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#1674 初めて数学5だった:嬉しそうな顔 Oct. 4, 2011 [64. 教育問題]

 高校生の後期授業が今日から始まった。
 先週の金曜日から学校は休みだった。ある生徒がニコニコしながら"先生、数学5だった"とうれしそうに成績通知票を見せてくれた。英語と数学の4科目に5がならんでいた。
 中学校の時には一度も数学5がとれたことはなかったという、数1と数Aの両方が5だったからうれしかったのだろう。こういう生徒の笑顔がみたくて先生をやっている人が多いのではないだろうか。

 中3生は学力テスト総合Aが終わり、分布表が配布されている。一番古い中学校では200点以上(300点満点)は3人(階層が196~210となっていてここに2人いるから、最大4人)、一番成績のよかった西側の中学校は5人だった。6年前なら15人くらいいたのではないだろうか。200点以上の階層が三分の一にやせ細り、成績下位層が"太った"というのが6年間のおおまかな特徴である。
 *市街化地域の中学校は1学年65~90人

 6年前は塾に来る中3生の成績の平均値が170~180点くらい、当時は普通科の合格平均点がこの辺りだった。
 2005年の高校入試ではFランクとGランク、150点で根室高校普通科に落ちて事務情報科に回された生徒がいた。
 昨年は普通科が大きく定員割れし、百点以下で事務情報科や商業科から普通科に回された生徒たちが6人ほどいたようだ。ニムオロ塾でも入試2ヶ月前の1月に入塾した生徒で普通科に回された生徒が一人出た、数学のセンスはよかったから、がんばって卒業して欲しい。
 今年の入試では普通科はほぼ定員通りだったから、総合Aで110~130点の生徒*が数人合格している。しかし、この得点層ではクラス順位が30番以内にはいった生徒は一人のみだから、学力テスト総合A・B・Cの成績と高1前期の成績には強い相関関係があるとみなければならない。後期試験ではこの壁を打ち破る生徒が複数出て欲しい。高校時代は学力が飛躍的に伸びる時期でもある。
 180点を超えていた生徒たちはクラス10番以内にいるから、学年30番以内の成績だ。中学生のときの成績がトップ10%の生徒たちだろう。
(*この層の生徒なら6年前はランクはFかGであるが、いまはDかEがこの得点層である。内申ランクもずいぶんとインフレになってしまった)

 中3の学力テスト総合A・B・Cで180点を超えた生徒は高校生になっても数学を自分で予習しできる生徒が3分の2くらいを占めるが、これ以下の生徒たちは自力で予習は無理だし、学校が毎週だす「週末課題プリント」も自力で全部を解くのは無理である。答だけで解説なしに80%理解できる者は120人中おおよそ10名だろう。
 1年生は数Aをやっている。前期と後期の狭間の休みに出された宿題は答えはあるが解説がないので一人の生徒を除きみな四苦八苦して問題と格闘していた。高校生は通塾していない生徒のほうが多いから、今朝、学校で友人の答をありがたく写させてもらった生徒が多かったのではないだろうか、微笑ましい。

 ある生徒いわく、「先生、これ私たちには無理、塾に来ているからできるけど来なけりゃできっこない」。そうだろうと思う、少し複雑な問題は式が書いてあっても分解して意味を解説してやらないと理解できない生徒が多いのは事実。だから、"数学が得意ではない普通の生徒たち"は朝学校で必死に友人のプリントを写す、そうせざるを得ないからである。でも、それで"力"がつくわけではない

 全国模試の問題は半分くらいが受験問題だから、学校の勉強だけではとても50点以上をとることができない。受験問題集を使って自力で勉強できる生徒の成績は学年10番くらいまでではないだろうか。

 学力テスト総合Aで200点を越える生徒が6年前の3分の1に激減したから、根室高校普通科の授業もテストも質が変わらざるを得ない。根室高校と根室西高校の統合がまな板に載っているが、足元ではすでに根室高校の変質が始まっているのだ。統合後に発生する問題の一部がすでに根室高校内部で姿を見せつつある。
 事前にやらせた課題プリント丸写しの問題を出すようになった。そうでなければ赤点を採る生徒が多すぎるからだろう。教える先生たちも自分の科目で生徒を留年させるのは心が痛むから、問題をやさしくせざるを得なくなる。だから、平均点も上がった。問題が簡単になったからで、生徒たちの実力が上がったわけではない。

 生徒の学力が下がる⇒テスト問題のレベルを下げる⇒平均点が上がる⇒学力が下がる

 これではまるで"学力のデフレスパイラル"である。

 大学入試問題が簡単になるはずがないから、大学進学する者たちはたいへんだ。でもめげるなよ、ねむろっ子。厳しい環境が人間を強くする。

 こうしてこの5~6年間の小中学生の学力低下はいろんなところへ波紋を投げかけている。何が原因であるのか、市議会にも経済諸団体にも学力低下への危機感はほとんどなく、根室は相互批判のない平和な村落共同体として没落を続けるのだろうか。


  問題のレベルを下げない、あるいは上げるという選択肢もあるはずだが、留年する生徒たちが20人、30人と出れば翌年の入試定員枠にも影響が出るし、留年した生徒たちの大半は結局退学することになるだろうから学校への批判も起きかねない、管理者の立場としては"問題は起こしてくれるな"、おいそれとそういう厳しい選択肢を取れない事情が高校側にはある。事なかれ主義では状況の打開ができるはずもないのだが、教育行政はもとより小中学校や保護者にも学力向上のテーブルについてもらわなければできないテーマであるから言うは易し行うは難しで"敢為和協"の校訓に目をつぶる方が楽なのだろう。
 こうして、北海道内で学力の地域格差はますます広がる。釧路も根室もこういうメカニズムで帯広や北見や札幌圏の学校との学力格差を広げつつあるのだ

 だまってみていれば、この学力格差は際限なく大きくなり、地域経済の衰退も招く。「釧路の教育を考える会」にはそうした現実を黙視できないという者たちが集まった。さまざまな分野の仕事人がメンバーとなっているからスケジュールどおりに仕事が進んだ。市議会も教育行政も巻き込みながら、まもなく提言書を公開することになる。提言書公開だけではすまない。学力向上のためならメンバーは一歩も引かない覚悟である。今週末に総会を開く。

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Hirosuke

あの・・・、【共通テーマ】が・・・。
by Hirosuke (2011-10-04 19:50) 

ebisu

???、さて???

なぞなぞかな?


何か見落としているようだが・・・

う~ん・・・?

by ebisu (2011-10-04 23:39) 

Hirosuke

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by Hirosuke (2011-10-04 23:44) 

Hirosuke

気づきました?
by Hirosuke (2011-10-04 23:52) 

ebisu

>nice!(2) コメント(2) トラックバック(0)

なるほどね、このところ貴ブログと同じパターンが続いています。こんなことってあるんですね。(笑い)

>共通テーマ:グラビア

これはどうなっているのでしょう?設定した覚えはないのですが?

今気づきましたが、写真変えたのですか。

by ebisu (2011-10-05 06:34) 

ebisu

>人は、
>どうあっても書かねばならぬものだけを、
>書かねばなりません。

私の場合は書かなくてもよいこともしばしば採り上げてしまいますが、ブログを書く動機に軋轢があろうとも、なにがなんでも"どうあっても書かねばならぬもの"という思いはときどき顔を出します。


by ebisu (2011-10-05 06:41) 

miopapa

よく言われるように
子供は褒めて育てろ・・・
親でも、
我が子に対して、なかなか出来ないことなのですが
決して、先生にばかり求める気はないのですが
でも、
自分の子供の時のことや我が娘の時のことを思い出すと
一日の内の何時間も一緒に生活している先生からの
・・・による影響って凄いと思うし、
その事により、子供の成長というか、
その後の人生が大きく左右されることって多いですよね・・・

>ある生徒いわく、「先生、これ私たちには無理、塾に来ている>からできるけど来なけりゃできっこない」。そうだろうと思う、少>し複雑な問題は式が書いてあっても分解して意味を解説して>やらないと理解できない生徒が多いのは事実。だから、"数
>学が得意ではない普通の生徒たち"は朝学校で必死に友人>のプリントを写す、そうせざるを得ないからである。でも、それ>で"力"がつくわけではない。

ここを拝見していて、娘が障6の夏になった頃
田舎故、町内の中学しか頭にない親に対し
何を、何処で聞き込み、そう思ったのか、中学受験を言い出し
のっけから押さえる訳にも行かず、ジャ~って云うんで
本屋さんに連れて行き、受験用の問題集を手に入れ
納得のいくまでやらせてみようと始めた中で
いくつかの質問が来るようになり、その中で恥ずかしい話し
どうしても応えられない/説明仕切れないことがあり
明日学校で先生に聞いてみたら・・・と云った翌日の夕方
娘がプンプンしながら開口一番
「お父さん、もう私明日から先生のこと信用しないからね」
驚いて聞いてみると、先生が、娘の差し出す問題集をみるなり
「これは、学校でやらないから必要ないから・・・」と、
あっさり交わされたようで、その後の娘に学校嫌いと
先生不信が始まり・・・、
でも、お陰様で次の年、
解決しなくはいけない課題も多かったのですが、
周りの親戚知人等々の理解と協力の下、何か娘の努力と
願いが叶い娘の云うところの中学に入学でき・・・今に・・・

その時のことを改めて思い出しました・・・



by miopapa (2011-10-05 11:48) 

ebisu

miopapaさんへ

>その時のことを改めて思い出しました・・・

私も思い出したことがあります。
東京で教えていた進学教室の運営方針は「ほめる教育」でした。

>子供は褒めて育てろ・・・

まさしく、それを実践していました。おせじは通用しません、こどもは動物的な感が鋭いから、ほんとうにこれはいいと思ったことでなければ見抜きます。
たまにほめる、本当にいいところが見つかったときにだけほめる。
心の中で「みつけたぞ!」、そしてほめる、教える方も楽しいし、生徒のやる気も出る。
なつかしい。・・・
by ebisu (2011-10-05 22:43) 

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