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#1183 教育にも季節はある:旬を逃したらどうなる Aug. 30, 2010 [64. 教育問題]

  さて、土曜日夜に北部航空音楽隊北海道警察音楽隊の演奏会が総合文化会館で行われた。根室高校ブラスバンドとの合同演奏もあったらしい。柏陵中学ブラスバンド部は9月4日に札幌で行われる全道大会に出場するが、勉強のために自衛隊の演奏を聴きに行ったようだ。参考になったかな。全道大会が楽しみだ、期待してる。休み明けの学力テストの結果を見てがっくり来ている人がいるだろうな。数英の補習するから全道大会が終わったら勉強がんばれ。

*コメント欄に間違いの指摘があったので、本文に二重線を引いて謹んで訂正いたします。(8月31日朝8時半追記)
 柏陵中学ブラスバンド部が指導を受けたことのあるのは北部方面音楽隊ではなく、海上自衛隊の大湊音楽隊だそうです。
 もうひとつ、中学校や高校では「ブラスバンド」と言っていますが、ブラスバンドは金管楽器と打楽器のみで構成されたものをいうので、木管楽器が入ると「ウィンドオーケストラ」というのが正しいという指摘もありました。通称はともかく正しい名称を知っておくべきだと思いますのでその点も「通りすがり」の方の指摘に従います。
 20年ほど前に「~ウィンドオーケストラ」という名前の素晴らしい演奏のCDを聴いた記憶がありますが、固有名詞だとさっきまで勘違いしていました。ブログを書くのは、一方ではこうして無知をさらして「恥を書く」ようなもの。
 暑い夏に、冷や汗をかきながらブログ書き、なんてオヤジギャグで締めくくり。お後がよろしいようで・・・
                                 m(_ _)m  


【英語がなかなか読めない、英語がほとんど書けない生徒】
 最近、中1のある生徒に英語を教えていて気がついたことがある。英語の単語がほとんど書けない、読めないので1ヶ月間教えながら観察してみた。
 ローマ字を書かせてみたらほとんど書けないので練習させた。heはローマ字読みなら「へ」だが、なんとなく「ヒー」という読みが連想できればいいが、少しむずかしいだろう。playはpが「プ」と読めれば何とか出てくるが、ローマ字で「pu」と書くことができなければ、pが出てこない。pがでてこなければplayを「プレイ」と読めない、最初の「プ」という音が想像つかないからだ。母音字はすぐに理解できたが、子音字が分からない様子だった。

 ローマ字表を見ながら50音字をノート2ページ分宿題にしてみた。2回やらせた後で、何も見ないで50音を書かせて見たら、アイウエオ、カキクケコとローマ字で書いたところで手が止まった。サシスセソが出てこない。次のタチツテトもその次のナニヌネノも・・・
 アカサタナハマヤラワを言って復唱させたらできない。50音は小学校1・2年生で全員がマスターしておくべき事柄だろう。小学校の先生は何をしていたのだろう。お母さんは子どもに小学校で英語を習わせるほど教育熱心な方だが、自分の子供がアカサタナハマヤラワが言えないことに気がつかなかったようだ。英語の単語が他の子達よりも早く言えることに満足していたのだろうか。

 これでは数学の文章問題どころではない、国語も社会も理科も問題文はすべて日本語で書かれているから数学以外はなかなか50点が超せない。数学も文章題になると問題文が理解できない。かくして日本語が理解できないと学力へ少なからず影響が出る。
 当塾では日本語の本の音読をやっているが、この生徒は下手だった。少しむずかしい漢字になると読めない。書いていない助詞を入れて読んでしまう、書いてある助詞を読み飛ばす、つまり書いてあるとおりに読めないのである。助詞を一つ間違えると文意はぜんぜん違ってくる。問題文の意味どころか、本文の日本語の意味すら正確に理解できないことになる。初見でどの程度読めるかで生徒の学力は大体見当がつくものだ。
 日本語能力を旬の時期に育てそこなった生徒は勉強でたいへんな苦労をすることになる。個人補習指導を1年以上続ける必要がある。このままでは社会で必要な基本的能力がないままに中高の過程を終わってしまうだろうから、関わったからにはトコトン付き合ってみるつもりだ。
 この生徒は小学校のときに英語を習っていた。このように小学生に英語を教えるのはリスクが大きい。成績が平均以下の生徒はとくに後遺症が大きくでてしまう。副作用の大きく出る生徒かどうかはプロである教える側が判断し、そのリスクを保護者に伝えるべきだ。

 この生徒の場合はとくに副作用が大きく出てしまっている、極端な例だ。しかし、程度の問題はあるが、中学校になって日本語語彙が貧弱な生徒に小学校で英語を習ったかと聞くとかなりの頻度で「はい」という答が返ってくる
 私が成績が真ん中以下の生徒に小学校低学年で英語をやらせていけないというのはある程度の確率でこういう生徒が出てくることが危惧されるからだ。
 これとは逆にこの季節に日本語語彙をしっかり育てた子どもは高校生になってからでも伸びシロが大きい
 日本語の基本語彙を拡張すべき「季節=小学校低学年」に母国語以外のものをやる必要はないのである。良質の日本語テクストをたくさん読ませるべきなのだ
 来年度から、小学校で英語を教えることになっている。日本語がわからない生徒がますます増えそうだ。日本語語彙力の低下は学力低下となって現れずにはおかないだろう。 

【ブカツ指導をしている大人たちへ】
 ついでにもう一つ書こう。スポーツ好きな少年が小学校のときには野球をしていた。いろいろあって肩を壊してしまった。中学校では野球をあきらめ、他のブカツをやっている。指導する大人がスポーツ医学を心得ていて、教える子どもたちの肩や肘や膝をきちんと管理していないからこういうことが頻繁に起きている。異常なブカツは大人が原因の半ばをつくっている。そして子どもたちの健康すら奪っている。
 子どもたちにスポーツを指導する立場にある大人は、必ずスポーツ医学を勉強してもらいたい。勉強するのが嫌いな大人は、子どものブカツ指導から手を引くべきだ。
 ブカツのあり方は市教委が権限をもっている。権限のあるところには責任も生ずる。どうして現場で子どもたちが被害にあっているのに市教委は見過ごしておくのか、スポーツ医学を学ぼうとしない一部のスポーツ指導者たちと市教委は何か特別な関係でもあるのだろうか?わたしには理由がさっぱり分からない。
 私が気になっているのは野球とバドミントンである。野球が肩・肘そしてバドミントンが膝関節に負荷がかかるので、骨格や筋肉が出来上がっていない小学生の長時間のトレーニングは危険なのである。子どもたちを守るのは大人の役目ではないのか?
 スポーツ医学などと何も大げさなことをいう必要もないだろう、常識で少し考えれば分かる簡単なことの筈だ。考えることをしない指導者はトレーニングメニューの見直しもせずに、やたら長時間のトレーニングをしたがるものだ。こういう大人は仕事もできない。生徒と共により効果的なトレーニングメニューを工夫することもブカツの指導の重要な目標だろう。

*音読指導についてフォニックス導入の提案がサリーさんからあった。ZAPPERさんの書き込みが続き、さらにHirosukeさんからフォニックスのゲームソフトの紹介コメントがあり、彼のブログで過去ログを取り上げてくれた。ただで利用できるすぐれたソフトを紹介したい。
 クリックしてHirosukeさんのサイトへ飛ぼう。
http://tada-de-english.blog.so-net.ne.jp/2006-07-14?niced=1&time=1283307726


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サリー

帰宅部サリーです。
やっつけ取材みたいで、リンクされると恥ずかしいです。(^^;)

昆布まつりは、私のふざけたブログではなく、漁協の若者のどなたかが詳細を公表してくれてるはず・・・・、だと願いたいです。

本題:
私はろくに日本語も学んでないまま英語をかじって、今もなお、日本語の複雑さや難しさをひしひしと感じてるひとりです。
塾長のおっしゃるとおり、日本語を知らないと、どんな教科でも、読解力がないから設問も理解できない=学力低くなっちゃうのだと思います。

低学年からの英語教育は、良くも悪くもいろんな意味で問題がありますね。
文字も文化・習慣も歴史も、背景が違い過ぎる言語の習得は、段階をふむべきですね。
文科省は、なぜ、英語教育で「フォニックス」を導入しないのか不可解なのですが、塾長の意見はいかがですか?

中学校では、ローマ字教育はなくなったと聞いてましたが。
私はローマ字のおかげで、万国共通の名前のサインもできるし、パソコンのキーボードもたたけるし、イタリア語の習得にも役立ちました。 
ローマ字復活?(笑)


by サリー (2010-08-31 01:46) 

通りすがりですが・・・

 土曜日の夜にあった演奏会は、「北海道警察音楽隊」です。北部方面音楽隊は、駐屯地での2回の演奏のみです。
 
 ちなみに、「ブラスバンド」という表現は間違えで、ブラスバンドは、本来は「金管楽器と打楽器による合奏団」なので、木管楽器も入っている吹奏楽は「ウインド・オーケストラ」や「ウインド・オーケストラ」と言う名称で呼ぶのが正しいようです。
 吹奏楽=ブラバンというのが一般的に呼ばれますがこれは間違えなのにどうしてここまで広がったのでしょうか!?

 ついでに、柏陵中の吹奏楽部が指導を受けたのは、
大湊音楽隊(海上自衛隊)で、今回駐屯地で演奏したのは北部方面なのでまったく別の音楽隊です。

 インターネットは、不特定多数が閲覧するので失礼ながらお知らせします。
いつも楽しみに読ませてもらっています!
by 通りすがりですが・・・ (2010-08-31 06:44) 

ebisu

通りすがりの方へ
間違いの指摘ありがとうございます。本文を訂正します。
会場へ取材に行かずに内容を書いたのがそもそも間違いの元でした。
ブラスバンドもご指摘の通りでしょうが、ウィンドオーケストラを名乗っているところは聞いたことがありません。
つねづね木管が入っているのになぜブラスなのか不思議には思っていました。
ひとことコメントをつける必要はありますね。中学生も携帯で読んでいる人がいるようですから。
by ebisu (2010-08-31 08:09) 

ZAPPER

-語彙力を育む時期を逃したなら-
まさに仰るとおりです。
私も、早期英語教育による《弊害》を実に多く目の当りにして参りました。年齢に応じた語彙力を育む。そういった当たり前のことがお座なりにされています。語彙力が大きく劣る子の多くは挽回できずに活字に触れる機会が少ないまま大人になり、仮に挽回できたとしても多大な時間を消費することになるのですが。

サリーさんへ
「フォニックス」は道内一部地域(英語教育に力を入れている小学校など)でも導入されているようです。しかし、学校関係者がそもそもその何たるかを知らない。よって旧態然とした指導に始終する。残念ながら公教育のレベルはそんなものだったりします。ご指摘の通り、単語を「読む」部分に関しては絶大な効果がある指導なのですけれど。
by ZAPPER (2010-08-31 10:41) 

ebisu

サリーさんへ:
フォニックスは英語の読み方の具体的な教授法の一つなのですね。ウィキぺディア確認しました。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%8B%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9

そもそも英語の発音記号は高校1年で教えることになっているようですが、系統的な説明はされていません。学習指導要領がどうなっているのか、ひょっとしたら説明の義務がないのかもしれません。
花咲小学校が毎年卒業生に英和辞典をプレゼントしているのですが、中学校で辞書を使うところはありません。

関心のない方も相当数いらっしゃるでしょうが、教えたくても教えるチャンスがないというのが一部の現場の先生たちの意見かもしれません。

わたしも困ることがあります。教科書が読めない生徒用に教科書のコピーをとってルビを振っています。
「サンキュー」「ゲット」「キャット」「スタンド」と仮名を振ると生徒はその通りに読みます。
光洋中学の先生が2名ほど
「thアンキュー」「ゲッt」「スタンd」のような書き方をしていたことがあります。便利な方法だと感心しました。

「ゲット」とかくと「ト」と部分に「t-o」のように母音が入ってしまいます。「ド」と書いたときにも「d-o」と母音が入るのです。
臨機応変にやっていますが、現場はどこも似たような状況でしょう。回り道でも発音記号を教えるべきなのでしょう。
オーラル中心の英語教育まっさかりですから、小学校で英語を教えるなら、きちんとした発音から教えて欲しいものです。それだけで十分です。
その上で、綴りと音の違いを教えてくれればいいのだと思いますが、そうとうの時間数を要するでしょう。
しかし、日本語=国語や算数の時間数を減らしてまでもやるべきではないでしょう。
ほどほどでいいのではないでしょうか。

by ebisu (2010-08-31 11:45) 

ebisu

ZAPPERさんへ
塾では便利なツールは何を使ってもいい、学習指導要領に縛られないところが最大のメリットです。
生徒のためになるなら、いいと思う教授法は何でも試せる。
英文テクストの音読に関してはフォニックスを使ったほうが教えやすいことは事実です。
なかなか音読できない生徒にはどんどん使て教えちゃいましょう。
by ebisu (2010-08-31 11:48) 

Hirosuke

発音とフォニックス関連の記事を拙ブログから2つ。

-----------------------------------------
僕の「知恵袋」(22)…英単語の発音の違いが辞書を引いても分かりません。
http://tada-de-english.blog.so-net.ne.jp/2009-06-07
-----------------------------------------
ゲームで「フォニックス」をマスター
http://tada-de-english.blog.so-net.ne.jp/2006-07-14
-----------------------------------------
by Hirosuke (2010-08-31 14:00) 

ebisu

Hirosukeさんへ

書き込みありがとうございます。
フォニックスは細かいことにこだわらずに、基本のところを教えればこの生徒の場合はすみそうです。

ゲームで「フォニックス」をマスターは他の生徒にも紹介してみようと思います。
ただでいい教材を利用できるのですから、いい時代になりました。

by ebisu (2010-08-31 22:35) 

ebisu

英語を習い始めたばかりの小学生には、子音と母音の発音をしっかりトレーニングするのがいいようです。
「あ」の音は4つありますが、発音し分けられると、リスニングで瞬時に聞き分けられます。
子音も同じでした。
音読でちゃんとした発音でやれる子供は、リスニングに断然強くなることがわかりました。
音読トレーニングを週1回、半年やったら、CDで流れる英語が聞き分けられていました。

小学校英語では「フォニックス」、大事ですね。
by ebisu (2023-09-27 13:28) 

ebisu

「フォニックス」とは?
フォニックス(英: Phonics)とは、英語において、綴り字と発音との間に規則性を明示し、正しい読み方の学習を容易にさせる方法の一つである。英語圏の子供や外国人に英語の読み方を教える方法として用いられている。

フォニックスでは例えば「発音 /k/ は c, k, ck のどれかで書かれる」のように、ある発音がどの文字群と結び付いているかを学び、それらの文字の発音を組み合わせて知らない単語の正しい発音を組み立てる方法を学ぶことができる。

英語におけるフォニックス
フォニックスは子供に読み方を教えるために広く用いられている方法である(ただし批判が無いわけではない。後述の#歴史と評価を参照)。子供は通常、5歳か6歳頃にフォニックスを用いて学び始める。フォニックスを使って英文の読書を教えるには、子供が発音と文字のパターンとの対応を学ぶ必要がある。

註:この項目では一般米語(General American)における発音
…wikiより引用
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%8B%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9を用いる。

私が使ったのは
ジュミック今井著『フォニックス発音トレーニングブック』

発音矯正のためなら特にこの本である必要はない。他に試したのが7冊ほどあります。DVDで口元が映っているのがやりやすいと思います。たとえば、
鷲見由理著『DVD&CDでマスター 英語の発音が正しくなる方法』ナツメ社2014年刊

巽一朗著『発音指導DVD&CD付 英語の発音がよくなる本』2009年刊

CDのみでしたが、
鵜田豊著『英語のリスニング力は発音力で決まる UDA式30温練習帳』ジャパンタイムズ社 2004年刊
この本にはお世話になりました。
DVD版で、同じ著者の
『30音UDA式英語リズム 英会話とリスニング DVD Script』
これもトレーニングに役に立ちました。

『英語の発音ジングルス85~87』もとっても役に立っています。

小学生の英語を教えるのが一番難しいでしょうね。発音をないがしろにしたらリスニングも滅茶苦茶になってしまい、中学と高校英語がアウトです。
by ebisu (2023-09-27 20:35) 

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