#4811 語感を磨こう:英文を読むにも日本語語彙と語感が重要です Aug. 20, 2022 [49.1 英語音読トレーニング]
<最終更新情報>8/21朝9時半 used toと wouldの用法解説を追記
8/21午前10:45 whileのコアイメージ追記、音読リスト追記
8/20土曜日は高1年生対象の英語音読トレーニング授業をしています。参加したのは3人です。土曜日は昨年まで2年生が使用していたVIVIDⅡを使っています。今日はLesson 9、part1の第3段落~part4まで、112~118頁をやりました。生徒が英文読むのに慣れてきたので、ページ数がはかどります。(笑)
10章が最後の章ですから、あと2回で高校2年生の教科書が終わります。来週は前期期末テストですから、トレーニングはお休みです。9/3と9/10の授業で高2の教科書終了です。高校1年と2年の教科書の音読トレーニング完了に8.5か月かかります。3年の教科書Prominence全部終わるのにさらに2.5か月で十分です、水曜日と土曜日、週に2回やることになるので。
この章のタイトルは ' The Challenge of Disarmament ' です。アフガニスタンの話です。
<disarmament:【起】>
Ginius5版を引くと、次のようになっています。
disarmament:軍備縮小、軍備抑制、武装解除
disarm:<人から>〔武器〕を取り上げる、武装を解除する、軍備を縮小する
章のタイトルにどの訳語がふさわしいかは、読み進んでいくと自然にわかりますから、とりあえずペンディングしておきます。
<officers、one・another・the last one>
At the end of the ceremony, officers put all the guns in a warehouse and locked it with three keys. One of them was for the United Nations, and another was a for Japan. The last one would be owned by Afganistan.
This was the beginnig of a three-year project.
officiersを生徒は「将校」と訳しました。セレモニーに定冠詞theがついてますね。元兵士たちが自分の使っていた銃を政府に差し出すセレモニーです。大統領の隣にこの武装解除に尽力した日本人の瀬谷ルミ子さんが座っています。officersは元兵士たちが差し出した銃を倉庫へしまう仕事をしているようですから、これはおそらく軍人ではなくて、警官ですね。将校が銃を倉庫は運ぶ作業なんてするはずがないですから。銃の保管倉庫は三つのカギで施錠されています。
アンダーラインを引いた他の三つの句にも注目してください。最初の one of them は「三つの鍵のうちの一つ」ですね、それは国連へ渡されています。次の another は an+other ですから、別のもう一つです、それは日本へ。三つの内、二つはもう行き先が決まっていますから、残るは「最後の一つ」だけ、だから the last one なのです。定冠詞がついている理由がわかりますね。それしかない、どれかは決っているからです。それぞれ別物ですから、oneやanother、the oneとなります。同じものではないのでitは使えません。
<used と wouldの用法について>
(瀬谷さんは国連でボランティアとして仕事していたことがあります)
used to は過去の規則的な習慣を表します。現在はその習慣がないことを含意しています。wouldも過去の習慣を表します。少し込み入ってますね。安井稔先生の『英文法総覧』と’Practical English Usage’を引いてみます。
『総覧』176頁にwouldの用例が二つあります。
Tom would often call on me on Sundays..
(トムはよく日曜日に私のところへ来たものだ)
Sometimes the boys would play a trick on their teacher.
(少年たちはときどき先生にいたずらをしたものだ)
この例文からは、woouldは過去によくしたことでも不規則なことを表すようです。だから、oftenやsometimesのような頻度の副詞が一緒に使われることが多い。
used to の用例は192頁に載っています。
I used to work hard, but now I am too old to work.
(わたしは以前は一生懸命に働いたものだが、いまは年を取って働けない)
I used to smoke, but now I don't smoke at all.
8/21午前10:45 whileのコアイメージ追記、音読リスト追記
8/20土曜日は高1年生対象の英語音読トレーニング授業をしています。参加したのは3人です。土曜日は昨年まで2年生が使用していたVIVIDⅡを使っています。今日はLesson 9、part1の第3段落~part4まで、112~118頁をやりました。生徒が英文読むのに慣れてきたので、ページ数がはかどります。(笑)
10章が最後の章ですから、あと2回で高校2年生の教科書が終わります。来週は前期期末テストですから、トレーニングはお休みです。9/3と9/10の授業で高2の教科書終了です。高校1年と2年の教科書の音読トレーニング完了に8.5か月かかります。3年の教科書Prominence全部終わるのにさらに2.5か月で十分です、水曜日と土曜日、週に2回やることになるので。
この章のタイトルは ' The Challenge of Disarmament ' です。アフガニスタンの話です。
<disarmament:【起】>
Ginius5版を引くと、次のようになっています。
disarmament:軍備縮小、軍備抑制、武装解除
disarm:<人から>〔武器〕を取り上げる、武装を解除する、軍備を縮小する
章のタイトルにどの訳語がふさわしいかは、読み進んでいくと自然にわかりますから、とりあえずペンディングしておきます。
<officers、one・another・the last one>
At the end of the ceremony, officers put all the guns in a warehouse and locked it with three keys. One of them was for the United Nations, and another was a for Japan. The last one would be owned by Afganistan.
This was the beginnig of a three-year project.
officiersを生徒は「将校」と訳しました。セレモニーに定冠詞theがついてますね。元兵士たちが自分の使っていた銃を政府に差し出すセレモニーです。大統領の隣にこの武装解除に尽力した日本人の瀬谷ルミ子さんが座っています。officersは元兵士たちが差し出した銃を倉庫へしまう仕事をしているようですから、これはおそらく軍人ではなくて、警官ですね。将校が銃を倉庫は運ぶ作業なんてするはずがないですから。銃の保管倉庫は三つのカギで施錠されています。
アンダーラインを引いた他の三つの句にも注目してください。最初の one of them は「三つの鍵のうちの一つ」ですね、それは国連へ渡されています。次の another は an+other ですから、別のもう一つです、それは日本へ。三つの内、二つはもう行き先が決まっていますから、残るは「最後の一つ」だけ、だから the last one なのです。定冠詞がついている理由がわかりますね。それしかない、どれかは決っているからです。それぞれ別物ですから、oneやanother、the oneとなります。同じものではないのでitは使えません。
<used と wouldの用法について>
(瀬谷さんは国連でボランティアとして仕事していたことがあります)
used to は過去の規則的な習慣を表します。現在はその習慣がないことを含意しています。wouldも過去の習慣を表します。少し込み入ってますね。安井稔先生の『英文法総覧』と’Practical English Usage’を引いてみます。
『総覧』176頁にwouldの用例が二つあります。
Tom would often call on me on Sundays..
(トムはよく日曜日に私のところへ来たものだ)
Sometimes the boys would play a trick on their teacher.
(少年たちはときどき先生にいたずらをしたものだ)
この例文からは、woouldは過去によくしたことでも不規則なことを表すようです。だから、oftenやsometimesのような頻度の副詞が一緒に使われることが多い。
used to の用例は192頁に載っています。
I used to work hard, but now I am too old to work.
(わたしは以前は一生懸命に働いたものだが、いまは年を取って働けない)
I used to smoke, but now I don't smoke at all.
(わたしは以前は煙草を吸ったものだが、いまは全然吸いません)
He used to go to church every Sunday.
(彼は日曜ごとに教会へ行くのが常だった)
「used toは過去の習慣的動作を表す。この場合は、wouldを用いてもあまり大きな違いは生じないが、wouldは過去の偶然的な不規則の習慣を示すことが多く、often、frequently、sometimes、always、for hours(何時間も)などの副詞を伴なうことが多い。used to は過去におけるやや長い期間の規則的な習慣を表す。また、used to が客観的な意味を含むのに対して、wouldは個人的な関心を示すときに用いることが多い。」...同書192頁
PEUのused to の項を見ると、「過去の習慣を表し、それが今では終わってしまっていること:past habits and states which are now finished」と図入りで書かれている。' be used to'(~に慣れている)と混用しないようにと親切だ。623頁のwouldの項には、「used toは規則的で重要な習慣行為に用い、この場合はwouldは使えないと解説があった。
「we used to, not would, to talk about regular and importanto habitual behaviour.」
喫煙習慣は「重要な習慣行為」だからwouldではなくてused toを使えということだ。
学校の授業でも昨日解説したらしい。
<disarmament:【結】>
114頁第2段落をみましょう。disarmamentの訳語はどれがふさわしいのか、書いてあることから適切だと思われる訳語を決めます。
The project team started the disarmament by collecting weapons from soldiers. After finishing it, the team tried to get jobs for them. Seya and other members interviewed the former soldiers, found what jobs they were interested in, and traind them for the jobs.
しっかり論理的に書かれた文ですから、書き手が展開している論理を精確に読み取りましょう。正確に読み取るには語感もじつは重要な要素の一つなのです。
2番目の文が少し長くててこずったようです。一人は分かってました。メール配信の英作文では何度も出てきているのでね。「ああ、いつものあれだ、□でしょ!」、うれしそうです。すっかり身につきました。
この段落の前の段落で次の説明があります。
She joined a disarmament project in Afganistan.
(瀬谷ルミ子さんはアフガニスタンでdisarmamentプロジェクトに参加しました)
瀬谷ルミ子さんは現在はNPO「日本紛争予防センター」の理事長です。彼女も悩んでいるでしょうね。アフガンはタリバンが政権奪取をして、元の木阿弥になっています。
「disarmament projectチームは兵士から武器を収集することでスタートしました」とあるので、「武装解除」が適切な訳語です。何度か「軍縮」と訳していました。軍縮は軍備縮小を縮めたものです。反対語は軍拡。軍縮は国単位での話ですが、ここでのdisarmamentはアフガンの内戦ですから、「軍縮」の訳語はふさわしくありません。
ところで、世界史で武装解除を最初にした国はどこでしょう?
日本ですよ。1588年(天正18年)に秀吉が刀狩令を出して兵農分離をしています。地侍は農民でもあったのです。米国はいつになったら、日本に追いつくのでしょう?
<読書習慣をもとう:日本語語彙と語感の大切さ>
三人の生徒は小説以外の本をほとんど読みませんから、日本語の語彙が貧弱で、語感も磨かれていないので、気がつかないのです。年齢相応の難易度の本を読み、国語辞典や漢和辞典を毎日引いてください。
高校生のみなさん、いや中学生のみなさんも、小説以外の本を読んでください。年に10冊ぐらいは新書版の本を読みましょう。6年間で60冊読めば、語彙も増えるし、語感も磨かれます。英文を読む際にはそうした日本語語彙の豊かさと語感がとっても大事になってきます。そういうベースの差が英文の理解にはっきり出てきますよ。
難関大学の英語2次試験問題ではごまかしがききません。理系学部では国語も英語も2次試験科目にないところが多いですが、文系学部は英語が2次試験科目にあります。理系でも難関大学(例えば国立旭川医大/道北・道東推薦枠)は小論文テストが2次試験で出題されるところがあります。
<大きなwhatの理解の仕方:論理の筋を読む>
もう少し英文を読みましょう。最後のアンダーライン部のところです。一人だけちゃんと読めてました。書き直してみます。
Seya and other menberes found what jobs they were interested in □ ,
theyは武装解除に応じた元兵士たちです。
「瀬谷さんと武装解除プロジェクトの他のメンバーは元兵士たちがどんな仕事に興味があるのか(面接を通じで)理解した」
they were interested in [ what kind of jobs ]
こういうことなのです。前置詞inの目的語なのです。前置詞句が前置詞とそれ以下が分離されています。□で「空所」を表す解説の仕方は、大西泰斗先生の「NHKラジオ会話」で毎度おなじみのものです。
論理展開を順に並べると次のようになっています。
元兵士に面接 ⇒どんな仕事に興味があるか理解 ⇒元兵士の希望に沿った職業訓練を施す
こういう論理的な順序に、文章が並んでいます。
<人間っていいな!>
心温まるエピソードが載っていたので紹介します。
Some of the interviewees chose to clear landmines. When they dug mines out of the ground, the residents appreciated their work. This, in turn, made them happy. In this way, the former soldiers gradually became ordinary citizens.
「インタビューした中には地雷撤去を(仕事に)選んだ人もいました」
out ofを「地面の外へ」と訳しましたが、これも語感が磨かれていたらヘンだと気がついたでしょうね。具体的な作業がイメージできていません。地面を掘って、地雷を置き、そのうえにそっと土をかぶせてカムフラージュします。だから、それを撤去するには地面に地雷が埋まっているのを見つけて周りの土を取り除くのですから、「地面を掘って地雷を取り除く」くらいの日本語が訳語としてはいいのです。試験の時は訳をこなれた日本語にする必要はないのです、スラッシュリーディングでどんどん読み進めばいい。だが、ふだんはしっかり訳しておきましょう、トレーニングですからね。日本語に訳せなんて問題が出たときはやらなきゃいけませんから。
アンダーラインを引いたthemは地雷撤去を職業に選んだ元兵士ですよ。地雷を撤去してもらってまず地雷原の周りの住民が喜びます。農地や野原に地雷が埋まったままでは、いつ子どもたちや農作業の大人が地雷を踏むか知れたものではありませんから、地雷を撤去してくれるのはとってもありがたいのです。住民が地雷を撤去した元兵士たちに感謝しますよ、そうすれば、今度は「順番に」、周り回ってということですよ、元兵士たちがうれしいのです。そうしたことを経験しながら、元兵士たちは普通の市民へ戻っていったのです。
<whileは車が二つ同時に回っているのがコアイメージ>
118頁から引用します。
"While havng sweets at home, I see people killed in war. What am I?" she asked herself. "If I were the Prime Minister of Japan, I would send as much food and medecine as possible right away. Why doesn't anyone do that?"
「家でお菓子を食べている」シーンと「(テレビで)戦争で人が殺されるのを見ている」シーンが同時に起きています。
「お菓子を食べながらくつろぎ、戦争で人が殺されるのをみている、一体私はなんなの?」
瀬谷さんは突然その二つの出来事が同時に起きている理不尽さに気がついたのでしょう。仮定法現在でのしたいことと同時に、それができないことに絶望します。
「わたしが総理大臣なら、すぐに食べものと医薬品を送るのに...送ってあげられない。どうして誰もそうしてあげないの?」
whileは多義語、意味の広い語彙なのです。whileは車が二つ回っていることをイメージしたらいいというのは大西泰斗先生の、whileのコアイメージに関する説明です。便利がいいのです。
GINIUS5版には次のようになっています。
while:①~している間に ①(2)理由を表す ②…だけれども
ここには乗ってませんが、添加「その上」という用法もあります。ようするに意味が広いので、文脈を読まなければならぬということです。文脈に合うような語彙を選びます。年齢相応の難易度の日本語の本を読み、文脈把握に慣れていないと、英文を読むこういう時に困るのです。
<今日の授業のまとめ&年齢相応の読書のススメ>
今日の授業の主な部分はこんなところです。2時間休憩なしでやりました。三人の生徒には英文を読むのに随分タフになりました。授業で文をそれぞれ12-15回読みましたから、家でも合計30回になるように読んでください。意味をイメージしながらスラッシュ音読ですよ。
自分で訳してきた文章を手直ししたはずですから、それを元にして英文を復元してみてください。半分でもいいですからやってみましょう。
もう一つ、前置詞や冠詞類に緑色のマーカーを塗って、赤い透明のプラスチック板で覆って、読んでみてください。前置詞や冠詞類がよく理解できるようになります。
英語はとっても時間のかかる科目なのです。何度も何度も読む、そして何度も何度も書く、それを繰り返した人だけが身につくのです。「30回音読、10回書きとり」、繰り返してください。繰り返した人は英語がやったように比例してできるようになります。
年齢相応の難易度の本とは、新書版の本です。専門書の入門の役割を担うものが多い。高校生なら、最低10冊は丹念に読んでおきたい。知らない言葉が出てきたら、国語辞書を引く。読めなければ漢和辞典を引く。いまですよ、いまやらないでいつやるのですか?アニメのノベライズものは語彙が少ないし、論理展開も薄っぺらですから、100冊読んでも漫画の本を読むのと変わらない。しっかり年齢相応の難易度の本を、自分の興味に合わせて選んで読んでください。
弊ニムオロ塾で扱った音読教材リストがあるので、参考にしてください。
*「#4550学習習慣のない生徒はどれくらいの割合か?」
漫然と勉強するのではなく、常に工夫をしてみましょう。大谷翔平さんが高校生の時から、具体的な目標を設定して独自のトレーニングメニューでやってましたね。文武両道は可能です。
<文武両道:大谷翔平>
啓雲中学校の廊下に大谷翔平の「文武両道」のポスターが掛かっていたのはもう10年ほども前になるかな。北海道教育委員会が配布したポスターでした。あの校舎は現在は花咲小学校。
このポスターを企画し全道の中学校へ配布したのは北海道教育局の武藤次長でした、型破りだった。根室にも来て、根室高校で講演会が開催されたので記憶している人が少なくないでしょう。
ブラジル一等書記官を経て、いま文科省の課長職へご栄転。権限が大きくなって、教育分野のDXの旗振り役のようです。
*「#2615文武両道:大谷翔平からのメッセージ」
He used to go to church every Sunday.
(彼は日曜ごとに教会へ行くのが常だった)
「used toは過去の習慣的動作を表す。この場合は、wouldを用いてもあまり大きな違いは生じないが、wouldは過去の偶然的な不規則の習慣を示すことが多く、often、frequently、sometimes、always、for hours(何時間も)などの副詞を伴なうことが多い。used to は過去におけるやや長い期間の規則的な習慣を表す。また、used to が客観的な意味を含むのに対して、wouldは個人的な関心を示すときに用いることが多い。」...同書192頁
PEUのused to の項を見ると、「過去の習慣を表し、それが今では終わってしまっていること:past habits and states which are now finished」と図入りで書かれている。' be used to'(~に慣れている)と混用しないようにと親切だ。623頁のwouldの項には、「used toは規則的で重要な習慣行為に用い、この場合はwouldは使えないと解説があった。
「we used to, not would, to talk about regular and importanto habitual behaviour.」
喫煙習慣は「重要な習慣行為」だからwouldではなくてused toを使えということだ。
学校の授業でも昨日解説したらしい。
<disarmament:【結】>
114頁第2段落をみましょう。disarmamentの訳語はどれがふさわしいのか、書いてあることから適切だと思われる訳語を決めます。
The project team started the disarmament by collecting weapons from soldiers. After finishing it, the team tried to get jobs for them. Seya and other members interviewed the former soldiers, found what jobs they were interested in, and traind them for the jobs.
しっかり論理的に書かれた文ですから、書き手が展開している論理を精確に読み取りましょう。正確に読み取るには語感もじつは重要な要素の一つなのです。
2番目の文が少し長くててこずったようです。一人は分かってました。メール配信の英作文では何度も出てきているのでね。「ああ、いつものあれだ、□でしょ!」、うれしそうです。すっかり身につきました。
この段落の前の段落で次の説明があります。
She joined a disarmament project in Afganistan.
(瀬谷ルミ子さんはアフガニスタンでdisarmamentプロジェクトに参加しました)
瀬谷ルミ子さんは現在はNPO「日本紛争予防センター」の理事長です。彼女も悩んでいるでしょうね。アフガンはタリバンが政権奪取をして、元の木阿弥になっています。
「disarmament projectチームは兵士から武器を収集することでスタートしました」とあるので、「武装解除」が適切な訳語です。何度か「軍縮」と訳していました。軍縮は軍備縮小を縮めたものです。反対語は軍拡。軍縮は国単位での話ですが、ここでのdisarmamentはアフガンの内戦ですから、「軍縮」の訳語はふさわしくありません。
ところで、世界史で武装解除を最初にした国はどこでしょう?
日本ですよ。1588年(天正18年)に秀吉が刀狩令を出して兵農分離をしています。地侍は農民でもあったのです。米国はいつになったら、日本に追いつくのでしょう?
<読書習慣をもとう:日本語語彙と語感の大切さ>
三人の生徒は小説以外の本をほとんど読みませんから、日本語の語彙が貧弱で、語感も磨かれていないので、気がつかないのです。年齢相応の難易度の本を読み、国語辞典や漢和辞典を毎日引いてください。
高校生のみなさん、いや中学生のみなさんも、小説以外の本を読んでください。年に10冊ぐらいは新書版の本を読みましょう。6年間で60冊読めば、語彙も増えるし、語感も磨かれます。英文を読む際にはそうした日本語語彙の豊かさと語感がとっても大事になってきます。そういうベースの差が英文の理解にはっきり出てきますよ。
難関大学の英語2次試験問題ではごまかしがききません。理系学部では国語も英語も2次試験科目にないところが多いですが、文系学部は英語が2次試験科目にあります。理系でも難関大学(例えば国立旭川医大/道北・道東推薦枠)は小論文テストが2次試験で出題されるところがあります。
<大きなwhatの理解の仕方:論理の筋を読む>
もう少し英文を読みましょう。最後のアンダーライン部のところです。一人だけちゃんと読めてました。書き直してみます。
Seya and other menberes found what jobs they were interested in □ ,
theyは武装解除に応じた元兵士たちです。
「瀬谷さんと武装解除プロジェクトの他のメンバーは元兵士たちがどんな仕事に興味があるのか(面接を通じで)理解した」
they were interested in [ what kind of jobs ]
こういうことなのです。前置詞inの目的語なのです。前置詞句が前置詞とそれ以下が分離されています。□で「空所」を表す解説の仕方は、大西泰斗先生の「NHKラジオ会話」で毎度おなじみのものです。
論理展開を順に並べると次のようになっています。
元兵士に面接 ⇒どんな仕事に興味があるか理解 ⇒元兵士の希望に沿った職業訓練を施す
こういう論理的な順序に、文章が並んでいます。
<人間っていいな!>
心温まるエピソードが載っていたので紹介します。
Some of the interviewees chose to clear landmines. When they dug mines out of the ground, the residents appreciated their work. This, in turn, made them happy. In this way, the former soldiers gradually became ordinary citizens.
「インタビューした中には地雷撤去を(仕事に)選んだ人もいました」
out ofを「地面の外へ」と訳しましたが、これも語感が磨かれていたらヘンだと気がついたでしょうね。具体的な作業がイメージできていません。地面を掘って、地雷を置き、そのうえにそっと土をかぶせてカムフラージュします。だから、それを撤去するには地面に地雷が埋まっているのを見つけて周りの土を取り除くのですから、「地面を掘って地雷を取り除く」くらいの日本語が訳語としてはいいのです。試験の時は訳をこなれた日本語にする必要はないのです、スラッシュリーディングでどんどん読み進めばいい。だが、ふだんはしっかり訳しておきましょう、トレーニングですからね。日本語に訳せなんて問題が出たときはやらなきゃいけませんから。
アンダーラインを引いたthemは地雷撤去を職業に選んだ元兵士ですよ。地雷を撤去してもらってまず地雷原の周りの住民が喜びます。農地や野原に地雷が埋まったままでは、いつ子どもたちや農作業の大人が地雷を踏むか知れたものではありませんから、地雷を撤去してくれるのはとってもありがたいのです。住民が地雷を撤去した元兵士たちに感謝しますよ、そうすれば、今度は「順番に」、周り回ってということですよ、元兵士たちがうれしいのです。そうしたことを経験しながら、元兵士たちは普通の市民へ戻っていったのです。
<whileは車が二つ同時に回っているのがコアイメージ>
118頁から引用します。
"While havng sweets at home, I see people killed in war. What am I?" she asked herself. "If I were the Prime Minister of Japan, I would send as much food and medecine as possible right away. Why doesn't anyone do that?"
「家でお菓子を食べている」シーンと「(テレビで)戦争で人が殺されるのを見ている」シーンが同時に起きています。
「お菓子を食べながらくつろぎ、戦争で人が殺されるのをみている、一体私はなんなの?」
瀬谷さんは突然その二つの出来事が同時に起きている理不尽さに気がついたのでしょう。仮定法現在でのしたいことと同時に、それができないことに絶望します。
「わたしが総理大臣なら、すぐに食べものと医薬品を送るのに...送ってあげられない。どうして誰もそうしてあげないの?」
whileは多義語、意味の広い語彙なのです。whileは車が二つ回っていることをイメージしたらいいというのは大西泰斗先生の、whileのコアイメージに関する説明です。便利がいいのです。
GINIUS5版には次のようになっています。
while:①~している間に ①(2)理由を表す ②…だけれども
ここには乗ってませんが、添加「その上」という用法もあります。ようするに意味が広いので、文脈を読まなければならぬということです。文脈に合うような語彙を選びます。年齢相応の難易度の日本語の本を読み、文脈把握に慣れていないと、英文を読むこういう時に困るのです。
<今日の授業のまとめ&年齢相応の読書のススメ>
今日の授業の主な部分はこんなところです。2時間休憩なしでやりました。三人の生徒には英文を読むのに随分タフになりました。授業で文をそれぞれ12-15回読みましたから、家でも合計30回になるように読んでください。意味をイメージしながらスラッシュ音読ですよ。
自分で訳してきた文章を手直ししたはずですから、それを元にして英文を復元してみてください。半分でもいいですからやってみましょう。
もう一つ、前置詞や冠詞類に緑色のマーカーを塗って、赤い透明のプラスチック板で覆って、読んでみてください。前置詞や冠詞類がよく理解できるようになります。
英語はとっても時間のかかる科目なのです。何度も何度も読む、そして何度も何度も書く、それを繰り返した人だけが身につくのです。「30回音読、10回書きとり」、繰り返してください。繰り返した人は英語がやったように比例してできるようになります。
年齢相応の難易度の本とは、新書版の本です。専門書の入門の役割を担うものが多い。高校生なら、最低10冊は丹念に読んでおきたい。知らない言葉が出てきたら、国語辞書を引く。読めなければ漢和辞典を引く。いまですよ、いまやらないでいつやるのですか?アニメのノベライズものは語彙が少ないし、論理展開も薄っぺらですから、100冊読んでも漫画の本を読むのと変わらない。しっかり年齢相応の難易度の本を、自分の興味に合わせて選んで読んでください。
弊ニムオロ塾で扱った音読教材リストがあるので、参考にしてください。
*「#4550学習習慣のない生徒はどれくらいの割合か?」
漫然と勉強するのではなく、常に工夫をしてみましょう。大谷翔平さんが高校生の時から、具体的な目標を設定して独自のトレーニングメニューでやってましたね。文武両道は可能です。
<文武両道:大谷翔平>
啓雲中学校の廊下に大谷翔平の「文武両道」のポスターが掛かっていたのはもう10年ほども前になるかな。北海道教育委員会が配布したポスターでした。あの校舎は現在は花咲小学校。
このポスターを企画し全道の中学校へ配布したのは北海道教育局の武藤次長でした、型破りだった。根室にも来て、根室高校で講演会が開催されたので記憶している人が少なくないでしょう。
ブラジル一等書記官を経て、いま文科省の課長職へご栄転。権限が大きくなって、教育分野のDXの旗振り役のようです。
*「#2615文武両道:大谷翔平からのメッセージ」
Practical English Usage (Practical English Usage, Third Edition)
- 作者: Swan, Michael
- 出版社/メーカー: Oxford Univ Pr
- 発売日: 2005/07/07
- メディア: ペーパーバック
4版が出てますのでこちらの方をおススメします。
〈日本語音読リスト〉…
*#3726 日本語音読トレーニングのススメ:低下する学力に抗して Apr. 18,2018
https://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2018-04-18-1
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<7. 国語力アップのための音読トレーニング >
中2のトップクラスのある生徒の国語力を上げるために、いままで音読指導をしてきた。読んだ本のリストを書き出してみると、
○『声に出して読みたい日本語』
○『声に出して読みたい日本語②』
○『声に出して読みたい日本語③』
○『坊ちゃん』夏目漱石
○『羅生門』芥川龍之介
○『走れメロス』太宰治
○『銀河鉄道の夜』宮沢賢治
『五重塔』幸田露伴
『山月記』中島敦
●『読書力』斉藤隆
●『国家の品格』藤原正彦
●『すらすら読める風姿花伝・原文対訳』世阿弥著・林望現代語訳
●『日本人は何を考えてきたのか』斉藤隆
●『語彙力こそが教養である』斉藤隆
●『日本人の誇り』藤原正彦(数学者)
◎『福翁自伝』福沢諭吉
◎『近代日本150年 科学技術総力戦体制の破綻』山本義隆(物理学者)
(ここまでやりぬいた生徒は、国立旭川医大医学部・道東東北推薦枠入試の2次試験の小論文300点満点で295点得点している。現役の合格者ではトップ合格している。偏差値45の根室高校からの受験だから、本人の不屈の努力を褒めていい。中高の6年間、学校行事には積極的に参加していた。
26人の応募者を共通テストの得点で半分に絞り、そのあと2次試験の得点を加えて総合点で合否を判断するというのが旭川医大のやりかた。)
その後に読むものをどうしようかいま考えている。だんだんレベルが上がってきた。哲学に踏み込むかどうかは生徒の意欲次第。
◎『善の研究』西田幾多郎
◎『古寺巡礼』和辻哲郎
◎『風土』和辻哲郎
『司馬遼太郎対話選集2 日本語の本質』文春文庫
『伊勢物語』
(○印は、ふつうの学力の小学生と中学生の一部の音読トレーニング教材として使用していた。●印の本はふつうの学力の中学生の音読トレーニング教材として授業で使用した実績がある。◎は大学生でも語彙力上級者レベルにふさわしいテクストである。平均的な語彙力の大学生には手が届かぬ。
音読トレーニング授業はボランティアで実施、ずっと強制だったが、2年前から希望者のみに限定している。本気でやる気にならないと効果が小さいので、お互いに時間の無駄。)
・・・
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2022-08-20 22:10
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