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#1437 大災害が突きつけたもの: お互いを知ること、そして生き方が問われている  Mar. 21, 2011 [13. 東日本大震災&福島原発事故]

  新聞やテレビ報道がいつも真実を伝えているとは限らない。担当記者やデレクターも人間であり、その能力は一人一人違う。ときに、取材が不十分で、大きな絵の中の片隅を虫眼鏡で拡大して記事にしている場合もある。よく言われる「木を見て森を見ない」あるいはコンテキストを読み間違えている場合がある。
 そういう実例を卑近な話題からいくつも挙げて、医療四方山話を語ってくれた人がいる。わたしは医者ではないから医療のことについては専門家の意見を聞きたいことが山ほどある。
 問わず語りにコメント欄でm3.comの書き込みを題材に解説を試みてくれたドクターへ心より感謝申し上げたい。
 これからも、ぜひコメント欄に医者と患者あるいは一般市民でコンセンサスが必要、あるいはマスコミ報道が取材ミスあるいは担当記者のコンテキストの読み間違えで国民に誤解をあたえるような恐れがあるときは、具体的に述べ、解説をしてもらえるとたいへんありがたい。

 福島原発事故に関しては武田邦彦という「第一種放射線取り扱い主任者」が正直に現状を解説してくれている。マスコミに登場する原子力専門家は、いろいろと利害をもっており、その意見は信用ならない。原発がなくなったら職を失うような人たち(たとえば原子力保安院)は、自分たちに都合のいい事実だけを述べ不都合な事実を述べる人は稀のように感じている。
 わたしたちは原発に利害関係を持たない、正直で誠実な専門家による解説を聞きたい。分野の違う専門家の意見に耳を傾け、広い視野をもちたいと思う。
 (大災害を契機に日本人は生き方を変えなければならないのだろう。あなたはそういう予感がしないだろうか?キーは"小欲知足"、400年に一度のパラダイムシフトのときが来ている。グローバリズムを突き抜けて、日本人本来の姿が現れなければ、破滅に近い苦しみの時代となる。次の次代を担う人たちのためにそうはならないようにしたいものだ。正直に、誠実に生きよう。遠回りに見えるがそれが(人類が)生き延びるための最短コースとなるだろう)

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小生がm3.comの色々なスレッドの書き込みから紹介してのには理由が有ります。例えば福島の第一原発傍の双葉病院の非難の件ですが、最初の記事によれば「病院の職員が患者を見捨てて逃げ出した」ように受け取れます。これをご覧に成った皆さんの大半は「患者を守るべき医者が職場放棄した。許せない!」と憤慨されたのでは。しかしこの情報に接した医師の多くはそうは思っていません。この記事が伝えたがっている内容が「医師を攻撃している」と思われるからです。「それは医者の被害妄想だろう」と仰るかも知れませんが、それは明らかに違います。
先ずこのケースについて多少説明致します。結果から先に言えば、ちゃんと(系列病院から派遣された)医師は病院に居たようです。そして折角病院に居たのに無理やり避難先に搬送された患者さんが20数人亡くなった事。(当たり前の話でしょう。設備の整った病院だからこそ何とか頑張っていた患者さんが、医療設備とは全く無縁の避難所でどうやって生きて行くのでしょう)。
病院の医師もお上からの避難命令に従ったようですが、医者だからお上の命令に逆らっても患者の傍に居るべきだったのでしょうか。そして被曝しろと。しかし医者も人間なんですよ。勿論守るべき家族も居ます。それでも犠牲に成って死ねと。何時から日本は戦前に戻ったんですかね。ここで敢えてそのような言い方をするにはそれなりの理由が有ります。最初の記事の数か所を入れ替えれば、「夜中だろうが何処だろうが、お前らは寝ていまいが明日大きな手術が何件あろうが俺たちを診る義務が有るんだ!」と言う例の当直医の問題にも繋がります。
更にこれは医療関係者以外の方は普段あまり考えていらっしゃらないかも知れませんが、今回のような緊急時には、限られた医療資源を有効活用するためには”トリアージ”と言う患者さんのランク付けが必要になります。これは結局は、患者さんをその立場や状態で区分けする”差別化”に他なりません。同じ一人を助けるのであれば、助け甲斐のある一人を選ぶ・・・断腸の決断です。医師がこんな嫌な(辛い)仕事をしなくてはならないと言う事を一般の方があまりお考えに成らないのは、これまで今回の大災害ほどの事が起きなかったからでしょう。勿論被災者全てが助かることが理想ですが、やはり状況によっては全員は助けられないという現実を直視しなければなりません。
ずっと医師と言う職業に携わって来た小生が何時も思うのは、医学は自然科学の一分野とは言っても数学が成り立ちません。結果に100%の期待は持てない不確実性があります。それでもこれまでの先人が積み重ねてきた経験と探究心のお蔭で、かなり良い確率で好結果を期待できる時代に成はりました。しかしそれでもまだまだ不確実性は拭えません。逆説的に言えば、それが(生身の)人間と言う事なのかも知れません。
m3.comの医師の書き込みには、最近の激増している医療訴訟に対する怒りが多く見られます。その中で彼らが一番言いたい事は、「人間は必ず死ぬものだ」と言う簡単な事実です。医師がどんなに頑張っても死亡と言う結果に終わることは日常茶飯事です。最近の日本人は平均寿命が世界一となったからか、あまり死生観が無いのかも知れません。自宅で何もせずに亡くなっても「寿命だった」ですが、病院でケアしながら亡くなると「管理が悪いから死んだ」「病気を見落としたから死んだ」etc。そしてお決まりの賠償金騒ぎへと発展することも結構多いようです。
こんな世の中で医師たちは世間をどう見ているのか、少しでも閉鎖的な医師の世界に吹いている風を一般の方たちの方にも吹かせようと考えてのebisuさんのブログへの書き込みでした。
しかし、これは小生の経験からですが、医師側が本音や実態を曝け出す(説明する)と、返って拒否反応に会うことが有ります。自分たちの持っている先入観を壊されると感じるのでしょうか。そうなると、もうそれ以上のコンタクトは望めません。両者の間の深い溝は埋まりません。
今回の大災害に際して、ebisuさんは「人は大災害に面して自分の生き方を考える」旨の書き込みをされました。それは全くその通りだと思います。特に長い平和ボケの日本人は、今回の様に喉元に刃を突き付けられないと考えない。しかし、福島の原発騒ぎを見るに付け、国民に真実を知らせるべき金太郎飴のマスコミはスクープ狙いの三面記事的報道姿勢に終始(それこそ無駄な電力消費とヘリなどの燃料消費)。そしてそのことに対してあまり文句を言わない(?)日本人の国民性に、墜落寸前の民主党政権は両翼を与えられた如く未だ飛び回っています。これからこの国は何処に向かうのでしょうか。心配です。

どうもお騒がせ致しました。それでは、これにて失礼致します。

by 医療四方山裏話 (2011-03-20 02:43)

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 頻度は三分の一くらいに落としますが、コメント欄へ書き込みがあればebisuの判断でこれからも随時採り上げたいと思っています。面白そうと思われるテーマを選んで楽しんでください。

*武田邦彦ブログ
原発 緊急情報(20) NHKの矛盾を役立てる
 住民への放射線量測定用フィルムバッチの配布をようやく武田氏も主張してくれた。将来この地域にで被曝した人たちあるいはその子供たちに癌が多発するかもしれない。どの程度の被曝量でどのような異常あるいは健康被害、染色体異常やDNA障害によってのような遺伝的影響がでるかを10年後20年後の専門家たちが困らないようにしっかりデータ収集をし、確実なデータを後世に残すことがわたしたちの役割なのである。ebisuはそう確信して、武田氏にエールを送りたい。
http://takedanet.com/

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つぶやき

医療四方山裏話さんのお考えやebisuさんがコメント欄にとりあげる理由は私にもわかっているつもりです。

医師ではありませんが、私の職場も医療現場ですので、ここに取り上げられた様々な問題や実態もわかっています。

しかしながら、ここのブログを読まれている方の多くは、様々なサイトやブログで自分なりの情報収集力を持っていると思います(医師専用サイトには行けませんが)。
疑問に思うことは日々自分で調べていることと思います。

医療四方山裏話の話の内容に拒否反応を持ったわけではありません。ただ、あまりに(上手く表現できませんが)偏った印象を持ったのであのような投稿になりました。

多分気分を害されたと思います。失礼しました。
私もこれからは、テーマを選んで読ませていただきます。
by つぶやき (2011-03-21 14:35) 

もやしさんま

ebisuさんは小欲知足への転換といいますが、大部分の普通の日本人が贅沢をしているわけではありません。また求められるエコな生活が可能なわけでもなく、多くの国民は正直に生きたらカツカツの低所得生活です。正直な低所得層は既に小欲知足ですが暮らせません。
景気至上の考えや無駄な公共事業の分け前で肥えていた人達は復興需要を目の前にわくわくしているかもしれませんが。
システムが変わらなければ、でもそのために必要な政治の転換にも望みは見出せません
とりあえず自分の目の前の問題に対処するしかないですね
by もやしさんま (2011-03-21 20:32) 

ebisu

"つぶやき"さんへ

医療現場で働いていらっしゃるのですか。私が知らない医療現場の現実を日常目にしていらっしゃる。
私も含めて普通の市民はそうした医療現場側の苦労がなかなか分からないわけです。
だから、知りたいのです。
患者や家族のちょっとした心遣いで医療側の負担が軽くなることもあるでしょう。
相互理解、それが地域医療を支えるためのいろいろな活動の潤滑剤の役割を果たすのではないでしょうか?

わたしはちっとも気分を害してはいません。
率直な意見をいただき感謝していますよ。
by ebisu (2011-03-21 23:07) 

ebisu

もやしさんまさんへ

>システムが変わらなければ、でもそのために必要な政治の転換にも望みは見出せません

その通りだと思います。わたしはパラダイムシフトを考えています。既存のシステムはこのままらな自動停止します。地球温暖化による人類滅亡で既存のシステムは自動停止するでしょう。

私が考えているパラダイムシフトとは、たとえば、大企業の社員や公務員が週5日働くのを3日にする。2日分を非正規社員を正規社員として採用する。つまりワークシェアーです。週に4日は休みです。縄文時代なら縄文土器をつくって遊ぶでしょうね。エネルギーを消費の小さい知的な遊びが日本人は得意です。折り紙もそうしたもののひとつでしょう。

もちろん、正規社員や公務員の給与は激減します。高校や大学教育は資格試験を課してそれに合格すれば無料にします。
大学入学資格試験の成績上位5%の者は学生寮に集めて生活の面倒もみるといい。・・・

少ない所得で心に満足を感じることができるというのが大事な点です。
所得が少ないと「もっと欲しい」という気持ちが強くなります。現在よりも年収が300万円増えてもきっともっと欲しくなる。人間の欲望は際限がありません。
いわば本能のようなもの。それを理性で押さえるのです。いえ、無理に抑えてもいつか噴出します。
少ない状態を楽しむのです。
人口減少と所得の半減を受け入れ、そうした生活を楽しむ、それが小欲知足の社会です。

巧くいえませんね。
そのうちブログで具体的なことを書くつもりです。
経済学者の馬場宏二先生が「過剰富裕化論」を提唱なさっています。経済成長をやめる、経済縮小論です。地球環境と人類が調和し、人類が生き延びるために取りうる選択肢の一つです。
それができないなら人類は滅んでいいのです。地球温暖化でも何でもいい、地球環境と自分が住めなくなるほど痛めつけてしまったら、そうなるのは当たり前のことです。

何を馬鹿なと"もやしさんま"さんに叱られそうです。

どうぞ反論を並べてみてください。
やっているうちに楽しい遊びになるかもしれません。
ブログは楽しいほうがいい。
by ebisu (2011-03-21 23:32) 

もやしさんま

じゃあ根室市民が全員市役所の職員になって輪番制で公務をするといい。非番の時は農協や漁協で働き食料は自給して余剰は地方に売り、公務が嫌な人は納税して。暖房は薪ストーブ、古い木箱だけじゃ足らないから林業組合が木を植える。
こうすれば民間が稼ぎ、役所が使うという図はなくなる。
これってある種の社会主義?

by もやしさんま (2011-03-22 12:38) 

ebisu

輪番制で公務?
いいアイデアですね。
公務員として週1日働き、民間企業で週2日働く。

非正規社員が正規社員になるから、公務員だけではないんですね。
ワークシェアリングはフランスかドイツがかなり大規模にやっていたのではないでしょうか?
若い人たちの4人に一人は非正規か失業、これでは社会がおかしくなります。

薪ストーブはいいですね。間伐材を燃料にする。・・・足りませんね。
人口は半分でいいじゃありませんか。
新築の家には太陽電池設置を義務付け、電気自動車に充電する。それをネットワークして電力を融通するという計画が米国で練られているようです。

by ebisu (2011-03-22 14:15) 

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