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#4720 冠詞と名詞の単複:書き手のイメージを探る Feb. 26, 2022 [49.1 英語音読トレーニング]

<最新更新情報>2/27朝9:18「バスケット部員のドリブルトレーニングのたとえ話」追記

 中3の生徒3人に高校1年生の英語教科書を使って土曜日に2時間音読トレーニングをしています。これはボランティアでやっている授業だから、他塾の生徒も受け入れています。人数は現在3人、来週からもう一人増えて4人になります。6人まで受け入れるつもりです。授業料はかかりません。根室の学習意欲の高い生徒が、進学のランクを上げられようにという配慮の授業です。
 札幌光星高校ステラコース受験のK君のために12月に始めたので、多い時には6 parts消化することがありました。英語の教科書は全部で「31 parts+reading」ありますが、毎回6つ消化したらreadingを含めても6回、1.5か月で終わってしまう速度です。1回の授業で3partsに速度を落とすと2.5か月で消化することになります。音読量を増やしてそれくらいがいいだろうと思い、喜んで勉強しそうな生徒に声をかけました。Kさんです。あれ、どちらもKだから、H君とYさんと表記します。二人になってから、予定通りに速度は半分の3 partsに落として、音読回数を増やしています。各文章を3回読み、和訳して意味のイメージを浮かべてさらに3回、そして段落が終了すると2回、そのpartのページが終わると2回音読ですから、さて何回読んだでしょう?3+3+2+2=10回です。H君は「男は黙って数学の問題を解く」というタイプの生徒ですから、口の方は少し重い。Yさんは兄弟姉妹(sibling)が多く口のよく回る生徒です。先週からHさんが加わりました。この生徒はいくぶん低めのすてきな声で発音がとってもきれいです。いい先生に教えてもらったことがあるからでしょう(3月に高校卒業する生徒の一人が同じ先生に3歳から英語を習い、発音がきれいでした。成績の方が数学の方がよかったですから、早期の英語教育で効果のあるのは発音だけかもしれません。実際には、早く始めすぎたために中学生の頃には苦手になる生徒の方がずっと多いのです)。
 3人とも高速音読に慣れだしています。10回繰り返して読むので、そのつど速度を上げていきますが、速度アップしてもH君は舌がちゃんと回るようになってきました。口が重くてもトレーニング次第だということですね、最初の内は差が大きくて心配しましたが杞憂でした。
(バスケット部員のドリブル練習のようなものです。誰だってトレーニングを積めば、ボールが手に吸い付いているようなドリブルや、両手で同時にドリブルできるようになります。音読も同じことです。ああ、日本語の高速音読トレーニングも大いに効果があります。高速先読み技術が身についたら、頭の回転がまるで違ってきますよ。音読しながら。脳は読んでいるところの先を予測しながら黙読して一つの意味のまとまりがどこまでか、区切りを判断しています。だから読み取りの精度が飛躍的にアップします。これができるようになると、国語のテストで問題の本文を読む速度が上がり、余裕で解答できるようになります。他の科目の予習も、標準速度の倍くらいで可能になるので、短時間で全科目が予習可能になります。これで成績の上がらぬ生徒はいません。トレーニングを嫌がる生徒は成績も上がらないことになります。嫌々やっても効果は小さいのです。無理強いするとしまいにはトレーニングが嫌いになってしまいます。そういうときは本人にやる気が芽生えるまでひたすら待つしかありません。)

 このトレーニングでは英語の語順通りにスラッシュリーディングしているので、意味の把握も速くなっています。 

 さて本題です、今日の授業からトピックをひとつ紹介します。

  Salt doesn't only damege important structures like the Sphinx. It also dameges the crops which peple grow. Because of salt, it  is getting difficult to produce crops.

(塩は重要な建造物にダメージを与えるだけではない/スフインクスのような建造物。塩は穀物にもダメージを与える/人が栽培している穀物。塩のために/困難になる/穀物生産が)

 これで十分なのです。意味をつかまえるには、このように頭の中で意味のカタマリごとにスラッシュを文章に入れて、語順通りに読んでいけばいいのです。音読の際にも意味のカタマリ(チャンク)を意識して音読します。これだけで読む速度は2倍以上になります。「指定ルール:指定は先」、「説明ルール:説明は後」を理解すると英文が読みやすくなります。ああ、次はこの単語や句の説明語句が続くんだと予測がつくので読みやすくなります。
 
(スフィンクスのような重要な建造物に塩がダメージを与えるだけではない。塩は栽培している穀物にもダメージを与える。塩害のために穀物生産がますますむずかしくなっている。)

 英語の語順通りに和訳してくれたH君に質問しました。普通は生徒が先生に質問ですよね。(笑)
 「the crop、この定冠詞theがついている理由とcropsがなぜ複数なのかを具体的に説明してください」
 鳩が豆鉄砲食らったように目を白黒していました。
 一緒に考えてみましょう。
 theは特定のものを表しています。話の筋からそれとわかるものなのです。
私:「cropって何?」
生徒:「穀物です。」
私:「穀物って何?」
生徒:「お米や小麦です、それと豆」

 穀物とはイネ科の植物で、お米、小麦、トウモロコシがその代表です。そのほかの雑穀類がありますね、マメ科の植物も広い意味では穀物に含めます。そういう時は「穀物類」というようです。お蕎麦はイネ科の植物ではないようです。cropsはお米、小麦、トウモロコシを指しています。そこでネット検索して調べます。「ナイル下流域で栽培される穀物」をキーにやるとうまくいきません。キーを変えて「エジプトの農産物」で検索したら、ヒットしました。ジェトロのホームページ「エジプトの農業と農産品の輸出の現状と課題」にリストされています。

 小麦  934万トン
 メイズ 717万トン
 米   732万トン

 メイズとはトウモロコシのことです。トマトが732万トンとありますから、エジプト人はトマト料理を日常よく食べているようです。
 話を元に戻すと、書き手はcropsのsに小麦やメイズやコメをイメージしていたのです。定冠詞がついているのは、関係代名詞節修飾されていて、限定されているからです。ナイル川下流域の住民が栽培しているお米・小麦・メイズなどの穀物ということです。
 どうですか、英語って面白いでしょ?
 英文を理解するというのは、書き手や話し手が脳内に描いたイメージを、言語を通じて読み手や聞き手が正確に自分の脳内に同じイメージを再現することです。和訳はまた別の技術です。
(和訳について:良質の本をたくさん読んだ人の訳文は素直で美しくなります。それがモノの道理です。読書量はそんなに多くなくても良質のものを選べば、それなりの効果はあります。アニメのノベライズもの程度では語彙も表現も貧弱ですから、語彙が豊富で表現力の高い品質の作品を選んで読み、語感を磨いてください。)

 名詞が出てくるたびに冠詞の有無による意味の違い、無冠詞ならどういうニュアンスが生まれるのか、単数なら、複数なら...自分が英文を作るつもりで、書かれた英文の名詞句を検討していきます。
 英文を繰り返し音読して、語順通りに和訳してもらい、冠詞類について、文章が変わる都度わたしの質問に答えてもらいます。
 こうして、学習意欲の高い生徒にはとってはおいしい授業になるのです。
 授業の効果を高めるために予習を義務付けています。予習して、教科書の本文をノートに書き、自分で辞書を引き、和訳をしてくると効果は予習して来ない人に比べたら10倍ありますよ。

 意味の違いを理解してもらうために、三つ似たような文を黒板に書きました。
  ①I ate chicken yesterday.
  ②I ate the chicken yesterday.
  ③I ate a chicken yesterday.

私:「冠詞の種類、有無でニュアンスが違います、そこに注意を払って和訳してください。」
生徒:「えっ!…」

私:「では解説します。」

 ①昨日鶏肉を食べました。
 ②昨日(お母さんが買ってきた知床地鶏の焼いたのが冷蔵庫に残っていたので)その鶏肉を食べました。
 ③昨日、(生きている)鶏に丸ごとかぶりつきました。
 ネイティブが③を聞いたら、凄惨な場面を想像するでしょうね。あなたの口の周りはかぶりついた鶏の血だらけです。むしり取った羽があなたのまわりに散らばっています。(笑)
 そういうわけで、冠詞って、英文の意味を受け取るためにはとっても大事な要素です。aとanとthe、そして無冠詞の4種類があります。

 しばらく、冠詞類を徹底的に理解していきます。若い人たちはすぐに慣れるんです。3か月もやれば冠詞類が自在に使えるようになります。若いっていいね!そして英文を読むのも書くのも楽しくなります。

 Hさんが週に2回メール配信している英作文問題にトライして、昨日は質問が山ほど飛んできました。半年後にどれほど英語力がアップしているのか楽しみです。H君も今週から英作文問題やってきています。問題文の日本語をどのように理解するかで、英文が違ってきます。添削時のそのあたりの確認、そしてやり取りが楽しいのです。
 英作文問題と解答・解説は週2回、希望する十数人の生徒に配信していますが、に大半の人は解説を解答を読んでいるだけ、そのうちやってくる人が増えることを期待しています。添削は楽しいので、ひとつだけでもやってもらいたい。英作文やってくる人は例外なく、英語力が短期間でアップしています。努力に見合った文だけスキルアップします。頭の良し悪しの問題ではありませんよ。「読み・書き」が基本技能ですが、読むよりも書く方がたいへんなことは日本語を考えたらわかるでしょう。書くトレーニングも重要なことがお分かりいただけたのではないかと思います。
 英作文問題とその解説はすでに11000題を越えましたのでそろそろやめます。これから配信する分は3年分ほど貯めてありますから、しばらくは生徒の英作文の添削で愉しもうと思います。

<余談:進捗状況>
 高1の英語教科書'Vivid 1' Lesson 9に入りました。これが最後の章ですが、'Reading'にマララ・ユスフザイさんの'Education First'があります。メンバーはこれもやりたそうなので、あと2-3回ほどかかります。そのあと高2の教科書'Vivid 2'をやることになります。生徒たちは慣れてくるので、速度がアップして毎回4 partsできるようになるかもしれませんね。10回、2か月半で2年の教科書をやり切ってくれたらうれしい。9月末までに高3が使っている長文問題集'Cutting Edge'をすこしやれたらありがたい。そこまでやったら、後は自分でやれます。ハラリの'Sapiense'は東京からZoom授業かな。ボランティアでできると思います。


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