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CO2削減25%に思う #738 9/23/2009 [91.経済]


 鳩山首相が25%削減をぶち上げた。計画が25%なら、実績は30%をのぞみたい。
 1990年を基準年に採るとヨーロッパが有利なことは承知のうえだ。ドイツ統合が1990年10月3日、この1990年を基準に取れば、古い設備で大量にCO2を排出していた東ヨーロッパが編入されたので、その後の設備更新でCO2はたいした努力もなしに削減できる。
 40%の排出国である中国や米国が乗ってこようとこまいと、わずか10%に満たない日本が世界に先駆けて30%削減を達成してみせる。他の国は後に続けばいい。

 しばらくは孤高の日本であってよい。地球環境を人類が生存できる範囲にコントロールするためには、大幅な排出制限が必要なことは明らかだ。ならば、率先してやり抜こうではないか。現在の生活を犠牲にしてもやり遂げる価値がある。こういうクレージーなことは日本人にしかできないだろう。

 1933年2月24日国際連盟脱退を脱退するにはそれ以前にいろいろ欧米諸国と軋轢があった。直接のきっかけは満州事変だったが、日本が提出した人種差別撤廃宣言提案を欧米が一致して否決したことも軋轢の一つに数えられる。

 25%のCO2削減提案とその実行は日本がなしうる国際貢献として可能なものである。省エネ技術への投資機会も増えるし、省エネ関係の産業への雇用も期待できる。何よりこの分野で日本は世界最先端を走り続けることになるだろう。絶好のチャンスを逃がすことはない。

 新日鉄の三村明夫会長は「日本から逃げ出す産業が出てくるかもしれない」と発言している。妄言といってよいだろう。彼がやらなければならないのは、全社を挙げてのさらなるCO2削減である。新日鉄大きいだけの会社ではないはずだ。わたしはある仕事を通じて優秀な社員がたくさんいることを知っている。明治以来チャレンジの連続で新日鉄のいまがある。職人魂と叡智の結集でさらなるCO2削減にチャレンジできる会社であり、日本の産業界に範を垂れるべき有数の名門企業である。
 しかし、最高経営者にやる気がないとかやる能力がないのなら、それは社会が要請している経営能力がないのだから、三田氏は会長職を辞すべきだろう。いつまでも現役でいようと思うな、老害である。要職にあるものは退く時期を見誤ってはいけない。

9月8日朝日新聞
【北京=琴寄辰男】日中経済協会訪中代表団の三村明夫団長(新日本製鉄会長)は8日の記者会見で、日本の20年までの温室効果ガス排出削減の中期目標を巡り、民主党の鳩山代表が「90年比25%削減を目指す」と明言したことについて、「政権公約として変える必要はないが、最終的に国際公約とする時には、国民生活への影響をぜひ議論してもらいたい」などと述べ、慎重な検討を求めた。

 「率直に言って25%(削減)の世界というのは分からない。すさまじい規模だ」と影響の大きさを指摘。「地球温暖化対策というのは、環境対策ではなく、総合的な経済政策の一環として出されるべきだ」と述べた。また、削減目標で他の主要排出国と歩調を合わせることも求め、「対等な競争条件が崩れれば、場合によっては、日本から逃げ出さなければならない産業も出てくるかもしれない」と懸念を示した。
 *http://www.asahi.com/business/update/0908/TKY200909080356.html


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コメント 3

クラブナビ

二酸化炭素を減らすことが本当に地球環境になるのかが,頭の片隅でいまだ疑問に思っている一人です。
どうしても,エコ利権,エコ商売,似非エコ産業のための騒動ではないかと思ってしまいます。
これは科学的な検証とその説明が大衆に浸透していないことに起因すると思います。

なぜ二酸化炭素が悪いのか。
なぜ,二酸化炭素が悪くないのか。

いずれにしても,行政ばかりが目立ち,科学者が見えない,科学者不在の論議がまかり通っているようにしか思えません。

科学者は,雑誌の出稿ポイントに精を出していないで,良識を持って大衆に伝える努力と意識を持つべきだと思います。

「文系人間よ,ダマらっしゃい!」という,
黄門様のような実直な科学者がいないかと常々思っています。
by クラブナビ (2009-09-23 20:34) 

ebisu

科学的な検証ですか。IPCCからデータが出ているようです。英字新聞には科学担当記者の取材情報がときどき載ります。日本語の新聞よりも専門的で、データも雑誌記事よりはしっかりしています。
まるっきりの学術論文では、素人が読むのは骨が折れるでしょう。NATURやSCIENCEにはしっかりした論文が載っているでしょうが専門的過ぎて一般の読者が読むのはたいへんですね。これらは専門家向けの雑誌です。

私の見たデータは過去1000年ぐらいの大気中の二酸化炭素濃度の推移を表したグラフです。過去150年くらいの期間に顕著に濃度が上昇しています。産業革命以後ですね。

気になるのは海水表面の温度が上昇しつつあることです。傾向的に有為に上がっています。最近は外洋を走る貨物船が何か計器をつけてデータを自動的収集しているので、観測点や観測頻度が飛躍的に増えたようです。
グラフからは急激な二酸化炭素濃度の上昇と海水表面温度の上昇が相関しているように見えます。

異常気象の原因になることはもちろんですが、もっと心配なのは深層部の温度上昇です。

日本海溝に眠るメタンハイドレートは日本が消費するエネルギー総量の2000年分といわれていますが、これが深層海水の温度上昇で気化するようなことがあったら、人類どころか哺乳類はもとより、地球上のほとんどの動物が絶滅するでしょう。

だれにも確かなことはわかりません。メカニズムの科学的解明にはそれこそ100年かかっても無理かもしれません。
大気中のメタン濃度は過去150年間で3倍になっています。メタンの温室効果は二酸化炭素の24倍だったかな。
これ以上、自然のバランスを急激に崩さないことが人類生存にとって大事なことなのではないでしょうか?

わたしも確かなことがわからない一人です。この種のグラフを見る都度、危ういなと感じてしまいます。
ネットで検索したら二つ出てきました。私の見たグラフは見つかりません。
http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/html/hpaa200401/hpaa200401_2_013.html
http://ecologymovement.sakura.ne.jp/104hennka.html
by ebisu (2009-09-23 23:11) 

クラブナビ

わざわざリンクまで示していただきましてありがとうございます。
なるほど,それでは私の脳の一部は似非科学とカルトに毒されているということです。

しかしその自覚がありません。
いつのまにか毒されていたようです。

人間の思想や言動は,例外なく利権でのみ行動する動物だと思っていました。
リサイクルという強いられた作業が猿芸だと思っていたので,改めなければなりません。

氷河期と温暖期の揺らぎの温度差を,吹き飛ばすほどの温室効果なら,無駄な抵抗とせずにゴミの分別に勤しまなければなりません。

ああ,なんて人間って面倒な動物なのでしょう。
by クラブナビ (2009-09-24 19:17) 

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