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インフルエンザ地域別発生データベース構築の可能性を探る [35. 感染症および自己免疫疾患]

インフルエンザ地域別発生データベース構築の可能性を探る

  大手検査センターにインフルエンザの検査依頼が殺到しているのではないだろうか。公的機関の検査能力は小さいが、大手検査センターの処理量は比較にならないほど大きい。
 実際のデータが何より大事だ。前回ブログでも書いたようにAIDSで当時の厚生省はデータ収集に失敗し、その後の患者激増という事態を招いた。先進国で90年代初頭よりも患者数が増加しているのは日本だけである。データ収集の巧拙がその後の対策に影響した。

 まずは大手3社から、型別・地域別・時系列・年齢別・男女別の陽性検体数のデータを集めるとよい。それだけで全国の状況はおおよそつかめる。
 項目コードは臨床病理学会で標準化してあるから、地域コードを決めれば簡単にデータを収集できる。病院所在地の郵便番号を使えばいいのではないだろうか。患者のプライバシーに配慮して、個人名は削除する。

 こうした疫学データベースを作り感染症研究者に公開すれば、データを地域別に時系列で分析することで具体的で有効な対処策が見つかるかもしれない。
 厚生労働省は補助金を出して疫学データベースの構築を支援すべきだ。感染症学者・厚生労働省・民間検査センターの学・官・産の協力で世界的に見ても例のない疫学データベースができる。検査体制が世界で一番整っている日本だからこそ可能な仕事である。

 データの公開は感染症学会員の認定専門医(現在はそういう制度がない)のみに限定する。データの取り扱いについて守秘義務を課し、事務局が「疫学データベース使用および守秘義務に関する契約書」を取り交わす。事務局はいま臨床病理学会項目コード事務局があるので、そこに依頼すればいい。
(染色体異常については最近20年間だけでも膨大なデータが大手検査センターに集積されている。一社だけでシェア70%を超えているはずだ。環境汚染(食品汚染、大気汚染、水質汚染)によって急性白血病等の染色体異常による疾病が急増していると推測される。データベースとして研究者に公開されれば環境汚染が人間の遺伝子にどれほどのスピードでどれほど広範囲に影響しつつあるのかが明らかになる。これも現時点では大量の染色体データが集積されている日本だけがなしうる研究かもしれない)
 SARSが広がるときや今回の新型インフルエンザが強毒化したとき地域別の感染拡大がシミュレーションできるだろう。もっと適切な手が打てるに違いない。

 2009年5月20日 ebisu-blog#586
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