#4951 読み・書き・そろばん:小3終了までにやっておきたいこと Mar. 25, 2023 [47. 語彙力と「読み・書き・そろばん」]
小学校低学年(1・2・3年)でしっかりに身につけておきたい基本技能があります。それは少し高めの「読み・書き・そろばん」の基本技能です。
「読み」は読点(「。」)のある所まで、文章を息継ぎなしに一気に読めればいい。たくさん本を読む習慣のついた子供は、2行にわたる文章の先読み技術が少し身についてきます。1文で改行のあるものを音読させたら、先読みできているかどうかはすぐにわかります。先読みできる生徒は音読に切れ目がありません。先読みできなければ、その行の終わり改行業部分にちょっと間ができます。1文を一気に読めないと、文章の意味内容が頭に入って来ません。
中1になると、速く読める生徒(上位10%)と遅い生徒(下位10%)では、おおよそ5:1くらいの読書速度の差があります。
「書き」は漢字の正しい筆順をしっかりマスターしましょう。筆順の原則は二つ。①上から下へ流れる、②左から右へ。これだけでほとんどが理解できます。左側に位置する偏の之繞が旁よりも後に書くのは、之繞の終筆が旁の右下へ来るからで、「上から下」という原則通りなのです。だから、「①上から下へ流れる」が第一番目の原則です。
3年生までの漢字はそんなに多くないので、繰り返し書いて正しい筆順を身につけます。正しい筆順で書くと、漢字のバランスがよくなります。つまり美しい字が書けます。筆順を無視するとバランスの悪い字になります。正しく書けたら、次の目標は「視写(=文章を見て書き写す)」の速度アップトレーニングです。中学生の視写速度を計測するのに、北海道新聞のコラム「卓上四季」を使っていました。朝日新聞なら「天声人語」です。「よーい!はじめ!」で計測をスタート、書き終わったところでストップ、スマホのストップウォッチ機能を使うと好いでしょう。
中1の5人の生徒で試したら、2:1の速度差がありました。
「そろばん」は加減乗除の四則計算能力です。珠算を習わせるのが一番速い。計算能力が一番差が大きいのです。小3が終わるまでに逆九九がすらすら出るようにトレーニングします。4と6と7の段で引っかかる生徒が多いので、とくにこの段の逆九九は徹底的にトレーニングしてください。割り算の苦手な生徒は逆九九がすらすら出てきません。たかが九九に30秒もかかってはいけません。除数が2ケタの割り算の筆算の際には、除数を1ケタにして(1ケタ以外は切り捨てる)商を探してください。2ケタで考えると手が止まってしまい、時間が数倍かかりますから、苦手になります。
中1の生徒5人にやらせてみたら、最速の生徒と一番遅い生徒で「30:1」でした。速い生徒が30題やるのに、遅い生徒は1題だけしかやれませんでした。普通の計算速度の生徒と珠算3段の生徒では計算速度に1:50くらいの差があるでしょうね。珠算が計算技能に及ぼす影響の大きさが理解できます。ソロバン以外でこんなことは不可能です。小学校のある時期に1~2年間、珠算を習わせることをおススメします。
さて、効果について記してみます。
読みの速度が平均的な速度の2倍あれば、国語の問題は2回読めますから、国語の点数がいいでしょう。2倍の速度で読める生徒は先読み技術が身についています。小学校高学年での読書量に大きな差がついてきます。小学校高学年や中学校で濫読期を通り抜けた子供は、読書量が圧倒的に多いので、文章理解力が圧倒的に深くなります。数学の問題も一気読みできると、題意がつかめます。大問がありその次に(1)の問題があるとき、読む速度の遅い生徒は、(1)を読んでいるときに大問の文章を忘れていることがあります。数学の問題も読みの速度と、文章理解力が決定的な差を生みます。
書く速度が平均的な速度の2倍の生徒は、先生が黒板に書いたことを、授業を聴きながらノートに書きとることができます。遅い生徒は、ノートに書き始めたら、先生の話が聞けませんから、授業の理解力に大きな差が生じます。家に帰ってから1時間勉強しても、書く速度の大きい生徒の理解に追いつきません。科目が3科目なら3時間勉強しても追いつかないということになります。つまり学習効率に大きな差が生じてしまうのですから、視写速度の重要性は大きい。
計算能力、とくに速度の大きさの差は、学年が上がるごとにシビアな影響が出てきます。高校数学は数列や微分積分、複素数平面など、どこでも四則計算が出てきますから、計算速度が大きくないと、試験時間内に終了できません。
知らない漢字が出てきたら、国語辞典や漢和辞典をすぐに引いて調べる習慣を育みましょう。辞書の引けない生徒が多いのです。知っている語彙を増やしておくと、知らない漢字熟語が出てきても、基本漢字の意味が理解できていれば推測できます。日本人は日本語で思考していますので、語彙の大きさは思考の深さと関係があります。語彙の貧弱な生徒は思考も浅くなりがちです。コミュニケーションでは語彙が豊富な生徒は自分の気持ちを豊かな語彙で表現できます。知的な大人の話も深く理解できるようになります。
小学校低学年での「読み・書き・そろばん」のトレーニングの重要性がご理解いただけましたでしょうか?
*計算速度を測ったときのことを書いた記事です。
「#4550学習習慣のない生徒はどれくらいか?」
電話で小2の生徒のお母さんから相談があったので、来てもらって家庭での計算の指導法について説明しました。
「#3374小学校2年生の算数:足し算引き算の教え方」
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「読み」は読点(「。」)のある所まで、文章を息継ぎなしに一気に読めればいい。たくさん本を読む習慣のついた子供は、2行にわたる文章の先読み技術が少し身についてきます。1文で改行のあるものを音読させたら、先読みできているかどうかはすぐにわかります。先読みできる生徒は音読に切れ目がありません。先読みできなければ、その行の終わり改行業部分にちょっと間ができます。1文を一気に読めないと、文章の意味内容が頭に入って来ません。
中1になると、速く読める生徒(上位10%)と遅い生徒(下位10%)では、おおよそ5:1くらいの読書速度の差があります。
「書き」は漢字の正しい筆順をしっかりマスターしましょう。筆順の原則は二つ。①上から下へ流れる、②左から右へ。これだけでほとんどが理解できます。左側に位置する偏の之繞が旁よりも後に書くのは、之繞の終筆が旁の右下へ来るからで、「上から下」という原則通りなのです。だから、「①上から下へ流れる」が第一番目の原則です。
3年生までの漢字はそんなに多くないので、繰り返し書いて正しい筆順を身につけます。正しい筆順で書くと、漢字のバランスがよくなります。つまり美しい字が書けます。筆順を無視するとバランスの悪い字になります。正しく書けたら、次の目標は「視写(=文章を見て書き写す)」の速度アップトレーニングです。中学生の視写速度を計測するのに、北海道新聞のコラム「卓上四季」を使っていました。朝日新聞なら「天声人語」です。「よーい!はじめ!」で計測をスタート、書き終わったところでストップ、スマホのストップウォッチ機能を使うと好いでしょう。
中1の5人の生徒で試したら、2:1の速度差がありました。
「そろばん」は加減乗除の四則計算能力です。珠算を習わせるのが一番速い。計算能力が一番差が大きいのです。小3が終わるまでに逆九九がすらすら出るようにトレーニングします。4と6と7の段で引っかかる生徒が多いので、とくにこの段の逆九九は徹底的にトレーニングしてください。割り算の苦手な生徒は逆九九がすらすら出てきません。たかが九九に30秒もかかってはいけません。除数が2ケタの割り算の筆算の際には、除数を1ケタにして(1ケタ以外は切り捨てる)商を探してください。2ケタで考えると手が止まってしまい、時間が数倍かかりますから、苦手になります。
中1の生徒5人にやらせてみたら、最速の生徒と一番遅い生徒で「30:1」でした。速い生徒が30題やるのに、遅い生徒は1題だけしかやれませんでした。普通の計算速度の生徒と珠算3段の生徒では計算速度に1:50くらいの差があるでしょうね。珠算が計算技能に及ぼす影響の大きさが理解できます。ソロバン以外でこんなことは不可能です。小学校のある時期に1~2年間、珠算を習わせることをおススメします。
さて、効果について記してみます。
読みの速度が平均的な速度の2倍あれば、国語の問題は2回読めますから、国語の点数がいいでしょう。2倍の速度で読める生徒は先読み技術が身についています。小学校高学年での読書量に大きな差がついてきます。小学校高学年や中学校で濫読期を通り抜けた子供は、読書量が圧倒的に多いので、文章理解力が圧倒的に深くなります。数学の問題も一気読みできると、題意がつかめます。大問がありその次に(1)の問題があるとき、読む速度の遅い生徒は、(1)を読んでいるときに大問の文章を忘れていることがあります。数学の問題も読みの速度と、文章理解力が決定的な差を生みます。
書く速度が平均的な速度の2倍の生徒は、先生が黒板に書いたことを、授業を聴きながらノートに書きとることができます。遅い生徒は、ノートに書き始めたら、先生の話が聞けませんから、授業の理解力に大きな差が生じます。家に帰ってから1時間勉強しても、書く速度の大きい生徒の理解に追いつきません。科目が3科目なら3時間勉強しても追いつかないということになります。つまり学習効率に大きな差が生じてしまうのですから、視写速度の重要性は大きい。
計算能力、とくに速度の大きさの差は、学年が上がるごとにシビアな影響が出てきます。高校数学は数列や微分積分、複素数平面など、どこでも四則計算が出てきますから、計算速度が大きくないと、試験時間内に終了できません。
知らない漢字が出てきたら、国語辞典や漢和辞典をすぐに引いて調べる習慣を育みましょう。辞書の引けない生徒が多いのです。知っている語彙を増やしておくと、知らない漢字熟語が出てきても、基本漢字の意味が理解できていれば推測できます。日本人は日本語で思考していますので、語彙の大きさは思考の深さと関係があります。語彙の貧弱な生徒は思考も浅くなりがちです。コミュニケーションでは語彙が豊富な生徒は自分の気持ちを豊かな語彙で表現できます。知的な大人の話も深く理解できるようになります。
小学校低学年での「読み・書き・そろばん」のトレーニングの重要性がご理解いただけましたでしょうか?
*計算速度を測ったときのことを書いた記事です。
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電話で小2の生徒のお母さんから相談があったので、来てもらって家庭での計算の指導法について説明しました。
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2023-03-25 12:10
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