SSブログ

#4180 武漢新型コロナウィルスと臨床検査センターの役割 Feb. 12, 2020 [8. 時事評論]

<最新更新情報>
2/13朝9:10 

<クルーズ船搭乗員全員検査できる:官・民協力が鍵>

 クルーズ船に乗客と乗組員併せて3700人がいまだに船内に「隔離」されて下船できない。患者は次々に見つかり増えており、船内で感染が広がっている。今日までに492人検査して174人が陽性だった。全員検査したいができないのは、国立感染症研究所や各地方の公的機関(北海道なら「道立衛生研究所」)に全員分の検査をするキャパがないためだという。

 どうして自分たちだけで対処しようとするのだろう、官だけでは無理に決まっている。検査キットの開発には半年から数年かかるから、検査はPCR法でやるしかない。PCRは標的遺伝子を百万倍に増幅してなされるので、増幅するための機器が必要である。20分単位ぐらいで温度を上げたり下げたりを繰り返して増幅するのだが、PCR機器を数十台規模でもっている公的な機関が少ないし、あっても国立感染症研究所と東京都の施設以外はそれぞれ数台程度だろう。PCR機器を増やしたって、技術者も足りないだろう。検体の輸送の問題もある。その都度、公的機関へなんらかの特別便で検査依頼をしなければならない。
 民間臨床検査センターの事情を知っている限りで書くと、業界トップのSRLがPCR機器を最初に購入したのは1987年だったと思う。特殊検査部には当時4課あったが、そのいずれかで購入した。その後ウィルス検査部と研究部でも購入したはず。何台かは1-2年の間にわたしが担当で購入したから記憶にある。あれから30年以上たつので、PCR機器は二桁はあるだろう。ルーチン検査に使っているから、全部を新型コロナウィルス肺炎に回すわけにはいかないだろうが、残業で数百人分は処理可能かもしれぬ。地方の公的機関では機械を増設できても技術者が確保できないだろう。民間センターにはPCR検査の経験者が公的機関よりも多い。SRLは子会社も含めると、検査技術者が2000人ほどいるはず。そのほとんどが優良な経験を積んだベテラン臨床検査技師である。
 SRLには「設備投資及び固定資産管理システム」がある、設備や検査機器類は分類コードが付番されており、PCR検査機器コードをパソコンで叩けば、どの検査課に何台あるか、すぐにわかるようになっている。分類コードは1984年にSRLへ上場準備要員として中途入社した年に検査管理部の平間さんと一緒にラボの固定資産を全部見て回り、台帳の表記を修正しながら分類をして付番した。「インキュベータ」「ふ卵器」「腐乱機」「フランキ」「恒温槽」、みな同じものだが、固定資産台帳と購入協議書を管理しているのが本社経理部で、担当者は検査機器を見たことがない。だから、滅茶苦茶になっていた。現物を実地棚卸しながら全部確認した。台帳で500頁くらいあったので、確認だけで3日かかった。現物と品名がわかったので、次は分類内部分類コードを決めた。あとから追加や削除ができるように、あたらしい分類ができるたびに連番で追加していった。分類用の内部コードとは別である。そういうコード体系で「投資及び固定資産管理システム」のマスターファイルが管理されている。これは会計システムの勘定科目コードや組織コードと一緒の構造だ。こうして固定資産の実地棚卸ができるように、固定資産台帳の記載不備を直しながら、旧来の固定資産台帳システムを拡張したのだが、上場要件を満たさないので、翌年設備投資案件をいれて、予算減価償却費の精度をアップ(誤差2000万円以内)するためにまるっきり作り直した。上場審査上、予算減価償却費が1億円以上もズレているのでは決算見込みの公表の際に問題になるというのが証券会社の言い分だったから、それを満足するシステムを創った。経理担当役員の岩本さん困っていたので大喜び。旧来の管理システムを修正したのでは面倒なだけだったから、新しい構想で「設備投資及び固定資産管理システム」へと機能の拡張を行った。機器分類コードに関していうと、たとえば、冷凍庫は温度帯で細分類している。マイナス150度の日立製の冷凍庫が研究部にあった。治験検査課にはマイナス80度の冷凍庫が十数台並んでいた。マイナス80度の冷凍庫はラボ全体では50台はあるだろう。マイナス40度の大型冷凍庫が一番数が多かった。マイナス20度だと蛋白質が変性してしまう。マグロの保管はマイナス40度の冷凍庫だ、蛋白質の変性が遅くなるから味が落ちない。保管された検体は生命力を保ったままマイナス80度の冷凍庫で眠りについている。SRLでの最後の仕事は帝人との治験検査受託及びデータ管理に関する合弁会社の経営だった。社員が十数台並んだ冷凍庫の部屋で夜遅くまで残業していると「気配」がすることがある、気のせいかもしれぬが怖い話がいくつか生まれた。治験は他に治療の術がない末期患者が対象であるから、中にはお亡くなりになっている方がいる、でも、マイナス80度の冷凍庫のなかで検体は生きて眠りについている。お祓いをしてもらったことがあった。霊感の強いその方は「わー、無理」と言ったとか言わなかったとか。社員数人が言うから、一度だけ残業に付き合ったことがある、ドキドキしたがそのときは何事もなかった。でも、必ず複数で作業させることにした。敏感な人は感じるのだ。
 で、話は本題に戻る。投資及び固定資産管理システムで分類コードで検索したら、PCR機器がどの検査課に何台あるか、すぐにわかる。
 大手臨床検査センター、SRLとBMLと三菱BCLに問い合わせたら、どれぐらい処理できるかSRLは一両日で回答できるだろう。他にも一社、1980年代終わりごろエイズ検査を大量に受託していた検査センターを知っている、そこも受託可能である。
  全国の病院で使われている、臨床検査項目コードはSRL学術情報部が日本臨床検査医学会のコード管理事務局の役割を果たしているから、新型コロナウィルスの臨床検査項目コードもすぐに公表(ネット配信)できる。臨床検査項目コードが標準化されていないと検査ができない。民間企業の対応は速い。SRLは検査技術も設備も国立感染症研究所よりもレベルが上だと思う。検査している3000項目すべて標準作業手順書があり、世界一厳しい精度管理基準のCAPライセンスを日本国内では最初に取得している。標準作業手順書はそのときにそろえた。1990年ころだった。すぐに電子ファイル化して、メンテナンスがしやすいようなシステムにしたので、いまもしっかり管理されているだろう。2年に一度米国から査察にくるので、日本語と英文の標準作業手順書の両方を作って保管してある。学術開発本部内には学術情報部と開発部と精度保証部があったが、標準作業手順書は学術情報部の担当だった。精度保証部はそれを監査する立場だ。検査方法を変えるときは、標準作業手順書を所定の手続きに従って変更しなければならない。現場で勝手に変えてはならないのである。
(1984年2月1日に上場準備要員として入社して、3か月目から統合システム開発に携わると同時に予算編成及び予算管理を任され、8か月でシステムを本稼働させて、設備投資及び固定資産管理システムも新しいシステムを開発して、課題は全部片づけ暇になったので、面白そうな仕事を見つけた。SRLが全社員対象に大学の先生たちを講師にした社内講習会(社員の自発的参加だったので、1割程度)を毎月一回開催した。講義が終わってからいくつか疑問をそれぞれの先生たちにぶつけてみた。そのとき東京医大の血液学の権威藤巻教授から、血液疾患の診断手順が複雑で、専門医を育成するのがたいへんだという話を直接お聞きしたことと、自治医大の櫻林郁之助教授から項目コード検討委員会の委員長をやっているので、臨床検査項目コード制定の仕事を手伝ってほしいと依頼があり、1年間どうするか仕事のついでに考えていた。櫻林先生はSRL顧問だったので、自分の仕事が手伝えるように総合企画部への移動を創業社長の藤田さんへ相談してみるけどいいかと話があったが、そのときは統合システム開発という大きな仕事を抱えていたので、お断りした。気にはしていたのである。そして1986年に「臨床診断支援システム事業化案」を作り、稟議書を書いて創業社長の藤田さんに200億円の予算を承認してもらった。10個のプロジェクトに分解して進めるつもりだった。プロジェクトの大まかなところはPERTチャートに落としてあった。その中の一つが、日本標準臨床検査項目コードの制定プロジェクトだった。大手6社と臨床病理学会項目コード検討委員会の櫻林郁之助教授の協力を得て、産学協同で毎月1回の作業部会を開催し、5年ほどかけて、制定にこぎつけた。いま日本全国の病院システムがこの標準臨床検査コードで動いている。目的はもっと高いところにあった。櫻林先生は河合先生の一番弟子であり、河合先生は国際病理学会長だった。だから、臨床検査項目コードの世界標準を制定することと、臨床診断支援システムを事業化することが目標だった。この分野では日本は世界の最先端を走っている。コードが標準化されているので、全国の病院のデータを集めると、そのままコンピュータ処理が可能である。画像分野では病理検査でグレーゾーンのものその後の確定診断データと突合すればAIにディープ・ラーニングで学習させ、診断精度を飛躍的にアップできる。また、そのデータを使って病理専門医の育成も短期間で可能になる。臨床検査コードが統一されている国は日本以外にはないから、日本のほかにはそんなことが可能な国はまだないだろう。コード標準化の重要性に気がついてもらいたい。医療分野で大きな新規ビジネス・チャンスがある臨床診断支援システムや専門医育成のためのCAI事業など、どこまでの広がりをもつのかやってみなければわからない、わたしはそのための地ならしを三十数年前にした。そろそろ誰かが気がついて新規ビジネス分野の開拓にチャレンジしてもらいたい。コンピュータの性能も通信速度も1986年に想定していたスペックをとっくに超えている。NTTデータ通信事業本部とは当時この事業化案をたたき台として2回ミーティングをもった。残念ながら、コンピュータの性能も通信速度も30年後でなければ要求仕様を満たせないという結論になった。しかし、2000年には要求仕様をクリアしていた。指数関数的な性能向上は数年先なら予測できるが、十年とか二十年先はまったく予測がつかない。どのような使われ方がはじまるのかわからないのである。わからないまま、無謀なチャレンジをする者の中から、とんでもないビジネス分野が生み出される。)

 臨床検査センターは全国の病院との間に検体搬送ルートをもっており、検体の取り扱いや温度管理が万全であるから、これを利用すれば、全国どこの病院へ患者が来ても、すみやかに検査できる。京都ではすでに市中感染例が出ているから、フェーズは一つ上がった。国の対処は後手後手、いつものことだ。

 エイズ騒ぎは1987年ころのことだった。ウィルス検査室にエイズ専用の検査室を設置した。内部は陰圧、高性能のHEPAフィルターを設置したP3仕様の検査室であった。外部にウィルスを拡散させない過剰ともいえる体制をSRLはとって検査していた。検査報告書は封書で病院へ持参していたが、検体が急増してすぐにHIV検査報告書専用の自動封函機を導入した。フェニックスという社名だったはず。
 エイズ検査室ではたらく検査技師さんたちは「ラボ内でここが一番安全です」と言っていた。一般の検査依頼の検体に、エイズ患者の検体が混ざっている可能性は否定できないから、他の検査室のほうがリスクが高いと彼女たちは考えていたようだ。
 当時、毎日数百件の検査依頼があり、その中で1-2検体陽性が出ていた。ウェスタンブロット法で確認検査をしていたから、擬陽性は含まれていない。厚生省から問い合わせがあったことは一度もなかった。購買で機器担当のあと学術開発本部スタッフとして異動したから、厚生省から問い合わせがないことを学術情報部長K尻さんへ確認した、気になっていたからだ。「厚生省はどうして問い合わせてこないのか」と調査発表データのいい加減さに学術開発本部では飽きれていた。厚生省の発表では、そのころ全国の新規患者発生は全国で二桁。ところがSRLだけで年間500検体は陽性があったから、厚生省は検査センターへ確認していない数字を公表していたことになる。病院から厚生省へ上がった報告だけを集めていたのだろう。ごく一部しか報告が上がらないと判断するしかない。検査センターがつかまえている数字のおよそ50分の1、全国のドクターたちから厚生省へ報告があったのはわずか50分の1であったと判断するしかない。厚生省は日本医師会に対してものが言えないから、報告が上がった数字の妥当性チェックすら思い浮かばなかったのだろう
 厚生省のエイズサーベイランス委員会公表データでは1993年まで100人未満になっている。「図1」をご覧いただきたい。
*https://www.std-hiv-pg.com/hiv・エイズのコラム/病変死亡者数とエイズ患者数の推移%ef%bc%88最新版%ef%bc%89.html

 公表された新規患者数がわずか1/50ではとても少ないから、迅速な対策がなされず、後手に回り、エイズは日本で急激に感染拡大してしまった民間検査センターに報告を求めたら、その分だけで当時(1988年)陽性検体は年間1000患者を超えていたはず。それが数年間数十症例と公表されていたのだから、初期対応を誤り、感染拡大を招いた。先進各国で新規患者が減少しているのに、日本だけが増え続けた。いままた、同じことが武漢新型コロナウィルスで繰り返されている。官民協力すればクルーズ船ダイアモンド・プリンセスの乗員・乗客、3700名全員の検査が可能なのである。

 厚生省は民間検査センターに協力を求めるという姿勢が希薄だ国の医療政策を立案・実行するのに、公的機関だけで何とかしようというのは、愚かなことだ。人的資源も設備も民間企業の方がずっと多い
 厚労省は新型コロナウィルスの感染拡大で手の施しようがなくなり、ようやく、検査センターに検査打診を始めたようだ。厚生省は業界トップで技術水準の高いSRLと年に一度くらい、さまざまな問題を話し合うテーブルにつくべきだ。染色体検査に関しては、保険点数が低すぎて、他社が新規参入できず、SRLの独占状態が続いていたので、わたしが学術開発本部で仕事をしたときに、原価情報を通知した。2割程度保険点数がアップしたと記憶する。SRLには医学研究に使える膨大な電子データが保管されているだけでなく、医療分野で新規事業を開拓可能なデータが集積されている。国の産業政策としても重要性が大きい。臨床診断支援システム事業分野だけでも、世界市場を考えれば、事業規模は兆円の単位を超えるだろう。

<隔離施設がない>
 政府は観光客を増やそうと躍起になっている。観光客が増えれば感染症のパンデミックのリスクも増大するが、何もしてなかったということが露になった。
 オリンピック村には何人収容できるか知らないが、すでに施設は出来ているのだろう。すでに販売済みだから、新型コロナウィルスに感染してるかどうかの、一時隔離施設として利用したいところだが、販売してしまっているから契約上不可能だろう。日本人は不浄を嫌うから、一時隔離施設に使用したら、不動産価値が大幅に下落する。
 成田に下りた観光客も羽田へ下りた観光客も首都圏に滞在あるいは通過することになるから、感染症対策が必要なことは言うまでもない。SARS騒ぎでも人工心肺装置のある病院が少なくてパニックになっていた。
 急性肺炎症状の患者の治療には人工心肺装置が必要だ。SARS騒ぎとときに、機器を揃えておくべきだという議論があったと記憶するが、のど元過ぎれば、何もしないのが日本人の流儀(?)、結果としてそうなっている。(根室市には人工呼吸器はあるのだろうか?非常事態が起きたときには分厚いマニュアルを読みながらオペレーションすることになるのだろう)
 3000人規模の隔離施設を作っておくぐらいは当たり前の対策だろう。オリンピック村がつくれるのに、なぜそちらへは予算が回らないのか?

<観光立国とチャイナ・リスク>
 地理的な事情から中国からの観光客が多い。中国には何でも食べる人たちが少数だがいるようだ。蝙蝠の雛をしゃぶしゃぶにして食べる人たちすらいるという。新型コロナウィルスは蛇や蝙蝠から人へ感染したようだ。食は文化だから、こういう感染症が起きても改まらないだろう。
 中国には豚と鳥を飼っている農家が多いので、致死性の高い新型鳥インフルエンザが、「鶏⇒豚⇒人間」というルートで人に感染するリスクが大きい。
 そういう国から年間数百万人規模で観光客を受け入れていたら、中国でパンデミックを起こせば、日本も一蓮托生になることはやむをえない。だから、リスクを正しく評価して、それに備えるべきなのだろう。

<PCR機器の備え>
 PCR機器と検査できる技術者がいないと検査できない。大手検査センター3社に、それぞれ20台ほど予備をもってもらう相談を厚労省はしたら如何?SRLはOKしますよ、そういう会社です。企業の社会的責任というものを自覚していたら、それぐらいの協力はコスト的にはなんてことはありません。機器は使っていないとダメになりやすいので、3か月単位ぐらいで、ルーチン検査部門でローティションすればいい。PCR検査経験者を各社で登録性にしてあったら、非常事態が発生したときに、速やかに応援体制を組むとか人事異動できます。調剤薬局事業をスタートさせるためのプロジェクトのメンバーになったことがありましたが、人事に社内に薬剤師が何人いるか問い合わせたら、すぐに返事がもらえました。70名ほどいましたが、実務経験がないので、外部募集しました。社員の社内での仕事の履歴を管理できる人事システムがあれば、なお素晴らしい。そういう時代です。
 新型ウィルスは検査キットが開発されるまでは、PCR法で検査するしかありませんから、国の安全対策上、コトが起きたときのために普段から備えをしっかりして、迅速な対処ができなければいけないでしょう。
 観光立国なんてことをいうなら、こういうところをしっかり固めるべき。どんな感染症がいつ襲うかわからないのですから。お金儲けにばかり目が行っていると、こういうことになる。
 「売り手よし、買い手よし、世間よしの三方よし」
 観光産業に力を注ぐなら、同じくらい感染症対策にも力を注ぐべきです。観光客が激増している、東京オリンピックだ、IRだと浮かれすぎ、パンデミック・リスクも激増するということを忘れてはならない。今回の武漢新型ウィルス肺炎騒ぎを奇貨として、具体策を推し進めたらいい。


<余談:ウィルス検査部と細菌検査室>
 1980年代終わりごろの話である。インフルエンザ流行時期になるとウィルス検査室には全国からインフルエンザ依頼が殺到する。大型の恒温槽に検体を入れるのだら、この時期にはウィルス検査室でもインフルエンザが流行ってしまう。空気感染するからだろう。ああ、恒温槽の上にHEPAフィルター換気装置を設置すりゃいいんだ。いま気がついた。フィルターの交換には当時で十万円くらいかかったはずだが、そんな経費なんて微々たるもの。検査員がインフルに罹って休むマイナスを考えたら、流行時期には毎月交換したっていい。恒温槽の真上にHEPAフィルター付きの換気装置を設置したら、ウィルス検査室全体が陰圧になる。

 細菌検査室では結核菌の培養検査もしている。インキュベータで培養するから、どんなに注意しても感染がゼロということにはならない。検査事故だってありえます。培養し検査が終われば、培地ごとラボ内の大型乾熱滅菌機で処理される。
 細菌検査担当者は、結核菌感染が判明したら、医療費はSRLが全額負担することに社内規程で保障されている。退職後発症しても、何年たっていてもそして原因のいかんにかかわらずである。それくらいの保証がないと安心して検査できない。八王子ラボで一緒に仕事した同僚Tiさんがいる。定年になって子会社へ移籍してから結核を発症した。20代のころ数年細菌検査室で仕事をした経験のある検査技師である。30年もたってからの発症だから、細菌検査課にいたこととは関係がない。もちろん、医療費は全額SRL負担となっている。会社がした社員との約束ですからあたりまえ、原因が何だろうと関係がないし詮索もなし。30年ほど前から、結核菌は多剤耐性のものが出現して、治療が厄介なケースが多いのである。検査している人たちは専門家ですから、知識もあるし、リスクも承知しています。
 原因の如何を問わぬ、細菌課で働いた経験があれば保証は全員が対象、働く人たちにとっては好いラボだと思う。もちろん、給料もよい。業界ナンバーワンの技術水準・業界ナンバーワンの給与・ルーチン検査担当でも5時以降は、申請書が通れば必要な機器や試薬の予算が下りて、好きな研究ができる。どう、三拍子そろっているよ。好きなことができる企業です、いまも同じかどうかは保証の限りではありません、そうあってもらいたい。(笑)

 臨床検査の学校へ通っている人たちは、SRL八王子ラボを見学して、就職希望の第一候補にしたらいい。検査学校によっては、八王子ラボの見学に2単位が付与されている。なんどか、そうしたラボツアーに説明兼案内係としてお付き合いしたことがあった。

<2/13 正午追記>
 クルーズ船の乗客があらたに44人感染が判明、合計218人となった。(NHKお昼のテレビニュース)
 一人一人隔離してやらないと、感染力が強いようだから、船内に患者が蔓延する。1000人の検査が終わったと仮定すると、残りは2.7倍だから、最終的には500-600人くらいになりそうだ。

SRLホームページhttps://www.srl-group.co.jp/

*#3062 韓国のMERS騒ぎで思い出したこと:日本の役割があるのでは?  Jun. 16, 2015
https://nimuorojyuku.blog.ss-blog.jp/2015-06-16

 #176 SARS対策は必要か?(1)
https://nimuorojyuku.blog.ss-blog.jp/2008-04-27


 *8/23blog#718『新型インフルエンザ 冬に備えて人工呼吸器の配備を急げ』
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2009-08-23-2
*5/2blog#567『"Flu fears spread as cases stack up" (ブタ・インフルエンザ関連)』
 http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2009-05-02

 インフルエンザ地域別発生データベース構築の可能性を探る
https://nimuorojyuku.blog.ss-blog.jp/2009-05-20

 "Flu fears spread as cases stack up" (ブタ・インフルエンザ関連)
https://nimuorojyuku.blog.ss-blog.jp/2009-05-02

 


*#2842 エボラ出血熱1-1: 'The worsening ebola crisis' Oct. 18, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-10-17-1

 #2843 エボラ出血熱1-2 :'The worsening ebola crisis' Oct.19, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-10-18

 #2844 エボラ出血熱2-1 :'Spain case shows holes in plans to treat Ebola' Oct.19, 2014  
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-10-19

 #2846 エボラ出血熱2-2 :'Spain case shows holes in plans to treat Ebola' Oct.19, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-10-19-2

 #2847 エボラ出血熱2-3 :'Spain case shows holes in plans to treat Ebola' Oct.21, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-10-20

 #2848 エボラ出血熱2-4 :国内の体制はどうなっている? Oct.22, 2014  
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-10-22-1

<HIV関連弊ブログ記事>
*#769HIVイベント「高校生の、高校生のための、高校生による」 Oct.25, 2009 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2009-10-25

 #2024 高校生のためのホットな性感染症知識:HIV感染の実態と新薬  July 23, 2012 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-07-23

 #2026 高校生のためのホットな性感染症知識(2):国際エイズ会議 July 25, 2012 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-07-25
 
 #2584 北海道の高校生や大学生のためだけの(?)HIV知識 Feb. 6, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-02-06


 

にほんブログ村


nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。