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#1448 検証(4):「やや楽観論」の論点チェック Mar. 27, 2011 [13. 東日本大震災&福島原発事故]

  MTBに乗って一回りしてきた。広い通りに出ると風が強い、気温は3度くらいだろうか、ほっぺたが真っ赤になりそうで気持ちがいい。もちろん強がりである。まだサイクリングの季節ではないなと冷たい風で実感し、そうそうに引き揚げてきた。こうしてサイクリングできることに感謝している。昨夜偶然遭った掛かりつけ医のドクターと放射能のチリがすこし飛んできつつある東京で腕を磨いているドクター、ありがとう。

 放射能汚染に対する楽観論は#1446で採り上げたように次のURLの取材記事である。
今の放射線は本当に危険レベルか、ズバリ解説しよう
「水道水、牛乳は飲んでも大丈夫か」
「暫定規制値とは」
「チェルノブイリと何が違うのか」――第一線の専門家にインタビュー」

http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20110323/219112/?P=1




 さて、前触れしたとおりに「楽観論」の論点をいくつか俎上に載せてみたい。
①「チェルノブイリのデータでは、発がんなどの発症率と放射性物質の被ばく量には、明確な関係性が見られません。どれだけ摂取したら発症すると、はっきり言えるものではないのです。

 被曝量の測定が個人別にどのように測定されたのか、日本でもそうだが住民に線量測定用のフィルムバッチをつけてデータを取ったわけではあるまい。原子炉からの距離と放出量などから求めた計算推定値だろう。そして、人間は一人一人異なる。もちろん放射能への感受性も、固体によって異なるし、年齢でも異なるだろう。データがすべて揃ったとしても、被曝量と甲状腺癌に明確な線形性など出てくるはずもないのだと思う。それだけのことで、「関係性が見られない」と慎重に述べており、「関係がない」とは言っていないことに注意したい。真意は「たとえ量的関係性が明らかでなくても、因果関係はある」ということを否定していないのである。

②「半減期が30年の「セシウム137」は、体内に入ると筋肉へ行きます。ただし、チェルノブイリの症例を見ても肉腫など筋肉のがんは1例もありません。この点からも、注意しておくべきはヨウ素といえます。

 肉腫がないからといってセシウムが癌を引き起こさないとは言いきれない。肉腫だけが癌ではないからだ。リンパ腫や白血病もある。内部被曝によって遺伝子が傷害されると染色体のバンドに瑕がつき、染色体異常が起きることは容易に推察がつく。
 1980年代後半に染色体の画像解析装置の購入を担当したことがあり、英国のメーカーの副社長が染色体の研究者であったためにラボで講演会を開いてもらった。参加したのは染色体検査を担当している人たちが多かったと思う。
 「30年以上染色体を見ているが、染色体異常が大幅に増えている。水、空気、食物などののほかに私はシャンプーの中に入っている化学物質を強く疑っている」とその学者は語った。白血病が増えている原因物質の有力なものとしてシャンプーに含まれるさまざまな化学物質を挙げた。界面活性剤で頭皮細胞の膜を微量の化学物質が通過してしまうようだ。細胞内部に取り込まれた微量の化学物質が遺伝子に障害を起こすのだろう。そういう機序を解明した研究があるのか無いのか私は知らない。少なくとも90年ころにはなかった。染色体異常に関する分厚い著作のあるドクターが講演会が終わった後で質問に丁寧に答えてくれたと記憶している。
 だから、セシウム被曝で肉腫ができたという症例はないということで健康に被害がないという主張は私は鵜呑みにすることができない。内部被曝によって染色体のバンドに影響がないとは考えられないからだ。体内被曝によって染色体に異常が生ずることはないと言い切る染色体研究者は世界中に一人もいないだろうと私は思う。いくぶん視野が狭く感じる一部の放射線医学者の意見だけ聞いていると判断を間違えることになる。

③「牛乳中の放射能は、餌や土に降り注いだ放射線のほか、牛が呼気で吸入した分もありそうです

 広瀬隆は講演会ビデオのなかで、牛は配合飼料で飼われており、餌から放射能汚染が生じたのではなく、ほとんどが呼吸によって取り込まれたものだろうと語っている。北海道とは違って広い牧場に放牧しているわけではなく、狭い牛舎で配合飼料を食べさせて搾乳しているから、広瀬の論が正しいのだろう。
 牛と同様に、同じ地域の人間はすでにかなりの線量の内部被曝していることが推察できる。子供たちや赤ん坊が高濃度のヨウ素131ですでに内部被曝したのだと推定せざるをえない。この地域にいた幼子たちがに将来甲状腺癌が増えることはもう間違いのない事実だろう。お気の毒である。

④「お母さんが取り込んだ放射性物質は、母乳にも濃縮されます。お母さんが被曝した可能性がある場合には、授乳は避けるのが基本です。また、妊婦が被曝した場合も、多少は胎児に移行します。

 妊婦は50㌔圏からただちに逃げるべきだ。山下氏は母親が呼吸することで取り込んでしまったヨウ素131は胎児に移行すると明確に述べている。気の毒だが内部被曝してしまっては、手遅れかもしれない。原発事故が起きたときにただちに50㌔圏内の妊婦は避難すべきだったのだ。政府も原子力保安院も東電も住民の健康被害に対する危機意識がほとんどなかったと言わざるをえない。
 花粉を考えてもわかるが、屋内退避はほとんど意味がない。ドアや窓を開けるたびに放射性物質のチリは家屋へ侵入するからだ。50㌔圏内にいる子どもたちもただちに50㌔圏外に避難すべきだ

 2号機の燃料棒が壊れて、高レベルで大量の放射性物質が漏洩し続けていることが今日アナウンスされた。2号機のタービン建屋1階の水溜りの水1cc当たりヨウ素134が29億ベクレル、ヨウ素131が1300万ベクレルも検出された。水の表面で1000mSvで針が振り切れたというから、どれほどの線量かほんとうのところはわからない。東電も原子力保安院の専門家もだれも配管のどこから漏洩したのかわかっていないようだ。いっこうに具体的な説明がなされない。
(午後6時のNHKで東大大学院の関村教授が解説しているが、彼に原子炉の実際の配管がわかるはずがない。もちろん、一般的な解説しかできす、どの配管からもれたのか一向にわからないから、「洩れ出ている水を止める」べきと言っても意味がない。)

⑤「放射性物質は原発を中心にした同心円状に広がるわけではありません。風向きなどによって、濃度の濃いところもあれば薄いところもある。例えば、30kmを超えていても、線量の多いところは避難すべきかもしれないし、薄いところは避難の必要はないかもしれない。
 文部科学省が運営している「SPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)」などを使えば、どこに放射性物質が拡散しているのか分かります。こういったデータは随時公開すべきです。私のような医療の専門家は放射線量のデータがないと何もできません。


 山下氏は放射線健康リスク管理アドバイザーなのだから、こういうデータの公表を命じるべき立場だろう。30㌔圏外の飯館村の雑草から高濃度のセシウムやヨウ素が検出されている。講演会ビデオの中で広河隆一が取材に訪れたときにもっていた計測器3台の針がいっせいに振り切れたのはこの村に入ったときではなかったか。人が何人も歩いていた。彼らはみなヨウ素もセシウムも大量に内部被曝している。

⑥「チェルノブイリでは、原子炉の外側にある、放射線の最終的な漏れを防ぐ格納容器がなかった。原子炉が爆発し、今回のざっと1000倍以上の放射線が出ていたと思います。臨界が起きたJCO東海事故では破壊力の大きい中性子線が出ました。現状、放射性物質のほとんどが格納容器に収まっている福島とは状況が全く異なり、これから健康被害が出るとしても、チェルノブイリに比べてはるかに小さいと思います

 2号機は原子炉内の燃料棒が破損し高濃度の放射能を含む水が、原子炉格納容器からすでに漏洩しているから、この論は成り立たない。MOX燃料を使用しているプルトニウム原子炉の3号機も同様に状態にある。
 2号機のタービン建屋内1階の15センチの水溜りの表面で1000mSvを超えたと発表がなされた。放水口付近で基準の1850倍のヨウ素が検出されている。

⑦「一方で、仮に土壌汚染という形で地面に吸収されてしまうと、半永久的に残ってしまうことになります。チェルノブイリでは放射性物質そのものが飛散し、地面に落ちて、吸収され、土壌汚染が起きました。何日間か滞在するならば健康には問題ありませんが、若い人が長く住むことはお勧めできません。

 飯館村の雑草から高濃度のヨウ素やセシウムが検出されているから、土壌も汚染されつつある。セシウム134は半減期が30年であるから、そこに住んでその土地でとれる農作物を食べるのは危険であり、著しく健康に害があると見なければならぬ
 土壌の次は地下水の汚染である。福島は美味しい湧き水の出るところが多い。それらの名水はもちろん、井戸水が使えなくなる。水源も汚染されるから水道水も飲用には適さなくなる。つまり、人が住める場所ではなくなるということだ。それでも百年をかけてセシウムは8分の1になり、人の住める土地に戻るだろう。ふるさとが永遠に失われることは無い。原発はもうやめよう。




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<ジャーナリストの広河隆一と広瀬隆の反原発講演会ビデオ>

*http://www.ustream.tv/recorded/13509353

緊急報告
   「福島原発で何が起きているのか」

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もやしさんま

チッソもサリドマイドも血液製剤もB型肝炎も、当初は大したことがないといっておいて、実はやばいと感じていたが、目の前で騒がれ今日責任を取るより、後で被害が何倍も深刻になってからようやくトカゲのしっぽ切りのように何人かが貧乏くじで責任を取るけれども、補償は結局国の金(国民の金)、なんて事例をたくさん見過ぎてきたから報道管制下の今の発表の信頼は薄いけれども、結局人はできる範囲内で出来るだけ安全に生きていくしかないですね。
規模が大きすぎてもしかしたら将来があるとしたら、白血病や甲状腺癌などの障害に今のようには十分な治療はできなくなるかもしれないですね。今が十分というわけではなく、今に比べると発病するままにせざるをえない。とても医療や財政がもたない。という予感。

シャンプー、フノリに変えようかな



by もやしさんま (2011-03-27 21:56) 

ebisu

もやしさんまさんへ

わたしはずいぶん前から石鹸シャンプーに換えています。太陽油脂の製品です。
生活クラブという生協でお目にかかった製品です。
できる範囲で自己防衛しかないですね。

生徒の大半が毎日、化学物質入りの高級なシャンプーを使っています。
将来子供を産む彼女たちは様々な化学物質が入った「高級シャンプー」は使って欲しくないですね。
もちろん男子生徒も。

専門家の言うことは様々ですから、どういう専門家の言うことに信を置くべきかは自分で判断するしかないですね。
by ebisu (2011-03-27 22:09) 

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