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#1566 問題の中1・1学期期末テスト顛末記 Jun. 30, 2011 [62. 授業風景]

 昨夜9時半の気温は17.4度だった、ずいぶん暖かくなったものだ。根室の夏場の最低気温は13度前後であるから20度を越すことはないだろう。昨夜は珍しく「暑かった」ということだ。4時ころ来た中学生二人は赤いジャージをしっかり着て、顔を真っ赤にしていた。
「先生、暑い!」
少し遅れてもう二人、オレンジ色の半袖Tシャッツ姿で涼しげだ。

 1校だけ学年順位が出ている。1学年61人(2クラス)の学校である。お迎えテストで13位から学年トップになった人、順位を21番上げた人、12番上げた人と、3人ともしっかり順位を上げた。トップになった生徒が来る前に、ゴボウ抜きした人数では負けていないのに、学年トップに躍り出た友人を二人で褒めていた。こういう光景を眺めるのもうれしい。
 ほか2校はまだ得点通知票が出ていないので順位の変化はわからないが、何度注意してもお喋りがとめられない生徒はやはり1科目平均点が横ばいか若干(-0.6~-5)下がっており、12人中4人いる。学年トップになった生徒を含めて4人は1科目平均点で18点~25点上げた。
 そのうちの一人は1科目平均値で25.8点点数を上げたのだが、まったくお喋りに参加せずいつも黙々と問題を解いており、集中力に秀でていた。
 頭のよさの半分くらいは集中力なのだろう。だから、計算途中でお喋りをする生徒は気が散って思考が深いところまで届かずに学力が低くなる。勉強しているときの姿勢も悪く、しょっちゅう身体が動いている。姿勢は集中力に関係があるのだ。保護者の方がこのブログを見ていたら、授業参観のときに成績がよいと噂のある生徒の姿勢を観察してみればいい。姿勢のいい生徒は成績もいいことがわかるはずだ。姿勢がよいと長時間勉強しても身体が疲れない、そして身体がぐらつかないから集中力も高くなるのだ。全員がそうであるとは言わぬが、おおむねそうだということはできる。あなたのお子さんの姿勢は大丈夫か?

 1学期は英語がお遊びのようなもの、そして数学も計算問題のみだから、平均点が高く出る。そして2学期中間テストでは英語は文法の絡めた出題が増えて難易度が増す、数学は「文字と式」から「一次方程式」や「一次方程式の文章題」へと進み、期末テストには「比例と反比例」が出題され次第に難易度が上がるから、1学期には60点近かった平均点が20点ほど下がってしまうのが例年の傾向である。

 それにしても、4月のお迎えテストで数学の計算問題すら満足にできなかった生徒3人が、それぞれ40点、32点、25点も点数を上げているのは、それなりの努力を物語っているのだろうから、それぞれ褒めてあげた。このまま夏休みも午前中に勉強して乗り切れば2学期の中間テストでさらなる飛躍が期待できる。

 昨日の授業は今までに比べるとずいぶん集中できるようになった。生徒たちは変わりつつある。2学期の中間テストまで何が何でも変えてやる、そういう強い決意で授業に臨まないと小学校6年間で習慣となってしまった学習スタイルを切り崩せない。中1の最初の3ヶ月が最初の勝負どころだ。

 「そこ、またお喋りした、そんなことしているから点数上がっていないだろう?2学期に中間テストで1科目平均点が上がらなかったら3者面談(生徒・保護者・塾長)をして容赦なく退塾勧告するぞ」

「こら、まただ、隣の人にも迷惑だ、塾は成績を上げるところだから勉強したくない者が来るところではない、お喋りをやめられないならさっさと塾を辞めていいぞ!」
「3度目だ、この次は本を丸めていきなり頭を叩くぞ、集中が切れるから計算途中でお喋りするな!」

 先生は口やかましい。何度でも注意する。叱るのを通り越し、本気で怒る。社会人となったときに困るのは君たちだから。ついてくる気があればどんなに成績が悪くても社会人として戦っていけるような学力をつけてやる。
 お互いに本気でやれば、何かが変わる。楽しいのである。一昨日休んだ中2の生徒が後ろの席で補習をしていて、
「先生、まだうるさいね」
「これでも先週に比べたらお喋りは半分以下になった、来週また後ろで聞いててみろ面白いから」

 数学の問題をざっとみたら、類似問題が出題されているのに気がついたいた。連続する数字の和が3の倍数になる証明問題だったと記憶するが、1校は全部書かせたのに対して、もう1校は穴埋めだった。できれば、全部書かせる出題をしてもらいたい。繰り返し書いてみないと証明問題は解けるようにならないからだ。学力の低い学校では穴埋めの出題、学力の高い学校の先生は全部書かせる出題だから、自分の教えている生徒の力を考えた出題とはいえるが、出題に生徒の学力を引き揚げるにはどういう試験問題を作ればいいかという観点がほしい。私の勝手な感想である。

 中1はいま二人個別補習をしている。一人はブカツを週1日休んでこさせている。いまなんとかしないとやっかいなことになる。この二人は2学期このままだと3年間が展望できぬから、基礎・基本を個別補習で徹底的に叩き込む。
 面白いもので、表情を見ていると学力の低い生徒は前頭前野が働いていないのがはっきりと読み取れる。我慢力も思考力もこの前頭前野の機能だから甘やかして育てられた子供が危ない。この部位が発達していないのである。質問を捌いて教え方を工夫しているうちに、この部分が目覚めてくるのが伝わってくる。表情にはっきり出るのである。
(授業はナマであるべきだというのはこういうところにもある。ビデオ授業にこういう効果は期待できない。e-learningの広告が昨日も届いたが、コミュニケーションの不得手な生徒たちが増えているから導入する気になれない。具体的な質問ができるという能力は社会人となってからは仕事の能力に関わってくる。適確な質問のできる者は仕事もできるのである。慣れてくると質問をいくつかして部下や他人を動かす者すらいる。
 私塾のよさは江戸時代から授業という場を介して塾頭と生徒のコミュニケーションという柱があることだ。いつかe-learningを導入することがあってもそれは補助であって、真柱を外してはいけないと思うのである。)
 そういう意味では勉強はスポーツと同じだ。特定の筋肉をトレーニングするのと同じように脳の特定の部位をトレーニングして機能を鍛えるのだ。

 さて、余談である。
 ある生徒が数学の問題がわからないと挙手して質問をした。文章題が解けないので連続で質問してくる。
 今度の問題は3行、読点が3個ある。假りにABCとしよう。Aを読んで、次にBを読む、Cを読んでいるときにはもう生徒の頭の中にはAがない。だがこの文はAとCが一続きなのだ。何度読んでも意味が理解できない。何をどうすればよいかがさっぱりわからないのだ。
 低学力層にはこういう生徒が多い。国語の成績が低いからすぐにわかる。本をほとんど読まない生徒が増えている。子供の読書力や文章読解力は大量に本を読むことでしか身につけられない。お母さんたち知っておいて欲しい
 良くも悪しくも「育てたように子は育つ」もの。




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Hirosuke

母と僕の会話

母「そんな風に育てた覚えはない!」
子「いや、そう育っちゃってるけど?」
母「屁理屈ばっか言うんじゃないッ!」

いまだに平行線のままです。
by Hirosuke (2011-07-03 12:42) 

ebisu

Hirosukeさんへ

ハハハ、楽しそうな親子の会話ですね。

一昨日病院へ選択した者を持って母親を見舞ってきましたが、久しぶりに目をパッチリ開いて長男の私がわかっているようでした。脳に梗塞が起きて喋れなくなってからもう半年が過ぎます。
目で会話、憎まれ口をきいていた数年前がなつかしい。

ブログを再開されたようですね。
私も読んでいますよ。

by ebisu (2011-07-03 17:42) 

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