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#1675 個別指導での教材選び :学力のデフレスパイラルとは? Oct. 5, 2011 [62. 授業風景]

 根室西高校の後期授業が今日(5日)から始まる。
 歴代の西高校の塾生はだいたい数学が好きで、学校のテストでは100点をとることが多い。中には中学時代数学がクラスで1番だった生徒もいた。英語が嫌いなだけで数学はできる、あるいはその逆のパターンという生徒が少ないが確実にいる。

 そういう生徒にとって学校の教材はもっている力に合わない。ケアレスミスがない限り満点を取ってしまうのは、テスト問題が簡単すぎるからである。前回のブログで、根室高校の数学問題のレベル低下に懸念を書いておいたが、その未来の姿が西高校にある。
 簡単な問題に慣れると力の伸びが止まってしまう。西高校生だろうが根高生だろうが、高校生の時期は学力が飛躍的に伸びる時期だが、その大切な時期に実力不相応なやさしすぎる問題に慣れたら、学力の伸びを止めてしまうことになる。わたしはそれを"学力のデフレスパイラル"と名づけた。
 生徒の学力が下がる⇒(教材や問題集や)テスト問題のレベルを下げる⇒平均点が上がる⇒学力が下がる

 このことは北海道全体にもいえそうである。
 47都道府県で全国最低レベルの学力⇒レベルの低い道立高校入試問題や難易度の低い学力テスト問題の繰り返し⇒見かけ上の平均点が高くなる⇒学力が下がる
 
 西高校の数学は理由があって三角比からやっている。教科書も使用している問題集も、プリントもやさしすぎる問題で溢れている。たしかに、大部分の生徒の学力相応の問題集であることは間違いないし、その選択にけちをつけるつもりはないが、一部の学力の高い生徒にはまったく合わない。
 わたしはようやく間違いに気づいた、こんなことに気づくのに何年もかかってしまった、愚かだった。生徒の選択に任せていたのだ。個別指導をしているから極端な話し、問題集は生徒一人一人違っても構わぬ。数学の得意な西高生には実力相応の教材を使うべきだと気がつき、育伸社の塾用教材を先週からある生徒に使い始めた。これは根室高校生が使っている『4トラ』と同レベルの問題集であるのだが、いい顔をして夢中になってやっている。"う~ん、これはむずかしい"なんてときどきうなっている。根高と同じ速度ではやれないだろうが、標準レベルの難易度の問題をやらせれば卒業時点の学力差を小さくすることが出来るだろう。 なんとか前倒しで1年生のうちに数Aをやらせてみたい。どこまでできるかやらせてみてから生徒と一緒に考えるつもりだ。
 (根室高校は1年生で数Ⅰと数Aの両方をやるが、西高は数Ⅰのみであり、数Aは2年でやっている。高等学校学習指導要領では科目ごとの指導内容を指示しているが、何年次で履修すべきかについては規定がないから、このように学校ごとに同じ数学でも履修内容に差があっても構わないようだ。これではどこの高校へ通ったかで履修科目数に差が出て、卒業時の学力差を拡大することになる。指導がたいへんなことはわかるが、西高でも数Aを1年次で履修させて欲しい、ぬるま湯につけ続けたら生徒が勘違いを起こし伸びるはずの学力がとまってしまう
 英語の教材についても言及しておきたい。1年生の使用教材を見たが、内容は中学2年次程度であった。これもイージーすぎて生徒に勘違いを起こさせる。図書室にワンセット根室高校普通科で使用している教科書と教科書準拠問題集を備えて生徒に閲覧させて欲しい。自分の目で見て比べてみるのが一番いい。何を感じるかは生徒たちの感性に任せよう。)

 塾を開いて2年後から、西高生が入れ替わり毎年一人だけニムオロ塾で勉強している。歴代の西高生の学習意欲は高い。数人で学習グループを組織した女の子もいた。とっくに社会人だが、動作はきびきびし、喋る言葉も挨拶もしっかりしている。

 いま迷っている。4月から半年たつが授業中のお喋りを止められない生徒が数名いて授業の邪魔になっている。言ってもわからず、残念ながら拳骨でも治らず、ときどき反抗的な言辞も弄する。周りへの迷惑が理解できないようだ。当然、テストの成績は上がらない(わたしは東京で教えた3年間に大声をあげたこともないし、生徒に拳骨を見舞ったこともない。言ってわからぬ生徒がいなかったからだが、躾がきちんとしており、なおかつ学習意欲の高い生徒に恵まれていたようだ)。これ以上続けても授業料が無駄のようだから、その旨「三者面談」でお話ししようと思っている。
 塾長の指示通りにやれないなら3ヶ月の休塾、わたしは生徒の学力を上げるために私塾を開いたから、その主旨に合わない生徒はお断りするしかない。

 たまたま高校生の二人にそのような話しをしたら、"私たちも授業中私語してよく先生に叱られたね"って顔を見合わせて笑っていた。そう言われてみるとそうだった。仲の良い二人だ、学校の仲良しが誘い合って入塾するとこうした弊害が起きやすい。"塾の門は一人で叩け"と電話で入塾や体験授業の問い合わせがあれば答えるのは、独立心を育みたいのとそうした弊害を未然に防ぎたいからでもある。
 まいった、中3まで待てばこの二人のように自覚が生まれる生徒はたしかに多い。わたしはまた迷い始めた。
 正直に言えば、手のかかる生徒はメンコイのである。でも、体力との関係で疲れ切ることもあるから、その都度どうしようか揺れる。授業をやる意味がないと自分にも腹が立つ。彼ら・彼女たちの元気、エネルギーを全部学習に向けることができたらうれしいのだが・・・、教育に便利な魔法などなく、泥臭いもの、自分の都合どおりには行かぬもの。
 徐々によくなってきている感じはあるが、とにかく半年以上たってしまった、未熟だなあ。もうすこし待つべきなのか?教育には生徒の成長を待つという忍耐力=期待しながらじっと待つ時間もたしかに重要なのである。
 3年たち高校生になった彼ら彼女たちが、"授業中私語するたびに先生に叱られて拳骨、あれ痛かったな"、笑いながら顔を見合わせてそう言っているかもしれない。そうなるだろうな。


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コメント 2

ZAPPER

> 正直に言えば、手のかかる生徒はメンコイのである。

同感です。^^
ebisuさんも悩むぐらいですから、私も思い悩むことはしばしばです。
by ZAPPER (2011-10-05 11:37) 

ebisu

どうやらZAPPERさんのほうがベテランですね。
今日の授業の様子では何とかなりそうで、ますますめんこくなりそうです。
少々問題があってもいい、何人かが成長するために多少の混乱はそのまま受け入れたくなってきました。

彼ら・彼女たちも少しずつ変わっていくのでしょう。
生徒の成長の後姿をじっくり眺める余裕が必要ですね。
成長の可能性に賭けて見ます。
by ebisu (2011-10-05 23:02) 

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