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#4717 根室高校生は幼児化しているのか? Feb. 18, 2022 [89.根室の過去・現在・未来]

<最終更新情報>2/21朝8時40分 太字の一段落を二つ追記 
 2/23夜7時<余談-2追記>  2/24朝8時半<余談-3>「赤字企業の立て直し」を追記。

 北海道新聞の今日(2/18)の記事に、釧根地区の全市町村で転出超過が起きたと報じている。その原因は高校や大学を卒業しても働くところがないからだ(青のラインの部分)と、当たり前の分析。
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 釧路市の1月末の人口は162091人、根室市は23835人ですから、根室の人口は釧路市の1/7です。社会減の5年間の累計は釧路市が4413人、根室市が1952人ですから、釧路を基準とすると根室は44.2%です。人口比でみると根室市は釧路市の3倍の速度で転出超過が起き続けています
 その理由ははっきりしています。
「釧路市都市経営課は「短大や大学卒業後の就職を機に市外へ転出するケースが多い。特に若年層の雇用の場の確保という課題が続いている」と分析する。」

 根室は水産加工場に雇用の場はあっても根室高校卒業生は行きたがらない。だから、ベトナム人の技能実習生が増えることになっています。これは根室の水産加工業が60年来引きずっている根深い問題です。ようするに同族経営で処遇が悪いということ。根室っ子は進学のために根室の外へ出て、処遇の良い勤め口がないから根室には戻って来ません。誰もが承知の事実です。

 もう一つ、昨日の記事を紹介します。根室高校生がまちづくりの提言をまとめて市長ら幹部にオンラインで発表しています。
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 「3年生117人が「根室を発展させるには」をテーマに議論を重ねてきた」結果を取材しています。提案の内容も載っています。
観光客向けに根室の海産物を使った料理教室を開く
金刀比羅神社例大祭で花火を打ち上げる
 その効果についても謳っています。
市外から多くの人が来れば「北方領土問題に気づいてもらうきっかけになる」

 石垣市長は「根室を盛り上げる素敵な提案だった」と感想を述べています。
 どこが素敵なのだろう?わたしにはさっぱりわかりません。
  わたしが根室市長なら、もっと自分たちで考えてから提案してくださいと言いますよ。これでは何を勉強してきたのか心配になります。先ほどの北海道新聞の記事には釧路市都市経営課の分析が載っていました。「就職先がない」ことが人口の社会減少を招いていると。根室は3倍の規模でそれが起きています。そのことにすら、根室高校3年生117名の一人も気がついていなかったのでしょうか?そんなはずはないでしょう。まちづくりに際してデータの分析すらしないで提案を作成したとしたら、それは子どものお遊戯です。

 わたしの言いたいことは、人が褒(ほ)めようが貶(けな)そうが、自分を客観的に考察する視点をもてということ。自分たちの作り上げた提案が、どの程度なものかは客観的に評価できなくては大人とは言えぬということ。18歳を過ぎた君たちが自動的に大人であるわけではない。精神的に見て大人になるとはどういうことか、そういうことも今回の未熟な提案を機に一人一人がじっくり考えてもらいたい
 
 勉強もあまり熱が入らず、わずかでしかない根室の優良な就職先には他の生徒が決まり、やむなく専門学校へ進学する生徒のほうが多いのですから、「優良な就職口」が少ないという事実を知らない生徒はほとんどいないと言った方がいいのでしょう。根室の主力産業である水産業界がこの60年間経営改善が進まないことに問題があります。ではなぜ、こういう提案しか出てこないのでしょう?

 北海道新聞の販売部数は6000部程度だから、世帯数の半数ほどが定期購読しています。全国紙はあわせても道新の1割ほどしかないようです。
 どうやら、根室高校生のほとんどが新聞すら読んでいない、そしてデータに基づかぬ思い付きで意見を述べていたとしか考えられません。スマホ世代だからしかたがないのでしょうか。20年後は根室を支える主力となります。これから頑張って研鑽を積んでもらいたい。

 高校生の幼児化で思い当たることがあるので、2つだけ書こうと思います。
 数年前に、宿題について高学力の生徒から担任の先生を通じて申し入れがなされました。現役合格目指して自分でスケジュール管理しながら勉強しているので、学習の妨げになるので、低レベルの一律の宿題は勘弁してほしいというものでした。その結果、担任の一存では決められないということで、1年生の担任5名と学年主任の6人と申し入れをした生徒が話し合うことになりました。生徒と1対6の団体交渉はそもそもがパワハラです、そこで威嚇的な発言など教育者としてはあってはならぬことでした。団体交渉とは生徒が10人に先生が一人の場合ですよ、逆をやったのだから、あからさまなパワハラと言えます。嘆かわしいのは当事者の先生たちが誰一人としてパワハラと思っていなかったこと。生徒の方は終始、大人に対する丁寧な言葉遣いで応じています。ふだんから友達と話すときと大人と話すときを区別して言葉の使い分けられる生徒でした。言うことを聞かぬ生徒に威嚇的に対応する先生はよくあるパターンですが、そんな脅しがきかないほどしっかした大人になってしまう肚の座った高校生もいますよ。教育者としては喜ぶべきことです。生徒は次のようなことを言いました。
先生たちはいつも自主的・自律的に勉強しろとおっしゃいますが、わたしはその通りにしています、なのにどうしてこんなに低レベルな宿題をやれと、まるで小学生に対するようなことを要求するのですか?言うこととやっていることが矛盾していませんか?
 ギャフンである。その後この生徒は宿題をしないで通しています。そして現役で旭川医大(偏差値65、北大医学部や京大理系と同じ偏差値である)へ合格しています。
 道東・道北推薦26名の応募の内、10名の合格者中、現役生では最高得点、トップ合格でした。もちろん一般入試でも楽々と合格している得点でした。
 いまの三年生は小学生のごとく宿題をこなすだけで、自主的・自律的な勉強をしてこなかったとすれば、今年の大学合格実績は偏差値60以上の大学はゼロとなるかもしれません。宿題を坦々とこなすような勉強スタイルで、難関大学に合格できるほど世の中は甘くありません。宿題に縛り付けられないと勉強できないのは幼児化そのものです、それは自主的・自律的な学習スタイルとはまるで逆なのです。学校統合後、生徒の学力低下に業を煮やして高校の先生たちが宿題の義務付けを強化してしまいました。宿題をださないと勉強しない高校生が急に増えてしまったからです。標準的な高校普通科の授業に2/3の生徒がついていけません。だから、数Ⅱですら選択科目になっています。過去の根室高校でそうしたことが起きたことはありませんでした。2/3の生徒の学力が西高化してしまったのです。根室高校の先生たち困っているでしょうね。

 もうひとつ具体例を挙げます。根室高校には北方領土研究会というのがあります。市の予算で毎年本州のどこかの県へ行って演説をしてきます。原稿は生徒が作ったものではなく市側で用意したものを読み上げるだけのようです。最初に聞いたときはビックリ仰天でした。
 生徒が原稿を書けないわけはない。レベルはそろわなくても自分で書き上げたものを読むのと、市役所が用意したものを読むのでは、聴衆への訴求力がまるで違いますよ。ここでも、考える機会を奪っています。幼児化の促進をしているのは、一律の宿題を課してノートを提出させてチェックする根室高校の先生たちだけではありません。市長や市役所も北方領土返還運動で根室高校生が考え、作文し、それを訴える機会を奪って、高校生の幼児化促進に一枚かんでいるのです。こんなことはやめるべきです。資料提供して、生徒に書かせて添削してあげたらいいだけではありませんか?高校は中等教育機関ですが根室では最高学府ですから、重要性が大きい。地域の教育水準は根室高校の授業内容や根室高校生の提案や行動に現れていると言っていいのでしょう。いくらでも改善できそうです。
 大事なことは、人の書いたものを無批判に棒読みしてはいけないということ。聴いている人たちは発表している高校生が書いたものだと誤解してしまう。自分の書いたものではないなら、正直に聴衆にそう告げるべきだ。もっと大事なことは、こんなおかしなことを大人に言われたときに、唯々諾々としたがってはいけないということ。自分の意見をもち、ダメなことはダメと言える、精神的に自立した大人となれ。そういう大人になってもらいたい。いいきっかけが与えられたということだ

 根室の市街化地域の2つの中学校は、釧路根室管内の17校の中学校中、学力テストの平均点が最下位です。根室市教委は普段の学力テストデータすらモニターしていませんから、釧路根室管内の市街化地域の中学校で根室の2校が最下位だなんて事実を知りません。事実も知らずに有効な教育政策が立案できるはずもありません。現に、根室の子どもたちの学力テストの平均点は釧路と根室管内の市街化地域の中学校では最下位を低迷し続けています。
 根室高校で起きていることは中学生の低学力化が進んだ結果です、普通科全員がまちづくりについて議論をして、イベントしか考えつかぬほど、高校生が幼児化してしまいました。わたしは、小さな私塾で根室っ子を教えていて、強い危機感を抱いています。そして日々坦々と生徒と向き合っています。この現状を何とかしたい。それがこのブログを書いている、書き続けている理由の一つでもあるのです。

 根室市教育長、そして教育行政、市議のみなさんたち、教育や学力への危機感はありますか?
 根室高校生の学力や考える力や自主性の劣化は、根室の町の未来にとって少なからぬ影響があります。地元企業はそこから次の世代を担う人材を補うしかありません。市役所も主力は地元採用。大地みらい信金はすでにそうではなくなってきています。根室からはめったに採用できなくなってきているのではないかと思います。危機はすでに始まって、現実になりつつあるのです。

<余談-1:教育のビジョンづくりを市民自由参加でやろう>
 根室高校生の幼児化は高校だけの問題ではありません。中学生の学力が釧路根室管内で最低レベルです。それはおそらく小学校の教育のありかたにも問題があり、家庭教育にも問題があることを示唆しています。
 根室の子どもたちにどのような学力をつけることを目標にするのか、目標設定をすべきなのでしょう。それは子供たちの成長段階に分けて、学力別に3分類くらいして目標を設定し、それを実現する戦略を立案し、実行してその結果を測定して、また計画にフィードバックする必要があります。例えば、ふだんの学力テストの五科目平均点数を225点ラインまでアップすることを目標にしたらいかがでしょう?
 光洋中学校3年生の4回の学力テストの五科目平均点は、180.7~206.4点で平均196.7点です。高校1年生なら、ベネッセの7月模試で平均点を全国平均値までアップする、全国偏差値70超の生徒を3人創ることを目標にするというように。
 根室は家庭学習の躾に失敗している保護者が多いようです。小学校1年生のときに、保護者に家庭学習のしつけ方を教えたらいいのです。講習会を開けばいい。小学校低学年で家庭学習習慣を躾けられたら、それだけでも学力は大幅にアップできます。塾なんか来なくても予習の習慣がついただけで、現状では上位1割の成績にランクインできます。
 オープンな市民参加で、毎月第1と第3日曜日に総合文化会館の一室で、根室の子どもたちの学力に関するビジョンをつくる。そこから始めていいじゃありませんか。何もしなければ現状は変えられません。
 自分たちの町の子どもの教育は、自分たちがビジョンづくりに参加して決める、他人任せにはしない
 保護者と学校と教育行政と市民が協力し合えば、釧路根室管内最低レベルの学力の現状は変えられます。あなたはそうは思いませんか?

<ボランティア活動:意欲があり学力の高い生徒を育てる>
 小樽商科大学はベネッセ偏差値では58、「みんなの大学情報」偏差値では50の大学ですが、昨年度は根室高校からの進学者はゼロでした。根室高校から小樽商大への進学は学校推薦が多いのですが、センター試験で1科目が80%を超えるという条件付です。それの条件が共通テストでも残っているなら、英検2級で8割ラインは越えられるので、英検2級合格者がいて、小樽商大を受験するなら毎年数人は合格者は出せます。ごく普通の難易度の学校ですからね。英検2級合格者の目標値を毎年10人にされてらいかがですか?そのために何をすればいいかは簡単です。音読指導から始めたらいい。半年間で高校3年分の教科書全部を音読と語順通りの読解トレーニングをやればいいだけです。そこまでやれば、後は英検2級の問題集は自分でやれますから、放っておいても結果は出ます。

 1月から中3生に高校の教科書を使用して土曜日音読特訓授業を始めていますが、先週から3人に増えました。2人はすでに英検準2級取得者です。一人は札幌光星ステラコースへ進学する生徒ですが、もう一人は根室高校へ進学します。この生徒の本命は北大です。苦手の数学が克服できるかどうかが、分岐点になるのでしょう。彼女が受験するときにはわたしは古里の根室にはいませんが、現役合格してほしいと思っています。
 8月末までに高校の教科書3年分を消化しますので、英検を受けたことのない生徒も卒業するころには8割を越えられます。
 準2級保持者は先週から特訓に参加ですが、どうやらもう根室高校3年生が使っている長文問題集Cutting Edgeにチャレンジできそうな感じがしています。4月から長文問題集をレギュラーの時間帯でやらせてみようかと思います。18題全部終わるころには、英検2級を高得点でクリアできます。この生徒は高校生のうちに準1級へチャレンジ可能ですが、語彙拡張のために多読して数学の勉強時間を削ることになるので、北大に合格するにはそちらの選択肢は棄てることになるのでしょう。大学へ合格してからやればいいのです。
 土曜日の英語特訓授業はボランティアでやっているものですから、授業料はかかりませんし、他塾の生徒も受け入れます。あと2~3名だけ。学力テストで英語が75点以上が一度でもあればOKです(光洋中学校3年生は約100人ですが11月実施の学力テストで該当者は5名くらいいそうです。81点以上は3名のみ。そのうち2人は英検準2級の生徒です)。それくらいでないとハイペースの音読授業について来れません。授業のペースを落としたくないので制限をつけます。受講希望する生徒はどうぞ来てください。ボランティア活動ですから、ニムオロ塾とは切り離しています。入塾を勧誘するようなことはありません。8月末で高校3年分の教科書を終了しますので、終了したら土曜日特訓授業はなくなります。わたしにもまだやれることがすこしはあります。やりきってしまいたい
 誰にでも一心にやるべきことが一つぐらいはあるのでしょう。

<余談-2:>2/23午後7時追記
 受験真っ盛りの時期に根室高校3年生はこんなこと議論していたんだ。これでは大学受験を無視した運営をしている高校だと誤解されそうです。まずいよね、こんなシビアな時期に高校内部で生徒たちからも先生たちからも、教頭や校長からも、どこからも異論が出ないことがおかしい、今年の進学実績が心配になります。
 教育に熱心な保護者も新聞見ただろうから大学進学を考えている高学力の生徒から見放されますよ。わが母校の根室高校、しっかりしてほしいな。マネジメントの欠如です。小さくない失点が2年続いています。
 北海道教育局もあきれているかもしれません。

<余談-3:赤字企業の立て直し>
  根室西高校との統合後の根室高校は、企業でいうと赤字に陥ったようなもの。それ以前の根室高校普通科の学力のある生徒は120人の内30人しかいない。業績(生徒の学力)は著しく低下し、数Ⅱですら選択制にしなければならぬほど酷いもの。生徒の半数近くが数Ⅱを履修できないような学力になっている。
 赤字企業の立て直しは凡庸な経営者(学校管理職)にはとてもできない。具体的で有効な経営政策が必要だからだ。マネジメントに優れた人材が必要だということは、誰が考えてもわかる理屈である。そういう状況の根室高校で、マネジメントの不得意な人たちが運営したら一体どうなってしまうのか?赤字はさらにひどくなるということは誰が考えても明らかだろう。生徒の学力低下がさらに進み、進学実績が悪化する。進学先を見たらその悪化はとっくに現れているのだが…。


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