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#1565 東京電力株主総会に見る株式会社制度の根本的な欠陥 Jun. 30, 2011 [A4. 経済学ノート]

 この数日間に各電力会社の株主総会が集中して開かれたが、衆目を集めた東京電力の株主総会は28日だった。

 電力会社の株主総会では、一般株主が原発稼動反対や定款に原発開発禁止条項を取り入れるように意見を主張し、その場にいた株主の大多数が提案に賛成しているにも関わらず、ことごとくこれらの提案が否決されている。

 こんなことが可能なのは機関投資家から東京電力が委任状を取り付けていたからである。機関投資家とは銀行、信託銀行、保険会社などであるが、これらはお客様から預ったお金で東京電力の株を購入しているものである。それが預金者や保険契約者の意向を無視して利用されることにどこかおかしいと感じる人が多いのではないだろうか。企業間の株式持合いによって、それぞれの企業の取締役が批判を封じて好き勝手=恣意的な経営を行うことにブレーキがかけられない。恣意的なぐらいならまだしも、原子力発電による被害は社会全体へ重大なダメージを及ぼすものだから、原発を続けることは反社会的経営と言い切って差し支えないだろう。

 金融機関と東京電力はお互いに株を持ち合い、相互に経営に口出しをしない。機関投資家による株の持ち合いは、相互批判を封じ込め、それぞれの巨大企業で取締役の恣意的=反社会的な経営方針をサポートする結果となっている。

 「売り手よし、買い手よし、世間よしの三方よし」の精神で運営されなければ、株式会社がまったく反社会的な存在になってしまうことが明らかになったとみるべきだ。株式会社制度の根本に係わる欠陥が露呈した。

 なにか法律を制定することでこの根本的・致命的ともいえる欠陥を防ぐ手立てはあるのだろうか?企業の反社会的な行為(社会に重大な実害の生じる経営方針)に関しては株式数ではなく、出席株主数で議決ができるように法律を制定すべきだ。会社法を改正すればいい、法律の制定は国会議員の仕事である。

*「東京電力:株主総会 相次ぐ厳しい質問 会場外で抗議行動も」
http://mainichi.jp/select/biz/news/20110628dde041020006000c.html

「東電株主総会、6時間で終了 原発撤退議案は否決」産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/110628/biz11062816180045-n1.htm

「 28日行われた東京電力の株主総会は、午後4時9分に終了した。9000人超の過去最多の株主が出席し、午前10時から約6時間のロングラン総会となった。福島第1原発事故を受け、株主が提案していた原発撤退議案が否決される一方で、取締役選任など会社提案の議案はすべて可決された。

 原発事故や賠償問題、業績悪化による株価暴落などに批判が噴出し、・・・」

「株主402人が提案する原発からの撤退などを定款変更を諮る議案については、「反対多数」とされ、否決された。」


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