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#5093 ゆるブラック企業にスキルアップはないのか? Oct. 28, 2023 [9. 相対的なものの見方]

今朝の羽鳥さんのモーニングショーを見ていたら、千葉商科大の先生が「ゆるブラック企業」について説明していた。この先生、長嶋さんや玉川さんの話を聞いて、ちゃんとまとめてわかりやすい言葉を選んで整理ができる稀な人でした。「聞く耳もっている」というのはこういう人のことを言うのでしょう。日本の総理大臣もこのレベルの知性が欲しいですね。

 ところで、世の中には「ゆるブラック企業」というのがあるそうで、このネーミングは初耳でした。ブラックとホワイトの中間が「ゆるブラック」だそうで、案外に居心地がよく、マニュアル化されたルーチン業務をこなしていれば、週休2日で残業もほとんどなく、のんびり社会生活を楽しめます。大きな業務改革がない変化の少ない職場ですから、当然仕事のスキルは伸びません。こんな職場は案外どころか、とっても多いですよ。

 スキルは今までとは違った仕事のやり方を創造することで伸びていきます。本ばかり読んでいてもスキルは伸びないのです。どれだけ仕事の改革をやったのかでスキルの伸びが決まります。もちろん自分に与えられた仕事が真ん中にどんとあります。仕事は孤立していないので、関連する業務もあなた次第で、仕事のやり方の改革ができます。今までにはない、合理的な仕事のやり方をデザインします。実務デザインってとってもむずかしいのです。合理的で、リーズナブル(費用対効果)なデザインができるためには、事務屋ならシステム化が、工場やラボならシステム化や新システム開発や機械化が必要になります。そういうスキルをもっていますか?

 日本の企業でも外資でもそういうチャンスはいくらでもありますが、それを担えるだけのスキルと専門知識を備えた人は稀です。複数の専門知識と仕事で良質の実務経験を積まないとスキルは育たないからです。

 自分の仕事を片っ端からシステム化してしまって、ルーチン業務がそれまでの10%の労働時間で可能になれば、毎日7時間余裕が生まれます。仕事時間中に好奇心の向くままに専門書を読んだり、企業内の図書室で英文の医学専門雑誌やScienceやNatureなどの科学雑誌を読みふけることもできます。暇ですから、大きな業務改善プロジェクトメンバーに指名されても余裕があります。そういう人間に大きな仕事が回ってくる、企業というのは規模の大小を問わず、そういう風になっています。20代で大きなプロジェクトの実務をいくつもしっかりとやることですね。実績を摘んだら、30代では大きなプロジェクトを任せてもらえます。誰もが不可能だと思うようなプロジェクトが回ってきます。社員が何人いようが、複数の専門知識と経験が必要な仕事がこなせるのは、いつでもごく少数です。偏差値で言うと80ですよ、つまり社員千人に一人くらいの出現確率です。数十人もそんな仕事を任せるだけの量はありません。ごくごく少数しか育たないようになっています。

 何が言いたいかというと、「ゆるブラック企業」ではスキルを磨けないと思っているあなた、見方を変えてみてください。あなた自身が担っている仕事を含めて、改善すべき業務だらけですよ。
 赤字の企業ならもっとスキルが磨けます。そうしないと、会社がつぶれますからね。
 実績のない者に大きなプロジェクトは任せません。コストが大きくて、失敗できない社運のかかるプロジェクトだってありますから。

 会社に勤めて3年で群を抜いて仕事の実績を叩きだせなければ、大きなプロジェクトを担うのは無理でしょうね。
 若いうちに、自分の可能性に大いにチャレンジしてください。

<余談-1:文科系大学院への進学率>
 理系は大学院進学率が3割ですが、文科系は20~30人一人だそうです。理由は就職にメリットがないから。文系の院卒は大学の先生になるかどこかの研究所くらいしか就職先がないのです。そういうところは給料面では恵まれません。魅力が薄いのです。
 理系の大学院は数が多いので民間企業では就職上のメリットはあまりなさそうです。
 企業で働くのに院卒のメリットは文系理系を問わないと思います。学力は学卒とはかなり差があるのは事実です。研究文野が狭くて使いにくい、潰しがきかない人が多いのも事実です。「受験学力」は企業では通用しませんよ。後は仕事の実力次第です。
 団塊世代の文科系大学院進学者は100人に一人以下でしたね。肝心なことは、自分の学力を仕事でどのように生かすかです。
 わたしは高校で簿記と会計学と原価計算と近代経済学をよく学びました。大学では商学部会計学科でしたが、ゼミは市倉宏祐教授(哲学)のゼミに3年間所属していました。大学院での専攻は経済学、それもマルクス経済学で、数学にまで手を伸ばして学問の体系構成に関する研究をしていました。どの専門知識や研究方法も仕事で役に立たなかったものはありません。
 産業用エレクトロニクスの輸入専門商社で、入社後1週間目に社運をかけた業務改善プロジェクト5つを任されました。ラッキーでした。自分の仕事を軽量化するために、入社1か月後には小型計算機HP-67とHP97を使ってプログラミングしてしまい、経営分析計算業務量を劇的に減らしました。それまでプログラミングなんてやってことがありません、仕事で必要なので、400ページを超える英文のマニュアル2冊を1週間で読んでマスターしました。専門書は学部と大学院で読み慣れていたので、可能でした。それを足掛かりに、社内に導入済みだったオフコンのプログラミング言語をマスターし、いくつかのシステムをデザインして、次々に業務のやり方を変えていきました。6年目には経営統合システム開発では国内トップレベルでした。1983年のことです。いい仕事にたくさん恵まれたからですよ。オーナー社長の関周さんに感謝です。
 長期経営計画委員会、資金投資計画委員会、収益見通し分析委員会、電算化推進委員会、為替対策委員会の5つの外に私が担当していない利益重点委員会がありました。メンバーは役員と部長、課長でメンバーは為替対策委員会と利益重点委員会の二つのみ。実務を担っている課長が任命されていあした。日経新聞へ中途採用の募集広告がでていたので、応募しています。先に応募していたファッションメーカから社長面接で採用が決まったので、終わってすぐに電話で断りを入れたら、総務経理担当取締役の中村さんが、日本橋本社まで来て、オーナー社長の関周さんにあっていけというので、電話では失礼かもしれないと、お会いしました。慶応大大学院経済学研究科卒の2代目社長だったから、専門分野が近かったので話があいました。研究分野を確認して、簿記1級をもっているので異質な人材だと判断してくれたようです。技術部にHP社のマイクロ波計測器制御用の高性能パソコンがゴロゴロしていたので、興味を引きました。使ってみたいと思ったのです。気が変わって、その場で入社することに決めました。
 入社1週間目でよくあれだけのプロジェクトを任せてくれましたね。メンバーは取締役と部長だけ、課長二人だけメンバーでした。どれもシステム化案件にならざるを得ないので、すぐにプログラミング言語をマスターし、システム開発の専門書を20冊ほど読んで仕事で使いました。外国為替については大方は知識があったので、専門書を2冊読んで、実務レベルのことは担当課長へ確認してます。輸入業務も担当次長へ確認。実務はそれぞれの会社に特有のものがあるので、必ず確認します。そしてそれらを丸ごと変えてしまいます。
 6年間海外50社のメーカーが新商品説明のために技術営業へ説明に来るので、その商品説明講習会へ欠かさず出席して商品知識を蓄えていきました。世界最先端のマイクロ波計測器や質量分析器など、門前の小僧は習いながら経を読めるようになっていたのです。ありがたいことです。文系出身のわたしが理系とのハイブリッドになりました。仕事やスキルアップではラッキーなことは重なっておきます。
 1984年2月1日に転職した臨床検査最大手のSRLでは、産業用エレクトロニクス輸入商社で学んださまざまな専門分野の知識と経験が全部役に立ちました。ルーチン業務は予算編成と予算管理、すぐに経営統合市捨てうのかいっはつを担当しています。予算管理をしていた時に検査試薬の20%コストカットを提案してプロジェクトを作ってもらい、実現しています。これも提案を購買課長が不可能だと発言したからお鉢が回ってきました。「プロジェクトをつくるので言い出しっぺのお前がやれ」といったのは、当時富士銀行から専務取締役(管理部門担当)で転籍していたY口さんでした。陸士と海士に合格して、陸軍士官学校へ、戦後になって、当代へ入り直して学歴を書き直したユニークな人でした。16-20億円のカットでしたから、影響が大きいので、翌年も担当させるために購買課へ異動になりました。専務の意向でした。管理会計課から購買課への異動なんて最初で最後の事例です。検査機器の購入担当を2年半してましたが、SRL八王子ラボの検査機器やシステムがまるで時代遅れに見えました。検査機器は標準インターフェイスがまだありませんでした。ラボの自動化は黎明期で、そういうニーズすらなかった。そのあと、学術開発本部へ異動、本部長付のスタッフで、沖縄米軍から依頼の出生前診断検査導入のためのシステムデザインと開発を担当し、そのすぐ後に、慶応大学病院と出生前診断検査トリプルマーカMoM値の日本準標準値に関する産学共同プロジェクトを担当しています。91年頃だったかな。数年前まで、そのとき制定した基準値が日本人の基準値になっていました。入社2年目の86年には「臨床診断支援システム開発と事業化案」を書き、創業社長の藤田さんの承認をもらって、フィジビリティスタディをしました。10個のプロジェクトに仕事を分解してありました。その内の、臨床検査項目コードの日本標準制定は大手六社と臨床病理学会との産学協同プロジェクトを立ち上げ、1991年に臨床病理学会から標準コードが発表されて、全国の病院やクリニックで現在使われています。世界標準コードを作るつもりでした。エキスパートシステムはNTTだーた通信事業本部と数回打つ合わせして、通信速度やコンピュータの処理能力が要求仕様を満たすまで30年かかるという結論になり断念しています。とっくに要求スペックを満たしているので、さまざまな企業がこの分野の事業化に手を染めています。
 学術開発本部のあとは関係会社管理部へ異動し、赤字子会社の黒字化や同業他社の買収や資本提携交渉を1年半担当しています。そのあと、資本提携交渉をまとめた企業へ役員出向。15か月で黒字化案をまとめたら、創業社長の藤田さんから、中止の指示があり本社勤務へ異動。管理会計課長と社長室、購買部の三つの部署を兼務。それぞれ案件がありました。意に添わぬことがあったので、半年で異動を自分の方から言い出して、子会社へ出向。1年半で呼び戻されて、帝人との臨床治験検査合弁会社の経営を任されます。3年間で、①期限通りの会社立ち上げ、②黒字化、③帝人臨床検査子会社の吸収合併、④合弁解消。これら4課題をクリアし、SRLを卒業しています。老人医療に興味があり、300ベッド弱の特例許可老人病院の常務理事に就任、新日本製鉄のゼネコン部隊にお願いして、病棟建て替えをやっています。1年半で、外食産業の株式上場準備要員として転職、1年半で辞職して、古里へ戻って小さな私塾を20年間やりました。7年間かけて偏差値45の根室高校から、国立大学医学部へ現役合格できるメソッドを開発しました。真似してやってくれる人が出たらうれしい。方法は弊ブログに詳細な記録を残してあります。
 あとは、孫と遊ぶだけ。(笑)

 スキルは良質の仕事、責任の重い仕事を次々に担うことで磨かれます。業績が悪かったり赤字の会社はそうした仕事であふれていますから、宝の山です。それに気がついた人は、果敢にチャレンジすればスキルを飛躍的にアップできるでしょうね。
 不幸にして、何らかの理由でオーナー社長がそういう仕事を任せてくれないなら、転職したらいい。スキルがしっかりしていたら同じ給料ぐらいなら可能ですよ。数年で給料は前職以上にアップします。50歳前後で、複数分野の良質なスキルをもっていたら、上場を予定している企業へ転職して、そのまま取締役になることだって、そんなにむずかしくありません。

 でも、お金はキリがありませんよ。どこかでそういう人生から離れて、元々したかったことをしたらいいのです。つましくやれば、したいことができます。60歳過ぎて、「お金がもっと欲しい」なんて情けない。欲を抑えたら、したかった生活ができます。60歳を過ぎてもお金が欲しいなら、週に3日ぐらい働けるようなスキルを一つ持っておけばいい。(笑)

<余談-2:医療関係の仕事>
 病院の中でも療養型はのんびり仕事ができます。急性期の患者さんではないですし、手術もほとんどありません。でもだんだん体が動かなくなり、寝たきり、そして看取りということになります。それはそれで総合病院の看護師とは違って、ストレスが大きいと婦長さんの一人が言ってました。元気になって退院する患者さんは殆どいませんからね。医療療養型病床の病院はそれはそれで、スキルがあります。「縛らない看護」もその一つでしょう。工夫が必要です。どこでも、スキルは磨けるということのようです。
 療養型で数年勤務したら、総合病院勤務はきついでしょうね。総合病院でも術場の看護師さんの仕事はきつそうです。
 緩い仕事でも、必要な仕事ですから、それを大勢の人たちが支えています。


*「#5084資本論の論理と背理法:労働価値説の破綻を証明」

 労働価値説が成り立たないことを背理法で証明したら、ジ・エンドです。この証明は「数学的に真」ですから。もちろん世界初の証明ですよ。


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 わたしのもっていた慢性期病院の「縛らない看護」が出てきませんので、急性期病院のものを貼り付けます。看護専門学校へ進学した生徒にあげちゃったので、手元にありません。



急性期病院で実現した 身体抑制のない看護 ―金沢大学附属病院で続く挑戦

急性期病院で実現した 身体抑制のない看護 ―金沢大学附属病院で続く挑戦

  • 作者: 小藤幹恵
  • 出版社/メーカー: 日本看護協会出版会
  • 発売日: 2018/06/15
  • メディア: 単行本

 検索したら、出てきましたこの本です。抑制外しのスキルが具体的に解説されています。療養型病院で働く看護師さんたちに読んでもらいたい。
『縛らない看護』


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