がありそうです。
 その一方で、私立の中高一貫校へ通っていた中3の女生徒が、日曜日の美術部の部活のときに、担当の先生に強姦されたとお母さんから相談を受けたことがあります。そのまま、エスカレーターで高校(中高一貫の女子校)へは進学したくなくて、他の学校を受験する予定で来ていた生徒でした。スタイルがよくて目立つ子でしたね。ひどい話です、そういう先生がいるのは残念ながら事実だから、二人っきりにならない用心はするべきです。3年後くらいに新宿歌舞伎町界隈でミニスカートで頭に鉢巻をしてカラーの鳥の羽をつけて数人の女子高生の先頭を闊歩している姿を見かけました。あんまり元気のよい格好だったので声をかけそびれました。
 事件が起きたら、刑事事件でいい。しっかり相談に乗ってあげる大人が必要です。
 犯罪行為は取り締まればいいが、子供たちの成長段階を無視した一律のSNS規制を導入しても、効果があるとは思えません。
 なかなか難しい問題です。とりあえず規制してみて、問題点を挙げて3年ごとくらいに検討して修正していけばいいのでしょう。説明した諸般の事情から、先生や高校生にだけあまりきつい規制はなしにしてください。さかりがついてしまったらどうしようもありませんからね。
 だれでも若いときはあったのですから、みなさん、身に覚えがあるでしょう。もちろんわたしもね。恋愛は皆さん一緒ではないでしょうか。わたしにとっては懐かしごと。(笑)

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