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#4862 米国債金利4.010%、日本の長期金利0.25%:円安是正は金利アップが本筋 Oct. 31, 2022 [8. 時事評論]

 10月中旬から10年物米国債金利が4%台に乗っている。日本の長期金利は0.25%である。こんなに金利差が開いたのは、初めてだ。
 Ⅰ978-1983年まで産業用エレクトロニクスの輸入商社に勤務していたが、そのころの日米金利差は2%で安定していた。1年先の為替予約をすると金利裁定取引が働いて円高、それを利用して円定価制度を導入し、為替差益をコンスタントに稼がせてもらった。
 日米の長期金利が4%弱も離れているのは異常としか言いようがない。そのせいで対ドル為替相場は一時150円/ドルを超えた。まっとうな円安対策は為替介入ではなくて、長期金利を上げることである。なぜそうしないのか?
 
 日本の金利を3%に上げたとすると何が起きるのか?
● 対ドル為替相場は120円/ドルに向かって円高に走り出す。
● その一方、日銀保有の国債546兆円には実質的な評価損150兆円が生ずる。日銀法上は評価損の計上の必要がないのだが、国際会計基準では実質的な評価損を計上することになっているから、海外の投資機関は日銀が実質経営破綻したと判断して、円売りを浴びせてくるだろう。200円/ドルへ向かって走りだす。
● 政府は毎年赤字国債を50兆円ほど発行しているから、そこに3%の金利が乗る。4年たったら、200兆円x3%=6兆円利払いが増える。現在、国債費(償還+金利)は24兆円あるが、それがすぐに30兆円になる。毎年増え続けることになる。
● 株式市場からお金が引き上げられて、預金へと向かうので、日本の株式市場は大暴落となるだろう。外資に日本の株が買い占められ、外国投資家の持ち株比率が50%を超える一部上場企業が続出することになる。
● 国民の保有する預金に3%の金利がつくので、3000万円預金をもっていたら、90万円の金利がつく。老人はお金を使い始めるだろう。
● 日銀が債務超過になれば、国債は買えないから、国債発行金利が暴騰する。米国債金利以上、5-10%になるだろう。ない袖は振れないから極端な緊縮財政が訪れる。公務員3割カット、残った人の給与も3割カットなんてことになるだろう。
● 円への信認がなくなり、円が主要通貨から滑り落ちる可能性が出てくる。ポンドがとっくにそうなっている。同じ状態になれば、赤字国債の発行が不可能になる。政府財政は極端な緊縮財政に追い込まれ、日本はIMFの管理下の置かれる。韓国が一時そうなった。

 金利差によって極端な円安が生じているのだから、その是正のためには金利を上げるのが本筋です。5-6回しかできない為替介入では焼け石に水ですぐに元の円安に戻るでしょう

 円安是正は日銀も財務省もそれぞれ明確な理由があって、金利を上げられない。あげれば日銀は実質巨額債務超過に陥るし、財務省は国債の新規発行に金利の急ブレーキがかかり、予算編成ができなくなる。
 結局は、財政破綻へ向かって突っ走るしかない。もうとっくに政府財政破綻や日銀経営破綻を防ぐ選択肢はないのだ。
 小泉信一郎が総理大臣になってから暴走が始まった。アベノミクス三本の矢がとどめになった。そのツケは国民の財産で贖われる。財務省による預金封鎖宣言、住基コードと銀行口座をリンクすれば凍結した預金に課税し、没収するのは簡単である。保有株式もとっくに電子化されて、デジタルデータとなっているので、これも住基コードとリンクすればすぐにも課税して、没収できる。不動産登記もデジタル化が進んでいるので、これも住基コードと鎮くさせたら、すぐにも課税が可能である。
 財務省は政府財政破綻へ向けて準備をほとんど完了している。

 1.2億人しかいないのに9億本のCOVID-19ワクチンを購入し、でたらめなやり方で補助金をガンガン支給する。コロナ禍ででたらめな予算支出と利権だらけのオリンピックはやったし国葬もした。
 それなのに、カネがないので消費税を増税したいという声が聞こえてくる。一体この国はどうなったのか?
 間違いのないのは、ツケは国民が支払うということ。

 その時が来たら、政治にかかわってきた国会議員のみなさんに感謝しつつ、銀行口座からも証券会社にある株式口座からも、不動産登記簿からも、気前よくもって行ってもらおう。
 老人は老後のたくわえすべてに課税され、3割は没収だろう。預金と株への課税が税収には便利だ。不動産課税しても、売却しないと税の支払いができないので、こちらに手を付けるのは、税収確保という点からはなかなか難しい。

*金利が3%に上昇したときに、日銀保有の国債にいくら実質評価損が生ずるのか試算していますので、ご覧ください。こういうデータはよほど都合が悪いのか、マスコミはとりあげませんね。
#4748米国金利上げと日銀保有国債の評価との関係

<余談:酪農への影響>
 円安で輸入飼料が値上がりしている。1.7倍だという。
 ホクレンの生乳の買い入れ値段は上がらない。しかも8割は加工乳で安く買いたたかれている。本州の酪農家とはその比率が逆となっている。生産縮小ができないから、このままだとギガファームがもたない。
 アベノミクスで、日銀が金利を上げないことで円安誘導している、北海道の農業を潰すつもりか?


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