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#4518 中学新入生の数学:同時に二つのことを処理するのは... Mar. 29, 2021 [52. 数学]

 根室の市街化地域の中学校の新入生で分数や少数の四則演算がきちんとできる生徒は半分に満たない。
 成績上位10%層は別として、中学生になって塾通いを始める生徒には、
①最初の数時間は計算問題をやらせる。
 少数や分数計算の仕組みが理解できているか、速度は十分か、そのあたりのチェックからしている。なんとか少数や分数の計算問題がこなせるようになったら、2番目のステップは
②「正負の数」の予習」である

 マイナスの数は中1で導入される。数の概念が拡張されるのでしっかり教えておきたい。さまざまな概念の拡張が中高の数学では重要な位置を占めている。数の概念だけに限定すれば、中1で負の数、中3で無理数が導入されて、数は実数に拡張される。高2で虚数が導入され数の概念は複素数まで拡張される。複素数の世界では指数関数が三角関数で表せるという摩訶不思議なことが起きる。数の拡張の最初のステップが中1の数学なのだ。

最初は加算、次に減算とやらせてみる。
 (+2)+(-1)=
 (-3)+(-5)=
 (-2)-(-4)=
 
 こういう計算を100~200題やらせて慣れたかどうか判断、慣れたら、正負両方の数を使って少数や分数の混合算へと進む。

 7x(-2.4)=
 -2/3x(-6)=
 1/4 -(-2/3)^2 ÷4=
 1-2.4=
 3.9x(-0.3)=
 3.9÷(-0.3)=

 計算問題としては「複合問題」になっている。正負の数の計算と少数分数の計算の2分野という意味で、複合問題なのである。
 6年生の少数や分数の計算ができるようになり、正負の整数計算は符号ミスをしなくなったのに、これら両方の要素が混ざると途端に計算規則が頭の中から飛んでしまう。この段階で少数や分数の計算問題ができなくなったり、符号ミスが多発する生徒が3割くらいいるということ。二つのことをしばらくの間は同時に処理できないのである。そういう生徒たちには1000題くらいは計算問題を解かせて、慣れさせないといけないのだが、計算に不慣れな生徒のほとんどが200題くらいの計算問題をやっただけで計算トレーニングが不徹底なまま中2となり、中3になり、定員割れした根室高校へ全員が入学しているのが現実である。根室高校ではもちろんこういうレベルまでさかのぼって教えることはない。根室西高校ではそうしていたから、計算が不慣れな生徒たちには救われる道が残されていた。

 こういう計算トレーニングが不足している生徒たちは、高校生になっても計算問題に頭を使わなければならないから、文章題の複雑な問題をやれるわけがない。

 どういうことか具体的に説明したい。高校受験も大学受験も、大問のところに文章(解くために必要な条件)が書かれていて、問1、問2、問3と並んでいる問題形式が多いが、問1の問題を解くときに、前段で述べられている大問の条件をすっかり忘れている生徒が根室高校普通科ではおよそ半数はいる。読んだばかりの文が次の問1の文章を読んだとたんに頭から消えている。何かに集中したとたんに、その直前までの文章が頭から消えてしまう。記憶の保持の問題である。記憶を保持できる容量が小さいのだ。
 成績の良い生徒は、しばらく記憶を保持できるから、大問の条件と問題1の条件を同時に頭の中に並べで考えることができる。だから速い。そして、大筋の解法の道筋をつけたら、それに従って計算を進めていく。計算段階では脳はほとんど使っていないから、問題の条件を記憶して置けるので、問題文の条件を突合しながら、計算を進めることができる。計算には脳をほとんど使わないので、道筋からそれると違和感が働く。

 言いたいことは、計算に脳を使っている生徒は数学ができるはようにはならぬということ。計算は手が勝手にやればいい、そうできるように、小学校高学年と中学校での計算トレーニングの徹底がとてつもなく重要だということ。スマホのタイマー機能を使い、10分単位の計算トレーニングを繰り返して数千題やるべきだ

 団塊世代は小学校で珠算塾へ通っている生徒が、根室で1/3くらいいた。例えば、商工会議所珠算能力検定なら、3級で乗除算は少数の問題が混ざっている。乗算・除算がそれぞれ20問、10分間で計算する。見取算が10題合計50題の計算を週に6回やれば、1年間では「50題×52週×6日=15600題」にもなる。2級から暗算10問が入る。3年間トレーニングしたら50000題は計算トレーニングをこなしてしまう。このレベルになると、四則演算に頭を使わなくて済むから、複雑な文章題を解くのにとっても有利になる。計算に投入する脳のエリアを他のことのために解放できるからだ。
 こんなにしなくても小学生や中学生の時に数千問題は計算トレーニングしたほうがいい。珠算の例で言えば、採点時間を除けば、1回50題で30分である。その後で、脳を使うような複雑な問題をやればいい。
 ストップウォッチで時間を測ってやると、集中力が高くなる。面白いのはこうしたトレーニングを毎日続けると意識的に集中力をコントロールできるようになるのである。集中力のスィッチ回路ができてしまう。

 集中力をアップするには、日本語の本を高速音読するのもいいし、英語の教科書を高速音読してもいい。10分間で十分だ。たったそれだけで、脳は覚醒するようになる。
 自分の脳のスペック(仕様)は自分がデザインできるし、デザインした通りにもっていくのはそれに適したトレーニングを毎日30分間、数年間続けたらいい。どんなことでも毎日30分間3年間は修行時間が必要だ。3年分で547.5時間ということになる。ハイスペックな脳は一度できあがると、使っていれば錆びつくことがないし、少しずつ性能が上がっていく。

 昨年1月から、NHKラジオ英会話を利用して、そのままタイピングして、1/4ほどをピックアップし、英作文教材としてe-mail配信して利用している。生徒がやって来て質問があると、書いてあることの3倍くらいの説明になる。すでに4800題を超えた。3年間で10000題の問題と解説をすることになる。A4判にプリントアウトしたら680頁になっている。1頁辺り900文字ほどの量だ。
 英作文も単純なトレーニングを積み上げたらいいだけ。毎日10分間の音読と英作文問題トレーニングを中高で1万題こなしたら、英検準1級に合格するのはそれほど難しくない。
 要するにやり方は部活と同じで、よいトレーニングメニューで中高6年間修業できたら、まったく別世界が待っている。



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