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#1182 民主党代表選挙と国家財政の現状:過剰富裕化論  Sunday, Aug. 29, 2010 [95.増え続ける国債残高]

 今日は歯舞組合でコンブ祭りが催されている。一昨年まで納沙布岬でやっていたが、寒いのと雨が降ると会場を急遽変更することになるので、最初から歯舞組合ビルにしたようだ。めずらしく私は今回は気乗りがしないので家にいる、他のブロガーが恒例の「取材」にいっているだろうから、そちらのサイトを後で紹介したい。

*8/30 サリーさんの「歯舞コンブ祭り」
 
http://ameblo.jp/sommelier/day-20100830.html

 日曜日だから、気になっていることを思いつくままに書いてみたい。菅対小沢の民主党代表選挙、民主党のお約束はどうなったのか、国家財政の行方などが気になっている。

【収入の範囲で暮らすのは家計の常識】
 日本の財政の現況はどうなっているのだろう。歳入は37億円そして国債費が平成19年度から20兆円を超えている。つまり、借金返済を優先したら使えるお金は年間17兆円もないということだ。国の歳出予算は国債費を含めて92兆円、借金を返済するどころか、40兆円以上も増やしている。埋蔵金は一度使うとないから、92兆円の歳出が続けば借金は毎年55兆円も膨らみ続けることになる。
 民主党はプライマリーバランスの回復も約束していたはずだが、やっていることは自民党以上のバラマキ政策、借金膨張政策である。

【プライマリーバランスの回復が先】
 約束どおり、先ずプライマリーバランスを回復してからバラマキをしてもらいたい。国民向けの宣伝に一度37兆円で予算を組んで公表してみたらいい。何から優先的にカットするのか公の場で議論し、その上で民主党はプライマリーバランス回復の具体的スケジュールを示すべきだ。

【財源に具体策なければ増税に追い込まれる】
 菅総理と小沢氏が代表選を争うことになったが、小沢氏はバラマキ・マニフェストを実施する財源はあるという。ならば具体的にリストしてもらいたい。鳩も菅も財源が無くてできないことを小沢ができるのか?高速道路無料化を幹事長としてできないとストップさせたのは小沢氏自身である。幹事長としてできないといったはずだが代表選挙に出馬するとなったら、急に意見が変ったのだろうか?菅総理も為替の円高になす術がなく、野田財務大臣も記者会見で一つも具体策を挙げることができなかった。曰く「適切な・・・を」とは言うが具体的なことは何も出てこない。ところが小沢氏が代表戦に出馬を表明したトタンに町工場を訪問して、為替介入をすると宣言した。代表選目当てのアドバルーンそのものである。根室ではそういうのをミッタクナシという。

【似た者同志】
 バカな上司にはバカな部下がつき物である。松木何某という北海道選出の国会議員がいるようだが、小沢氏の腰ぎんちゃくでいい加減なことを言いまくっている。テレビを見ていて腹が立った。外為特別会計にある埋蔵金を使えばいいと発言していたが、円高で外為特別会計に20兆円を超える巨額の為替差損が発生して埋蔵金はとっくに蒸発してしまっている。財政や為替の基本的知識すらない好い加減な奴が小沢氏を支えるブレーンの一人だ、危ない。
 もうひとりお昼ころ森某という女の国会議員がテレビで喋っていた。小沢チルドレンの一人だろう。財源問題を他のコメンテータから追及されて、「財源はある、言える」と言いながらちらりとほのめかしたのは「30兆円の埋蔵金」だ。失笑モノの発言に、キャスターがそれ以上の発言を封じていたが、当のご本人は空気がさっぱり読めていないご様子。
 こんなでたらめな取り巻きばかりでは、小沢氏が総理大臣になったらどうなるのだろう。俄仕立てで国会議員になった者たちは基本的な財政知識すらおぼつかないようだ。そういう者たちがありもしない埋蔵金を声高に言う。あるいは1年間でまったく手がつけられなかった特別会計について、そこに手をつければなんとかなるようなことをいまさら言う。だったら、この1年間のうちになぜ手をつけなかったのだろう。やるならさっさとやれ、鳩だって菅だって頭が誰だろうと民主党としてマニフェストで約束したのだからやって当たり前だろう。財源を予定通り捻出してからバラマキをやれ。財源も捻出できずにバラマキを優先し、借金を増やす愚はもうやめてくれ。
 小沢氏だけを貶めるつもりはない、菅氏も小沢氏が出馬宣言するまでは、具体策がなく、おろおろするばかりだった。小沢出馬が決まったとたんにカンフル剤を打ったかのように張り切る。この人は対抗心が特別に強い人のようだ。国会質問でもそのときの首相に対する質問のときは異常に興奮して張り切っていた。対抗心のスイッチが入ると激しい感情に支配されて思考停止状態、冷静な思考ができなくなるようだから、代表選が終わったらまたおろおろするか、「自分探し」のために四国八十八箇所巡礼の旅に出るがどちらかだろう。

【過剰富裕化論*との接点】
 馬場宏二氏の『新資本主義論』は経済成長を問題視する立場で書かれている。地球環境と人類が共存するためにはいますぐに経済成長を止めなければならないと説く。
 ところが政治家は誰一人として経済成長をやめると言わない。そういう意味では自公政権も民主党政権も共産党もみんなの党も、立ち上がれ日本も皆同じである。
 収入の範囲での生活は家計レベルでは当たり前のことだが、それを国家財政でやるとしたら、税収の範囲内に歳出をカットせよということだ。至極当たり前のことだが、これを実現するためには公務員給与の半減などではすまない。37億円の税収に対して、22兆円もの国債費がかかっているから、使えるのは15兆円に過ぎない。国債費のうち利払い費はいくらかかっているのだろう。10兆円程度だろうか?長期金利が3%に跳ね上がったら国債の利払いは順次増大して30兆円近くになってしまう。
 消費税を10%にしたって焼け石に水である。プライマリーバランスを回復するために所得水準を三分の一程度に下げる覚悟が国民にあるかということだ。覚悟があるなら、二酸化炭素排出量も三分の一以下になるだろうし、労働時間も三分の一にできる。案外のんびりしたいい経済社会かもしれない。わたしは日本の伝統的な価値観、仕事を神聖化する職人主義経済への回帰がいいと思う。資本主義は生産力が地球環境を破壊するという行き止まりが見えてしまった。

*#1164 馬場宏二「剰富裕化論」(4):
  人類史上最短労働時間の社会への道 Aug. 18, 2010 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-08-18

*#1165 過剰富裕化論(5):節度ある明るい未来 Aug. 19, 2010 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-08-19

 #1148 馬場宏二 過剰富裕化論  Aug. 5, 2010
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-08-05-2

【このままでは2年前の予言が当たってしまう】
 急激な円高と株安が続いている。「今後10年のシナリオ」というタイトルでブログに書いた気がする。ついにはじまった感がある。
 言っておくが自公政権がよかったわけではない。民主党政権には仕事のできる者がいないので、借金が加速的に増えるという悲惨な事態を招いている。
 経済予測なんていい加減なもので、シンクタンクの年初の予測すら当たったためしがない。その当たるはずのない経済予測である「今後10年のシナリオ」が民主党の無策によって実現してしまうのかもしれない。


*「国家財政破綻の瀬戸際」 #829 Dec.12, 2009
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2009-12-12

*2008年10月10日blog#346『これから10年間の日本経済のシナリオ』
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2008-10-10

新資本主義論―視角転換の経済学

新資本主義論―視角転換の経済学

  • 作者: 馬場 宏二
  • 出版社/メーカー: 名古屋大学出版会
  • 発売日: 1997/06
  • メディア: ハードカバー

**2009年4月15日「ぞっとする、長期金利が上昇するとき」大西良雄
http://www.quon.asia/yomimono/business/oonishi/2009/04/15/1668.php 


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*#346 これから10年間の日本経済のシナリオ 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2008-10-10

 #484「国民の95%が幸せ…屈託のない笑顔」
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2009-01-11-1

 #829「国家財政破綻の瀬戸際」
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2009-12-12

 #1148 「馬場宏二 過剰富裕化論」
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-08-05-2

 #1158 「過剰富裕化論(2):過剰富裕化とは何か」 Aug. 12, 2010
  
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-08-12

 #1162 「過剰富裕化論(3): 経済学部を目指す高校生へ」 Aug. 16, 2010 
  
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-08-16

 #1164 「過剰富裕化論(4):人類史上最短労働時間の社会への道」 Aug. 18, 2010 
  
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-08-18

  #1165 「過剰富裕化論(5):節度ある明るい未来」 Aug. 19, 2010
  
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-08-29

  #1185 日銀金融緩和策公表も効果なし:資金の過剰富裕化は何をもたらすのか  Sep. 1, 2010
  
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-09-01

 #2237   過剰富裕化論提唱者の福島原発事故処理構想:遺稿    Mar. 4, 2013
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-03-04


 #1254 「経済成長論の終焉」 Oct.24, 2010 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-10-24-1

 #1482 「東北大震災とパラダイムシフト:良寛をめぐって」 Apr. 22, 2011 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2011-04-21

 #1755 "1ドル=200円"の時代は来るのか(1) Nov. 29, 2011 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2011-11-29

 #1852「月間貿易赤字が過去最大(1月度):超長期的視点からの主張」
 http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-02-21

 #1853 「日本人の美質と品性:中位数年齢45歳"熟年国家"のまやかし」 Feb. 22, 2012 
  
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-02-22 

 #2122 赤字特例公債、ちょっとまってくれ Nov.9, 2012 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-11-09

 #2126 "lame duck"の野田政権はどこへ行く? Nov. 12, 2012
 http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-11-12

  #2130 衆院解散と悪あがき 喧嘩の仕方◎ 仕事×  Nov. 16, 2012 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-11-15

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