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中2学力テスト(3):結果分析⇒初心に帰る #909 Feb.17, 2010 [64. 教育問題]

 昨日はマイナス8.4度、今日はマイナス7.4度だった。根室湾はびっしり凍りついており、その向こうに群青色の海が広がる。
 冬になると国後島がよく見える。凍りついた湾の向こうにはまだ流氷が姿を見せないが、国後の山並みは真っ白に雪化粧しており、こちら側の(野鳥の王国)春国岱上空にはオジロワシが悠然と飛んでいる。寒いけど、冬の根室は景色がいい。

 ブログを読んだ根室管内の他の地域のお母さんからコメントをもらった。自分の子供の通っている中学校の数学の点数の分布が正規分布ではなく、右肩下がりの分布を示していることに驚いたというのである。同じように感じている父母も多いはず、抜粋して転載する。

>時々ブログ拝見してます。いろいろと参考に読ませていただいています。
>根室管内中1の子の親です。
>先日の学力テストの結果にがっくりきて、思わず書き込んでしまいました。
>結果表もらったんですが・・・数学の得点分布表が・・・右下がりの棒グラフって、初めて見ました。
>学校の授業、どうしてるんだろう?
>家庭勉強中心に、1年の最初から数学だけでなく5教科やり直さなければいけないようです。
>家で教えたらできるのに、何故?


 さて、中2の学力テストの結果を分析してみたい。
 (11月⇒2月)というようにデータを書くと、西にある中学校の5科目平均点は(218.7点⇒231.8)点で前回に比べて13.1点上がった。東の中学では(209.2点⇒239.3点)で30.1点アップである。
 ずいぶん上がったように見えるし実際に上がったわけだが、5年前にはどちらの中学も平均点が280~300点だったことを考えると思いは複雑である。

 テスト範囲は数学も英語も11月よりも難しいので、例年なら5科目平均点が11月より下がる。ところが今回は上がっている。先生たちが前年の学力テスト問題を配って生徒たちにやらせていたから、そういう努力も点数アップに貢献しただろう。これは評価してよい。

 数学の点数を見ると、西の中学校は平均点が(39.9点⇒36.9点)で、3点ダウン。今回は2次関数や三角形の証明問題などテスト範囲の難易度が上がっているから、平均点が下がるのは当然だ。5点くらい下がっても不思議ではない。
 30点以下の割合を見ると(41.9%⇒49.2%)である。70点以上は(17.7%⇒15.9%)である。成績下位層が増えて、成績上位層が少し減っている。
 正規分布を假定すると成績上位層と成績下位層が同じ比率にならなければならないが、2月の結果は下位層が上位層の3倍である。
 東の学校のはどうだろう。数学の平均点は(37.8点⇒34.4点)で3.4点ダウン。30点以下は49.2%いる。西の学校と同じだ。上位層は7.7%であるから、下位層が上位層の6倍である。成績上位層がほとんどいなくなってしまった、そのことは400点超の人数を見てもはっきりしている。
 一番古い学校はもっと平均点が下がっているだろう。いつも他の学校よりも平均点が低いから、下位層の割合も60%に近いだろう。

 これらのデータから言えることは、成績下位層の生徒は教科内容が理解できないままに放置されており、2学期で成績下位層に転落した生徒が少なからずいるということだ。30点以下の生徒は適切な補助がないとプリントの問題が理解できない。過去問のプリント配布の効果があったのは真ん中よりも上の階層である。
 成績下位層に有効な対策が打たれていない現実が垣間見える。プリントを渡しただけでは成績下位層の点数アップはできないということだ。

 私が5時半以降の部活禁止、週2回程度の個別補習の必要性を言うのはこういう成績下位層の生徒の学習意欲を取り戻すためである。3割以下の得点の生徒は普段の授業がわかるはずがない。こうした生徒がいれば私の塾では放課後まっすぐに塾へ来るように指導する。しばらくの間、個別補習しないと成績が上がらないからだ。補習は無料である。成績の上がらない塾は意味がない。教科の内容が理解でき、学習習慣がつけば成績は必ず上がるものだ。成績が上がれば自信がつき学習にも授業にも興味がわく。
 ただし、家庭学習習慣のない者、学習意欲のない者はいくら補習をやっても成績は上がらない。たまにそういう生徒がいる。やる気を起こさせることができなければ教える側の負けだろう。わたしも負けることはある。

 さて、英語はどうだろう。西の学校は30点以下が(41.9%⇒36.5%)、70点以上は(14.5%⇒17.4%)である。
 東の学校では30点以下が(21.5%⇒30.8%)、70点以上は(46.2%⇒21.5%)である。
 
 西の学校は英語は数学と似た傾向を示しているが、東の学校はぜんぜん違う。11月は成績上位層が多かったが2月は70点以上が半分以下になった。どういうわけだろう?学校によって状況が違いすぎて、原因が推測できない。

 西の学校は5科目合計点が400点以上だった生徒数は(4人⇒3人)、東の学校は(2人⇒2人)である。5年前は両校共に400点以上が20~25人いた。

 根室市内の中学生の学力低下は目を覆うばかりである。中学生は高校生になる。まもなく根室高校もレベルががくんと下がることは避けがたい。
 このままに放置してはいけない。しかし、市議会議員、教育長や市長に教育行政の改善意欲や能力があるのだろうか?あったら全道14支庁管内で最低というようなことにはならないと言ったらいいすぎだろうか。
 別海町も中標津町も標津町も羅臼町も、ふるさとの教育がこのままでよいわけはない。

 学校教育関係者や教育委員会はふるさとの教育を守る、ふるさとの子供たちの学力向上させるという情熱があるのだろうか?部活はやっても補習をやるのを嫌がるところを見ると疑問を感じる。
 一番古い中学校のある先生は自分の担任クラス以外の生徒も集めて、自分の担当教科外の補習授業をしている。数ヶ月継続すれば効果は出る。この先生は生徒のニーズがあるからそれに応えている。そして補習で救われる成績下位層の生徒たちが何人かいる。一生懸命に根室の子どもたちを指導してくれる先生もいる。部活よりも学習の方を優先するのは教師として当然だと私は思うが、そういう先生はすくない。優先順位を間違えてはいけない。
 東京の足立区の中学校だったか、先生たちが交代で補習授業をやっているところがある。もちろん社会科の先生が数学を教えたり、国語の先生が英語を教えるというようなことは当たり前に行われている。生徒の質問にも答える、応えようとするその姿勢が大切だ。ほとんどの先生が、教師になりたての頃はそういう先生像を理想としていたのではないだろうか。
 初心に帰る。人の振り見て我が振りなおせ、わたしも初心に帰る。

*#902『中2学力テスト結果(2):大学進学が危ない』
 URL:
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-02-11


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