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#1116 薦田さん、無私の決断:殺処分受け入れ July 16, 2010 [A4. 経済学ノート]

 口蹄疫騒ぎがひとまず終結しそうである。種牛農家の薦田長久氏(72)が保有する6頭は宮崎の優秀な肉牛の遺伝子を受け継いでいる。ほとんどの種牛が殺処分されたので、感染していないこれら6頭は殺処分しないでほしいと要望していた。
 自分の利益のためでなく地域の利益のためだから、種牛の所有権も県に無償委譲する旨申し出ていた。こういう無私の心根の人が日本にはまだ少なからず存在している、うれしいことだ。

 東国原宮崎県知事は当初殺処分の対象外にするように農相と交渉していたが、殺処分しなければ代執行するという農相の強硬姿勢についに折れた。家畜の移動禁止措置が解除できない状態が長引けば周辺農家からの圧力もかかる。

 薦田さんは殺処分を受け入れたものの、怒っている。殺処分の前に血液検査をするように要請もした。感染していなければ殺処分の理由がないという抗議だろう。

 薦田さんは自分の利益を考えて行動したのではない。殺処分せずにすむなら種牛を県に無償譲渡すると申し出ていた。それだけに、いつまでも移動解除ができなければ周辺農家に迷惑がかかると、殺処分受け入れの覚悟を決めたのだろう。県が殺処分要請へ程度を変えたことで四面楚歌になってしまった。薦田さんが県へ無償譲渡を申し出たのも、殺処分受け入れを表明したのも、どちらも「無私」の決断であった。

 前々回のブログで、日本振興銀行元会長木村剛の「損失飛ばし=粉飾決算」に関わる犯罪をブログで取り上げた。自分の利益のみを追求し、ついには損失飛ばしに手を染めてしまった。事業が利益を出せないとわかった時点で、「わたしにはできません」と会長職を辞任するだけの器の大きさがあればまだ救いがあったが、残念ながらそうではなかった。

  職人主義経済、「売り手よし、買い手よし、世間よしの三方よし」、そういう伝統的価値観を大切にしよう。

 大事な局面で無私の立場で物事の判断ができるように、普段からこころを磨いておくべきだ。迷ったときには「売り手よし、買い手よし、世間よしの三方よし」であるかどうかを自分の心に問うてみよう。一呼吸置いて、それから決断しよう。

 木村剛と薦田長久さんはどちらも同じ人間である、しかし大事な局面でこころの在り様は真逆であった。

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*7月16日中国新聞「民間種牛6頭17日に殺処分 宮崎・口蹄疫 所有者が了解」
 
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp201007160232.html

 毎日新聞「口蹄疫:種牛の殺処分受け入れ・・・「不本意だが決断」
http://mainichi.jp/select/today/news/m20100716k0000e040043000c.html

 #1114 日本振興銀事件(2):粉飾の手口  July 16, 2010 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-07-15-1
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