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民主党マニフェスト公表(7/27)<仕事のやり方を問う> [A8. つれづれなるままに…]

民主党マニフェスト公表(7/27)<仕事のやり方を問う>

 民主党が政権公約をマニフェストにまとめ昨日(27日)発表した。 
 *民主党マニフェスト⇒ http://www.dpj.or.jp/special/manifesto2009/index.html
  http://www.dpj.or.jp/special/manifesto2009/pdf/manifesto_2009.pdf

 政策はロイターが配信したものを貼り付けておく。個別の論評はまた別ブログで書くことになる。気になった点だけを書いておこう。

 
このマニフェストとともに検討しなければいけないのは政権与党である自公政権の公約だ。覚えている限りで、「100年安心年金プラン」「2001年プライマリーバランスの回復」があったはずだが、現時点で見るとどちらも真反対のことをやってしまった。政権公約を具体的な政策にブレイクダウンして実現できる仕事人がいなかったと言わざるをえない。同じ懸念が民主党にもある。どんなに素晴らしいマニフェストも実現できなければ絵に描いた餅になるどころか、実際はマニフェストとは正反対の結果をもたらすことを自公政権が見せてくれた。数々の言い訳の見苦しさも。同じ轍を踏んではならない。

 「公立高校の実質無償化」についてはもろ手を挙げて歓迎したい。授業料が支払えず退学する生徒が増えているので最低限の救済措置だ。
 その一方で民主党は教育については学習指導要領廃止や教育委員会の廃止を掲げ、地方分権を進めるようだ。こちらの方は意見を保留しておきたい。根室の市議選や市議の仕事ぶりを見てもわかるように人材を東京へ供給し続けて地元に人材が著しく不足している。対立候補すらなく選挙の洗礼を受けずに決まった市長や無投票当選になりそうな市議、小中学校の統廃合を先延ばしし続ける教育行政にも同じことが言えるだろう。
 このまま権限の地方委譲を進めてまともな教育行政ができるのだろうか。各地方の具体的な教育政策をみるまで評価ができないし、まともな教育行政が期待できる地方(秋田県など)は少ないだろう。地方と首都圏、地方と地方、札幌と根室などの教育格差がさらに大きくなる不安がある。
 最低賃金についても、全国一律1000円はいいが、利幅が薄くて耐えられない中小企業へ補助金を出し続けるのだろうか?これも具体的実施を見ないとただのバラマキになる可能性が強い。
 権限委譲による国家公務員人件費の2割削減も危ない。所属が国家公務員から地方公務員になるだけで、国と地方合計の人件費が減額されないなら、国家財政や地方財政上何の効果もない。850兆円にもなる国債発行残高を減らすことを考えると、そのような小手先のインチキ人件費減額ですむはずがない。
  何か重要なものが足りないと感じた方が多いのではないだろうか。そう、肝心要のものが一つかけている。だから全体にしまりのない、バラマキ感に彩られたマニフェストになってしまった。国債残高を減らすスケジュールと具体策がみあたらない。民主党は850兆円の国債発行残高を減らすという問題意識と具体策があるのだろうか?その点の検討は次回に譲ろう。

 マニフェストで約束したことを、姑息な手段を弄してごまかすのか、真正面から課題を消化するために具体的政策を検討するのか、民主党の基本姿勢が問われるのだろう。
 マニフェストを実現するためには具体的な実行計画がいる。それをデザインして実行に移す人材が現在の民主党に充分いるとは思えない。足りない人材をこれからどのように集めるかだ。
 会社の長期計画と同じである。3年の中期実行計画をデザインして、さらにそれを年次計画へとブレイクダウンしていかねばならない。各セクション(省庁)ごとに長期計画の趣旨を理解し具体的政策や年次計画へと反映していかねばならない。民主党にはまったくやったことのない仕事であり、自民党がまるでできなかった仕事でもある。

 私は何度か「職人主義経済」というものを提唱してきた。日々仕事に関わる技術を磨き、持てる力を出し切って誠実な仕事をするところに職人本来の姿がある。決して仕事をごまかさない職業倫理が日本の伝統的価値観の一部を形成している。政党も議員もそこへ立ち戻れということだ。

ロイターが配信したニュースを貼り付けておく。
 http://jp.reuters.com/article/economicPolicies/idJPJAPAN-10233820090727
[東京 27日 ロイター] 民主党の鳩山由紀夫代表は27日午後、都内のホテルで総選挙に向けたマニフェスト(政権公約)を正式発表した。

 鳩山政権の政権構想として「官僚丸投げから政治家主導の政治へ」など5つの原則と、首相直属の「国家戦略局」による予算骨格の策定など5つの施策を掲げ、政権交代をめざす。同時に子ども手当や高速道路の無料化などの主要政策の工程表を公表、政権担当する第1期(2010年度─2013年度)4年間の政策と財源を明示した。

 鳩山代表は8月の衆院選で政権交代が実現しなかった場合には「(自身が)大きな責任を負うことは言うまでもない」と指摘。マニフェストで掲げた政策が実現できなかった場合には「政治家として責任を取る」と、政権交代と政策実現のための決意と覚悟を強調した。

 <「行政刷新会議」で無駄排除> 

「政権交代。」と題したマニフェストにおいて、鳩山代表は冒頭、「国民の生活」を最優先に「すべての予算を組み替え、子育て・教育、年金・医療、地域主権、雇用・経済に税金を集中的に使う」と宣言。

 5原則・5策を掲げ、具体的な施策として、首相直属の「国家戦略局」の設置による政治主導での予算骨格の策定、「閣僚委員会」を活用し事務次官会議を廃止、「行政刷新会議」の設置による無駄や不正の排除などを明記した。 

 <「子ども手当」は11年度から満額支給、政策実現財源は16.8兆円>

 マニフェストには主要政策の実施時期と財源を記した「工程表」も記載。子ども手当は、2010年度に当初計画(子ども1人あたり月額2万6000円)の半額でスタートし、11年度から満額を実施する。公立高校の実質無償化やガソリン税などの暫定税率の廃止は10年度から実施、高速道路の原則無料化は10年度から段階的に導入し、12年度から完全実施に移行したい考え。農業の戸別所得補償制度は10年度に調査や制度設計などを行い、11年度から実施する。

 年金制度改革は、最初の2年間は「消えた年金」問題など年金記録問題に集中的に取り組み、2013年度までに全額消費税を充てる新たな「最低保障年金制度」を決定する。

 このほかの政策についても財源を確保しながら順次、実施するとしており、必要な財源は4年目に16.8兆円となる計画。具体的な財源の捻出方法については、一般会計と特別会計の無駄削減などで9.1兆円、いわゆる「霞が関埋蔵金」の活用で5兆円、租税特別措置などの見直しで2.7兆円を見込んでいる。

 赤字国債発行による財源確保について直嶋正行政調会長は「財政規律は大切にしたい」とし「極力、赤字国債の発行はしないことが基本」と指摘。消費税引き上げについて鳩山代表はあらためて「4年間は必要ない」と語った。

 <郵政株の売却凍結へ、最低賃金「1000円めざす」>

 政策の各論には、「日本郵政」「ゆうちょ銀行」「かんぽ生命」の株式売却を凍結する郵政株式売却凍結法の可及的速やかな成立や、温暖化ガスの排出量を1990年比で2020年までに25%減、2050年までに60%超削減することを目標とすることなどを明記した。最低賃金の引き上げについても「景気状況に配慮しつつ、全国平均時給1000円をめざす」ことを盛り込んだ。

 (ロイターニュース 伊藤純夫 吉川裕子)



 2009年7月28日 ebisu-blog#673
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コメント 2

クラブナビ

党首の話だとヴァージョン2もあるそうですから

するとMACみたいに3.1とか4.2.7とかもあるのか,と。
ノーカット版とかディレクターズカット版,
ついでに海賊版もあるのではないだろうか。

オリジナル版で行って欲しいけど
by クラブナビ (2009-07-29 18:54) 

ebisu

何回書き直してもいいけれど、選挙民を納得させられるのかな?

あまり改定回数が多ければ、仕事が拙劣であることの証明にもなる。

あきらかによくなったと思えるような改定ならいいかな。「金融危機があったので2001年度中のプライマリーバランスは先延ばしです」なんて言い訳はなしだ。

民主党は思いつきで突っ走るところがある。

仕事の出来る政党は遠くまで見通して物を言う。
仕事の出来ない政党は、思慮が浅くて右往左往する。

それでもやっているうちによくなるかな。仏の顔も三度までということもある。バージョン2か、イエローカードだな、飽きれられる前によくなることを祈る。 

by ebisu (2009-07-31 00:12) 

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