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#4552 「時知らず」と温根沼のアサリの酒蒸し May, 29, 2021 [86.1 食]

 今夜のおかずは、トキシラズ(時知らず)と温根沼のアサリの酒蒸しだった。食べ残してあった加熱用の牡蠣フライも二つオーブンで温めお皿に鎮座ましました。
 トキシラズは適度に脂がのっていて美味しい。これは地元産のシャケである。半身で900円だったと女房殿。トキシラズは値段が高いのがあたりまえだが、食卓に載せることのできる価格になった。トキはわたしの大好物である。大根おろしでいただいた。柚子があればワンランク上の贅沢料理となる。東京銀座の品のよい小料理屋で食べる気分が味わえる。
 魚体が大きいのは半身で1500-2000円くらいしているようだ。傷物は安い、新鮮だから傷のついた部分を切り落とせばなんともない。
 新鮮な魚介類が食べられるのは古里根室のありがたいところだ。自然の恵みに感謝。

<豊かな水産資源に恵まれた古里と原子力発電>
 こういう豊かな資源に恵まれた場所を子々孫々に残したいから、原発の高レベル放射廃棄物の処分場なんてとんでもない話だ。地下埋設処分場の適地なんて日本列島にはない。いつでも対処できるように地上に保管場所を作るしかない。半分は大消費地で保管したらいい。プルトニウムの半減期は2.41万年であるから、放射線量が1/8になるまで14万年かかる。1/33になるまで33.7万年かかります。現在の政府にも企業にも、責任のもてるスケールの時間ではありません。
 北海道には原発も高レベル放射性廃棄物の地層処分場もいらない。高レベル放射性廃棄物処分場問題は危険が大きいのだから地産地消を原則にしてもらいたい。電力の大消費地が高レベル放射性廃棄物の半分は地上に建物をつくり保管すべきだ。地層処分したら、何かが起きたときに手の施しようがなくなる。
 先ほど、「ブラタモリ」を見ていたら、木更津の山砂利採取場が出てきた。関東の大河川が運んだ砂利が木更津に堆積している。60万年前には東京湾はなかった。日本列島は十万年単位で形が変わってきたのだ。
 フィンランドの高レベル廃棄物処理場であるオンカロは2億年間動いていない地層を選んで地層処分場にしている。日本列島にそういう場所はないのである。福島県双葉町や浪江町の住民は帰るべき古里を失った、その悲しみはいかがばかりだろう。古里を失った人々がかわいそうです。被害は自分の町だけではすまない、近隣の町を巻き込む。
 やっていいことと悪いことが判断できない大人が世の中には多いようだ。ebisuはパトリオット(郷土を愛する者)で健全な保守主義者を自任している。



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【余談】
*パトリオット、パトリオティズムについては以下の弊ブログ参照。
 #1029 『現代語訳 帝国主義』幸徳秋水著・遠藤利國訳
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-05-16

 #1030 nationalism とpatriotism :遠藤利國訳・幸徳秋水『帝国主義』
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-05-17


 ―以下一部抜粋―

#1029より⇒
 ロシア革命のさ中の高揚の中で我が田に水を引く論を展開したレーニンと、透明な知性で私利私欲を離れて日本的情緒で経済を観察した幸徳秋水の、いずれの論が正鵠を射ていたかは今日の状況から明らかだろう
 自己や自己の属するの集団の利益を頭の隅のどこかでチラとでも考えたら、その途端に目が見えなくなるものであるらしい。ケチな根性で経済を観察しても、大事なところで論を誤るものであることは注意したい
 資本主義化が遅れたロシアで革命が起こり、70年後に行き詰ったのは共産主義経済の方であった。だが、物質的欲望の拡大再生産装置である資本主義もまた環境問題を中心に行き詰まりをみせている

#1030より⇒
 前回のブログ*で遠藤利國訳・幸徳秋水著『帝国主義』を採り上げたが、そこにナショナリズムとパトリオティズムは異なる概念であると書いた。
 数学者藤原正彦のナショナリズムとパトリオティズムの二つの用語の使い分けについて『国家の品格』から該当箇所を引用して補足しておく。

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「愛国心」ではなく「祖国愛」を 私はいつぞや、アメリカ人の外交官に「お前はナショナリストか」と訊いたことがあります。そうしたら、「オー・ノー」と否定されました。そこまではよかった。 ところが「パトリオットか」と訊いてしまった。そしたら「もちろんだ」といって今度は怒り始めた。自分が生まれ育った祖国の文化、伝統、自然、情緒をこよなく愛することは、当たり前中の当たり前である。外交官でありながら、そんな質問をされたことを侮辱ととったのです。明治になってから作られたであろう愛国心という言葉には、初めから「ナショナリズム」(国益主義)と「パトリオティズム」(祖国愛)の両方が流れ込んでいました。明治以降、この二つのもの、美と醜とをないまぜにした「愛国心」が、国を混乱に導いてしまったような気がしまこの二つを峻別しなかったため、戦後はGHQの旗振りのもと、戦争の元凶としてもろとも捨てられてしまいました。わが国が現在、直面する苦境の多くは、祖国愛の欠如に起因するといっても過言ではありません。・・・ 私は愛国心という言葉は、意識的に使いません。手垢にまみれているからです。そのかわりに「祖国愛」という言葉を使い、それを広めようと思っています。言葉なくして情緒はないのです。(藤原正彦著『国家の品格』114ページ) 
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『国家の品格』が260万部も売れているのは単なる流行だけではなく、しっかりした論が展開されているからだろう。 

 手元にある辞書2冊をみると定義は次のようになっている
Nationalism: 2 a great or too great love of your own country
Patriotism: When you love your own country and are proud of it
     (Cambridge Advanced Learners Dictionary)

Nationalism: 2 the belief that your nation is better than other nations
Patriotism: strong feelings of love, respect, and duty towards your country
     (Macmillan English Dictionary)

 ナショナリズムはtoo great love of your own country(度を越した祖国愛)だったり、他国を省みない排他的なニュアンスがあるが、パトリオティズムにはそういう負のイメージはなく、生まれ育ったホームタウンへの素朴な郷愁や誇りにすぎない。しかしそれも程度問題で、容易に排他的愛国主義(ジンゴイズム)へと転化しかねない危うさももっている。
 Patriotism can turn into jingoism and intolerance very quickly. 

・・・・・
 さて、訳者はパトリオティズムについてどのように考えているのかメールで訊いてみたので、彼の解説を披露したい。遠藤はラテン語に詳しいから、語源学的な話しを交えた解説は話しを面白くする調味料の役割をするはずだ。大学生や高校生には勉強の仕方について示唆を与えてくれているに違いない。
 以下はメールからの引用である。

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藤原氏の「峻別して使う」という話はもっともです。patoriotはギリシアの都市国家の時代から使われていた語で父祖の地、あるいは国というような意味ですから、祖国愛というのであれば良い訳語ですね。nationはラテン語系統で血筋とか出生等を意味する言葉ですが、ローマ人が祖国愛というような意味合いで使う時は、patoriotを使ったようです。nationalismという言葉は近代になってからの言葉なのでしょう。 もっとも秋水は愛国主義の語にパトリオチズムのルビを振っているので困ってしまうのですが、おそらくジンゴイズムとかショービニズムとの区別を、あるいは語そのものを知らなかったのかもしれません。藤原氏の引用された文の中に「明治の人達はこの区別を曖昧にした云々」とありましたが、曖昧にしたのではなく知らなかったというのが実情でしょう。なにしろ戦国の遺風そのままの感覚で西欧と向き合ったわけですから、「やるか、やられるか」以外に判断の基準があるとは思わなかったのでしょう。「ほととぎす」でも引用した樺山海相の蛮勇演説も、漢語が混じっているので意味が不鮮明になっていますが、簡単な話がヤクザのミカジメ料を脅し取るときのセリフ、「ここでノウノウと商売できるのは誰のお蔭だ」と同じですから、当然、言われた方も「やるか、やられるか」の感覚で大騒動になったわけです。この区別が分っていたのは福沢諭吉ぐらいなものでしょう。
……
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tsuguo-kodera

 頭脳明晰なebisu先生や諸先生の論を見てさすがと思いました。素晴らしい。
 でも私は祖国も村も友人も財産も捨てたよう。高校野球のおらが町やマラソンや聖火の村起こしを連想しました。郷土愛も嫌いなのです。
 幼児のころからのように思えます。今は早く極楽浄土と思うだけ。すべて公平です。孤独死なら最高です。
 学者様の言葉は私にこの想いを強めさせます。愛も糞もみそ糞の阿保なのです(笑)。でも美味しい時じゃけだけが羨ましい浅ましい男です。
by tsuguo-kodera (2021-05-30 16:15) 

ebisu

koderaさん
わたしも「高校野球のおらが町やマラソンや聖火の村起こし」にはほとんど関心がありません。
生まれ育った地域への単なる郷愁があるだけ。
執着の対象ではないのです。
想いはあっても執着は薄い。
すべての苦のもとは執着心からはじまります。だから、会社にも、土地にも執着をもたぬようにしてきました。
19年前に東京を離れたのは執着心が薄い故であって、古里への執着心が年月とともに凝集したからではなかった。
古里でやるべきと思っていた仕事が終わりかけています。
それなのに、どういうわけか来週からまた一人新しい高3の生徒が来ます。
昨年よりも増えてしまいました。
極東の町に初めてできた個別指導塾はお陰様で忙しい。
来週火曜日から根室高校は定期テスト期間です。
授業しているほうが体調がいいのかもしれませんね。たぶん、生徒たちに元気をいただいて生かしてもらっているんです。感謝。(笑)
by ebisu (2021-05-30 21:07) 

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