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#2615 「文武両道」 大谷翔平からのメッセージ:北海道教育委員会制作ポスター Mar. 13, 2014 [64. 教育問題]

 読売オンラインに掲載されたニュースを紹介する。
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/hokkaido/news/20140313-OYT8T00019.htm

 
 道教委が大谷翔平選手を起用し「文武両道」と大書きしたポスターを作成した。


20140313-320898-1-N











(読売オンラインニュースより転載)

 日ハムの大谷翔平君がバットを構えた姿に「文武両道」の文字を入れたポスター、なかなかかっこよいではないか。
 北海道教育委員会義務教育課が制作した「啓発ポスター」で、ブカツ偏重のケースの多いことが学力低下の一因をなしているとの認識がベースにあり、過度なブカツを控え、学業と両立させないといけませんよとのメッセージが込められている。学校の先生と「熱狂的なブカツ支持」の保護者へ向けたものだろう。

 毎週のごとく対外練習試合や合同練習そして試合を繰り返しているブカツの生徒たちにも評判がよい。スマホで弊ブログを検索して確かめていた。

「かっこいい!」
「ブカツばかりではダメだ、文武両道だぞ!」
「先生、諒解!文武両道」

 わたしは繰り返し生徒たちに言っている、「文武両道」だぞと。ブカツが大好きで勉強がきらいだった生徒の内の一人が、この一月ぐらいで一番前に陣取って一生懸命に勉強するようになった。曰く、

「わたし非正規雇用にはなりたくない、正規雇用の職にちゃんと就いた大人になりたいから勉強する」

 中学生と高校生の時代はたかだか6年間、人生はその後のほうがずっと長い。ブカツばかりで勉強サボると6年間の後に来る六十余年間の人生にツケが回る。
 高卒の三人い二人大卒の二人に一人は正規雇用に定着できない時代だからしっかり勉強することはとても大事なこと。
 ブカツを言い訳に勉強しなければ、ほぼ確実に非正規雇用がまっている。収入は正規雇用のおおよそ三分の一だ。そういう事実をわたしは中高生に繰り返し語る
 根室高校を卒業してから35年間東京で暮らし、サラリーマン生活が長かったので、学力の重要性を具体的な仕事の実例を引いていくらでも話すことができる。若い人たちに学校を卒業したあとの現実の生活についてわたしたち大人は具体的に語る義務がある。準備があるのとないのでは、就職氷河期といわれている現実を生き抜くときに大きな差になってくる。中高生の時期にブカツばかりで勉強しなければ、ほとんどの場合に取り返しがつかぬことになる。

 頭を使うのは勉強ばかりではない、頭を使わないトレーニングの効果は小さいから、週に一度は座学を実行すべきだ。長時間トレーニングを強いるのは頭を使わない者のやり方だ。指導理論や指導技術をもたないから、精神論と長時間練習を強いなければ成果があげられない。
 練習メニューそのものやメニューごとの個々の練習方法の見直し、自分達のチームの課題分析と対策考案、強いチームの練習法の研究などいくらでもやることがあるから、それらを無視した座学を伴わぬブカツは教育効果が小さい。
 短い時間で有効な練習メニューを常に工夫し、実行することこそ大事なことだ。一人一人得意な技や不得意な技が異なるから、練習の仕方も違ってこなければならない。毎日のトレーニングが工夫の場とならなければ教育的な意味がない。

 社会人となったときに、他人が8時間で済ませている仕事に12時間もかかり、残業ばかりしていたら管理職や中小企業主はそのまま雇い続けるだろうか?そのままにしておいたら規模が小さければ会社の業績にかかわる。いくら言っても言うことの意味が飲み込めず、自ら仕事の工夫も改革もできない。中高生の時代に6年間身体にしみこませたやり方は習慣や性格になっているから、社会人になっても自然に出てしまう。だから、毎日毎日繰り返すトレーニングのやり方が大切なのだ。工夫を繰り返す、座学重視のブカツを6年間みっちりやったものは社会人になっても心配がないが、そうでない者にはたいへんな苦労がまっている。

 家庭学習習慣の躾に障害となるような時間の長いブカツは文武両道を阻害するから、土日はどちらかブカツは休みとする。週に一度は座学、毎日の練習は5時半までとし、家に帰って食事の前に1時間ほど勉強する習慣を育む。土日いずれかは、5時間勉強をする。
 これくらいのことをして上位20%以内の成績なら、文武両道と胸を張っていい。

(わたしはビリヤードというスポーツ分野でセミプロクラスの指導技術をもっている。図面で研究して、繰り返し練習して、それを身体に覚えこませる。頭を使わぬトレーニングでは10年やっても、きちんとしたトレーニングの1年分にはるかに及ばない、指導理論や指導技術のレベルの違いはそれほどの差を産む。)

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 ブログ「情熱空間」のほうもご覧ください。
「文武両道!(大谷選手を起用)」
http://blog.livedoor.jp/jounetsu_kuukan/archives/7141443.html


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 <文武両道に関する弊ブログ記事>
*#2511 ブカツ指導について:何を目標とするのか? Nov. 24, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-11-24-1

 #2469 生活習慣改善リーフレット配布済み(北海道教育委員会)  Oct.29, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-10-29-1

 
 #2464 道教委リーフレット:生活習慣を改善し学力アップ(2) Oct. 26, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-10-25-2

 
 #2433 釧路(と根室)の教育について(角田憲治会長)③  Oct. 2, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-10-02-3

 #2415 '1,130 tons of tainted rainwater dumped at nuke plant' Sep. 20, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-09-22

 #2409 根室高校吹奏楽局第39回定期演奏会 Sep. 15, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-09-15-1

 #2389 複雑な心境(塾に行かなけりゃ勉強ができるようにならない)  Aug.30, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-08-30-1

 #2278 読書のススメ: 『謹訳 源氏物語九』 Apr. 30, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-04-29

 #2230 それぞれの進路 : 大学へ Feb.28, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-02-28

 #2186 フリー授業参観:C中学校 Jan. 25, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-01-25

 #2167 中学生の生活時間の使い方と基礎学力 Dec. 30, 2012 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-12-31



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後志のおじさん

上場企業で人事にいました。採用試験では、SPI(センター試験の範囲を広くして問題の難度は低いもの)が多くの企業で実施されていますが、SPIの得点と20代の勤務評定は相関が高いです。(つまり、昇進が速い。)また、SPIの得点と大学の偏差値との相関も高いですが推薦入学や附属からの持ち上がりは、SPIが低い。興味深いのは各県のトップレベル校出身は、出身大学を問わず総じてSPIが高めであることです。限られた時間で学習の完成度を高める受験勉強が実は社会に出るときの基礎トレーニングになっているわけです。いくらブカツで実績を残しても、まずは第一関門の筆記をくぐらなければブカツの実績をアピールすることはできす、効率よく学習する能力をもたなければ仕事もとろくさくなると言えるでしょう。北海道の学校でブカツ三昧ねぇ。私には社会的自殺行為にしかみえないのです。
by 後志のおじさん (2014-03-13 20:36) 

ebisu

上場企業の人事畑にいたのですか。
SPI試験は30代半ばに一度受けたことがあります。当時はリクルート社が中途採用斡旋業をしていました。
SPI試験は国語系の問題が判断に迷うところがありました。前提条件次第でどちらに転ぶのかわからない。出題者はどちらの前提条件で考えているのだろうと、数問迷いましたね。
数学系のほうは、その点判断に迷わなくてすみますから、快適に答えが出せます。面接担当コンサルタントは「頭脳のやわらかさを測定している、だから実務を10年以上やっている人は点数が低くなる傾向がある」と言ってました。

>SPIの得点と20代の勤務評定は相関が高いです。(つまり、昇進が速い。)また、SPIの得点と大学の偏差値との相関も高いですが推薦入学や附属からの持ち上がりは、SPIが低い。

潜在能力については強い正の相関があるのでしょうね。
わたしが受けたSPIでは偏差値表示がなされていました。

>また、SPIの得点と大学の偏差値との相関も高いですが推薦入学や附属からの持ち上がりは、SPIが低い。

この点はよくわかります。SPIには基礎学力がどの程度かを測定する機能があるようですから、基礎学力の高い偏差値上位校の学生は当然SPI試験の得点も高くなる傾向がある。
附属からの持ち上がりは一般入学試験で選抜されて入学して来る者よりも基礎学力が低くなる。推薦入学者も同じことがいえるでしょう。

>限られた時間で学習の完成度を高める受験勉強が実は社会に出るときの基礎トレーニングになっているわけです。

ブカツも同じですね。限られた時間でさまざまな技の完成度を高める工夫があるのとないのでは大違い。座学を伴わぬブカツは「社会に出るときの基礎トレーニング」にならない。それどころか、逆の効果を生んでしまう。工夫をせずにだらだら長時間かけた仕事のやり方をしてしまう。

>北海道の学校でブカツ三昧ねぇ。私には社会的自殺行為にしかみえないのです。

ほんとうにそうですね。わたしは小学生のときからずっと家業のビリヤードを手伝っていました。毎日2~4時間ぐらい。だから勉強する時間が少ない、それで時間の使い方がうまくなってしまった。社会人になったときの基礎トレーニングになっていました。

35歳のときに転職に際して受けたSPI試験は偏差値72でした。7段階で一番上位の中途採用ファイルがオープンになりました。中小企業の産業用エレクトロニクス輸入専門商社よりもずっと規模が大きくて仕事と給与条件のいい会社に転職できて、ありがたかった。
そのときの面接担当コンサルタントに、「転職するつもりがなくてもいいから5年後にもう一度おいで」と勧められました。
84年のことで、あのころは輸入商社で経営企画と経営管理管理そして事務系の統合システム開発をやっていました。オーナ社長が思い切りよく仕事を任せてくれたので、月の半分くらいは終電近くまで仕事していました。

ちなみに出身大学の入試偏差値は真ん中ぐらい。
全国の皆さん、真ん中ぐらいの偏差値の学校でも、大学に入学してからの勉強次第で学力はいくらでも伸びるものです。大いに勉強してください。一日8時間以上、面白くて楽しくてのめり込んで1年続けたら学力的には生まれ変わっていますよ。その大学で成績上位3%以内にいます。上位1%はどこの大学と比較しても学力的な遜色はありません。(笑)

後志のおじさん、元人事畑からの有益なコメントありがとうございます。きっと、北海道の高校生や大学生の参考になるでしょう。

by ebisu (2014-03-14 00:37) 

後志のおじさん

ちょっと説明が足りなかったようです。SPIのスコアが高い、即ち学習能力が高いと言えますが、この差が仕事を覚える能力の差になるわけです。また、説明を聞いてすぐに理解でき、ポイントが掴める。複数の条件を考慮に入れながら、所与の条件下での最適な解決策を考えるなどの能力が相対的に高いため、20代位の間はその能力だけで優位に立ち易いわけです。管理職になってからは、個人の能力だけではなくなってくるので昇進がバラけてきますけど。
by 後志のおじさん (2014-03-14 15:41) 

ebisu

重ねて説明ありがとうございます。

>SPIのスコアが高い、即ち学習能力が高いと言えますが、この差が仕事を覚える能力の差になるわけです。

基礎学力の差や学習能力の差が仕事を覚える能力の差になるという説明は具体的でよく理解できます。
だから、他人の話しが理解できないほど日本語語彙が不足(小4レベル)している中学生の将来が案じられます。

>説明を聞いてすぐに理解でき、ポイントが掴める。複数の条件を考慮に入れながら、所与の条件下での最適な解決策を考えるなどの能力が相対的に高いため、20代位の間はその能力だけで優位に立ち易いわけです。

そういう柔軟な思考能力を測定するのがSPIだということですね。

>管理職になってからは、個人の能力だけではなくなってくるので昇進がバラけてきますけど。

企業規模が大きくなると、徒党を組んで派閥もありますから、そこいらへんをうまく泳ぐことができるかどうか、あるいは派閥にかかわらずそれなりの業績を上げ続けることができるかどうかは生き方の選択にもなってきます。

人の使い方の巧拙が企業業績に決定的な差を与えますから、自分の能力だけではなく、他人の能力をどれだけ引き出せるのかということも、上級管理職あるいは役員には要求されます。
具体的なビジョンとその達成手段を具体的に語り、社員を鼓舞しつつ業績を上げることも大事なこと。
1000人に一人くらいの割合で、そういう能力の持主がいるかもしれませんね。
赤字の事業をトップレベルの高収益事業にするようなことが可能になります。
物事を見る視点が違うのでしょうね。
「イメージ化能力」の問題であるかもしれません。他の人には見えないものが見えているという・・・

それらはSPIで測定できる能力の範囲を超えているということなのでしょう。
SPIはあくまでも、基礎的学力の高さや、学習能力の高さを測定するもので、仕事の遂行能力と相関関係がある。
by ebisu (2014-03-15 00:10) 

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