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#4420 根室の市街化地域の2中学校の学力テストデータ Dec. 7, 2020 [71.データに基づく教育論議]

 中学3年生対象の学力テストは、9月から11月まで、3回(学力テスト総合A⇒総合B⇒総合C)行われています。実質的に北海道の公立学校の標準学力テストです。それにもかかわらず、全道の平均値も偏差値も計算されていないような貧弱なものです。いつまでこんな学力テストを採用しているのでしょう。公立中学校の学力テストが受験生のニーズを満たさないので、学力増進会の道コン(北海道学力コンクール)を受験する生徒が4割もいます。平均点も全道偏差値も順位も計算されています。こんなにニーズが高いのですから、道教委は現在の学力テストを廃止して、道コンに切り換えたらよいのです。道立高校普通科でベネッセ全国模試を採用していないところはないでしょう。どうして中学校はこんなにかたくななんだろう。
 根室のある中学校で学年トップの生徒が、「根室市内では何番目なのだろう?」「全道では何位なのだろう?」、道コンを受けなければ知り得ません。高校生になってベネッセ模試で全国レベルの高さを初めて知るんです。半年以上はなすすべがない。北海道の田舎の高校生は大きく出遅れてしまうんです。進学に圧倒的に不利です。大人がちゃんと仕事しないと、このように子どもたちに被害が及びます。

 根室市内の中学生の学力の現状がどれほど惨憺たるものであるのかご存じない方が多いので、根室市内の市街化地域の2校の学力テストデータを公開します。根室市教委はこのデータすら見ていません。まともな教育政策などあるはずもない。

柏陵中            
  国語 社会 数学 理科 英語 合計
A 32.1 21.1 19.7 16 19.7 108.6
B 32.9 21.9 24.9 19.8 17.1 116.6
C 38.4 22.5 15.2 16.6 21.9 114.6
模試Ⅰ           0
合計 103.4 65.5 59.8 52.4 58.7 339.8
平均 34.5 21.8 19.9 17.5 19.6 113.3
             
啓雲中            
  国語 社会 数学 理科 英語 合計
A 29.3 21.6 14.1 13.1 17.2 95.3
B 26.8 22.4 17.1 17.5 14.7 98.5
C 33.6 24.3 11.6 15 19.1 103.6
模試Ⅰ           0
合計 89.7 68.3 42.8 45.6 51 297.4
平均 29.9 22.8 14.3 15.2 17.0 99.1
             
柏-啓 4.6 -0.9 5.7 2.3 2.6 14.1

 もう一つの市街化地域の光洋中学校は総合Bが119.8点、総合Cが121.2点です。昨年の学力テスト総合Aの釧路根室管内18校の比較データがありますが、五科目合計平均点が120点を下回ったのは、根室の3中学校のほかは標津中と中標津中だけです。昨年に続いて、今年も根室市内の市街化地域の中学校が最下位です。

 60点満点のテストで国語の得点が30点以下の生徒は啓雲中では18/41(43.9%)を占めています。柏陵中学校の得点通知票はだいじな得点階層別人数が掲載されていないので分布がわかりません。啓雲と同じ様式で公表してもらいたい。

 学力テストで国語の得点が半分以下の生徒の国語力がどういうものか、紹介します。『中学入試小3~6年生用言葉力ドリル』の問題を10年くらい前から国語の点数が半分以下の生徒に実施してます。中学校の学力テストで国語が30点以下の生徒は、小3~小6用の語彙力テストで60点獲れないのです。語彙力が小4並の生徒が啓雲中3年生に半数いるということ。4月になれば全員が根室高校生ですから、根室高校新入生の3人に一人はそういう語彙力レベルです。根室高校の先生たち、たまったもんでないだろうな。高校統合後は授業のやり方をまったく変えないといけないのですが、すでに5年たったが、変わらない。生徒の語彙力低下に気がついていないのでは?授業中に語彙解説をしないといけませんよ。 データに基づかない教育政策がいかにばかげて効果のないものであるか、根室の子どもたちが低学力にあえぐという犠牲を払いながら、実証して見せてくれています。根室市教委や根室市議会はそのことをよく認識して、学力テストデータを分析して本来やらなければならない仕事をまっとうしてもらいたい。

 たとえば、「形容詞は名詞をシュウショクする」、先生がこう喋ったとします。中3になっても語彙力の小4並の生徒は「就職」「修職」などと書きます。実例ですよ。五科目合計点が学年平均を超える生徒でもいるんです。脳内で適切な漢字に置き換えられなければ、意味が理解できるわけがありません。高校1年生にルビ付き教科書の採用は文科省の仕事です。道教委は要望書を出してもらいたい。
 柏陵中学校は国語の平均点が啓雲より4.6点高いので、48.8%はいないでしょうが、3人に1人くらいはいそうです。根室高校にそういう語彙力レベルの生徒が全員合格しています。
 新入生の3人に1人は、教科書の漢字にルビを振り、さらに語彙の解説を各ページごとに載せなければ、予習なんて不可能です。授業で先生が話しても理解不可能です。これが現実です。中学校の先生たちどういう対応しているのかな。
 高3になればずいぶん語彙力は強化されますが、『言葉力ドリル』で80点を超えることのできる生徒は7割いるでしょうか。

 数学と英語の点数に開きが大きい。柏陵中は1月中に教科書を全部終われそうです。啓雲中は無理そうですね。遅い。授業の進捗管理が甘い。授業の進捗管理の巧拙は生徒の学力に影響します。スキルの低い先生は概して進捗管理も下手です。今日、生徒にどこをやっているのか確認してみます。後で追記しておきます。

 今年の学力テスト総合Aの15校比較があります。大楽毛中が25点も下がってます。年度によって落差が激しい学校があります。

 これじゃあ、市立根室病院へ学齢期の子どもを抱えたドクターが赴任してくる筈もありません。

<余談>
 高校3年生の一人がこんなことを言いました。

 「根室高校へ入学して、二人の友だちが話しているのをそばで聞いたら、(使われている語彙がむずかしくて)さっぱりわからなかった。焦りました。」
 その友達の会話ですが、一人は学年トップの生徒です。日本語音読トレーニングで15冊読んでいます。大人とのコミュニケ――ションにとっても慣れています。大人と話すときは言葉遣いを自然に切り替えています。
 ゲームに時間を費やして本を読まない生徒は多いのですが、中学生の時に読書習慣がないと、中3で小4並の語彙力しかないということになります。
 国語辞書を一度も引いたことがないという中3は3割以上いるでしょう。本は読まない、国語辞典も引かない、ましてや漢和辞典など見たこともないでは、語彙が増えるはずもないのはモノの道理です。(´;ω;`)
 十数年間やっていた日本語音読指導を復活するしかありません。どんな本を選んでやっていたかは、#4350にリストが、そして実際の指導の仕方は#4124にあります。


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