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#4651 1年余登校できず:勉強したい! Nov. 12, 2021 [63. チャレンジ(教育)]

<更新情報>11/13朝追記

 昨日から、原因不明の体調不良で1年余学校に行けなかった生徒が来ています。自律神経の異常が起きたのかホルモンバランスが崩れたのか、医者にも原因がわからない。一人似た生徒が8年前に来たことがあります。低血圧で朝起きられない、それでほとんど毎日遅刻、午後学校へ行ってました。部活のブラスバンドはちゃんとやってたようでした。高校は出席日数が厳しいから、同じだと進級できずに退学になると心配していましたが、高校へ入ったら、毎日遅刻しないで通学してました。中学時代が嘘のよう、まるで別人です。300点満点で190点クラスの高学力層の生徒でしたが、商業科へ進学、五種目1級をとって卒業してます。成長期はホルモンバランスや自律神経のバランスが崩れてしまう生徒がいますが、高校生になると落ち着くようです。この生徒もそうなる可能性が高いと思います。

 高校入試まで4か月、「何をどうやったらいいのかさっぱりわからない、勉強しないといけないと焦り始めて塾を探しました」と困り果てている様子。塾を探していてクラスの友人に聞いたそうで、お母さんから午前中に電話をいただいて、5時に来てもらい、3時間ほど勉強していきました。最初の授業で大きな山を乗り越えられるかどっかの判断をするための「相性」のチェックをさせてもらいます。ちゃんと来れるならなんとかなりそうなので、お引き受けすることにしました。

 昨日は学力テスト総合Cが実施されていました。「学力テストはどうだった?」と訊いたら「全然できなかった、いままでも全教科受けたことがないのでどの程度か自分にもわからない」、こちらの意図を察した返事、説明が的確です。「前回は英語だけ受けました」と答え方に卒がない。本人の希望は、今月下旬の後期中間テストはある程度点数を取りたいとのこと。「このままでは高校へ進学できないかもしれないと不安です」そんな心配をしていました。
 塾で勉強した時間の2-3倍の勉強を家でやらなければ成績は短期間でアップできない、スマホをいじって時間を潰しているだろうから、それもやめないと勉強時間が取れないので無理。スマホは10時まで母親に預け、先に勉強することを約束してもらいました。きついことは最初に言っておくに限ります。
 尋常なやり方では短期間での大幅な学力アップはできるはずもないですから。わたしはマジシャンではありませんので、生徒が本気でやる気を起こさないとなすすべがないのです。

 学力テスト数学が零点の生徒が入塾してきたことがありました。数日すると友達を連れてきました。零点の生徒ですから、ブラスバンド部の生徒だったと思いますが、2か月毎日来るように伝えました。二人できますが授業中はほとんどおしゃべりナシ、一生懸命に勉強してました。次の定期テストで88点、連れてきたもう一人は78点でした。学校の数学担当の先生が驚いて、「どうしたんだ?」「塾で勉強してます」、「いったいどういう教え方してるんだ?」驚いてたようです。
 こんな極端な例は珍しいのです。でもほかに数人そういう生徒がいましたね。生徒の能力はわかりませんよ。わたしはその生徒の中に眠っている能力を引き出すのにたまたま成功しただけ、「相性」の問題もありますから。こういう生徒は素直です、指導を受け入れる心ができています。自分でも何とかしたいと渇望(かつぼう)しているのです。最初の授業でそれがよく見えることがあります。

 定期テスト数学の範囲は「2次関数」と「図形の相似」の章、いまやっている図形の相似がさっぱりわからないというので、もってきた教科書準拠問題集をやってもらいました。案の定問題文の意味が理解できない。「「対応する」ってどういう意味ですか?」、出る質問に一つ一つ丁寧に答えます。頂点を対応する順に並べないと、比例式に持ち込んだり、証明問題をやるときに困ります。いちいち図を確認しなきゃいけなくなりますが、頂点をきちんと対応させておけば、アルファベットの並びの順の確認だけで処理できます。
 「今日やったのはこの辺りだ」と言いながら、突然に自力で問題が解け、「あってる!」とうれしそうな眼をしていました。3時間で初めて独力で解けた問題でした、そりゃうれしいよね。2時間半取り組んだ問題が片っ端からわけわからなくてうろうろしていたのですから。そういうシーンに出遭うとわたしもうれしいのです。こういうのを「共感」というのでしょう。人が喜ぶ姿を見てわたしも心の底から喜べる、教えることで幸せをいただいてるわけですから生徒に感謝ですね。

 今日は2次関数をやることになるでしょう。英語もまるっきりわからないと生徒。どんなことになるのか見当もつきませんが、やり方はそんなに難しくはありません、心を空っぽにして授業すればいいだけです。「心が空っぽ」というのは、相手を受け入れる用意ができているということの譬(たと)えです。
 こういう生徒は集団授業では救済するのは無理です。
 最初に、分数計算ができるかどうかチェックしたくて「1/2+1/3=」と黒板に書いてみます。
「やってみろ」
「それって通分してやるんですよね」
 やり方を念押ししている、ちょっと面白いかも。
「そうだよ」
「えーと、6分の3+2で5/6だ!」
「ピンポーン、正解、分数計算は大丈夫だ」(笑)
 どうやら小学校卒業のところまではしっかりしているようです。中学生になって不登校になってからの部分がすっぽり抜けているのでしょう。不登校になったら本をたくさん読んでほしい。日本語の読解力の大きい生徒は、知識や技術の習得も速い傾向があります。

 相似の計算で比例式が出てきたが、かすかに言葉だけ覚えていただけだったので解説しました。聞いているだけなので、すぐに注意します。
「解説したことはちゃんとノートにとること、君のためだけに説明しているのだから」

 メモを取ることは社会人になっても大事な作法です。
 どこまでアップできるか、突然襲った体調不良で登校できなかったのは生徒のせいではない、意欲がありそうなので、とりあえずしばらくは毎日来てもらいます。独力で勉強できるようになるところまで伴走してみます、そうですね目標は1月末としておきます。

 3時間教えて平均よりも呑み込みの好い生徒であることが分かりました。
 こういう生徒は個別指導塾でしか救えないでしょうね。根室で初めての個別指導塾がニムオロ塾ですが、いつまでもあるわけではありません。川上小児科医院のドクターが75歳になるので、診療はそろそろ限界と来年2月で閉院を宣言しています。子どもたちには少なからぬ影響がでます。
 わたしは72歳、スキルス胃癌の手術をしてから15年たちますが、体力に合わせて週4日だけ仕事してます。

 教育とか指導とか授業とかさまざまな言葉で表現されますが、わたしにとっては、生徒の中に眠っている能力を引き出すだけのことです。「わたしは数学(あるいは英語)ができない、能力が人より劣る」そう思い込んでいる生徒が多いのですが、そうした思い込みが本来持っている能力が出てくるのを押さえつけてしまっています。思い込みを外すのがたいへんなのです。それが何とかなれば、あとはもう大丈夫で、勝手に良くなります。テストで一度いい点をとったら、「わたしは能力が人よりも劣っている」なんて意識はすっ飛んでしまいます。いい点を取って当たり前というこころができてしまいますから、自信が生まれます。自信たっぷりに勉強して試験を受けたら、結果は前とはまるで違います。(笑)
 勉強が向いていない生徒もいます。どうしても勉強が好きになれない、そんな生徒がたまにいます。リーダーシップで秀でるとか、字が上手、絵がうまい、歌が好き、ダンスが得意、部活が大好き、生徒会活動が楽しい、身体を動かすことが好きとか、別の面の能力で勝負したらいいのです。何か一つ職業としての専門分野をもち、趣味の世界のある人は、仕事で躓(つまず)いても、趣味の世界にのめり込むことで精神のバランスを維持できます。一生続けられる趣味をもってください。
 身体を動かすことと書きましたが、スポーツで一流の選手になる必要はないのです。そこそこの学力なら試験を受けて自衛隊へ入隊するという道もあります。そこそこの学力で他の面で何か秀でることがあれば、それを仕事や趣味で生かして平々凡々と生きるという道もあっていい。もちろん、波乱万丈の人生を選択してもいい。



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