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#2081 団塊世代がみた松下幸之助と松下政経塾 Sep. 11, 2012 [A.6 仕事]

 マスコミが持ち上げすぎるので、松下幸之助が経営者としてどうであったか、松下政経塾ができた当時はどういう位置づけだったのか、団塊世代のEさんとebisu二人が当時抱いた感想を書き留めておきたい。

 ソニーやホンダ自動車の創業者は技術畑の人であったが、ナショナルの松下幸之助は9歳から丁稚奉公、根っからの商売人として、そこにこだわって生き抜いた人だった。
 本田宗一郎は自動車修理工場からスタートしたたたき上げの技術者、ソニー創業者の井深大は早稲田大学理工学部、盛田昭夫は大阪帝国大学理学部物理学科出身の技術屋である。そういう同時代人の姿をみながら、学力や技術力へ素朴な憧れを抱いていた人のように感じる。
 松下政経塾はわれわれ団塊世代が30代に入った頃にできたのだが、20代で学問にのめりこみ30前後から再び社会人となった二人がどう見ていたのかというと、当時はきわめて冷ややかにみていたのである。
 大学を卒業して就職に失敗し、行き場を失った人たちが吹きだまっているところというのがあの当時の率直な感想。高学歴で実務能力のない者たちが好々爺の財政的庇護の下でモラトリアムしているというのが松下政経塾の実態だっただろう。野田氏はその一期生だという。
 民主党幹部には松下政経塾出身者が多いから、絵に描いた餅だったマニフェストも、政権奪取後、口先だけで仕事のできないテイタラクも、さもありなんという気がするのである。松下政経塾とは元々そういう程度の(実務能力のない)人たちが集う場だったのだから。
 Eさんの辛口メールを転載する。

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 前から気になっていることが一点あります。
 松下幸之助というのは、我々が20代、30代の頃は、どちらかといえば軽蔑の対象ではあっても、尊敬される名前ではなかったように思えます。小学校だったか中学校のときだったか忘れましたが、松下幸之助の発言として「ワテは商人だす。商人は確実な金儲けが一番だす。冒険なんちゅうものは、ようしまへん。柳の下のドジョウの一匹目はソニーはんとか本田はんみたいな方がおやりになればよろしい。ワテは二匹目、三匹目を狙います。柳の下にドジョウは必ず二匹、三匹はおます」と言って憚らず、当時の熱いハートに燃えた経営者やサラリーマンからは軽蔑されていたように覚えているのですが、これは勘違いですかね。私にはそういう思いがあるので、「経営の神様」だとか「日本を救う‥‥」などと銘打った本がベストセラーになるというのは悪い冗談だとしか思えないのです。これは世代間ギャップというものなのですかね。

 松下の本が中国や韓国ではベストセラーになったとしてもそれはそれで不思議とは思わないのですが、日本でこれがベストセラーになるようでは問題でしょう。
 そんなことでは日本の発展は望めず、時とともに世界の第一線から転落し、退歩の道をたどるばかりだと思います。


 
 松下政経塾」も似たようなものでした。そんな経営者が日本のためと公言してもハナから信用されず、その卒業生と称する輩も当初は、せせら笑いの対象でしかなかったように覚えています。
 私が初めて松下政経塾卒業と称する輩を知ったのは30代前半、取材で飛び回り始めた頃でした。もう30年も昔のことですが、その頃は彼らはまだ恥ずかしそうに小さな声で出身を口にしており、口の悪い連中に「そんなのは恥を晒すようなものだ」と言われるとシュンとしていたのをみた記憶があります。それがいつの間にか人前で誇らしげに言えるキャリアとなっているようなのですから、じつに不思議な思いがしますね。

 昔、総理大臣の池田勇人はフランスのドゴール大統領からトランジスタ・ラジオのセールスマンみたいだと言われたのは有名な話ですが、トランジスタの技術開発は間違いなく世界の発展に貢献しました。本田のオートバイも世界の発展に貢献した「柳の下の一匹目のドジョウ」でした。日本の復興と経済発展はこの種の技術や学術の面での世界への貢献があって成し遂げられたたものでした。松下幸之助はそういう努力を冷ややかな商人の目で見て、飯のタネとしてしか見ていないと思われていたし、またそう思われるような発言を繰り返していたから、軽視されていたのでしょう。 あるいはこれは松下が独自の開発につねに遅れをとることが悔しくて、敢えて自嘲的に、あるいは偽悪的に言ったのかも知れませんが、いずれにしてもパイオニアとしての情熱とは縁なき衆生、革新的な世界のトップリーダーの資質としては疑問視される点が多々あったように思います。

 松下とそのグループは、当時は二匹目のドジョウ、つまりパクリで高度成長に便乗した企業体で、その発展の歴史は、現在の中国や韓国の経済発展の原型と言えるものなのかもしれませんね。現在のパナソニックがどうなのかは知らないし、また伝説と実像とが食い違うのはよくある話なのでこれは私の勘違いなのか、あるいは途中の発展を経緯を知らないせいなのか、あるいは世代間ギャップなのか、いずれにしても、いつも違和感を覚える題材ですね。


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*2006 Eさんの新刊書『漫言翁 福沢諭吉 時事新報コラムに見る明治』 July 10, 2012 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-07-10

 #2044 『漫言翁 福沢諭吉 時事新報コラムに見る明治』 (2)  Aug. 8, 2012
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-08-08

 #1029 『現代語訳 帝国主義』幸徳秋水著・遠藤利國訳 May 16, 2010
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-05-16

 #1025 『明治廿 五年九月の ほととぎす 子規見参』 遠藤利國著 May 10, 2010 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-05-10


 #2079 日本維新の会への懸念:民主党マニフェストの再来か? Sep. 9, 2012 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-09-09-1?comment_success=2012-09-12T00:01:17&time=1347375677


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コメント 9

度量の深さ

「そうですかあ、そういうこともありますなあ。」


大徳寺の立花大亀導師の逸話にもある通り、松下幸之助の凄いところは誰の批判にも耳を傾けるその謙虚さ。


言うは技術、聞くは心そのもの。
by 度量の深さ (2012-09-12 21:09) 

ebisu

「大徳寺の立花大亀導師の逸話」ですか、
なんとかいう松下幸之助の秘書さんの話しのようですね。

松下イズムの信者からみると幸之助翁は神様。
ただひたすら崇める対象であるのみ。
いい「逸話」ですね。
でも危ない。

崇め奉ったのではものが見えなくなります。
カルトではないのでしょうから、もっと客観的に見ていいのではないですか?

同時代の経営者と比べることでくっきりと見えてくるものがありませんか?

by ebisu (2012-09-12 22:50) 

横から失礼

松下電器の社是(綱領)にもありますが、安価で良質な電化製品を一般大衆まで敷衍させた功績はいかがですか?

松下は松下で、ソニーの盛田、井深氏とはまた別の側面で功績がある。

両者とも同時代の優れた経営者、どちらが欠けても日本の今はないでしょう。ある対象の負の側面にスポットを当てて批判するのは簡単なことです。
by 横から失礼 (2012-09-13 20:39) 

ebisu

>松下電器の社是(綱領)にもありますが、安価で良質な電化製品を一般大衆まで敷衍させた功績はいかがですか?

どの家電メーカーもこの点では同じですね。固定レート1ドル=360円の安い円を梃子にして低価格の家電製品をつくって販売したという点ではそれぞれに功績があるのでしょう。それは中国が為替をコントロールして世界中の生産工場になろうとしているのに似ています。

新技術開発に重点を置いてユニークな製品を次々に世に出していったソニーと特約店としてマチの電器屋さんをを系列化して売上を拡大していったナショナルは経営の性格がまったく異なります。

>ある対象の負の側面にスポットを当てて批判するのは簡単なことです。

そんなに深刻にとらなくてもいいのではないですか?団塊世代にとってはナショナルはあまり格好のいい会社ではなかったというだけのことです。

皮肉なことにどちらも同時に大きな壁にぶつかってしまいました。大赤字という壁です。
ナショナルは過去12ヶ月間で7720億円の赤字を出しました。

それぞれ性格の異なる家電メーカ各社は未曾有の大赤字をどう乗り切るのでしょう?
従業員へしわ寄せするリストラでは経営として芸がなさすぎで情けない。
創業者たちはもういません。
韓国のサムソンやアップルとの競争で赤字になったのですから、これらのマーカーとどう戦うのでしょう。
リストラしか策がなければ衰弱死しかありませんからほんとうにアウト。
第2の創業者が出てくるのでしょうか?

昨日のジャパンタイムズにパナソニックの記事が出ていました。
http://www.japantimes.co.jp/text/nb20120912n2.html

ところでハンドルネーム「横から失礼」さん、団塊世代のわれわれとはすこし感覚が違うようですが、世代間ギャップのせいでしょうか?

私がソニー製品を初めて使ったのはオープンリールのテープレコーダーでした。高校1年、東京オリンピックの年に買ってもらいました。ビートルズが来日した年です。その後、トランジスターラジオも買いました。
ソニー製品は他社の製品とは違って輝いて見えたものです。
その後のウォークマンシリーズも世界のトップレベルの技術力の賜物でした。

特約店の系列化に力を入れて売上を伸ばしたたパナソニックと新製品開発に全力をあげて売上を伸ばしたソニーに、創業者の技術開発へのこだわりの違いを感じます。
いけませんか?
by ebisu (2012-09-13 22:57) 

横から失礼

団塊世代の父親は、ソニーはすぐ壊れるからダメだ!とよく言って、もっぱらナショナルブランド派でした。家の近くに特約店があるという安心感もあったのだと思いますけど。

最近は変わってきていますが、ソニー製品は独自規格が強すぎ、汎用性がないので、あまり良い印象はないですね(特許上の戦略だったんでしょうが)。独自規格が嫌いでソニーには良い印象を持っていないという団塊世代も多いですよ(もう定年退職した会社の上司も良く言ってました)。

まあ、世代を問わず、色々な見方があるってことですね。団塊世代だから云々という一般化は危険です。

いずれにせよ、国内メーカーの復権を願うばかりです。
by 横から失礼 (2012-09-14 00:25) 

ebisu

>まあ、世代を問わず、色々な見方があるってことですね。団塊世代だから云々という一般化は危険です。

その通りですね。団塊世代の爺二人の意見がたまたま似たようなことになっているだけのことです。

>団塊世代の父親は、ソニーはすぐ壊れるからダメだ!とよく言って、もっぱらナショナルブランド派でした。家の近くに特約店があるという安心感もあったのだと思いますけど。

わたしも東京にいたときには90年代は近所のパナショップのオヤジさんから冷蔵庫、CDデッキ、ダブルカセットデッキなどを買っていました。
量販店一色ではつまりません、いろんな形態の店があったほうが楽しい。(笑い)

根室にはまもなく(12月に)K's電気が進出してきます。量販店のベスト電器は大丈夫かな?
メーカだけでなく販売店もしのぎを削っています。
できれば、両方成り立ってほしい。
販売の仕方を変えないと生き残れないでしょうね。
さて、変われるかどうかです。そのあたりを仕切れる人材はありやなしや?
by ebisu (2012-09-14 00:43) 

通りすがりのどうでもいい話し

仕事の関係で団塊が家主の家に上がることが多いが、VIERAの設置率は半端じゃない。ソニーはほとんど見ない(笑)VIERAかAQUOSのほぼ2択。団塊はソニーにはあまり良い印象持ってないのか?ソニータイマーって言葉は70年代後半から多用されたみたいだから、団塊が子育て始めたくらいか。
by 通りすがりのどうでもいい話し (2012-09-14 00:45) 

ebisu

【余談】
70年代にドイツメーカー、ボッシュの冷蔵庫を使ったことがありました。これは優れものでしたね。
冷凍庫内の温度はマイナス35度でした。根室から新鮮な魚介類を両親が送ってくれたのを保管すると、3ヶ月たっても味が変わらなかった。
自動霜取り装置が付いていないので、冷凍庫内の温度が上がらないことと、マイナス35度という低い温度だと、蛋白質や脂の酸化がずっと遅くなる。

家電メーカーはこういう製品をつくってほしいですね。
消費者のニーズを分析すれば、既存技術を利用して、新製品がいくらでも出せるのではないでしょうか?

昨年はシャープ製の液晶テレビを3台とDVDデッキを2台買ったのに、シャープが大赤字とは驚きでした。
ガンバレ日本の家電メーカー。
by ebisu (2012-09-14 00:56) 

ebisu

>VIERAの設置率は半端じゃない。ソニーはほとんど見ない(笑)VIERAかAQUOSのほぼ2択。

我が家もテレビは3台ともAQUOSです。DVDデッキ2台もね。いいものはいい。(笑い)

ソニーが大赤字になるわけだ。(笑い)
by ebisu (2012-09-14 01:00) 

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