#4519 I‘ve never seen anything move like that before. Mar. 31, 2021 [49-4 英作文トレーニング]
NHKラジオ英会話の英文と大西泰斗先生の解説をそのままタイピングして利用している。文体が好みに合わないので、気になる箇所は随時書き換え、語彙解説で不足しているところは英英辞典2冊から語彙の定義や用例を引いて貼り付けている。高校生には英英辞典に慣れてもらいたいからだ。全員電子辞書をもっているようだが、英英辞典も中にあるのに、利用している生徒がほとんどいないので、慣れることには意味がある。
英作文問題をやるやらないは生徒の自由である。やって来れば、大西先生の解説だけではとても足りないから、3倍くらいの分量の解説をすることになる。とくに冠詞の使いかたは数か月間具体的な事例でやってはじめて自在になる。結構手間がかかるものです。(笑)
1年3か月やってきて、初めて「おや?」と思うような文にでくわしたので、メモしておきます。
『ラジオ英会話四月』p.29に次の文がありました。
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I‘ve never seen anything move like that before.
この文を会話で反射的に言うことができたとしたら、十分英語上級者です。ポイントはまずI’ve never seen ~ の現在完了形。現在完了形(have+過去分詞)は「(今に)迫ってくる」イメージ(意味の中核)をもち、それが「経験を表す使い方につながっています。経験は過去の体験を現在に「引き付けて」語ることだからです。次のポイントは動詞see(見える)がつくる「目的語説明型」(来月以降のレッスンで詳しく説明します)。anythingとmove like that(あんなふうに動く)の間に「=(イコール)」あるいは「主語・述語」の関係があります。「anythingがmove like thatするのを見る」という意味となります。
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いま目の前で起きていることだから原形不定詞になる理由はない、進行相でいい。普通はanything (that is) movingと書くだろう。
p.27には次の文がある。生成変形文法では「主格の関係代名詞+be動詞」は消去変形の対象になるので、(that is)はカッコで示した。
I live in an apartment overlooking a beautiful lake not far from Boston.
この、an apartment overlookingとanything movingは生成文法から見ると同じ変形規則に従うことになるので、moveは誤用なのだ。分詞形容詞が後置されて前の名詞を修飾する例は中3の英語の教科書でも関係代名詞が出てくる直前にいくつも文例が紹介されている。
教科書「Sunshine中3」のプログラム6から文例を拾っておく。教科書では「現在分詞の後置修飾」と書かれているが、ひとつ過去分詞の後置修飾の例文③が混ざっている。これらは関係代名詞の次に導入すべき説明である。①~⑥まで「主格の関係代名詞+be動詞」消去変形がなされている。
① I mean the man reading newspaper.
② The cat walking around the garden is mine.
③ That the temple built by Ashikaga Yoshimitsu in 1397.
④ The boy sitting on the chair is my brother.
⑤ The girl writing a letter is Junko.
⑥ Look at the boys dancing on the stage.
要するに、分詞句が後置されるのは、それが目的語や前置詞句を含んでいるからで、それがなければ通常の形容詞と同じように前置される。
さて、以前から気になっていたことがある。それは修辞上の都合で縮約変形されるケースがあるということ。大学受験参考書である江川泰一郎著『英文法解説』(2003年改訂第3版)「Ⅱ分詞」p.341に次の文が載っていた。
Anyone wishing (=who wishes) to leave early may do so.(早退を希望するものは早退してよい)
この文例が示すところは、主格の関係代名詞節なら動詞を分詞に書き換えることで、関係代名詞節を分詞句に縮約できるということ。①~⑥までの文と表面構造は同じだが基底構造は異なる文であることがわかる。
江川先生のこの説明を頭に置いて、先にあげた次の例文をもう一度よく見てみよう。
I live in an apartment overlooking a beautiful lake not far from Boston.
この文は関係節に書き換えると次のようになる。
I live in an apartment which overlooks a beautiful lake not far from Boston.
この文は三つの単文から合成されている。
⑦ I Iive in an apartment.
⑧ It overlooks a beautiful lake.
⑨ The lake is not far from Boston.
基底構造は⑦⑧⑨の三つの文である。節構造を句構造に書き換えるために、overlooksがoverlookingになったのであるから、表層構造は①~⑥の文と一緒でも基底構造は異なっている。
大西泰斗先生の『NHKラジオ英会話』で初めて違和感のあった文だったので、わたしの意見を書いた。大西先生のことだから、わたしにはわからない合理的な理由があるのかもしれないから、判断は読者のみなさんにゆだねたい。
わかりました。知覚動詞であることを見落としてましたね。(笑)
I‘ve never seen anything move like that before.
動詞がseeなので、目的語の後の補語がtoなし不定詞、原形になるんです。それだけのことでした。Swan"Practical English Usage" p.222より。
hear、see、watch、noticeなどの知覚動詞は「目的語+動詞原形」あるいは「目的語+動詞-ing形」をとる。
I saw her cross the street.
I saw her crossing the street.
日本語に訳したときに訳文に違いはないが、ニュアンスは異なる。動詞-ing形のほうが女性が目の前の道路を横断しているように感じます。
だから、引用した文も、次のように書くことができます。
I‘ve never seen anything moving like that before.
知覚動詞であってもそれに続くのは原形不定詞だけではないのです、現在分詞もありうるということ。書き手がどういいうイメージを脳裏に浮かべたかで、原形不定詞か現在分詞かが決まります。英語って面白いね。
以上
<2022年5月19日追記>
英作文は12000題、A4判で1420頁になっています。3月末で作成を終了し、いま2月分の原稿の校正作業中です。数日で終わる予定です。そのあと、3月分の原稿校正作業で全部が終了です。週に2回配信しているので、3.5年分の配信ストックになります。ニムオロ塾の大学受験生のためと思って始めましたが、わたしの勉強になりました。メール配信英作文に付き合ってくれている生徒たちに感謝です。一人じゃ続かなかった。
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