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#3374 小学2年生の算数:足し算・引き算の教え方 July 23, 2016 [47.3 そろばん(計算)]

 小2の子どもの居るお母さんから相談がありました。算数の○cm△mmというような単位付の計算ができないというのです。
 小2は教えていないのですが、相談に応じますからいらしてくださいと電話で告げて来ていただきました。できなかった算数の問題をもって来てもらって、状況をうかがいました。具体的なものがないと要領の得ない相談になりますから。
 親子だとなかなか教えるのが難しい場合があります、親は「何でこんなのわかんないの!」と叱ることになるし、子どもも親へ甘えが出るから喧嘩になって、教えられないと、まあ、こういったことです。じつはわたしにも身に覚えがあります。仕方ないので、友達二人連れておいで、一緒に教えるから、その代わり授業中はお父さんではなくて先生だからね、そのつもりで。しばらく、近所の子ども二人と一緒に教えました。東京暮らしのときの話です。

 単位のつかない問題からチェックしてみました。桁上げや桁下げが理解できていない子どもが案外多いものです。簡単にチェックできるので、こんな問題をやってもらいました。

 「5+9=?」

 「13」、即答でした。
 「ブー!もう一度考えてみて」
 30秒ほどたってから、
 「14」
 「ピンポーン!正解」
 今度は引き算です、桁下げがスムーズに行くかチェックです。

 「14-9=?」

 1分ほどかかりました。桁上げ、桁下げを伴う問題は、とたんに速度が落ちてしまうようです。これは大きな問題です。放置してはいけません。なぜなら、次の問題には桁上げが含まれる場合があるからです。最初は桁上げのない単純な問題から。

 2cm3mm+3cm5mm=

 「cmはcmのついている数字同士を足せばいいんだ、2+3はいくつかな?」
 「5」
 「5cmだね、では3+5はいくつだろう?」
 「8です」
 「そう8だ、だから、5cm8mmと単位をつけて答えを書けばいいだけだよ、できそうかな」
 
 問題5題をそれぞれ単位ごとに足し算と引き算の答えを訊いて、口頭でそれぞれcmとmmをつけて答えを確認しました。

 「じゃあ、5題、今度は一人でやってご覧」

 あっという間に答えを書きました。覚えたから当たり前です。でも、本人は「わかった、できた」と自信が生まれています。表情にちょっと元気がでています。
 次にやるべきは、桁上げ、桁下げを伴う問題です。
 
 5cm8mm+2cm4mm=

 こういう問題は桁上げ操作がスムーズにできない生徒はつっかえてしまいます。そこで最初の問題「5+9=」に戻ります。
 10の補数を覚えてもらいます。

 1の補数は9
 2の補数は8
 3の補数は7
 4の補数は6
 5の補数は5
 6の補数は4
 7の補数は3
 8の補数は2
 9の補数は1

 以上で終わりです。足すと10ですから、簡単に覚えることができるでしょう。ランダムに一桁の数字を言って、10の補数を言わせるゲームをしたらいい。間髪をいれずに補数を言うトレーニングです。面倒なら、電話帳を開いて、下4桁を次々に言えばよい。
 4⇒?
 8⇒?
 5⇒?
 ・・・

 さて、今度は補数を利用した桁上げの計算例を挙げます。
 「5+9」は10を足して9の補数の1を引きます。こういう計算になります。
 「5+9=5+10-1=15-1=14」
 こういう風に2段階入れて計算します。書くと長くて面倒なようですが、慣れてくると機械的な操作ですから、考えなくてもできるようになります。「桁上げの生じる足し算は簡単な引き算に」なります。

 足し算の次にやるべきは桁下げの生じる引き算です。1分間ほどかかった「14-9」は次のようにやります。

 「14-9=14-10+1=4+1=5」

 桁下げのある引き算が補数の足し算に替わりました。お母さんが問題を作ってもよいし、桁上げ・桁下げのある計算ドリルを選んで買ってきて、繰り返しやらせましょう。百題、千題やらせればいいのです。
 じつはこれはソロバンのやりかたなんです。「14-9」は10を引いてから1を足します。小学生2年生には1年間ソロバンを習わせたいですね。こういう計算にまごつく生徒が中学1年生で4人に一人ぐらい居ます。昔に比べたらおそらく4倍です。お母さんたちが珠算塾に子どもを通わせなくなりました。小学生に英語なんか習わせるよりは2年間珠算を習わせたらいい。根室は5段以上の名手が何人も居ます。十段位を取得した人が過去に一人居たはずです。根室は一時期、北海道ではソロバンの先進地域でした。曙町にあった珠算塾、高橋尚美先生が根室の珠算のレベルを上げてくれました。すばらしい先生でした。根室高校から初めて東大へ現役合格したYさんが一番弟子で、その次が2年先輩の澤山さん(岬町で珠算塾と学習塾を経営しています)、そして3番目の不肖の弟子がebisuです。わたしは高校時代に高橋先生にビリヤードを教えてちょっとだけ恩返しをしました。(笑)

 九九がもうすぐ出てきますが、九九の練習を大きな声でさせてください。暗誦できるようになったら、2段階目はストップウォッチを使って高速でやらせます。スマホの機能にありませんか?
 3段階目は逆九九の暗誦トレーニングです。次のようにやります。
 9×9 81
 9x8 72
 9x7 63
 ・・・
 8x9 72
 8x8 64
 8x7 56
 ・・・
 ・・・
 1x1 1
 
 これもストップウォッチで時間を計ってやらせてください。「読み書きソロバン(計算)」は速度が大事なのです。速度が2倍の子どもは同じ時簡に2倍の問題を消化してしまいますから、速度の大小が問題消化量の多寡に直接影響します。速度の大きい子は1時間の勉強で速度の遅い生徒の10倍もやることができます。学力に圧倒的な差が出るのは当たり前です。

 割り算の商を立てるのに、逆九九ができるのとできないのとでは速度に倍の差がつきます。こういうトレーニングを小2のときにおろそかにすると、中学校になってから計算速度が標準の3倍もかかるようになってしまいます。3時間勉強しても標準速度の生徒の1時間分しか問題を消化できません。

 30人のクラスでトップ3人と下位3人では、速度に30倍の差があります。計算速度が遅いと脳の働きも遅くなります。遅いことに脳が慣れてしまうからです。毎日やることこそ、長い期間の内にとんでもない学力差を生みますから、おろそかにしないでいただきたい。

 次に問題になるのは文章題です。これは日本語の文章を正確にそして速く読むことのできる生徒が圧倒的に有利なことは言うまでもありません。
 音読が有効です。この次にやり方を書きます。小学2年生のお子さんの居るお母さん、必らず読んでください。

 ちなみに、この生徒は月に一度ほど、お母さんに教え方のフォローをしてあげます。小学生低学年での漢字や短文章トレーニングのやり方しだいで学力に大きな差がつきます。
 困ったときは誰かが相談に乗るとか、助けてくれる、そういうあったかい古里でありたい


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