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#3558 1学期期末テストに変化の兆しあり June 21, 2017 [71.データに基づく教育論議]

  前期中間テストのC中学校は先週金曜日、1学期期末テストのB中学校は木曜日と金曜日の2日間だった。

  答案が生徒に戻されたので点数と問題を確認したら、C中学校数学の難易度が少し上がっているように感じた。出題は教科書準拠問題集からだけでなさそうだ。最後の証明問題は正方形をくりぬいた面積と、くりぬいた部分の中心線でできる正方形の周囲の長さに関する証明問題だった。準拠問題集には穴埋め問題として載っていたが、穴埋めではなく証明全部を書かせる出題が望ましい、同じことを数学担当の先生も考えたようだ。成績「中の上」クラスの生徒は何度か書いて理解しておかなければできない問題。その前にあった「5.5^2-4.5^2」の問題も、「この種の問題は大概の先生が出すよ」と生徒に予告してあった問題の一つ。「和と差と積」の乗法公式応用問題。共通因数3.14を括りだす問題もあった。たしか、「76^2*3.14-24^2*3.14」という出題だった。どちらも「標準問題レベル」だが、定期テストは基礎問題がほとんどというのが実態だった。少し良い方向に変化の兆しが見える。百点をとった生徒の評価だと理科の問題も学力テストレベル。
  国語が記述式問題の解き方の実践的トレーニングを授業でやって来たので、出題された記述式問題が解けるようになった生徒が増えたようだ。6月から入塾した生徒が90点獲れたと喜んでいた。記述式問題が確実に解けるようになるのはうれしいものだ。国語の先生は出口の「論トレ方式」を教えているのだろう。本当に成果が出ているかどうかは九月の学力テストの平均点に現れる、楽しみだ。

  先週実施された定期テストの得点通知表が出たら、昨年の3年生のテストと平均点を比べることで難易度の変化が測定できるかもしれぬ。四月の学力テストの平均点も参考に分析してみたい。チャレンジしている先生たちも少なくない。


< 余談 >
 ① 通塾4年目の中3生が初めて五科目合計490点を超えた、三科目が満点だった。いままでの最高点は480点台だったから大きな達成感があっただろう。その一方で難易度の低いテストで493点をとっても、大学進学という観点からはさしたる意味はない。定期テストよりは難易度が上の学力テストで数英二科目同時満点がとれていない。北海道が実施している学力テストの難易度は、東京都のそれに比べて格段に低いのである。だから、この生徒に対する授業の照準は普段の定期テストや学力テストには合わせていない。それよりも難易度の高い問題へのチャレンジと基礎力アップ、1年前倒しで数学と英語をやりきることを目標として個別指導している。小手先の点数アップは一切排除してきた。
  そういう狙いで日本語テクストの音読指導も4年目に入った。先週、斎藤隆『語彙力こそが教養である』(角川新書 を読み終え、12冊目である福沢諭吉緒『福翁自伝』(岩波文庫)の音読トレーニングを昨日から始めた。漢文調の文体で、読めない漢字が多い。中学3年生にはかなり背伸びした読書である。医学部進学予定だが、国語も手を抜かず日本語読解の底力を養う。将来必要となるどのようなレベルの日本語テクストも、そして英語で書かれた専門書も読みこなせるだけの語彙力と読解力を養成したい。
  音読トレーニングは中学生全員に強制していたが、やる気のない生徒が数名でたので、2年前にやめた。やる気のある生徒だけ「補習音読トレーニング」をしている。体力の衰えもあって、やる気のない生徒へのおつきあいは負荷が大きすぎるのでやめにした。

②  6月初めから中3女生徒2人が入塾して、苦手の数学に懸命に取り組んでいたので、部活が休みの月曜日に補習体制を敷いた。集中力が大きいので「モノになる」と感じたからだ。一人は前回期末テストよりも50点アップ、もう一人は40点アップだった。よく頑張った、次の前期期末テストと学力テスト総合Aが楽しみだ。どちらのテストも九月に実施される。手を抜かずにこのまま突っ走ってほしい。勢いで90点ラインを越えてくれたらうれしい。

③  昨年12月に入塾した生徒は2年生だが、4月の学力テストで大幅にアップして学年2位、数学と英語は学年トップに躍り出たのだが、今回はかなり順位を落としそうだ。それでも入塾直前の2学期・期末テストよりも五科目合計点で83点アップしていた。数学と英語は点数が高いが、国語と社会と理科の三科目に課題が見つかった、長期戦で取り組む必要あり。
  数学は連立方程式の問題を2週間前からやっているが、まだ塾用問題集の計算問題が終わらない。やっている個所を確認しているが、前回に塾でやり終わったところから進んでいない、部活が忙しくて必要な勉強時間がとれていないからだ。念のために本人に口頭で確認をしたら推測通りだった。普段は6時半まで、土日もやるきつい部活は文科省の方針にも道教委の方針にも反しているが、根室市教委は何をしているのか?「過度な部活」は生徒たちから文武両道を貫く体力と時間を奪っている。この生徒は上手になりたくて部活が終わってから自主トレもやっている。この生徒の体力では「過度な部活」と勉強の両立は困難にみえる。
 本も読まなければ国語の点数は上がらない。語彙力や文章読解力は普段読んでいる本の質と量に比例する。このままでは本を読む習慣がつかないので今日(隔週水曜日)、日本語音読補習に呼んである。
  音読テクストは『語彙力こそが教養である』。音読させれば理解力が測定できる。適切に先読みして意味をつかんでいないと、よどみのない音読はできないもの。塾で音読トレーニングをしても、家で繰り返さないと効果は期待できない。もちろん、読めない漢字や意味の理解できない漢字は、国語辞典や漢和辞典を引かなければならない。自主的に取り組む領域のあることが大事である、それと塾でのトレーニングが車の両輪となって語彙力や読解力を押し上げる。

6/21追記:
< 音読トレーニングの実際 >

  中学生全員対象だった日本語テクスト音読(輪読)授業は2年前からやる気がある生徒に限定して実施していることはすでに書いた。中学2年生のある生徒に実施している音読授業の実際を書いておく。
  この生徒の場合は月に2度の補習授業で1対1で指導している。昨日の補習授業では『語彙力こそが教養である』P.43からP.58まで15ページ読むのに50分かかった。ヘトヘトになってしまったのでこれ以上は無理と判断して50分で中止した。全員を対象としなくなったので、一人一人の生徒に合わせて指導できる。スキルアップのための音読トレーニングは全神経を集中させる「格闘技」である。
 読めない漢字や意味が分からずに読んだ箇所、助詞の読み違えや余計な語を付け加えて読んだ箇所はすべて再読させる。おかしい読みはどこがおかしいか指摘し、読んで見せる。そして意味が伝わるようにすんなり読めるまで何回でも読ませる。そうしないとスキルがアップできないし、文例とともに語彙が身につかないからだ。だから、最初のうちは新書版15ページの音読トレーニングに50分もかかるが、スキルがアップしてくれば消化速度も上がる。声の出し方や抑揚のつけ方、舌の動かし方もうるさく指導している。流れるように読めるようになったらうれしい。生徒は一人一人抱えている課題が違うので、指導の仕方も生徒によってかなり違ったものになる。集団の輪読による指導から、個人指導に切り替えてから自分の指導の仕方が生徒によって異なっていることに気が付いた。よく考えたら、数学も英語も個別指導だから指導の仕方は生徒に寄ってニュアンスが異なる、自然なことだ。

  音読の速度が2倍になれば、文の理解度は4倍以上にアップする。読解速度と読解力アップは学力全般に影響する。標準速度の倍の速度で(半分の時間で)各教科の教科書や参考書を4倍の理解力で読めたら、学力が飛躍的にアップしないはずがない

  質よいテクストを選んで音読することで、文例ごと語彙を大量にインプットすれば、アウトプット技術(作文)もよくなる。貧弱な語彙では様々なニュアンスを書き分けたり、意味の明確な文を書くことはほとんど不可能であることは諒解いただけるのではないか。作文が苦手という生徒で本をよく読んでいるという例を知らないし、作文が好きな生徒に訊いてみると(いままでのところ)例外なく普段から本をよく読んでいる。読書が生活習慣の一部になっている。当人の意識では読書がエンターティンメント(娯楽)化しており、読まずにはいられないのだろう。
  語彙力や読解力が学力に与える影響を考えると、小中高のいずれかの時代に濫読期を通過すべきで、読書に耽溺する時期が1~2年あってよい。人の2倍の速度でそして4倍の理解力で教科書や参考書や専門書を読み切れるという学力の土台がその時に出来上がる


<付録:日本語音読トレーニング教材>
  中3のある生徒にいままで3年間で消化した音読教材をリストアップしておきますので、参考にしてください。

 斉藤隆   『声に出して読みたい日本語①』
     『声に出して読みたい日本語②』
 音読破シリーズ: 斉藤孝のこのシリーズはルビが振ってあります!ぜひ、お子さんに買ってあげてください。(小学館 本体800円です)
   『坊ちゃん』
   『走れメロス』
   『銀河鉄道の夜』
   『羅生門』
   『山月記』
   『五重塔』
 斉藤隆『読書力』(岩波新書)、
 藤原正彦『国家の品格

  
斉藤孝著『日本人は何を考えてきたのか―日本の思想1300年をみなおす』(2016年3月初版)
   斎藤隆著『語彙力こそが教養である』(2015年12月初版)
 以上、12冊がいままでに音読トレーニング教材として授業でとりあげた本です。

   福沢諭吉『福翁自伝』岩波文庫 (現在音読授業で読んでいる本)

   このほかに、家で読むようにと日本の古典を読む④万葉集(小学館)を預けてある。この生徒は学力テストの国語の点数がいつも90点前後である。塾では国語の授業はしていない。



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